141. オーケストラ!
コメディとしてはおもしろいが、クラシック音楽を少々馬鹿にしすぎでは? リハーサルなしの演奏会もあり得ないし、遅れてきた団員がケースを開けてそのまま演奏とはびっくりたまげる。それに主役の指揮者とソリストはもう少しメリハリをつけ音楽家らしく演じないと、あれじゃまねだけとすぐわかってしまう。(目をつぶって聴くしかない)それに中盤から終盤にかけての身の上話も、もう少しどうにかならないのか。安っぽい。 チャイコフスキーに対しても失礼。 [DVD(字幕)] 4点(2012-09-24 21:40:48) |
142. 戦場のピアニスト
無抵抗のユダヤ人を跪かせ背後から射殺する、こういう非情なことが平然と行われていた事実を、感情を交えず淡々と描く。自ら経験を持つロマン・ポランスキーの思いが伝わってくる映画だ。 主人公のピアノに対する思いは、冒頭のスタジオ演奏で砲撃に遭ってもなかなか演奏を止めなかったことからも感じられる。それが隠れ家に潜むようになってから、ピアノがあっても音を出せず、まねだけで思いにふける。そしてドイツ人将校の前で弾く運命となる。あのときの将校はどういう心境だったのだろうか、そしてシュピルマンは・・・。 冒頭と最後に奏でられる哀愁に満ちた曲は、ショパンの夜想曲嬰ハ短調、遺作となった曲だが実に印象深い。 [DVD(字幕)] 8点(2012-09-22 13:37:28) |
143. The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛
1962年以降軍事政権が続くミャンマー、総選挙が実施され15年に渡るアウンサンスーチーの自宅軟禁が解かれてもなお、ミャンマーは民主化の過渡期にあり、彼女の闘いは今なお続いている。この映画は独立後のビルマ(ミャンマー)の実態とアウンサンスーチーの半生をありのままに描いているが、今更ながら軍事政権の非道さを思い知る。そして国内だけでなく世界の各国から非難されてもなお軍部が力を持っていることに大変驚く。ノーベル平和賞受賞シーンを初め、感動シーンが多い。 [映画館(字幕)] 8点(2012-09-16 17:15:31) |
144. 裸で御免なさい
アニエスったらよく考えてみたら、無賃乗車から始まって詐欺まがいのことたくさんやっているのだけど、美人でかわいいからみんな許されちゃうというような映画だ。だけどこういうことにいちいち目の色を変えていたのでは映画はおもしろくない。ひとことで言えば、BBの魅力に尽きるということか。名うての女たらしが参ってしまうほどだからだ。ところでラストはどこの国? まさか日本ではないだろう。 [ビデオ(字幕)] 6点(2012-09-15 21:37:37) |
145. サガン -悲しみよ こんにちは-
《ネタバレ》 18歳で大人顔負けの小説「悲しみよ こんにちは」を発表し、一躍文壇の寵児となったサガン、巨万の富と名声をほしいままに浪費を繰り返し、ギャンブルに興じ麻薬におぼれた人生、この波乱に満ちた生涯を静かに淡々と描く。「パパ、私お金を何に使ったら?」「おまえの年齢なら使い切ったらいい」実に象徴的だ。そして友人でもありたかり屋でもある大勢のとりまき、誰かそばにいてくれないと不安に落ち込む寂しがり屋であるサガン、早熟の天才だったが故にたどる悲惨な運命、この18歳から69歳までのサガンを演じたシルヴィー・テステューの演技は見事と言うほかない。 映画はたくさんの有り余るエピソードを詰め込めるだけ詰め込み、駆け足で描く。サガンを知る上ではすごく貴重な映画だ。だが映画そのものは網羅したが故のマイナスも・・・ [DVD(字幕)] 7点(2012-09-12 23:52:52)(良:1票) |
146. グッドナイト&グッドラック
《ネタバレ》 内容が内容だけに十分理解できたとは思えないが、それでもマローとその仲間たちのマッカーシズムと正面から堂々と戦う姿勢が十分に伝わってくる。これぞまさしくジャーナリズム精神だ。映画のモノクロトーンは単に雰囲気作りではない。この映画にはマッカーシー本人を初め50年代の記録映像がふんだんに使われているが、それは50年後のクルーニーらの現在の映像と見事に重なり合い、マローとマッカーシーが本当に対決しているかのように描いている。またジャズシンガーのダイアン・リーヴスも音楽だけでなく本人自身が歌っているというのも雰囲気作りに貢献している。正統派の真面目一本で作られている映画の中に一瞬笑える箇所がある。そうあのシー・イット・ナウの本番中に電話回線を切ったシーン、放送終了と同時にたくさんの電話が殺到すると思いきや何も起こらない。そして背後から「電話をつないでも?」 [DVD(字幕)] 8点(2012-09-11 20:59:22) |
147. 真実の瞬間(1991)
《ネタバレ》 人道を無視した米国の赤狩りについては、誰よりも知っているつもりだった。しかしこの映画を見た瞬間、それは間違いだったことに気づいた。どんなに頭の中で理解していても、それは本当に知っていたことにはならないのだ。それほどまでに、深く強烈に胸に突き刺さる映画だった。 人間誰しも自分がかわいい。自分が罪に問われ迫害が及ぶとわかっていて、それでも自分の信念が貫き通せるだろうか。友の名をあげれば自分は許されるかもしれない、しかしその友は自分とまた同じような運命をたどる。誰かが勇気を持ってその連鎖に立ち向かわなければならないのだが、・・・。職や友人をなくし悲惨な体験を味わった主人公のどこにそれがあったのだろうか。 何と言っても、ラストのロバート・デ・ニーロとゲイラード・サーテインの迫力ある法廷シーンは見ものだ。またマリリン・モンローの「紳士は金髪はお好き」を初め、50年代の映画界の雰囲気を与えてくれるのにも好感がもてる。 [DVD(字幕)] 10点(2012-09-10 23:53:14) |
148. 女と女と女たち
《ネタバレ》 パリ風のエレガントなお洒落とユーモア、イタリア風なコメディ、そして演じるのはシャーリー・マクレーン! 葬式の列を歩む悲しみの未亡人から始まり、浮気現場に出くわした妻、二人の男に迫られる女性、夫の書く小説の主人公に変身する妻、パリ社交界の花型でライバルと競う女性、雪の中を若い男に付けられる女性、全部で7人を女を彼女が演じる。まさに七変化なのだが、コスチュームはそれ以上になってしまう。単に目の保養だけでなく、シャーリー・マクレーンの魅力たっぷりの映画だ。このさい共演している男性の活躍は眼中になし。 [映画館(字幕)] 8点(2012-08-23 23:18:11) |
149. バイオハザード(2001)
《ネタバレ》 最初の方だけSF的な雰囲気と謎に満ちていて期待されたが、レーザー光線?で身体が切り落とされるシーンからついて行けなくなった。ゾンビが出てくるともう嫌でたまらなくなり、主演のミラ・ジョヴォヴィッチにつられて見たのがまずかった。最後の方ではストーリーもどうでもよくなり、早く終わってほしいと思ったほど、私が見る映画ではなかった。 [DVD(字幕)] 1点(2012-08-17 21:52:33) |
150. 扉の影に誰かいる
《ネタバレ》 自分の妻の不倫を、記憶喪失の男を利用して精算させようとする計略は、大変すばらしいと思う。ちょっと考えつかないようなアイデアだ。しかし考えがすばらしければすばらしいほど、およそ現実性がないと思う。ちょっとした手違いや突発的なことで簡単に崩れるはずだ。そういう思わぬことに対して十分に計画が練られているようにも思えず、おあつらえ向きの記憶障害者が飛び込んでくる偶然に頼っているようではお粗末だ。 映画全体に緊迫感が足りないと思ったらあの音楽だ。いくら何でもドヴォルザークの「家路」はないだろう。雰囲気をぶちこわしているしか思えない。それにタイトルだ。邦題は原題をそのまま訳したものだが、いくら何でもそのまんま。味も素っ気もなし。 前年の「雨の訪問者」が良かっただけに、非常に期待はずれだった。 [映画館(字幕)] 5点(2012-08-10 15:03:43) |
151. ポワゾン
見始めてから、昔見たド・ヌーブの「暗くなるまでこの恋を」によく似ていると思ったらやはり同じ原作だった。つまりこの映画はリメイクということになるのだが、前半はストーリー的に同じでも、途中からオリジナルと雰囲気がまったく違ってくる。こちらはあくまで悪女でだます女である。そしてまた悪女と知りつつだまされる男の方は、愛情というより肉欲に負けたただの男にすら見える。そう何もかも安っぽい、しかしこれが現実に近いのかもしれない。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-10 10:36:20) |
152. 暗くなるまでこの恋を
映画の中でも語られるが、男は馬鹿で女は悪女という言葉がぴったりの映画だ。ヒッチコック風な描写にフランスの恋愛感を加え見事なまでに描き出す。決して好きにはなれない二人だが、それをジャン=ポール・ベルモンドとカトリーヌ・ドヌーヴが演じると妙に引っかかるものがあり、今まで持っていたイメージががらりと変わってしまった。 働かないで金を得ようとするあさましさや犯罪の醜さは普通ではすぐ気づくところなのだが、それが見えなくなるところが盲目の愛か。 [映画館(字幕)] 7点(2012-08-10 02:10:51) |
153. 穴(1960)
リアリティありすぎのすばらしい映画、ラストも何とも言えない、実に印象的。あんなにガンガン音を出していたらと思っていたが、それもちゃんと伏線があったんだ。あとでいろいろ調べて見たら、本物の囚人さんの実話だし出演していると知って大変驚いた。よくできているはず。 [DVD(字幕)] 8点(2012-08-04 20:37:23) |
154. 巴里の空の下セーヌは流れる
《ネタバレ》 エッフェル塔にセーヌ川と言えば必ず思い出されるのがシャンソン「パリの空の下」 エディット・ピアフ、イブ・モンタン、ジュリエット・グレコなど数多くの歌手によって歌われたこの曲は、私が子どもの頃から慣れ親しんだ大変懐かしい曲である。映画の主題曲(正式には挿入曲)と知りつつも、当の映画にはなかなかお目にかかることができなかったのだが・・・。 猫と住む老女、銀婚式を迎えた労働者、心を病む彫刻家、国家試験に何度も落ちる見習い医師など、セーヌ河畔に住むさまざまな人たちのまる一日のエピソードを綴ったものだ。そこにはうれしいことや悲しいこと、悲喜こもごものできごとが微妙に重なり合って実に味わい深い。 ところでこの映画の中で歌っているのはジャン・ブルトニエールという歌手らしい。少し早めのテンポでさらりと歌っている。 [DVD(字幕)] 6点(2012-07-31 08:19:16) |
155. パリ、テキサス
こういう映画を心打つ感動の映画だというのだろうと思う。しかし昔映画館で見たときは、とてもすばらしく思えてもトラヴィスの心境を理解することができなくて、私自身この映画を封印してしまっていた。以来二十数年、DVDを手に入れてからもなお、わだかまりがあってもう一度見ようとしなかった映画、非常に良かったという印象はあっても、フランスのパリではなくテキサスのパリだということくらいしか思い出せなくなってしまっていた映画、意を決してようやくDVDを見た。すると見ているうちにどんどん記憶が蘇ってきた。そして最大の難所のラストシーンもありのままに受け入れることができた。これも当時ハンターよりまだ小さかった我が子が一人前になって独立するだけの年月が経っていたからかもしれない。 年月が経てば映画に対する思いも変わっていくものだとつくづく感じる。今では素直に10点満点。 [映画館(字幕)] 10点(2012-07-30 15:07:17) |
156. ル・アーヴルの靴みがき
密告者はいても、マルセルと彼の周りの人たちは皆いい人たちばかりだ。最後には意外な人物まで人情味あふれるというか、おとぎ話の中の人物にさえ見える。これこそカウリスマキと言えるだろう。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-24 16:19:00) |
157. 卒業生
超ミニのスカートにノーパン、全裸で泳ぐローラとすごく刺激的なシーンの連続だが、どうもストーリーが退屈。一応、マーラ族の新年を体験することが目的の旅のようだけど・・・。 [映画館(字幕)] 3点(2012-07-23 03:16:36) |
158. アパートメント(1996)
謎めいたままの映画進行が実に良い、といっても最初見たときは謎だらけに近かった。 過去の部分と現在が何度も入れ替わったりするので紛れやすいのだが、DVDで繰り返し見たりするうち、少しずつわかるようになった。映画全体の雰囲気も良いし、サスペンスに似合わないようなアズナブールの軽快な歌もまた良い。 ところでちょっと気になるのは冒頭の3つの指輪だけど、あの3つの指輪が登場する3人の女性を象徴しているように思うのだが、考えすぎだろうか。 [DVD(字幕)] 8点(2012-07-22 00:21:44) |
159. テス
映像美やナスターシャ・キンスキーの美しさは文句の付け所がないが、映画自体も堂々とした作品である。主人公テスの生き方にはついてはあまり好きにはなれないが、運命に逆らってまでも愛を貫こうという姿には何か強く惹かれるものがある。その点では少しばかり風と共に去りぬのスカーレットと共通するのかもしれない。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-20 22:07:30) |
160. 永遠のマリア・カラス
《ネタバレ》 80を過ぎてもなお歌えるオペラ歌手もいるのに、20世紀最高のプリ・マドンナと呼ばれたマリア・カラスの声の衰えは著しかった。40を過ぎると下り坂、50を超えた日本公演ではさんざんなできだったという。すでに伝説の存在となり、オナシスとの思い出と若き頃の自らのレコード音楽に浸る隠遁生活。そこから夢よもう一度という物語なのだが・・・。 マリア・カラスを演じるファニー・アルダンは秀逸。物語が進むにつれ、本当のマリア・カラスに思えてくる。そして吹き替えに使った30代のカラスの歌がすばらしい。 合成されたカルメンで大成功かと思いきやというラストがまた良い。 [DVD(字幕)] 8点(2012-07-11 23:04:16) |