1. ヒトラー 最期の12日間
勝敗がついた戦争において、敗者はどのように終わりを迎えるかをナチスとヒトラーをテーマに描いた作品である。日本の敗戦においても恥や意地ではなく国家の再生を考えて国民の犠牲を少しでも少なくすることを優先する人々と降伏など考えず民族が絶滅しても最後の一人まで戦うのが良いとする人々の確執が起こった。冷静に考えればどちらが本当の愛国者であるかは明らかなのだが戦中では軟弱、裏切り者という批難に耐えて前者を主張し続ける事は難しい。首都が陥落するまで戦い抜いたドイツは前者を主張する多数の良識を持ちながらナチスとヒトラーが後者であり続けたことが映画からも分かる。この映画は敗戦国だからこそ作れた映画であると思うがこのテーマは現代の国家においても、例えばイラク戦争や北朝鮮などにおいても、またもっと卑近な例では会社や組織のあり方においても我々自身の問題としてとらえなおすことができるのではないだろうか。真摯な作風と丁寧な映像にこの点で。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-02-20 18:03:15)(良:1票) |