201. 青春群像
せっかくいろいろと設定しているのに、結局全員同じような人にしか見えないのが最大の問題。ただ、この種のほろ苦系青春ものの源流としての価値は意味があると思う。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-11-09 01:17:33) |
202. アザーズ
《ネタバレ》 オチばかりが注目されますけど、それ以外にも、いかにも「お屋敷」と表現したくなるじめっとした雰囲気、光を抑えた暗めの色調(設定から必然なのですが)はなかなか印象的です。結末を知っていても、2回目以降も十分楽しめます。 [DVD(字幕)] 7点(2015-10-14 20:49:08) |
203. 小さな泥棒
更生と挫折の間をフラフラしている少女心理の迷いや逡巡がなかなか良く描写されていると思う。暗く悲愴でもある内容だが、作品としては意外に上品でまろやかな口当たりで、すんなりと話に入っていくことができる。サブキャラも面白かった。 [DVD(字幕)] 5点(2015-09-24 00:19:45)(良:1票) |
204. ある過去の行方
《ネタバレ》 前作「別離」同様、じわじわとした感情の動きの中で少しずつドラマが動き出し、その中にサスペンス的な要素も組み込まれているという構成。じっと息を潜めて見ているような描写が、物語の確実性を高めている。ただ、もっともらしいシーンが続く割には、結局何も起こっていないような気はするし、子役の二人が、演技が上手い割にストーリー上はそれほど機能していないのも、ちょっと残念。あ、一番「これだ!」と思ってしまったのは、キッチンでの喧嘩のシーンで、磨りガラスの向こうを人影がすっと横切る一瞬。こういう、ぎりぎり視覚の端に残るような情報の出し方は好きなのです。 [DVD(字幕)] 6点(2015-09-17 22:48:06) |
205. セントラル・ステーション
《ネタバレ》 うざい程の大群衆をしつこいくらい延々と撮り続ける前半、バスやトラックで大平原の一本道をひたすら走り続ける中盤、広大な住宅街の一角に落ち着く終盤。その視覚面への繊細な配慮が、ドラマの順を追った構築を際立たせている。最初にドーラのダメっぷりを存分に描いているのも終盤に生きてくるし、手紙以外にもハンカチや口紅やワンピースなど、小道具の使い方も味がある。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-08-03 03:08:58)(良:1票) |
206. さよなら子供たち
《ネタバレ》 中盤過ぎまで、特にどうということもない生徒同士の日常会話と日常生活が延々と繰り返されているだけにしか見えず、たいへん眠く感じました。ラストの容赦なさがもたらすインパクトだけで作品としての価値を保っているような・・・。 [DVD(字幕)] 5点(2015-07-22 01:07:10) |
207. カジノ
タイトルがカジノというからには、経営者が何を考え、どのように行動しているかという経営の裏側をきちんと見せてほしいところなのだが、スコセッシにそんなことを期待する方が間違いなんだろうな。グッドフェローズとまったく変わりません。しつこいナレーションが作品をぶち壊しているところまで同じ。というか、ナレーションの合間にイメージ映像と再現フィルムが挿入されているような感じ。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2015-07-05 03:12:26) |
208. The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛
《ネタバレ》 ミシェル・ヨーというきちんと演技のできる人が、アウンサンスーチーという世界に感銘を与えた実在の人物という重大な役柄を得て、その持てる力を存分に発揮した作品。彼女は作中で再三にわたり、「誰も死んではならない」と繰り返す。それは民衆のみならず、敵対する軍部の人間についてもそうなのだろう。だから、どんなに怒りが込み上げても(とりわけ、軟禁が一度解かれたものの、民衆との接触を禁じられた際の静かな怒りの表情は凄い)、それを感情に任せて相手にぶつけることなく、「次に自分は何をすべきか」に考えは常に向いているし、その意志の力があるからこそ世界規模での支持を得られたということも伝わってくる。また、夫婦間において、愛情や信頼だけではなく、相互に敬意が存在する描写も的確。年月の経過の描写にも無理がない。というかリュック・ベッソン、いきなりこんなに本気を出されると、びっくりするんだけど。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-07-03 01:02:46) |
209. ニューヨーク、狼たちの野望
《ネタバレ》 こういう時系列操作もの・同一地点多視点ものというのは大好きなはずなのですが、どうも今一つ乗り切れませんでした。それぞれの柱の相互の絡み方が弱く、絡んでいる部分も構造が単純でやはり弱すぎる。意味があるのは、店頭で三者が交錯するシーンくらい。発想は悪くありませんでしたが、この種の作品の先達には及びませんでした。 [DVD(字幕)] 5点(2015-06-22 01:35:22) |
210. オーケストラ!
《ネタバレ》 すでに指摘されていますが、落ちぶれてもアホになっても金に汚くなっても、「ステージに立つこと」に対してだけは、真摯で謙虚であってほしい。そうでないと、根っこのところでの共通ベースが存在しないので、最後に一致団結する根拠がなくなってしまうのです。結局、メラニー・ロランの美しさと存在感に大きく助けられています。クライマックスの演奏シーンを10分以上延々続けるこだわりぶりには、制作者の執念を感じさせますが。 [映画館(字幕)] 6点(2015-06-12 23:25:14)(良:1票) |
211. おとなのけんか
《ネタバレ》 もう、この芸達者な4人の皆様がああだこうだぶつかり合っている光景を見るだけで、ニヤニヤ笑いが止まらないわけです。登場人物は4人以外には(ほぼ)なし、最初から最後まで皆様の演技を存分に満喫できるという贅沢さ。狭い部屋の中で、登場人物の配置やカメラの角度にも十分配慮されていて、舞台っぽくもありながら舞台の引き写しにとどまらない完成度を提示しています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-12 16:25:12)(良:1票) |
212. ザ・インタープリター
こんなどこにでもあるような内容の作品で、主演にこの2人を投入しているというのが最大の謎。大体、主人公が通訳という設定がほとんど生かされていないのだが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-06-01 00:21:11) |
213. レ・ミゼラブル(1982)
《ネタバレ》 実際の尺は3時間40分くらいあるが、内容はそんなに濃いわけではない。一番の問題は、ポイントとなるはずの場面で、そのポイントをついていないこと。ジャベルがマドレーヌに対面して、いきなりフォーシュルバン救出シーンになってしまう(前提としてのマドレーヌへの敬意がないので、後のシーンが引き立たない)。ジャベルの一言でファンティーヌがこときれるシーンがない(ジャベルの冷徹さが表現されない)。バルジャンがコゼットの救出に行った際、テナルディエが悔しがる一幕がない(バルジャンの人格的大きさ、テナルディエのバルジャンに対する屈辱感が表現されない)。修道院に逃げ込む際の「壁上がり」がない(スリルを削ぐとともに、バルジャンの肉体に刻みつけられたものの深さが物語られない)。等々、脇道には結構あちこちに反れている割に、肝心の所が押さえられてないのです。唯一、他の作品より深かったのは、エポニーヌの扱いが丁寧なこと。というか、どうみてもコゼットより出番多いぞ。あと、ファンティーヌが堕ちていく下りを、顔面アップのストップモーションの変化で表現したのは、衝撃でした。 [DVD(字幕)] 5点(2015-05-19 02:33:15) |
214. 黄色い星の子供たち
《ネタバレ》 クレジットはジャン・レノからなんだけど、主役はメラニー・ロランだったんですね。ヴィシー政権下でのホロコーストという重要な史実に立ち向かう志の高さを反映して、例えば競技場の再現などは、エキストラから美術からものすごく気合が入っています。ただ、肝心の医師と看護師が、ひたすら誠実に診察を行うというところでキャラクターづけが終わっていて、背景や内心の部分が深められていないので、全体として優秀な再現ドラマを見ているだけという気もします。それでも作品の意義は大きいのでこの点数。 [DVD(字幕)] 7点(2015-05-07 02:33:54) |
215. 狼の挽歌
《ネタバレ》 導入部の、背景の説明一切なしのカーチェイスはなかなか。バックミラーの多用、狭い道のうねうね感がスリルを高めている。なんだけど、中盤は何となくだれてしまい、敵ボスも格好良く見えないのだが、結局これはラスト10分の鑑賞に行き着くための作品だったのだな。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-05-04 02:36:29) |
216. レ・ミゼラブル<TVM>(2000)
《ネタバレ》 3時間版で。この重厚長大な物語を、何とか頑張って主要なシーンは抑えています。あーしかし、「あのシーンはないの?」と思った箇所は、8時間版ではきちんと入ってるんだろうなあ。役者面では、コゼットの演技力が今ひとつなのと、マリユスの見た目が暑苦しいのが難点(Tears For Fearsのローランドかと思ったぞ)。逆に、テナルディエ夫妻は存在感十分で、画面に登場するだけで負のオーラ満載でした。 [DVD(字幕)] 7点(2015-04-30 02:49:15) |
217. サルサ!
《ネタバレ》 普段は耳にしないサルサ・ミュージックがたくさん聴けるのはいいのですが、肝心のストーリーが、ベタを通り越して「陳腐」です。音楽でごまかしきれないほどの粗さが目につきます。冒頭のピアノのシーンと、ラストのライブシーンのそれぞれの迫力で何とか印象が保っている感じ。室内部分でのカメラの揺れも気になりました。 [DVD(字幕)] 5点(2015-04-29 01:28:51) |
218. 真実の瞬間(1991)
《ネタバレ》 制作の志の高さだけで、存在の意義は十分にある作品。ただし、ほかのテーマでは出てこないような、この作品だからこそのポイントの部分が、今ひとつ強調されずに、ほかの要素と一緒にすーっと流されている感がある。だんだんと壊れていく夫人とか、名前を出してもいいかと頼みに来る友人とか、仕事を干される描写とか。●とはいいながら、ラスト10分の公聴会のシーン、やはりこれは凄い。全体のごちゃごちゃした雰囲気、重いシャッター音やうるさい木槌音の挿入、段々とヒートアップする怒声、壇上の面々の居丈高で低劣な言動の表現。つまり、これが撮りたかったんだな。●で、それとは別に、こういうときのアネット・ベニング姐さん、あなたは素敵すぎです。 [DVD(字幕)] 6点(2015-04-19 12:59:55) |
219. ファニーとアレクサンデル
《ネタバレ》 最初のクリスマスパーティーだけで90分、父の死と葬儀だけで40分。しかし、これをくぐり抜けてこそ、後半のドラマの壮絶さが意味あるものとなるのである。 [DVD(字幕)] 7点(2015-02-27 03:01:26) |
220. サラの鍵
《ネタバレ》 前半は、過去パートと現在パートがばらばらな上に現在パートの描写が凡庸で、さしたる工夫もなく終わってしまうのかと思っていたのですが、後半、両者が融合してからはぐいぐいと最後まで進んでいきます。●メインと思わせる「鍵」の点が着地してからも、ドラマはそこでは終わらない。サラにはその先の人生があるから。そして、その後を継ぐ人たちの人生は今につながっているから。したがって、「鍵」は歴史上の一寓話というだけではない、生身の重さを持っています。そのことを明確にしただけでも、作品としての価値があります。●ヒロインの設定はいかにも安直で、高齢出産云々というのも、年代的なつじつま合わせとラストシーンを作りたいというためだけにそうしたとしか思えません。せっかくK・S・トーマスを引っ張り出した意味がありませんでした。 [DVD(字幕)] 7点(2015-02-13 02:22:12) |