タコ太(ぺいぺい)さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
口コミ数 1701
性別 男性
自己紹介 投稿にあたっては
①製作者の映画愛を信じて基本的に0点は付けていません。
②レビュー作品の「あらすじ」は率先して書いています。
※2024.2.28ニックネーム変更「ぽこた(ぺいぺい)」→「タコ太(ぺいぺい)」

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1.  スパイク・ガールズ ネタバレ 
あまり笑えないコメディ。てか、個人的には全く笑えず。おネーさんたちもコーチも謎のカルト集団?も、登場人物に全く感情移入とか共感とか出来ないってのは、いくらダークコメディであってもどうなの?という感じでした。  寧ろ、主人公たちがあまりにヒド過ぎるのでカルトなんだか山賊なんだかわからないオヤジ集団(一人だけ少し若い)の方に肩入れしたくなるぐらい。  チームの面々のキャラ設定から、もしかしてお色気路線なのかな?と仄かな期待もしましたがサービスカットはほぼゼロ。否、まるでゼロ。かといって、スプラッター全開かと思いきやチョコチョコっとVFXで仕上げてる程度。コメディなのかホラーなのか何なのか?バレーボールチームが一丸となって特技を生かして悪党どもと戦う作品、ではありませんでした。最後になってバレーボール武器にするなって。何なの邦題?(同時に何なの原題?)  コーチの意味不明な爆死で全滅かと思いきや一部生き残りが凶暴化して?街に戻るというエンディングにも、意外性とかはまるでなく勿論?続編に繋がるようなフリもなく、一体これは何だったのだろうという後悔の念が残る作品でした。
[インターネット(字幕)] 2点(2025-04-29 11:59:26)
2.  CLOSE/クロース(2022) ネタバレ 
あまりに近過ぎた二人の少年。まさにクロース。そんな二人が登り始める大人への階段。その第一歩だった中学校への入学は、二人の少年に今までになかった環境を与えることになるのですね。  二人とその家族だけで構成されていた世界から、性別・人種・趣味嗜好等々、様々な子どもたちが二人の生活を取り囲むようになる。本来はそれに適応し社会性等を身に着けて行くことで子どもたちは成長する。ところが、この二人にとってそれはあまりに重い試練だったのでしょう。  レオはある意味強かった。周囲に順応し、アイスホッケーという新たな試練を自らに課し、無意識下の世界かも知れないけれどレミだけを見ていた生活からの離脱を図る。それは当然と言えば当然のことです。しかし、レミにはまだ早過ぎた。否、それは出来ないことだったのかも知れませんね。二人の間に生まれた大きな隔たりは、レミの部屋で寝ていた時にレオがベッドから抜け出し一人で眠ろうとした時、レミがそれに憤り半ば取っ組み合いの喧嘩になった時に明らかになり始めました。休み時間に芝生で寝転ぶレオを枕にして眠ろうとしていたレミ。それを拒むレオ。その時にもレミは大きく戸惑いました。  おそらくは、レミはレオに対してレオがレミに対するものとは異なる感情を抱いていたのでしょう。これも今までは無意識下のことだった。でも、レオの気付きがレミにもある意味異なる気付きを与えてしまったようです。そして、苦しみに耐えきれずレミはレオを生かしてしまった。  一方、レオもそのことに気付いてしまった。レミの母親に「ボクがレミを突き放したから」と言うレオですが、そこには二人だけにしか解らない深い苦しみがあった、否、少なくともレミの母親には解ったのかも知れませんね。  空っぽになったレミの家を振り返るレオの目には何が映っていたのか。彼は前を向くことが出来るのか。深く考えさせられるエンディングでした。  それにしても心象風景そのもののような美しい絵。具体を言葉で語らずに演技で語る少年二人と家族たちの優れた演技。あたかもドキュメントのようなシンプルさにも関わらす雄弁に語る作品。間違いなく佳作です。  (追記) これを書くひと月前にレミの母親役のエミリー・ドゥケンヌさんは亡くなっているのですね。惜しい俳優さんを亡くしました。
[インターネット(字幕)] 9点(2025-04-27 09:32:08)
3.  ムーン・ウォーカーズ ネタバレ 
オープニングのスタイリッシュなアニメーションから始まり、エンドロールで跳ねるおデブさんまで、全編通じて楽しませていただきました。ライトなお笑い感覚にライトなエロティシズム、そこに挿し込まれるハードなアクションとグロカット。塩梅が良い感じ。ベタなアメリカンコメディも大好きですが、若干イギリス感のあるこのフランス・ベルギー合作コメディも良いですね。  有人着陸のフェイク映像に関する作品と言えば「カプリコン・1」が真っ先に思い浮かぶところ。また、アポロの友人月面着陸には様々な観点からフェイク疑惑があるという都市伝説的噂。本作は、更にそこにキューブリック監督まで絡ませて実に楽しく魅せてくれました。  そして、本来コメディ感の薄い?ロン・パールマンさん演じるCIA諜報員が良いですね。恐いんだかニブイんだか分からない感じ。ベトナムでの3年間によって負ったPTSDに悩まされる疲れ切った敏腕諜報員。板に付いてます。流石です。ハリポタのロン役だったルパート・グリントさんのクソ野郎だけど憎み切れない感じもまた良し。また、CIAが情け容赦なく殺しまくるという設定がホントかどうかは知りませんが、少なくとも本作としては最高に効き目のあるエッセンスじゃないかと。あ、謎の映画監督?とその秘密の館もなくてはならないエッセンスですね。  もっと諸事情に詳しければ、パロディ要素等々更に楽しめたに違いない作品。いろんな要素をバランス良く絡ませたコメディに8点献上します。
[インターネット(字幕)] 8点(2025-04-12 14:28:51)
4.  ロブスター ネタバレ 
近未来SFなんですね。未来の世界は今と違ってこれこれこうなっていますみたいな一つの定番。ここでは子孫を残せない独身者は社会悪、ということのようです。今の世界で常識化しつつある「多様性」とは真逆の世界。現実世界にシニカルな視線を向けたダークファンタジー、或いはダークコメディといったところでしょうか。  キライではありません。一見奇抜さを求めて思い付きのままに作られた作品のように思えなくもありませんが、考え抜かれたプロットに基いた作品であることは間違いないと思います。ただし、テーマが解りにくいことも間違いない感じ。おそらくは「愛」なのでしょうけれど、設定が設定なだけに少なからず歪んだ愛のような。  この世界では「似たもの同士こそが夫婦のあるべき姿」のようですね。意外と古風。ホテルでの一連のプロセスはそのフィルターということでしょう。支配人のカップルが理想型とも思えないあたりはコメディ要素かと。  で、生き残るためには、幸せになるためには、愛する人と同じ特性を身に着けなければならない。少々問題ありのキャラ設定である主人公は、愛するが故に自ら失明の道を歩んだのか。多分答えは「否」のように思えます。彼にはそこまで出来ないでしょう。そしてロブスターにされたかの如きエンドロール。  繰り返しますが嫌いではありません。敬愛する故デヴィッド・リンチ監督の描いた不条理劇を愛する私。不条理風なこの作風も嫌いではない訳です。だいぶ異なる作風ですが。  絶賛したいところです。ただ、冒頭の馬射殺と中盤の主人公の元兄の犬惨殺とウサギの受難には許し難いものがあります。愛するサメ映画の鉄則(ただし一部の作品にのみ通用)「犬は死にません」を見習って欲しい。これはいけません!  まるで別人の如きコリン・ファレルさんの演技の素晴らしさ(太ったのは役作り?)の分を考慮しても、動物殺しのマイナスの方がデカいので7点止まりとさせていただきます。  (追記です) 書きたい小ネタは多々ありますが、どうしても書きたいのを追記します。 ①ホテルの従業員の女性がデヴィッドを助け「何でだか分からない」みたいなこと言いますが、そりゃ毎日あんなことやってたら情が移りますって。 ②プールのシーンの背泳ぎ。今まであんなに官能的な背泳ぎを見たことがないです。あぁなんと艶めか美しいこと。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-04-10 18:45:11)
5.  シック・オブ・マイセルフ ネタバレ 
ヒロインに感情移入するかしないか。出来るか出来ないか。それは彼女を著しく社会性を欠いた承認欲求の塊のような人物として見るか、そもそもの弱さ故ではあるかも知れないけれど、どうしようもない男に引っかかって良いように利用されているうちにミュンヒハウゼン症候群を発症してしまった気の毒な女性と見るかによるのではないでしょうか?  特に専門の勉強をしていないので断言してはいけないのかも知れませんが、間違いなく言えるのは彼女は病気だと言うこと。常軌を逸した自己承認欲求と虚言癖にしても、追い詰められた末のことと思えます。勿論自己責任も相当あるのですが。  彼女の周囲には頼れる相手もいたのに、頼らなければならない段階に至った時点では既に彼女の眼にはその存在は映らなくなっていました。同時に、友人であろうと医師であろうと頼ってしまったら彼女は陽の当たらない弱者と確定してしまう。彼女の前からは、他者への依存という選択肢は既に消え去っていたのでしょう。そして、その選択肢に気付いた時には既に独りになってしまった訳ですね。  一度は頼りかけたものの、そこには自分の居場所を見出せず避けてしまった療養施設のドアを、虚飾を捨て去った彼女は再び叩きました。今度は先頭に立って自己発現しようと。自らの力でリスタートしてくれることを望むばかりです。  風景、街並み、人々の暮らし…北欧映画感に溢れたホラータッチのヒューマンドラマ。感情を逆撫でされる胸クソカットも多々ありますが、観終えてみれば決して胸クソ感の残らない佳作でした。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-03-31 23:45:49)
6.  DOGMAN ドッグマン(2023) ネタバレ 
見事なダークファンタジー。敢えてファンタジーと呼びたい作品。ダーク版ディズニー作品と言っても良いかも知れません。  犬が賢すぎるとか主人公がどうやって犬たちを養っているのかとか(一応種明かしはありますが)野暮な疑義は呈しません。勿論主人公が犬を操っているなんて間違っても言いやしません。人間社会が失いかけている純粋な連帯感を犬との共同生活の中で確実に得ている主人公。ご都合主義的展開は多々ありますが、決して教訓的にならずに一人の人間の生き様を描き上げた作り手の手腕には脱帽です。  そして出演者(特にケイレブ・ランドリー・ジョーンズさん)の優れた演技は言うまでもなく、犬たちの存在感が半端ないったらありゃしない。なんと表情豊かに語ってくれることか。涙モノです。  主人公の犯罪行為は許されることはないでしょう。それ故、ラストシーンはある意味ベストチョイスに思えます。彼は神の元に召されたのか?まるで「フランダースの犬」の逆バージョンを観たような錯覚。感動的でした。  最後にもうひとこと。犬が犠牲になっていない。「犬は死にません」をキャッチフレーズにしたサメ映画はありますが、犬を犠牲にすることなく感動出来る犬が主役の作品。これは特筆モノです。
[インターネット(字幕)] 9点(2025-03-20 00:12:38)(良:2票)
7.  蛇の道(2024) ネタバレ 
元ネタ未見です。あくまでも本作のみについての感想です。  物語の中心をなす復讐譚を少々トリッキーに語った作品ですね。主軸に力点を置いて装飾は省いたような。まともに考えてしまったら、例えば拉致の方法が杜撰過ぎて、目撃者不在だったりスタンガンの効果が過剰だったり都合よく意識失ってたりとか、クライマックスで武装した相手が戦闘能力ゼロでヘタレ過ぎだったり等々、「んなわけないだろ!」的な曖昧さとか物足りなさが相当数見受けられます。なので、作品世界を楽しむためにはいろいろと目を瞑らなければならないです。そこまでして観るべきかという根本的な問題はありますが。  結局、ヒロインの復讐譚は帰国した夫を始末して完成なんですか?私は最後まで観ててっきりアルベールの件を含めて真犯人はヒロインなのでは?などと思ってしまいました。だって死体にナイフを突き立てる姿とかドライバーを手にした表情とかが鬼気迫り過ぎていて常軌を逸しているような。あくまでも極度の復讐心がなせる業なのかも知れませんが。  それと西島氏の登場。黒沢作品に多数出演している御縁ですか?の如き唐突感が否めませんでした。ヒロインのマインドコントロール的台詞によって死を選んでしまう役処は、彼女の持つ恐ろしさを浮かび上がらせる上で重要だとは思いますが、サイドストーリーとして必要だったかどうか疑問。それもネームバリュー的に釣り合わないようなキャスティングに思えてしまったりして。だから「御縁ですか?」と思ってしまったのですが。  元ネタの邦画作品を観れば様々な疑問は解消されるのかも知れませんが、やはり1本の作品は独自に存在意義や感動を放って欲しいところ。本作だけを見た印象としてはかなりの消化不良でした。柴崎さんの熱演に+1点しても5点献上までかなと。
[インターネット(字幕)] 5点(2025-02-15 11:49:13)(良:1票)
8.  シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション ネタバレ 
漫画原作世代(というにはやや上ですが)としては、確かに原作愛を感じるものの再現性には疑問がありました。ただ、それは当たり前のことであって、いくら日本漫画、日本アニメ大好きなフランス人文化だとしても、そもそもの民族性や歴史に由来する感性が異なる訳ですから、咀嚼・吸収して産み出されたものは別物であって何一つ不思議はありません。そのあたりは、20年前に大ゴケしたジャッキー版と本質的には共通している部分がなきにしもあらずです。(かたや成功、かたや失敗ですが)  そんな訳で、キャスティングは勿論、細かなギャグや台詞を始めとする様々な仕掛けに彩られたお色気付きアクションコメディとしては楽しませてもらえましたが、これをもってして「シティーハンター」ですと言われても俄かに受け入れ難いものがありました。タイトルは敢えて変えて「シティーハンターに着想を得た作品」ということにして欲しかった。その部分で-1して、あくまでも「Nicky Larson et le parfum de Cupidon」として5点献上します。願わくば、もっと突き抜けた下ネタコメディ感とシリアスなハードボイルド感の対比を見せて欲しかった。
[インターネット(字幕)] 5点(2025-02-11 10:31:35)
9.  バクラウ 地図から消された村 ネタバレ 
なんとも取っ付きにくいと言うか、何を言いたいのか解らずじまいの作品でした。  バクラウというのは架空の村なんですね?どうも脳内では馬喰と変換してしまう。(すいません、オヤジギャグは思いつくと言わずにいられなくなるもんでして)  その小さな村が何で水資源の利権を持っている?民兵組織は近隣市の市長と結託して水資源を狙っている?違法行為あるあるの民兵組織なのに何で襲撃はして来ない?村人は市長を受け入れないのに寄付は貰うし娼婦を提供するのは何故?市長が個人的に武装グループを雇ってるということは民兵組織を出し抜いて水の利権を手にしようとしているから?なにもかもが良く解らないままに進んでいく感じ。  よくよく考えたら登場人物も何だかよく解らない。冒頭帰村するテレサはヒロインかと思いきや思いっきり脇役だし、ギャングのルンガの立ち位置もシンプルなようでいてよく解らないワケアリ感に満ちているし。挿入意味不明な全裸シーンとかセックスシーンとか、貧しい村の印象なのにスマホやタブレットや大型テレビの普及率が高かったりとか、全裸夫妻が自動翻訳機使ったりUFO型ドローンが自由に飛び回ったり…あぁ何もかもやっぱり解らんです。  結局、この村は昔から自分たちの身は自分たちで守るんだという高い自立意識のもとに存在していて、守り切る度に記念品を博物館に飾って来たのです。村人にいろんな職業の者がいるけれど善人ばかりです。これからも頑張ります。みたいな物語だったのか…。  何やら1960年代とか70年代の作品的なオープニングからキャスト紹介し始める時代錯誤感と、予告編から受け取れるSFホラー感と言うか不思議感に期待したものの、妙に後味の悪い作品でした。もうちょっと短い尺なら印象変ったかも知れません。
[インターネット(字幕)] 4点(2025-02-04 10:04:43)
10.  催眠術師の家で ネタバレ 
言って見れば120年以上前の実験映画、といったところでしょうか。スクリーン上の人物が動くこと自体が一般民衆にすれば驚異だった時代に、催眠術にかけられた女性が瞬時に着替えて行くなどということは、今で言えばイリュージョン、つまりは何らかのタネがあるマジック、なのでしょうけれど、当時の人々の目には魔法以外の何物でもなかったことでしょう。  もしアリス・ギイさんが現代のCGアニメや特殊効果を目にしたら…きっと驚く間もなく「これはどうやって撮っているの?」と探求し始めることでしょうね。
[インターネット(字幕)] 6点(2025-01-07 15:37:55)
11.  彼女のいない部屋 ネタバレ 
レビュー冒頭からネタバレします!  これは感想を述べるのが簡単なようでいて難しい作品。簡単というのは、結構アッサリ纏められてしまうから。要は、幸せな生活の中に、否、幸せな生活だからこそ抱いてしまった不満によって家出的な外出をしてしまったものの、一緒に旅行に出発しなかったばかりに家族と死に別れてしまうという物語。そして彼女はその悲しみを断ち切り、家族との思い出の家を出て新たな人生を歩むのだった。そんな感じです。  難しいというのは、現在と過去、それも複数の過去という時系列が複雑に行き来し、更に主人公の空想というか妄想というか脳内イメージが重なり合っていて、それを書こうとするとレビューというより説明になってしまいそうなこと。構成の妙です。  愛娘と主人公を繋ぐピアノが一つのキーになっていますね。冒頭のシーンで主人公がクルマのキーを鍵盤に落として鳴ってしまう音。この音階が全編通じて登場します。それぞれのシーンを繋いでいる音ですね。短音のみならず楽曲も効果的に登場します。演出の妙です。  二回観ました。物語の全容を知ってから観直すとより味わい深い作品でした。8点献上します。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-12-03 18:43:36)
12.  ペトルーニャに祝福を ネタバレ 
ヒロインは理想や夢を大切に生きたいが故に世の中のレールからはみ出してしまった女性。そんな彼女に世間は冷たい。しかもその急先鋒は母親。父親は彼女を擁護するが、彼自身の家庭内のみならず世間での立場も弱く庇護者としては心もとない。同性の親友はいるものの本当の意味での彼女の理解者とは言えない。まさに四面楚歌。しかも、本人は甘んじてその状況を受け入れてしまっている。すっかり斜に構えるスタンスを身に着けながら。  こんな状況に自ら追い打ちをかける女人禁制の宗教儀式への乱入。当初は彼女の心の中にはその儀式が男たちだけのものであることへの反発はなかったと思われます。がしかし、批判され追及され挙句断罪されれば彼女の闘争心にはここぞとばかりに火が付いてしまう。事態は悪化の一途を辿るばかり。  正直なところ、このあたりまではヒロインのことをどうにも好きになれない。普通にしてれば(普通って何だ?)少々太目なだけでそこそこ美貌とも思われるし、好きな歴史を大学でしっかり学んだ知性派でもある。なのに何でそんなに斜に構える?母親や世間に背を向ける?元々個人的には、女人禁制の伝統行事があったとしても長きに亘って育てられ守られ築き上げられて来た文化なのだから時代が変わったという理由で否定や破壊はすべきでない、というのが持論ということもあり、どうにも好きになれない人物でした。連行されて当たり前だろ!みたいに。  ただ、観ていく中で彼女の内なる葛藤が次第に沁みて来て、父親の素朴な理解や司祭の宗教観に基いた理解が得られたあたりからは彼女を否定することへの虚しさを感じ始め、ラストシーンで十字架を司祭に返し晴れ晴れとした表情で帰路につくその後ろ姿にそれまでの反感に後ろめたさを感じつつ観終えました。  彼女が半裸で十字架を胸に抱くポスターは、本作の宗教性を強調してしまうようで如何かなと思えます。キリストの受難(詳しくないのであまり言及は出来ませんが)にあらぬ差別を被る彼女の姿を重ね合わすという観方も出来るのかも知れませんし、女性差別への批判や女性の地位向上みたいな視点で観ることも出来るのかも知れませんが、ひとりの人間の成長の物語として鑑賞しての7点献上です。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-11-15 09:41:47)
13.  落下の解剖学 ネタバレ 
他にもご意見がありますとおり、私も予告編を見てサスペンス、あるいはミステリーの佳作と思って期待していました。もっともカンヌのパルムドールというところでそりゃ違うなという予感も並走していましたが。  夫の謎の転落死に係る法廷劇を中心に語られる本作。本作だけ見てフランスの法廷はなんと無秩序?!と決めつけてはいけないと解っていても、一歩間違えばコメディになりかねない揚げ足取りと口喧嘩の応酬。それはそれで楽しめましたが、次第に何だかドロドロの離婚裁判みたいな感じで夫が転落死していることが蚊帳の外みたくなってしまう瞬間まであったりして。録音データと再現フィルム?の場面の緊迫感には凄まじいものがありましたけれど。  結局、これまた既にご意見がありますが、「羅生門」の如く登場人物によって異なる見解が語られ、フランス語と英語が入り混じる中でのコミュニケーション不全も挿し込まれ、敢えて歪な演出と展開(大人と子どもの逆転と言うか、もっとも俯瞰、達観していたのは飼い犬と言うか)をもって語られる家族の日常と非日常を描いたヒューマンドラマといった印象でした。  奥さんの浮気相手は同性。冒頭登場する取材者とのやり取りも同性愛的な雰囲気が込められている。その設定って必要だったんだろうか?交通事故で息子が背負った視覚障害という設定って必要だったんだろうか?そのあたりを挿し込むことによる長尺化って必要だったんだろうか?いろいろと疑問もあり、控えめに6点献上としておきます。  追記1 作品中ダニエルが奏でる「アストゥリアス」は、個人的にはギターアレンジとして大好きな楽曲。ダニエルの心情を表現するのに効果的に使われていて好印象でした。エンディングのピアノ曲も然り。冒頭、夫が鳴らしている大音量の楽曲もまた然り。音楽性については秀逸と思いました。  追記2 スヌープがアスピリンを与えられて仮死状態の如くなっているシーン。どうやって撮影したのか?かなり演技力の高いワンちゃんだとは思いつつ、あの目の演技までは無理なのでは?と思うと痛々しくて堪らなかったです。目はCG?
[インターネット(字幕)] 6点(2024-10-18 09:40:10)
14.  ガンパウダー・ミルクシェイク ネタバレ 
これはハマりました。個人的にはコメディとして鑑賞。だって強過ぎるし殺し過ぎるしお約束の大行列だし。理屈は要らないですね。楽しけりゃいい!という作品でした。  ストーリーはストーリーと呼ぶべきなのか微妙なぐらい意外性なし。何回観ただろうかと思えてしまうぐらいの鉄板的物語。ただし、随所に盛り込まれている小ネタや小技やウィットに富んだ掛け合い。アイディア満載の演出にはただただ納得。  登場する女性たちの個性際立つ魅力からは目が離せないし、都合の良い時だけ子役的に使われてる子役の魅力も最高。要塞的図書館の中では飛び道具を手放して戦いつつ、最終決戦では只管ぶっ放すばかりの戦法なんて無茶苦茶過ぎてもう堪りません。マデリンは死なせないで欲しかったけど。  ラスト。サムはネイサンを撃つ気はなかったんだろうな。どうのこうの言っても運命共同体と言うか腐れ縁と言うか。脅しのようでいて脅しになっていないような台詞。  兎にも角にも手放しで楽しめたので満点!と言いたいところですが、自分のレビューの過去満点献上作品とのバランスなんてことを気にしてしまい、優柔不断ながら9点献上します。あ~面白かった♪
[インターネット(字幕)] 9点(2024-08-23 11:19:22)(良:1票)
15.  バッド・デイ・ドライブ ネタバレ 
元ネタ及び英語版以外のリメイク版は未見です。  運転するクルマに爆弾を仕掛けられて脅迫を受ける、という設定自体は目新しいものではありませんが、特に恨まれるような覚えもなく(正確には覚えがあり過ぎて判らなくなってる?)、同僚を目前で爆死させられ、しかも後席には愛する子どもたちが同乗していて自分と運命をともにさせられているという緊迫した状態は、特に派手なカーアクションもないにも関わらずなかなかに見応えのあるものでした。(少なからずリーアムさん贔屓ということもあったりしますが)  ただ、何にしても犯人にとって都合良く事態が進み過ぎたり(あらゆる事態にも対応可能なように準備して来たとか言っちゃってますが)、警察の動きも都合良過ぎたり(包囲網簡単に突破、大量のスナイパーが無力、ラストでは追跡さえしない?ヘリどこ行った?等々)、そしてミステリーサスペンスなのに真犯人が結構判りやすかったりと、脚本的には粗が目立つと言うか非現実的過ぎるというか。家族の絆的な部分も基本的な家族関係とかが殆ど説明されていないので感情移入は難しいところ。あと、ヘザーやユーロポールの捜査官の電話の声が妙に平板なのが気になりました。  エンタメ的に割り切れば退屈せずに楽しめる作品。深く考えると興覚めしてしまう作品。といった印象でした。古希を過ぎてもまだまだ若々しいリーアムさんに+1点の7点献上します。  ちなみに、邦題はミスリード目的のような原題よりは良いかも知れませんが、カーアクションが目立つ作品でもないので今ひとつかなと。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-09 10:33:48)
16.  セーヌ川の水面の下に ネタバレ 
フランス版サメ映画です。ヒロインを始めとする登場人物の行動には只管「?」ばかりで感情移入は困難ですし、よくよく考えれば非現実的で不合理、科学的に語っているようで非科学的、そんな展開ばかりですが、正直なところエンタメ作品として大いに楽しめました。  サメ映画に求められる?笑える要素は登場しません。只管マジに作られています。アメリカ発の(B級或いはZ級の)サメ映画とは随分違いますね。相当トンデモない話なのに意外なほど緊迫感があって、「んな訳ないだろ!」と笑い飛ばす感じではないです。  どんなジャンルの作品でもお国柄というのを感じることは多々あります。本作ではサメ映画としてそれを感じた次第です。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-06-29 18:52:30)
17.  ヴィーガンズ・ハム ネタバレ 
なんとも微妙な味付け。イラン豚は多分こんな味?食べたくはありませんが。  アイディアは決して斬新ではないです。なのでアレンジで魅せて欲しいところ。でも、全体的にコメディ感は薄いですね。ヒューマンドラマ的エッセンスを効かせようとしたところが逆にチグハグな感じになってしまったと言うか。  コメディならコメディでもっと笑わせて欲しかった。このあたりがフレンチコメディらしさなのかも知れませんが、もっと豪快にやらかして欲しかったところです。  キャラ設定にしてもグロさにしても不完全燃焼(いや、別に個人的にはグロさは求めていませんし)。なんとも中途半端にエンディング(そのエンディングにも強制着地感がありますし)。ということで今ひとつ納得いかず4点献上です。  ちなみに、ヴィーガンだからって脂肪感たっぷりなビジュアルの人間じゃ全然美味しそうに見えませんから。
[インターネット(字幕)] 4点(2024-05-24 18:40:01)(良:1票)
18.  エスター ネタバレ 
観よう観ようと思いつつも微妙な尺の作品なので、鑑賞作品(ホラー系)を選ぶ度に手頃な尺の作品を観てしまっていた私。それもこれも本作が「ホラー」であると認識していたからで、今回やっと意を決して?観てみれば一番の感想は「ホラーじゃないじゃん!」でした。確かにWikiとかでホラーの定義を参照すれば本作は紛れもないホラー映画なんでしょうけれど、あくまでも個人的カテゴライズでは「サイコサスペンス」なんです。もっとも、「ホラー」「サスペンス」「スリラー」の境界なんてものは元々無いに等しいような気もしますが。  などと意味のない拘りで書き始めてしまいましたが、「ホラーじゃないじゃん!」の趣旨は「恐くないじゃん!」でして、それは決して「つまらないじゃん!」ではありません。実に楽しく鑑賞出来ました。これだけの有名作ながらネタバレ記事を回避し続けて来たことも功を奏したようで、肝心要の種明かしは今回の鑑賞で初見でした。  斬新なアイディアとは言えないでしょう。しかし、それを巧みに包み隠しつつしっかり伏線は張る。そして見事にその演出を生かし切ったイザベルさんの怪演。称賛されて然るべき出来栄えだと思います。  子どもの持つコワさを見せつつ、実は本当にコワいのは大人というお話。登場する子どもたちは皆子ども然としています。子どものコワさは無邪気にも通じるある種の清らかさであって、大人の濁り切って垢まみれのコワさとは本質的に違うもの。エスターのコワさが子どものソレから大人のソレに転じる流れが素晴らしかった。  少々しつこいような演出や多くの皆さんが指摘しているラストシーンの良し悪し等々、気になるところは少なからずありますが、約2時間飽きることなく楽しませてくれた作品にほぼ8点の7点献上します。  ちなみに、少々変化球気味の原題よりもさりげない邦題の方が良いかと思います。原題は、せめて不定冠詞を付けて欲しいところです。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-05-13 11:24:27)(良:2票)
19.  ニュー・シネマ・パラダイス ネタバレ 
とある事情でBS放送のインターナショナル版を録画していたものを再見。レビューしていなかったので遅ればせながら書かせていただきます。  感動の名作としてあまりにも有名な本作。イタリア映画らしいコミカルな演出(下ネタ含む)が苦手な方には、決して感動の名作とは映らないかも知れません。かく言う私も、本作を観て無条件に涙を堪えられないほどの感動を得たことはないような気がします。  ただ、それでも涙ぐまずにはいられない本作。それは何よりも、モリコーネという偉大な作曲家の織り成す音楽がもたらす感動であると信じて疑わない私です。  勿論、映像あってこそ、脚本あってこそ、名演あってこそ生きる映画音楽であることは間違いありませんが、本作に限っては全編に自然に染み渡るモリコーネの作品あってこその感動作なのだと思っています。  その上で、コミカルな演出を楽しむも良し、切ない友情や恋愛に感情移入するも良し、登場する古の名作・名優を楽しむも良し、映画鑑賞に伴う様々な楽しさを満喫することが出来るのかなと思って止みません。  不世出の名作として、名作と呼ばれるべき作品のひとつの在り方を魅せてくれた貴重な一本に満点献上します。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2024-04-22 20:46:54)(良:1票)
20.  PLAN 75 ネタバレ 
少子高齢化で社会保障制度が破綻した国家が「PLAN75」という窮余の一策によって問題の解決を図る、というシナリオは、斬新とは言わないまでも近未来SFのひとつのアイディアとして「今の時代だからこそ」生きて来る設定と言えないことはないと思います。ただ、(元の短編作品は未観賞ですが)長編作品としての掘り下げ方はもう少し何かあったのではないかと思えてしまいました。  登場人物は老いも若きも日本人も外国人もそれぞれに悩み疲弊し、眼前に迫る課題に対しての何らか答えを見つけようと煩悶する。やや削ぎ落した感のあるエピソードではあるものの、主演の倍賞さんは勿論のこと出演者の好演に支えられ、重過ぎず軽過ぎず観る者に(一人ひとりの今のライフスタイルや年齢に応じて)現実味をもって迫ってくるものを感じました。倍賞さん演じるところの主人公の最期の選択には、単に尊厳死を否定することだけではなく、それでは老いても生きることにおける希望とは何か、ということを考えさせられました。  にも関わらず何か絵空事のようにも感じてしまう。その理由のひとつには、「PLAN75」が(もし現実化するのであれば)今まさに必要な施策であって、いつだか分からない未来将来の話だとすれば実効性の低い施策にしか思えず(放っておいても近未来には人口ピラミッドは推移するので)、同時に対象年齢の者にとっては、仮令漠然としたものであっても「死」を現実のものとして受け止めてでもいない限り、さして喫緊の課題にはならないだろうと思えてしまうということがあります。  端的に言わせていただくのならば、興味深いけれども今ひとつ我が身のこととは思えず感情移入しにくいということかも知れません。年齢的には十分片足突っ込んでいる私ですが。  真面目に現代の社会問題を捉えた作品であることは間違いないとは思いますが、何か釈然としない思いが残り6点献上に留めたいと思います。
[インターネット(邦画)] 6点(2024-04-18 10:12:34)(良:1票)
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