Menu
 > レビュワー
 > とらや さんの口コミ一覧
とらやさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2102
性別 男性
自己紹介 善人が苦労が報われて幸せになるハッピーエンドの映画、
悪人が出てこないゆる~い世界観の映画、
笑いあり、涙ありの人情喜劇が好きです。

2008年11月19日の初投稿から、早いもので10周年を迎えました。
この間、みんシネのおかげで出会ったいい映画もいっぱいありました。
管理人様、レビュワーの皆様、いつもお世話になっております。
これからもよろしくお願いいたします。
2018.11.19

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
台詞を全て歌にするという大胆な試みを今なお愛され続ける名作に仕立て上げた監督・脚本のジャック・ドゥミによる話術が見事で、一つ一つのシーンが実によく計算された色の配置と音楽がとても美しい映画です。  上からとらえた雨の石畳の歩道、色とりどりの傘、ミシェル・ルグランの音楽。このオープニングから素晴らしい。オープニングから全編にわたり大胆にピンクや赤を多用しそこに青や緑を配した色彩感覚と、常に流れるルグランの音楽、台詞が全て歌のフランス語の響きも、カトリーヌ・ドヌーブも、全てが見事に美しい。 台詞が歌ということに不思議なほど違和感を感じず、歌になっているので台詞による感情表現が実にシンプルでストレートなものになっており、それが新鮮で純粋に感じられ、テンポの良さと独特の心地よさも感じられます。  オープニングに降っていた雨はラストシーンでは冷たい雪に変わっていた。その間には戦争があった。ジュヌビエーブが今幸せなのかははっきりと語られませんが、黒い衣装に身を包んだ彼女が立ち去る淋しげな姿と、子供とはしゃぐギイの幸せな姿が実に対照的な戦争により人生を大きく変えられてしまった二人の姿に、白い雪とルグランの音楽が重なる見事なラストシーンは悲しくも何度見ても感動します。迷わず10点満点とさせていただきます。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2010-01-20 21:25:07)(良:3票)
2.  ジャッカルの日 《ネタバレ》 
久しぶりに見ましたが、やはり何度見ても手に汗を握る面白さがある作品です。 こういう作品は実行犯、黒幕、警察、諜報機関、政府高官などの相関図が複雑になるケースも多いですが、 登場人物の中には暗殺のターゲットであるドゴールもおらず、暗殺の黒幕である組織の幹部の登場も序盤のみ。 ほぼジャッカルと彼を追う警部の一騎打ちと言えるところまで登場人物を絞っています。 音楽も使われず、アクションもかなり限られ、徹底してシンプルな作風となっており、 それらが独特の緊張感とテンポの良さを産み出しています。 中盤まではソフトな印象を与え、スマートな装いで淡々と大統領暗殺の準備を進めていくジャッカルがカッコよくうつる。 彼に感情移入しそうにさせておきながら、後半に入るとパリに向かう道中で出会った人間を容赦なく手にかけ、 目的達成のためなら手段を選ばない冷酷な暗殺者ぶりを見せていく過程もよく考えられています。 相手は大国フランスの大統領。恐らく成功しないだろう。ジャッカルに待っているのは死だろうと予想される。 彼にどんな散り際、その最期を用意するのかと思っていたら、その結末は実にあっけなかった。 結局彼は誰だったのかも分からず葬られる。暗殺者の哀しき末路もまた印象的です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-09-20 22:12:26)
3.  シラノ・ド・ベルジュラック(1990) 《ネタバレ》 
剣の達人にして詩人。まさに文武両道の誇り高き男シラノ。冒頭の決闘の中で装飾品も身に付けない田舎者と馬鹿にされたシラノの「私の飾りは心の中にある。私は心の手入れを怠らないのさ」という台詞がシラノをよく表しています。  そんな男にも容姿というコンプレックスがあり、愛する女への思いの丈を詩にしてもそれを告白する事ができない。もう一人容姿端麗な男クリスチャン。そんな男にも無学というコンプレックスがあり、愛する女に告白する事ができない。同じ女を愛した2人の男の心の機微を見事に描いた人間ドラマです。  クリスチャンの外見を借り、思いの丈を綴り続けるシラノのこの女への純情を演じるドパルデューが極上の素晴らしい演技をみせる。思いの丈を言葉にする滑らかなフランス語の響きが実に美しい。字幕でどれ程本作の台詞の美しさが理解できているのかという疑問も残りますが、本作の日本語字幕もまた素晴らしいと思いました。多様な表現方法を持つ日本語の美しさも再認識。  最後に手紙の主の正体を悟る女。以降ラストまでのドパルデューの演技は圧巻。なかなか味わえない哀しき余韻が残るシラノの人生のハッピーエンドでした。
[ビデオ(字幕)] 9点(2011-08-06 22:06:50)(良:2票)
4.  シンプル・プラン
雪深い森の中でたまたま見つけた墜落した飛行機。その中には440万ドルが残されていた・・・。 安月給だが真面目に働き、妻と、妻のお腹の中にはもうすぐ産まれくる子どももいる主人公の男。 冒頭はこの夫婦が一番まともに思える。あとは一緒にカネを見つけてしまった失業中の兄と、兄の友人。 ヤバいカネかもしれないが黙ってれば、うまくやりさえすれば目の前のカネは自分たちのもの。 あぶく銭を前に、普段は見えない人間の持つもう1つの顔を表面化させ、 あぶく銭を前に人間が豹変していく様を地味に、ひたすら地味に見せていく。 見る者に、ここに自分がいたらどうするだろう・・・?と考えさせる、登場人物を絞り地味ながらも設定が見事。 登場人物の冒頭の印象とは裏腹に、このシンプルプランに次第に精神的に耐えられなくなって壊れていく兄が印象的。 演じるビリー・ボブ・ソーントンがこの役に素晴らしくはまっています。 サム・ライミにはこういうスケールの映画ももっと撮ってもらいたいなと思いますね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-22 18:11:42)
5.  死への逃避行
出会った人間を次々と殺していく魔性の女を演じる。イザベル・アジャーニの静かなる、そして美しき怪演。 そんな彼女の美しき七変化に目を奪われる2時間です。それは見る者だけでなく、彼女を追う1人のくたびれた中年の探偵も。 依頼人もボスの指示ももはや関係ない。自分の娘とこの女を重ね合わせるように彼女にのめりこんでいってしまう。 全編を通して聞こえてくるこの男の回想のような心の声、そのフランス語の響き、テンションを抑えた品を感じさせる語り口。 これぞフランス製サスペンスという雰囲気をたたえた作品です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-17 18:12:18)
6.  ジミー、野を駆ける伝説 《ネタバレ》 
近年のケン・ローチはコメディと事実、史実を元にしたドラマを交互に撮っていますが、 この人の作品に込めた思いや、描く対象は若い頃の作品から全くぶれることが無く一貫しています。 いつの時代を、どの国を作品の舞台としても常に彼の心は日々を懸命に生きている人々と共にあります。  「麦の穂をゆらす風」でも彼はアイルランド内戦を描いていますが、 本作はその時代を生きた、実在した活動家ジミーと彼を慕う名も無き人々のドラマに取り組んだ作品となっています。 彼らは“Jimmy’s Hall”(ジミーの集会所)に集い、好きな音楽に耳を傾け、ダンスを踊る。 ささやかな自由を楽しむ人々をケン・ローチらしい優しさにあふれた視線で描く。 しかし、そんなささやかな自由すら許さず共産主義者と決めつけ、彼を迫害しようとする教会とは一体何なのか。  ジミーという実在した活動家と、彼を慕い彼の元に集う名も無き人々。 本作に登場する名も無き登場人物は全て、この時代に実際にアイルランドに生き、 ささやかな自由を求めながら日々を善良に懸命に生きた、名も無き実在した人々の姿でもある。 静かな語り口の中に自由を讃えるケン・ローチの思いが感じられる作品です。
[DVD(字幕)] 8点(2015-08-20 22:50:54)
7.  白い馬(1952) 《ネタバレ》 
野生の白い馬と純粋な少年の温かな友情物語を見ているようでもあり、白い馬と狡賢い大人を描いた冷たいドキュメンタリーを見ているような感覚でもありました。  自分を捕えようとする狡賢い大人には一切心を開かない白い馬が、ただ友達になりたいだけである純粋な少年には心を開いた。人間同士でも、人間と動物にも、やはり通い合う心があるということなのでしょう。  このような関係性は同じラモリス監督作品「赤い風船」と共通するものを感じます。それだけに、大人から追われる終盤の展開は、その躍動感に圧倒されながらも悲しき結末を予感しながら見ていましたが・・・。  「白い馬は友を、人間と馬が仲良く暮らせる土地へと連れて行った」という最後のナレーションが悲しいですね。人間と自然、野生が仲良く共生できる世界を願わずにいられませんでした。
[DVD(字幕)] 8点(2011-10-22 19:15:44)(良:1票)
8.  人生万歳! 《ネタバレ》 
見てよかった、と納得のウディ・アレンらしい映画でした。自らが演じアレン映画に何度も登場した○○恐怖症の男といった役どころ。本作の主人公の男も人間嫌いの暗闇恐怖症の頑固爺さんといったところか。  監督・脚本・主演の3役をこなすのがアレン流スタイルだったものの、近年はさすがに映画には出なくなってきましたが、本作はちょっと違うキャラクターになっていただろうけれど、アレン自らに演じてほしい役どころでした。  最初は一人暮らしのこの男のアパートに宿無し文無し娘が転がり込んできて、この2人のロマンスかと思って見始めましたが、中盤以降は老若男女、様々な人物が二人の前に現れる。そこに無駄な登場人物は全く無く、気が付けば現れた全ての人物が絶妙に絡み合って様々な愛のカタチを織り成す群像劇へと話が発展していく、その語り口が見事な一編でした。  主人公の男が見ている僕達の方に向かって何度もスクリーンを通して語りかけてきますが、このアレン流人生に対する前向きなメッセージも実に気分良く楽しむことが出来る作品でした。
[映画館(字幕)] 8点(2011-01-07 21:12:22)
9.  シチリア!シチリア! 《ネタバレ》 
トルナトーレ監督が久しぶりに故郷シチリアに帰ってきた。勿論盟友エンニオ・モリコーネも一緒だ。本作でも凄い音楽で作品を盛り上げます。本作もトルナトーレの代表作と同様に彼の故郷シチリアを愛する思いを非常に強く感じる作品でした。  主人公の男がいて、彼の少年時代である戦争中から戦後、そして初老に差し掛かるまでを一気に見せる叙事詩であり、この男が話の軸になっています。  しかし貧しくとも明るく生きる名も無き庶民が暮らす小さな町ヴァーリアそのものが主人公であるかのようなドラマとして楽しんだ。町を駆け抜ける少年が空に舞い上がり作品の舞台となる町全体を見せるダイナミックな冒頭に続き、戦争中のファシストの支配にも負けず明るく生きる戦争中のヴァーリアの人間模様も、戦後のマフィアや政治と人々との関わりもユーモアもたっぷり交え描かれます。  そんなヴァーリアの町を捉える素晴らしいカメラワークにモリコーネの音楽にトルナトーレの故郷への思いが一体になり見せる町のどのシーンもとても美しく迫力がある作品でした。
[映画館(字幕)] 8点(2010-12-22 22:06:36)(良:2票)
10.  幸せはシャンソニア劇場から 《ネタバレ》 
いい映画でしたねえ・・・。1930年代、時代の暗い影、不況にもめげず何度挫折してもシャンソニア劇場を愛し、劇場の復活と成功を夢見て集まる人々。歌手として成功を掴み、劇場を去ったヒロインが愛する劇場のために戻ってきて、支配人も歌手も芸人もノーギャラで劇場の復活のため仲間と共に奮闘するというとても温かな人情噺です。不況、そして混沌とした現代の我々に対する応援歌でもあるように感じました。見事に再現されたパリの下町の石畳の街並、劇場の舞台裏の壁やカーテンの汚れ具合、夢に結集する歌手や芸人達、そして生き生きとした表情で舞台を見つめる観客達。そんな活気にあふれるパリの下町、そこに力強く生きる庶民、劇場の全てが愛おしく、そんな昔のパリの下町や劇場の描写にフランスが世界映画史に誇る名作「天井桟敷の人々」をちょっと思い出させられました。音楽や当時の雰囲気を醸し出す美しい映像も素晴らしかった。しかし、ハッピーエンド大好き人間の私としましては特にこんな映画には終盤の血生臭い展開は似合わないと思うのです。やっぱりこんな映画には大団円のハッピーエンドが似合います。また、恋に落ちた二人のその後も分からないまま終わりましたが、ちょっとこの二人のその後も観たかったなあ・・・。という不満が無いわけではないのですが、それでもそれを補って余りあるいい映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-08 20:51:34)(良:1票)
11.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
マイルス・デイビスのトランペットやモノクロ映像の乾いた雰囲気が絶妙でした。カップルの行動を追う時間がちょっと長すぎる感がありましたが、完璧であったはずの計画の歯車が狂い、狂い始めた歯車はやがて暴走し始める。しかしエレベーターに閉じ込められた犯人にはそれを知る由も止める術も無い・・・という話の展開が実によく練られていてスリリングで面白かったです。社長夫人にとっては2人の愛の証であり、警察にとっては結びつかなかった2人の関係を決定付ける証拠が浮かび上がるラストも秀逸!
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-24 21:25:57)
12.  JFK 《ネタバレ》 
アメリカでは真相を追究することに非常に勇気がいるテーマだと思いますが、オリバー・ストーン監督の「絶対妥協しない」という強い意思と心意気が感じられる。気合の入った真相追究ものを見たという感じです。勿論今も真相は明らかになっていないし、真相は暗殺実行者や、その黒幕にしか分からない訳ですが。時間が長い映画は苦手ですが、ケネディ暗殺には以前から興味があったので長さを感じることなく最後まで興味深く見ることができました。事件から何年も経っていない当時に真相を究明しようとしたジム・ギャリソンに敬意を表したい。
[DVD(字幕)] 8点(2008-11-22 01:17:50)
13.  将軍たちの夜 《ネタバレ》 
1942年のワルシャワ、1944年のパリで起こった娼婦をターゲットにした猟奇殺人事件。 捜査に当たる中佐と、容疑者の3人のドイツ軍の将軍と、 事件に関わることになってしまった1人の下士官とその恋人が絡み合う戦後にまで続くドラマ。 軸となるのは猟奇殺人事件の捜査ですが、下士官と容疑者の1人の将軍の娘とのロマンス、 更にはヒトラー暗殺未遂事件である「ワルキューレ作戦」。 ワルキューレ作戦の英雄、トム・クルーズも演じたシュタウフェンベルグ大佐や、 作戦への関与を疑われたロンメル元帥といった実在する人物も少しだけですが登場します。 1本の映画としては少々欲張り気味で、ドラマが散漫になっているのは惜しいところですが、 この豪華キャスト。面白かったです。特にピーター・オトゥールの不気味さが際立っています。 戦後、猟奇殺人事件の犯人は追い詰められていくのですが、 ヒトラーを再評価する動きが出てきたり、かつてのドイツ軍の将軍が英雄として再びまつり上げられたり。 1966年の作品ですが、この頃には既にこうした動きがドイツ国内で起こりつつあったのか。 この戦後パートはそうした動きへの警鐘でもあったのでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-03-06 22:13:42)
14.  上海ルージュ
1930年代の上海。裏社会に生きる人間達の抗争と愛憎のドラマ。 日本や西洋諸国の思惑が交錯するこの時代の上海の混沌も、裏社会の抗争に付き物のドンパチもほとんど無い。 上海の裏社会を牛耳るドンの愛人にして上海の人々を魅了する歌姫。皆から"お嬢様"と呼ばれ栄華を極めるコン・リー演じるチンパオ。 この手の作品にしては静かなドラマですが、作品の視線を荒みきったこの世界の住人達に置くのではなく、 彼女の付き人を務めることになった、田舎から出てきたばかりの少年に置いたことで登場人物ぞれぞれの運命や結末が強烈な印象を残します。 チンパオがいなくなってしまっても何も変わらない。新たなチンパオの候補者を上海に連れて帰るだけ。 この少年もいずれは上海の裏社会の構成員に成長していくのか・・・。 こんな風に裏社会のシステムが受け継がれていくことを感じさせるラストが悲しすぎる。 チャン・イーモウが時折見せる映像美へのこだわり。本作でもそのこだわりが随所に感じられます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-09 21:05:26)
15.  少年と自転車 《ネタバレ》 
父親に捨てられ施設に預けられたシリル少年。彼が負った心の傷、その深さ。 そんな彼の心の内を思うと、途中は見ているのがとても辛い作品。 里親のサマンサについては謎も多い。冒頭で少年の自転車を買い戻し、少年から頼まれ里親になることを引き受けます。 その決断には彼女のこれまでの人生とも無関係ではないと思いますが、彼女の人生についてはほとんど語られません。 この部分についても少し言及があっても良かったのではないかと思います。 自ら里親になって欲しいと希望したサマンサに対するシリル少年の態度にイラッとくる部分があるのも事実。 しかし子供心にそう簡単に現実を受け入れ、割り切れるものではない。そんな少年のやるせない思いが終始伝わってくるし、 少年の全てを受け入れ、彼と接する彼女の描写の1つ1つがとても良かった。  子どもが主人公の映画や青春映画と自転車はやはりよく似合います。 クルマやバイクと違って、自分の足でペダルを漕いで走る。子どもや若者の力強さを感じる。 本作で最も温かみを感じさせる、サマンサとシリルがお弁当のサンドイッチを持って出掛けるサイクリング。 それに続く、突然訪れるラストシーン。少年は倒れた自転車を起こし、再び自転車を漕ぎ出していく。作品は彼のその姿が見えなくなるまで見送る。 シリル少年には力強くペダルを漕いでこれからの人生を進んでいって欲しい。サマンサと共に。そう願わずにいられないラストでした。
[DVD(字幕)] 7点(2015-10-03 15:57:37)
16.  白い家の少女
まだ少女の頃のジョディ・フォスター。 作品としては「タクシードライバー」が有名ですが、ジョディの演技ということでは本作も負けてはいません。 終始無表情で冷めたような表情。しかし時折見せる無邪気な表情・・・。見る者を引きつけるこの存在感。 どうしてもジョディに注目が集まる作品ですが、彼女の前に現れる2人の男を演じた、 まだ若いマーティン・シーンとスコット・ジャコビーも好演しています。 特に嫌な男をねちっこく演じたマーティン・シーンが印象に残る。  中で何か恐ろしいことが起こっているかのような屋敷。 本当に屋敷の中にいるのかいないのか?その存在が謎の親。 どうにかして始末しなければならない、被害者が乗って来たクルマ・・・。 どこかヒッチコックの「サイコ」とも共通する、作品に漂う不安げな空気もいい。 ショパンの調べと、背後で燃えさかる暖炉の炎と、ジョディの表情。このラストも秀逸。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-01-13 22:11:22)
17.  シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~
肩の力を抜いたジャン・レノ演じる三ツ星レストランのカリスマシェフと、彼の前に現れた天才肌の無名シェフ。この2人がとても楽しい掛け合いを見せてくれます。特にサムライとゲイシャ?に変装した2人には笑わせてもらいましたよ。  2人とも料理の腕前は確かだけど、どこか抜けていてひと癖ある人物設定が絶妙で、老人ホームの従業員3人組もいい味出しています。そんな彼らが三ツ星レストランの看板を守るべく奮闘する様を程よくドタバタ、程よくほのぼのとした笑いで見せる人情喜劇に仕上がっています。  それと並行して挿入される、2人それぞれの家庭や人生のドラマ。こちらもコメディタッチの中に家族の素晴らしさや日常の中にある幸せをうまく描き出しています。
[DVD(字幕)] 7点(2014-01-25 20:26:31)(良:1票)
18.  料理長(シェフ)殿、ご用心 《ネタバレ》 
高カロリーで決して体に良くないグルメや美食を皮肉たっぷりに描いたグルメ・ミステリー・サスペンス・コメディ。世界有数の一流シェフが次々と、それぞれが得意とする料理方法で殺されていく。その動機は?犯人は?ミステリとしては、いかにも怪しい登場人物がシロなのはお約束。その上で、一流シェフ連続殺人の動機は十分に読めてしまうのですが、ラストに登場する真犯人は意外な人物でした。お話としては、笑える話ではないのに可笑しい。個性派が顔を揃えたキャストのコミカルな演技も、作品に品をもたらせている巨匠マンシーニの音楽も素晴らしく、片肘張らず楽しめる作品になっています。そのキャストの中でもダントツに魅力的なジャクリーン・ビセット。見えそうで見えない入浴シーン、バスタブの中で一緒に戯れるジョージ・シーガルにもうひと頑張りして欲しかったところです。
[DVD(字幕)] 7点(2014-01-24 22:39:46)
19.  シベリアの理髪師 《ネタバレ》 
ロシアの巨匠ミハルコフがモスクワからシベリアへ、壮大なスケールで描く帝政ロシア時代の士官候補生の若者とロシアを訪れたアメリカ人女性の悲しき愛のドラマ。  海外から訪れた異国人の目に映るロシア。やはりこの人の映画は綺麗ですね。随所に挿入されるユーモアあふれる人間描写、ロシアに生きる人々の力強い人間描写も素晴らしい。  このような描写は時代も何もかも全く異なりますが、ミハルコフの名作「黒い瞳」を思い出します。「黒い瞳」では物語の後半、男が女を探してロシアを訪れる。本作は女が男を探して再びロシアを訪れる。両作品とも異国の異性に人生を変えられたロシア人の運命を描いたドラマでもありますが、特に本作はミハルコフの祖国を愛する強い思いと共に他国に対する複雑な思いを垣間見たような気がしました。  士官候補生を演じたオレグ・メンシコフの素晴らしい演技も強く印象に残ります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-08 23:15:30)
20.  シスタースマイル ドミニクの歌 《ネタバレ》 
ドミニ~ク、ニク、ニク♪・・・一度は耳にしたことがある方も多い歌ではないでしょうか。僕は全米№1ヒットとなった“シンギング・ナン”というアーティスト名でこの歌は聞いたことがありました。 明るくウキウキするようなメロディを歌う修道院のシスター。「天使にラブソングを」のような歌で人々を元気づけるシスターの物語をイメージしていたのですが・・・。バックコーラスのシスターの仲間と歌うシーンにはそんな雰囲気はあるものの、ひと時の成功と名声、そしてそこからの長い転落という波乱万丈の生涯を生きた一人の女性の悲しいお話でした。 自分のやりたいように生き続けた彼女には共感できない部分もあったが潔さが感じられる人でもありました。 その反面、彼女を利用し続け邪魔になれば葬り去ろうとする教会とは一体何だったのだろうか。恐らく今ではあり得ないマネジメント、印税は教会が吸い上げ、彼女には莫大な税金だけが課税され、彼女に教会が救いの手を差し伸べることは無かったという。彼女の人生は悲しい結末を迎えますが、ラストに全く悲壮感が無く、波乱万丈の彼女の生涯の中で最も安らかな心で過ごした時間であるように描かれていたのが救いでした。
[映画館(字幕)] 7点(2010-08-27 22:56:54)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS