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自己紹介 映画を観る楽しみ方の一つとして、主演のスター俳優・演技派俳優、渋い脇役俳優などに注目して、胸をワクワクさせながら観るという事があります。このレビューでは、極力、その出演俳優に着目して、映画への限りなき愛も含めてコメントしていきたいと思っています。

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1.  戒厳令(1972) 《ネタバレ》 
"ラテン・アメリカの某国のファシズム的な警察国家の闇を衝いた、コンスタンタン・コスタ=ガヴラス監督の実録政治映画の問題作「戒厳令」"  ギリシャの軍事独裁政権の実態を暴いた「Z」、ソ連のスターリニズムを痛烈に批判した「告白」に次いで、社会派の俊英コンスタンタン・コスタ=ガヴラス監督が撮ったのが、ラテン・アメリカの某国を題材にとり、背後にアメリカの力を負いながら、ファシズム的な警察国家体制を敷いている国の実態を生々しく描いたのが、この映画「戒厳令」なのです。  この作品は、コンスタンタン・コスタ=ガヴラス監督お得意の実録ものであり、1970年8月10日にモンテヴィデオで誘拐され、銃弾を頭部に受けて殺されたイタリア系アメリカ人、ダン・アンソニー・ミトリオーネをモデルにしています。  ガヴラス監督は、当時の新聞、公式文書など、ありとあらゆる資料を調べつくし、ミトリオーネという男が受け取っていた月給の金額まで知るほどだったということですが、そういう正確な事実を基にしたという強みが、この映画にはあると強く思います。  トップシーンの戒厳令下の街頭の場面が、まず非常に冷酷で薄気味悪いムードを湛えており、一種クールな魅力を画面に与えていますが、南米のチリに長期ロケーションをした効果があって、現地での生々しい臨場感を観ている我々に感じさせます。  そして、この映画は、ガヴラス的演出で、フラッシュ・ショットによる回想シーンなどを随所に挿入し、時を自由に前後させながら展開していきます。  「Z」「告白」ともに、政治映画でありながら、ガヴラス監督の手にかかると、面白すぎるくらい面白くなりますが、ここではその映画的な技巧の円熟味は、ますます冴えていると思います。  主人公のフィリップ・マイケル・サントーレ(イヴ・モンタン)の死が、まず冒頭に出て、その葬儀のシーンあたりから、回想で彼の生前に遡り、革命派が誘拐するプロセスが歯切れよく描かれてくるあたりで、映画は観ている我々を否応なしにその世界に引きずり込んでしまいます。  この革命派の尋問につれて、サントーレという人物像が、次第に浮き彫りにされてきます。 彼はイヴ・モンタンが扮していることからもわかるように、実に風格のある人物であり、外見は良きアメリカ人であり、愛する家族を持つ良きパパなのです。  このように、サントーレという人物を、決して悪玉仕立てにしていないところに、ガヴラス監督の狙いもあったのであり、彼がアメリカから南米へ派遣されて、警察国家の陰の指導者となり、反乱分子に残酷な拷問をかけたりさせる、裏の張本人であるということが、実に感じのいい男だけに、観る者を余計に慄然とさせる効果を持っていると思うのです。  警察学校かなにかで、人体を使って拷問の実習をするシーンなど、かなりな残酷描写です。 こういう教育を受けた連中は、いつか、いとも冷酷で人間的な血の通わぬ非情な警官に育っていくのだろうと思います。  そのよき例が、秘密警察の隊長ロペスで、レナート・サルヴァトーリの何とも言えぬ凄みには圧倒されます。 一種、怪物的な魅力すら漂ってきて、脇役一筋で、地味なレナート・サルヴァトーリが、いつの間にこれほどの重量感のある俳優になっていたのだろうと驚いてしまいます。  このロペスの率いる秘密警察が、革命派の青年たちの居場所を突きとめ、追いつめ、逮捕するあたりの何とも言えない恐ろしさは、観ている我々を心の底から震撼させます。  街頭を革命派の青年が歩き、さりげなく警察官が追いつめていく、その画面にミキス・テオドラキスのクールな曲がかぶさるあたりは、どこか金属的な感じさえするムードで満たされます。  そして、この間、国会では多くの議論が交わされますが、誘拐した革命派グループの再三にわたるコミュニケにもかかわらず、結局、サントーレの生命を救うための動きは全くなく、革命派も彼を殺害する以外に方法がなくなってしまうのです。  国家とか組織とかが、個人などをまるっきり無視して通りすぎる冷酷さが、痛いほど画面の中から迫ってきます。  そして、ラストシーンでは、サントーレの死後、彼の後任として空港に到着したアメリカ高官の姿。 それをじっと見つめている、革命派の青年たちの表情の数々を映し出して、この映画は終わります。  ガヴラス監督式のスリルとサスペンスに満ちた面白さは確かにありますが、しかし、彼の最高作である「Z」の大衆講談的な面白さからはいつか飛翔して、生の実感を込めた不気味さが、ひたひたと我々の胸に押し寄せてくる思いがするのです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-09-12 12:40:35)
2.  家族生活(1984) 《ネタバレ》 
ある土曜日、エマニュエルはいつも通り、娘のエリーズに会いに前妻リリの家へ。かつては自分も住んでいたその家には、未だに彼の書斎が残っていた。 何となくよそよそしい娘に、彼は車で旅に出ようと提案する。  このように、毎週土曜日に面会する父と娘は、二人とも、人を愛すること、人から愛されることに不器用だ。 互いに会う日を楽しみにしているはずなのに、いざ顏を会わせると、何とはなしにギクシャクとして素っ気ない二人。 相手と打ち解けたいと思いながら、それをどう表現してよいか判らずイラ立って、逆に距離を置こうとさえしてしまう。  そんな二人が、ある週末、南仏からスペインへドライブへ出かける。娘が書いたシナリオをもとに映画を撮ろうと、ビデオ・カメラ1個を携えて。  ジャック・ドワイヨン監督は、そうした父エマニュエルと娘エリーズの愛情の機微を、ビデオ・カメラを媒介にして、淡々と、だがエモーショナルに映し出していく。 フィクションを撮ろうと言いつつ、エリーズそのものを、彼女の素顔を、撮ろうとするエマニュエル。  だが、エリーズは笑ったり怒ったり、泣いたりして、父親の企みから巧みに身をかわし、決して本音を見せようとはしない。 まるで、カメラを介さなければ娘を直視できない父親の臆病を非難するかのように。  「機械がなくても話し合えるわ」と言うエリーズのつぶやきが妙に心に残る。彼女はまた、「よそよそしさはパパから教わったの」ともささやく。 そして、カメラに微笑みかけるエリーズのよそよそしい幼い顔。  この映画でのビデオ・カメラの存在は、父と娘の間に知らぬ間に出来てしまった、どうしても越えられない"深い溝"の象徴なのだろう。 小さなモニターにリアルタイムで流れる、多分、手持ちカメラのせいだろう、小刻みにブレ、揺れ動く映像が、父と娘それぞれの言葉にならない思いを反映しているようだ。  一方、エマニュエルと彼の義理の娘ナターシャとの関係も微妙だ。何かというと敵対し、いがみ合う彼らの間に行き交う、いわば潜在的な近親相姦。それを鋭く見抜く、エマニュエルの妻であり、ナターシャの母であるラマ。  こうして、「家族生活」は、エマニュエルが持つ二つの家族、前妻リリとエリーズ一家、ラマとナターシャ一家を通して、現代における"家族"とは何かを見つめた、新しい形のホームドラマなのかもしれない。
[ビデオ(字幕)] 7点(2019-04-16 11:26:13)
3.  影の軍隊(1969) 《ネタバレ》 
「サムライ」「仁義」などの一連のフィルム・ノワールで私を魅了したジャン=ピエール・メルヴィル監督の「影の軍隊」は、レジスタンスに身を投じた人間たちの姿をセミ・ドキュメントタッチで描いた社会派サスペンス映画です。  全編を覆うダークな色調。使命を果たすためには、愛する者すべてを捨てなければならない非情な世界で、自己を引き裂かれ、葛藤する男や女たち。 彼らの胸中をよぎる悲哀と情念のたぎりは、まさに"フィルム・ノワールの世界"そのもので、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の簡潔で切れ味鋭い演出の技が冴えわたります。  この映画の主演俳優リノ・ヴァンチュラは、ボクサー上がりの体型通り、いつも見るからにタフな奴を演じてきたと思います。 だが、ただただ鋼鉄のごとく頑強な男というわけではないのです。 ある瞬間、フッと垣間見せる弱さ、脆さ。その時こそ、演技者としてのリノ・ヴァンチュラの真骨頂が発揮されるのです。  この「影の軍隊」でも、ゲシュタポに捕まった彼は、銃口の前に立たされ、その場に踏み止まり銃弾を浴びるか、誇りを捨て脱兎のごとく走り逃げるかの選択を迫られます。 レジスタンスとしての意志を貫こうと死を覚悟しながら、降りかかる銃弾の雨に、思わず走り出すヴァンチュラ。  辛うじて生き延び、本心は死ぬのが怖いと呟く彼の悲痛と絶望に疲弊した面持ちは、逆に人間本来のあり様と生と死の重みをを映し出し、緊迫したドラマ展開の中で、生身の人間の肌の温もりにも似た一種の安堵感を覚えさせてくれました。  人間の感情の二律背反をごく自然な演技で、しかもまざまざと見せつけるヴァンチュラの演技はとても素晴らしいと思います。  ひしゃげた鼻と猪首、それほど背丈はないが、むっちりと肉の付いた雄牛の如き体軀は、お世辞にも眉目秀麗とは言えません。 だが、他人の同情を拒絶するような厳つい肩に揺らめく"孤独の影"はなぜか妙に愛おしく、男心をそそらずにはおかない男の魅力は、誰よりも強烈なものがあると思います。
[DVD(字幕)] 8点(2019-03-30 16:53:27)(良:1票)
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