1. 潜水服は蝶の夢を見る
基本的に主人公の主観映像が占めるのですが、冒頭の30分はその映像(ほぼ)オンリーで展開され、彼の立場を追体験させるような作りで効果的。 とりわけ、瞬きによるコミュニケーションの歯痒さは苦しいほどに伝わった。 ドラマ構成が施されていないのは残念なものの、不自由ながら意思の疎通を手助けする「言葉」の力に感動させられる良作。 語弊が生じるかもしれませんが、彼よりも自由な体を持ち、口頭でのやり取りが出来る自分にはとてつもない可能性が開いているんだ、と勇気が湧いた。 今すぐ気まずい関係にあったあの人と話し合いたくなることでしょう。 [試写会(字幕)] 6点(2008-01-24 09:55:01) |
2. ポネット
《ネタバレ》 いつまで経ってもめそめそしている女の子を追うだけなので、どうするんだろうと思っていると、幻との対話で片付けちゃうなんて無責任でしょう(コートは女の子が持って行ったのか、それともファンタジーとしての扱いなのか定かでないのでなんとも言えませんが、後者だとしたら文句なく0点)。 現実との付き合いや時間の経過で理解していく描き方が妥当なんじゃないかな。 [DVD(吹替)] 1点(2008-01-19 18:07:33) |
3. パフューム/ある人殺しの物語
《ネタバレ》 幻想小説なんて銘打たれているものにありがちな世界観を披露しただけの作品。 何とか意味を見出そうとするならば、自己実現によって愛情の獲得が成せるなんてのは若造の幻想だって主張ぐらい。 しかし、それにしたって彼はどこからそんな発想を持ったのか描写されてないし、愛を欲していたなんてのも描写されてないわけで・・・(彼の境遇から察して脳内補完できるものの、同時に超人的な扱いもしているのでそれも難しい。やっぱりちゃんと描写しないと)。 個人的には主人公はどこかで「愛」という観念を知って、その「愛」という言葉を利用して自身の性的趣向による行為に言い訳しているような人物であったという方向に持っていった方がテーマとして魅力的だったと思う(こうするなら最中に勃起しているような描写が欲しい)。 それにナレーション頼りなんてのもどうしようもない感じ。 [DVD(吹替)] 0点(2008-01-18 02:15:41) |
4. ブラック・ドッグ(1998)
ちゃんと構成が施されていて好印象なのですが、攻防自体は大味なのでさほど楽しめない。 それにこの内容なら主人公には伏せて運ばせている方がいいんじゃないかな。 [地上波(字幕)] 6点(2008-01-12 15:46:23) |
5. オープン・ユア・アイズ
《ネタバレ》 観ている間は単純に楽しめるのですが、結局世界観披露だけの内容。 [ビデオ(字幕)] 4点(2008-01-11 22:58:04) |
6. みなさん、さようなら(2003)
《ネタバレ》 メインは父子のはずでしょうが、彼らにはドラマはなく、あるのはヘロイン中毒娘の改心ぐらい(これも一過性の反応にすぎないでしょう)。 このダメ男の死に際をみて、どう生きるか見直してみては、という丸投げ的意味しか見出せない内容。 父親の態度の出自は「自分を試すようなことをしなかった」という言葉から窺い知れる「出来る範疇でしか動いてこなかった後悔」だったり、死を遠ざけて、あるいは一切死に接することなく育ったからのように思える。しかし、あの年齢でそんなことは単純にあり得ないでしょうから、どうにも不自然。客を納得させるにはもっと説得力ある設定を与えといて欲しい。 何はともあれ、やっぱり進路選択という時期の前に死と向き合うようなキッカケがあった方がいいんでしょうね。これぐらいの感想しかない。 [DVD(吹替)] 1点(2008-01-11 05:24:14) |
7. 隠された記憶
《ネタバレ》 確かに解釈はいかようにもとれるけれど、あの親子のどちらかが関わっていたのには違いないわけで、それ以上の構造を披露されても観客にとっては大した意味を成さないだろう。 過去の出来事を根に持ったのか、はたまた興味本位(こちらは息子の場合限定)だったのか知らないが、受け取った家族にドラマが発生しない(脅えている様子しかうつしていない)ので、曖昧に構造を披露しただけの代物でしかない。 ただ、ラストカットの様子が一連の出来事の後に初めて彼らが接触したという解釈であるのなら恨みの連鎖(父の敵討ちとしてあの息子に何か仕出かそうとしている)という悲劇の表現として多少は有意義な気もする。 [DVD(字幕)] 3点(2008-01-10 02:19:07) |
8. ブロークン・フラワーズ
《ネタバレ》 ラストの息子とおぼしき人物を前にしてもっともらしく語ってしまったことから、見知らぬ自分(父性)を覚り、可能性をみるってところが本作のドラマ部分なのでしょうか。過去の女性を訪ねている間の彼は呆気にとられていただけですし(彼女たちとの再会であったかもしれない可能性をみるなんてことはなかったと思う。どの人物の現状も決して憧れるようには描写されていませんし。まあ、刺激を求めて変な女を渡り歩いた若きとんがりプレイボーイのかつてが窺えて楽しかったですが)。 事件自体の扱いは曖昧なので消化不良になってしまう人もいるのでしょうが、文芸ならドラマ処理が全うされていればそれでもいいと思う。ただ、これでは直球、淡泊すぎるでしょ。 たぶん一時間ぐらいの尺にまとめた方が印象はよかったんじゃないかな。 [DVD(字幕)] 3点(2008-01-08 03:11:39) |
9. 赤ちゃんに乾杯!
《ネタバレ》 そこそこ楽しめたものの・・・ 麻薬騒動と道楽仲間との社交でのトラブルがひとつのプロット上で機能していればよかったと思うのですが、ひとつひとつ消化していくだけなのがなんとも惜しい。 ドラマに於いても短絡的なので、道楽者として刹那的に生きてきたことへの葛藤をもっと描けていればよかったと思う。 [地上波(字幕)] 5点(2008-01-06 02:48:02) |
10. オール・アバウト・マイ・マザー
皮肉な運命を披露して、それでも生きていくんだよって女を披露しただけ。 単純に勇気づけられる人もいるのでしょうが物語ではない。 [地上波(字幕)] 1点(2008-01-06 00:59:01) |
11. 海を飛ぶ夢
《ネタバレ》 彼を引き留めようとする人たちには愛情からの人と信念からの人という二通りがある。 そのふたつが彼を引き留めるに足る内容であるか検証するならば・・・ 信念からの人は自身の生きる指針を揺るがす恐怖故で、自分本位に過ぎない考えでしょうから却下。 愛情からの人は愛するが故に彼の苦痛もその決意も理解できる。しかし、同意するのは同時に彼との別れを選択することとなるジレンマを抱えている。別れを拒むのは寂しさの補完に過ぎない自分本位な考えでしょうから却下。 つまり、愛情を相互の関係によるものと捉え、ロジックに考えれば、彼への理解(愛)は彼の意志への同意となる。 「私のことを愛しているというのなら同意してくれるはずだ」という彼の言い分は正しいのではないだろうか。 ただ、この作品では自分の周囲では自殺幇助を頼める人物がいない。また、家族の精神的負担の軽減のためにと法による助けを望む内容を孕んでいるので別の意味も有している。 社会性を考え、法でいかに定めるのか。 やはり、彼の場合ではすんなり同意できても他に影響を及ぼす法のあり方を考えるのは複雑だ。 彼の場合なら納得できるという設定を組んで、それでも法は認めなかったという内容であるのは問題提起として有効であったと思う。 [DVD(吹替)] 8点(2008-01-04 21:28:27) |
12. 白いカラス
《ネタバレ》 コールマンの秘密が披露され、皮肉な成り行きだったんだと示されることで社会問題を提起する目論見なのでしょうが、要は披露されるだけなので物語性を欠く内容。 [DVD(吹替)] 1点(2007-12-28 23:37:56)(良:1票) |
13. バベル
《ネタバレ》 言語や国籍の違いですれ違うエピソードを繋げただけで随分と退屈。 物語る手法を知らない中・高生が書いたような青年の主張的内容。 まあ、考えるキッカケになる人もいるでしょうから無駄な作品ではないと思います。 [DVD(吹替)] 2点(2007-12-27 19:29:25) |
14. ユナイテッド93
あの事件をわざわざ脚色した作品など観たいなんて思っていませんでしたが、「ボーン・アルティメイタム」の出来に感動して、監督の手腕目当てで鑑賞。 観賞後は自分の認識の甘さに反省しきりでした。 あれだけ乗客と外部が接触できる状況であるのなら、現実を随分再現されているのでしょうね。 そして、当日の混乱をここまで想像できていなかったのを痛感。 やはり対岸の火事にしか思えていなかったんだな・・・。 多くの概念を覆す一大事であったのをよりリアルに実感させてくれる良作。 [DVD(字幕)] 9点(2007-12-18 21:28:38) |
15. スイミング・プール
こういう曖昧なものをもてはやす趣向をもっていないので勿論0点。 単純に退屈な内容ですし。 何も起こらなすぎる前半に、何をしようとしている話なんだろうと興味をもっただけに残念。 [地上波(字幕)] 0点(2007-12-17 22:35:09) |
16. ボーン・アルティメイタム
《ネタバレ》 いまだかつてここまで興奮しながら観た映画はない(劇場で観たのもプラスになっているでしょうが)。 このシリーズは基本的に好印象だったのですが、前作、前々作ではいびつな構成、記憶の回復で状況解決するなど、減点せざるを得ない内容があり、半端な点数しか投じることができませんでした。 しかし、見事な有終の美を飾ってくれたシリーズ完結作。大々満足です(思わずサントラCD買って帰るほど)。 演出の匠もさることながら、ゲーム性だけで突っ切るなんともパワフルな脚本。 こういう潔い勝負をしている作品は少ないですし、実際満足に至ることも難しいと思います。 シリーズ徹してこの水準に仕上げることが出来なかったのが残念でならないですね。 1作目、2作目で見切りをつけてしまった人は、とりあえず最後まで観ることをお勧めします(是非、劇場で)。 [映画館(字幕)] 10点(2007-12-17 18:54:23)(良:1票) |
17. シンプル・プラン
自分もあの境遇で、あの状況で、あの仲間がいれば同じ展開になりかねないという設定の匠に感嘆しましたし、恐怖を覚えました。 止めようと諭していた側が状態の変化でコロッと立場を逆転させてしまう描写など素晴らしい。 その他にも脚本上の技巧は多彩で、惚れ惚れさせられました・・・美しい。 [ビデオ(字幕)] 10点(2007-12-17 13:21:50) |
18. フォーリング・ダウン
理不尽にキレる理不尽な男。 守るための装備が他を傷付ける。 悪循環の処理はどうすりゃいいのでしょう。 元凶は人の感情なんでしょうが・・・。 [地上波(吹替)] 6点(2007-12-06 01:28:04) |
19. 息子の部屋
とにかく何にもない映画。 息子を失った家族をダラダラ描くだけ。 [地上波(字幕)] 0点(2007-12-05 05:42:37) |
20. アザーズ
ホラーの秀作。 短編的内容なのでもうちょっと短くまとめて欲しかった。 [地上波(吹替)] 7点(2007-12-05 05:20:15) |