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コメント数 885
性別 女性

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1.  ブライト・スター/いちばん美しい恋の詩(うた)
夭折でありながらその才能がシェイクスピアとも並び称されたという、英国の詩人ジョン・キーツの恋を描き、たくさんの蝶が舞う部屋や青いブルーベルが群生する森でキーツの手紙に読みいるファニーなど、ポエティックなイメージが盛りこまれた美しい映画。 ジェーン・カンピオン作品にもかかわらずごく一部で公開され、国内盤ソフトも出ておらず、カンピオンにしては抑制されたマチュアな表現がアピールしないと思われたのか、主演のベン・ウィショーとアビー・コーニッシュの日本での知名度がいまひとつであるせいか。 キーツ本人よりも、詩人にインスピレーションを与えたミューズである隣家の娘ファニー・ブローンに重点が置かれているようで、裁縫を得意とするファニーの衣装がキーツと知り合ったことで微妙に変化していくのも見どころの一つ。 キーツもファニーの愛を得て、精神は高まりながら肉体は病に冒されていくのが皮肉で、ファニーの母親やキーツの友人ブラウンが彼らの交歓に投げかける視線もまた複雑なもの。 ファニーの母親は「エンジェル・アット・マイ・テーブル」のケリー・フォックス、恋人たちのそばをはなれない弟(トーマス・サングスター)や妹も強い印象を残しており、特におさない妹の存在感はカンピオンらしさがのぞいているようでした。 ブライト・スター(明るい星)とはキーツにとってのファニー、薄命の詩人には金星(ヴィーナス)のような存在であったのかもしれません。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2013-12-31 07:02:40)
2.  ガールズ
英語のタイトルでもフランス映画、アメリカの「フォクシー・レディ」のように、80年代始めの4人のリセエンヌたちの青春。 「ニキータ」の10年前のアンヌ・パリローが若々しい。
[地上波(吹替)] 6点(2013-12-31 06:48:33)
3.  汚れた血 《ネタバレ》 
なつかしいね、両腕をひろげたビノシュ。 カラフルな2作目はアンナの恋人が年上の男なのもあって彼らの若さがきわだつ。 赤や青、あざやかな色のイマージュは、90年代のキェシロフスキ「トリコロール」3部作のアイディアも生んだのではないかと思えるほどで、あの3人のうち2人はこのビノシュとデルピーでもあるし。 「モダン・ラブ」で塀ぞいに疾走するラヴァンは依然ボウイ信奉者カラックス、この躍動感は最後のビノシュと対か。 SFチックな設定はかすみがちだけれど、感覚と純愛がメインらしいので気にならない映画は、飛行場であれほど思ってくれたアレックスの命がつきるとアンナの中で何かがこわれ、鳥のように、風のように滑走路をひた走る、青春を切りとったようなラストシーンが鮮烈。
[DVD(字幕)] 8点(2013-10-10 07:00:02)
4.  ボーイ・ミーツ・ガール
アレックス3部作のうち最後に見たのが、モノクロの第1作。 ヌーヴェル・ヴァーグへの傾倒も色濃くうかがえ、白い光・黒い影の中では30年前のパリは50年前のとそれほど違わぬたたずまい。 ドニ・ラヴァンは「汚れた血」と似た外見だけれど、相手役のミレーユがビノシュとは異なるタイプなので勝手がちがって、エヴリシング・バット・ザ・ガールの2人のようなけだるさ。 長髪の彼女が髪を切ると別人になるように、ハサミも鈍角になると別の顔を見せる。 鑑賞する順番にもよるだろうけれど、ボウイの初期の曲にも彩られる映画は先鋭的ではあっても、カラックスの3部作の中ではまだ存在感が薄いかもしれない。
[DVD(字幕)] 6点(2013-10-09 07:00:00)
5.  イブラヒムおじさんとコーランの花たち
「アラビアのロレンス」から40年たつと、オマー・シャリフもこんな感じに。 「宗教(キリスト教・イスラム教・仏教)と文化」の三部作の著作をもつ監督の作品は、とりたててイスラム教プッシュではなく、そこここにエッセンスが置いてある感じ。 前半はロベール・サバティエの「ラバ通りの人びと」のような懐古的なパリの裏通りものでもあり、30年代のラバ通りに対してブルー通りには60年代の活気とカルチャー。 神経衰弱の父と暮らすモモが貯金箱をこわして街娼たちに近づくのは、母の匂いを求めてでもあるのだろうし、孤独な少年の人生はストリートにある。 通りをへだてたイブラヒムおじさんの小さな雑貨店にはところせましと商品が並べられ、なつかしい雰囲気。 手くせのわるいモモへの「万引きを続けるなら、うちの店でやってくれ」は、他の店でしょっぴかれないようにとの心遣い。 「アラブ人じゃあない」とも、トルコ商人の彼にも国の誇りがあるのだ。 厚化粧とカツラで若い女優に化けたイザベル・アジャーニが、映画ロケの合間にふらりと訪れたりも。 後半はためたお金をはたいて赤いスポーツカーを買いこみ、父も失ったモモとの故郷への旅。 イスラム世界に浸透していくユダヤ人のモモとイブラヒムとの養子縁組は、人種の壁に阻まれるのが苦い。 痛ましい結果におわるその旅でモモに残されたものは。 心の父イブラヒムと同じ言葉を口にし、ブルー通りに佇むモモには思い出と居場所がある。
[DVD(字幕)] 8点(2013-10-08 07:00:03)
6.  ル・アーヴルの靴みがき
ル・アーヴルは南のマルセイユとは反対側の北の港町。 当地在住の歌手リトル・ボブを使いたくてここにしたという「初めに歌手ありき」の土地選びとか。 初老の靴みがきマルセルが少年イドリッサを救おうとするのが、情が移ったというより使命感だけで動いているように見え、その方が立派かもしれないですがイドリッサとの間にもう少し何か見たかった気はし、そこがメインではないのだろうけど。 不治の病の妻アルレッティが口紅を頬紅がわりに夫に血色よく見せようとする気遣いや、近所のお店の人たちがマルセルの心意気に賛同して商品を気前よくふるまうもよし。 主演のアンドレ・ウィルムは「仕立て屋の恋」では刑事役でしたが、ここでの刑事はジャン=ピエール・ダルッサン。 黒づくめでマフィアのよう、できるだけコワモテに見せてるので最初はちがう人かと。 アル中の失業者とか国鉄あがりの庭師などとはずいぶんちがうので「この役どうなの?」でしたが、なるほど。 黄色いバラにそそぐ涙かと思いきや、白い桜は善行への報いの象徴でもあるのでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-07 07:00:00)
7.  ラブ・ダイアリーズ 《ネタバレ》 
これもアビゲイル・ブレスリンめあてで見てモチロン彼女も可愛かったんですが、アイラ・フィッシャーの役がよかったな。 娘マーヤがパパの3人の女性遍歴の中から誰がママかあてるゲームっていう着想が変わっていて、正解=この映画のヒロインではなく、一番有名な女優さんがヒロインってわけでもないのも変則的。 監督さんが脚本も書いていて、なかなか先が読めない展開にくわえ、ウィル(ライアン・レイノルズ)の仕事(クリントンの選挙事務所)もからんで歳月が流れていく。 ウィルの相手がくるくる変わってもイーカゲンな人に見えないのは、3人とつきあう時期が重ならないのと、彼が基本的にマジメな人だからか。 最初コピー係として登場するエイプリルは服装も質素なのだけど、キラッと光る言動がおもしろい女の子。(ニルヴァーナのカート・コバーンが話題になるのも時代が出てました) 「ジェーン・エア」の本がたくさんある彼女の部屋、その理由は自分も思いあたり(オー・ヘンリーの本が何冊もあり、なくした本を20数年ぶりにようやく手にいれたのは去年)、ちょうど「ジェーン・エア」を再読していた時でもあったし、監督は古書店主として出演もしていて、きっと本好きな人。 今はネットでたいていの本は見つけられますが、こういう見つけ方の方が夢があります。 ウィルが後ろ髪ならぬ「後ろ足」引かれるのも繊細な描写で、レイチェル・ワイズ(サマー)やその年上の恋人の教授(ケヴィン・クライン)もよかった。 邦題はアレですが、原題は「もちろん、多分」ヒロインのセリフから。
[DVD(字幕)] 7点(2013-09-04 07:00:02)(良:2票)
8.  ラストタンゴ・イン・パリ 《ネタバレ》 
ドミニク・サンダのかわりにジャンヌとなったマリア・シュナイダーと、「ゴッドファーザー」で頬に入れた綿のない本来の顔のマーロン・ブランド。 名画座で見た初見は、まずジャンヌが清掃人の箒を飛び越えたり、猫を追いはらうシーンで鮮やかな残像となった。 黒い帽子とフェイクファー、ブーツで武装している彼女自身、女優というより素人のような異質さで、サンダであったらもっと端正になってしまったはず。 ブランドはヴィトー・コルレオーネとジョー=エルの間にこのポールがおり、闇でも光でもない無防備なやもめの男。 お互いのことを知らぬ彼らの一方が自己をさらけ出した刹那、関係が破綻するのは「シベールの日曜日」にも似ていようか。 何者でもない者同士の関係は、異国で妻を亡くしたポールより、恋人(ジャン=ピエール・レオ)のいるジャンヌにとって望ましいものであったろう。 手摺に身代わりのようにガムをくっつけ落ちていく男を尻目に、女は警察の事情聴取の予習を試みる無情。 大半がパリの空家のアパルトマンという限定された空間のせいか、その映像美がベルトルッチの「暗殺の森」「1900年」よりも印象に残っている。
[映画館(字幕)] 8点(2013-05-06 07:00:02)(良:1票)
9.  8 1/2 《ネタバレ》 
クリエイターの男性は激しく共感しそうな映画監督グイド。 なので影響下にある作品が多く、ボブ・フォッシーの「オール・ザット・ジャズ」(舞台監督ギデオンの自らの死の演出)やトリュフォーの「アメリカの夜」(ジャン=ピエール・レオがドワネル的俳優の撮影現場)の方を先に見てしまったけれど、イタリア的というよりヌーヴェル・ヴァーグのフィルターを通しつつ、根底にイタリアの熱い血も流れているような混沌としたイマージュの連続。 モノクロも女性たちも美しく、その中で自身を持てあますグイド。 フェリーニの傑作として「道」と双璧なのだろうけど、情緒的な「道」の方が一般向きであっても、同じく手前勝手な男性の話でも非常にクールな「8 1/2」の方が興味深くまた見やすくもある。 後続の人たちは共感というより励まされたのかもしれず、「フェリーニでさえあんなに悩んでる」と。 現在・過去・空想のラビリンスをくぐり、生きる活力を取り戻したグイドの「人生は祭りだ、共に生きよう」。 作られて50年たった今でも、この映画はそう語りかける。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-10 07:00:21)
10.  パピヨン(1973) 《ネタバレ》 
独房のシーンのコントラストのきいた映像は、絵画的な芸術性でもってパピヨン(スティーブ・マックィーン)の生への執念を見せ、ドガ(ダスティン・ホフマン)との長きにわたる友情もよい。 パピヨンが金庫破りではあっても、殺人犯は冤罪であるという複雑な立場も一筋縄ではいかない人間味。 が、一番心に残るのはハンセン病の首領との関わり。 最初は彼の姿をはっきりとは見せず、徐々に観客に慣らしていく。 慣れてしまえばどうということはない。 自分が病から逃れられないのを知っていて、カンパの缶をパピヨンに渡す彼には「せめてお前だけでも自由に」との思いがあったろう。 その気持ちを缶と一緒に受けとったパピヨンは彼の腕をしっかりと握り締める。 首領は他人が感染しないのはわかっていても、積極的には自分に触れたがらないのを知っているだろうから驚いたはず。 そしてパピヨンの体温とともに、久々に病をわすれて人間らしい気分を味わえたはず。 彼がパピヨンに思いやりを示したからこそ得られた、この触れあいの瞬間はとても尊いと思う。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-03-10 07:00:09)(良:3票)
11.  ハムレット(1990)
ゼフィレッリの「ハムレット」。 68年版の「ロミ&ジュリ」を撮った監督には「ハムレット」も、との思いがあったのかもしれません。 長いセリフをこなすメル・ギブソンのハムレットは「憂鬱な王子」そのもの、かなり陰気ではあり見ていると気が滅入ってきそう。 質素な衣装のオフィーリア、ヘレナ・ボナム=カーターはもともと病んでるような感がなくもない目つきなので、狂気に陥った時とのギャップが少なく感じます。 髪に花をさし野の花を配るかわりに、藁束を手に配って歩くのが女占い師のよう。 俳優で一番魅力的なのは王妃ガートルードのグレン・クローズ。 「危険な関係」のメルトゥイユのような悪女が本領かと思いますが、この不貞の王妃もはまっていて、後半の「私のハムレット、私にはもうお前だけ」な溺愛ぶりはいじらしいまでに母の愛情を見せます。 大臣ポローニアスのイアン・ホルムは息子レアティーズへの教訓も駆け足で。 舞台となる蒼ざめたエルシノア城は有機的な曲線を持つ城内が素晴らしく、北欧デンマークの冷たい空気をも伝えてきます。
[DVD(字幕)] 7点(2013-03-06 07:00:03)
12.  望郷(1937) 《ネタバレ》 
「カサブランカ」のようにエキゾチックな映画。 ぺぺ・ル・モコって名がかわいいし、若きジャン・ギャバンもかわいいけれど、役柄はコワイしズルイしでかわいいとはいえないネ。 彼の心をとらえるギャビーも宝石ジャラジャラ、眉は全然ちがうとこに描いてるし、ファム・ファタールらしく妖艶ではあるものの、彼らが惹かれあうのもそれ相応というか。 ぺぺが故郷パリの香りをふりまくギャビーにからめとられて身を滅ぼすのは哀れではあり、彼が身を寄せるおばさんが古いレコードをかけて自身の華やかなりし頃に思いをはせ、郷愁をかきたてる。 有名なラストシーンは、号泣でなくはらはらと落涙するのが情緒的。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-05 07:00:06)
13.  O嬢の物語 《ネタバレ》 
これは昔名画座で一度見ただけだから… O(コリンヌ・クレリー)の恋人ルネ(ウド・キア)が彼女をとある城館で修行させたり、ステファン卿なるアヤしい人物に譲渡したりするのですが、ムチ打ったりなんかしてSMっぽい世界。(ポスターがキレーだからダマされちゃうんだよね…) ポーリーヌ・レアージュの原作小説も読んでみたけど、よくわからなかったな。 「エマニエル夫人」のジュスト・ジャカン作品で、あれのようにエロスに深遠な意味をもたせようとしているところは似ているかも。 クレリーは美しさを買われて、この後「007/ムーンレイカー」のボンドガールに起用されたりもしました。 「エマニエル」同様、エロスの系譜としてこの名を冠した亜流が今でも連綿と作られているようです。
[映画館(字幕)] 3点(2012-11-08 07:00:02)
14.  エマニエル夫人
シルヴィア・クリステル、亡くなりましたね。 享年60才。 ファッション・カメラマン、ジュスト・ジャカンがエマニュエル・アルサンの本を映画化した作品、映像はファッショナブルだけれど、同じくファッション・カメラマンが撮ったフォトジェニックな映画としては、デヴィッド・ハミルトンが少女のひと夏を追った「ビリティス」の方が好きです。 映画の中ではエマニエルが惹かれるマニッシュな女性考古学者ビー(マリカ・グリーン)が素敵でした。 クールでエマニエルからの銀の腕輪もつけようとはしないような女性。 (でもエマニエルのシツコイ攻勢にあえなく陥落してしまうのでした、あ~もったいない) アリアーヌがエマニエルを探して奔走するピエールを誘惑するシーンの曲は、キング・クリムゾンの曲に酷似していると取り沙汰されたいわくつきの曲で、聴き比べると確かに独特のリズムが似かよっています。 この映画で一躍スターになったクリステルは、「家族は自分がスターになったことは喜んでくれたけれど、映画は誰も見てくれなかった」と語ったそうで、本人にとっては悲しいことですね。 家族にも認めてもらえるような「普通の女優」になりたかったのかもしれないけど、エロティックなイメージは生涯ついてまわったように思います。 それでも「エマニエル」とともに彼女の名前も忘れ去られることはなさそう。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-11-07 07:00:02)
15.  最強のふたり 《ネタバレ》 
闇の中に白い半月が浮かびあがる。 ドリスの笑顔。 フィリップが求めていたもの。 他の介護人に替わったことでわかった、文字どおりかけがえ(掛け替え)のない存在のふたり。
[映画館(字幕)] 7点(2012-10-10 06:59:56)
16.  コレリ大尉のマンドリン 《ネタバレ》 
第二次世界大戦時のギリシアの状況ってよく知らないので、興味深く見ました。 ニコラス・ケイジは(イタリア系とはいえ)陽気なイタリア人には見えないし、クリスチャン・ベールも粗野なギリシア人には見えにくいですが。 ペアギラ(化粧っ気なく質素ながら美しいペネロペ・クルス)が、警戒していたコレリがマンドリンをつま弾きだしたとたん、ウットリした目つきになるのがおかしく、音楽は人の心をつなぐもの、のワリにその後あまり出番がなくて物足りない気はします。 ジョン・ハートはここでもヒロインの父で渋いお医者さん。 ドイツが悪役だけれど本当はパルチザンも相当悪かったらしく、一人だけいいドイツ将校がいるのが救い。 一難去ってまた一難な感じで不運なケファロニア島ですが、父も命拾いをし二度目の厄災が皮肉にも再び人を結び、復興を印象づけるラストでした。
[DVD(字幕)] 6点(2012-10-05 07:00:03)
17.  エコール
エコール・ド・ロリ?の少女たち。 どー見てもロリ映画に見えるのですが、撮ったのが男性でなく女性なのが意外。 少女が題材なのにそれほど目立つ子はいなくて(髪につけたリボンが浮いてる)、一番キレイなのが先生のマリオン・コティヤールってのはどーなんだ… 胡蝶ダンスなど映像美はあるのかもしれないけど、何となく居心地のよくないミステリー。
[DVD(字幕)] 5点(2012-08-04 07:00:05)
18.  ぼくの大切なともだち
パトリス・ルコントっていうと女性をメインにした官能的な映画のイメージが強いですが、「タンデム」やこれは男のアミの話。 ダニエル・オートゥイユと「ミック・マック」のダニー・ブーンでパリの友情を描きます。 オートゥイユは誇張された友人のいない美術商フランソワをオーバーアクト気味に演じ、微笑ませる。(「私を「感じよく」してくれ」って…) ブーン(いつも髪短いのは欧米人にしては顔大きめだから?)は人当たりのいい、でも苦い過去のあるタクシー運転手ブリュノ。 対照的に見えながら「親友」というものにコンプレックスを持っている点は同じ。 「スラムドッグ$ミリオネア」のようにクイズ番組を使ってハラハラさせ、美術品も一役買う展開は好みが分かれそうですが、一度結ばれた糸は完全には切れず、一から出直しのラストシーンがさわやか。 これも好きですが、オートゥイユの友情シネマとしては、彼が偏屈な画家に扮したベッケルの「画家と庭師とカンパーニュ」がより好みかも。 素朴でひねりなどはない田舎の物語の中に個性の強いオートゥイユを置くことで、いい味が出ていました。 こちらは都会的で空気の色まで違いますが、どちらも美術に関係ある映画なのが面白い。 ルコントにも心の友はいるのでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2012-07-04 06:59:56)
19.  ぼくの好きな先生
「パリ20区」や「今日から始まる」の擬似ドキュメンタリーと違い、本物のドキュメンタリー。 保育園のような小さな学校の小さな教室に集う、学年さまざまな児童たちとロペス先生は大きな家族にも見える。 けっして声を荒げることなく辛抱強く一人ひとりに接する先生は、(「他の仕事はできない」というように)この仕事が天職なのだろう。 教室をとびだした野外授業も楽しいひととき。 でも自分の退職が近いことを先生が伝えた時の児童たちは不安を隠せない。 子供にとっての1年は長く、何年も教えてくれた先生がいなくなるなんて信じられないのだ。 先生とて同じこと、残された時間に残していく在校生、中学に上がる卒業生、新しく入学してくる新入生に何くれとなく心をくばる。 ドキュメンタリーは真実であるがゆえの強みと、素材だけで勝負しなけらばならずそれ以上の補強ができない弱みをあわせ持つが、大きな都会になればなるほど存在しがたいとは知りつつも、こんな先生はどこにでもいてほしいと思わせる。 タイトル(原題)は「BE AND HAVE」の意。
[DVD(字幕)] 6点(2012-07-03 06:59:58)
20.  ソウル・キッチン
守りたい場所がある。 彼の場合は手塩にかけたレストラン。 古倉庫を改造して作られたレストランのたたずまいは、それだけで絵になって。 ベルリンはよくドイツ映画の舞台になるけれど、ここは北に位置する第二の都市ハンブルク。 主人公ジノスはギリシア系ドイツ人のオーナーシェフ。 彼と仮出所の兄、ウェイトレス、遠恋の彼女、凄腕シェフ、役人、不動産業者などが入り乱れるドタバタ劇。(必要以上にイターイ映画なので、腰痛持ちの人は見ない方がいいかも) トルコ系ドイツ人監督アキンの若者映画は、乱暴でヤリ過ぎなとこもあるけど不思議な味つけがされ、ジノスの自分の店への真摯な愛着に満たされているのもいいと思う。 ただの雰囲気キャラかと思ってた船長さんにもちゃんと活躍の場があり、ポッチリのお金にも使い道があったりと小技もきいてる。 ただ、さんざん引っかきまわした後で最後はこじんまりまとまった気もして、も少し何かあるかと期待してしまった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-06-08 07:00:02)(良:1票)
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