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1.  メランコリア 《ネタバレ》 
 世界の終わりが来ることによって、鬱病患者とそうでない人間の立場が逆転するという構成が気持ち良かった。「鬱病の監督が撮った陰鬱なだけの作品」というよりは、むしろ逆かと思う。なぜなら、地球が滅びることを解放と感じて喜ぶ主人公が、姉やその子どもに対しては憐れみの感情をしっかり持っているのがわかるから。「世界が終わって嬉しい」という感情と、「家族が死ぬのは可哀想」という感情は、何の矛盾もなく両立する。そこに温かな余韻があり、セラピーめいた前向きさすら感じるのだ。落ち込んでいるときにこそ、見てみるべき作品なんじゃないかと思います。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-02-06 22:11:31)(良:1票)
2.  大統領の料理人 《ネタバレ》 
 宮廷料理人を辞めたあと、南極基地にいる主人公の現在を起点に描くことで、「主人公の過去のベールが一枚ずつ…」という予感をさせておきながら、まったく何も起きない。というより、主人公にうっすら嫌悪感すら覚えて終わった。   主人公の行動には、一貫性が見えない。大統領の料理人に抜擢されて、謙遜していたかと思ったら妙に自信満々で人に嫌味なんか言うし、飄々と過ごしていたかと思ったらブチ切れる(しかも原因は主人公の傲慢さや勘違いから来ている)し、大統領と信頼関係を築いたかと思ったらいきなり「実はクタクタです」とか言って辞める。   その支離滅裂っぷりを納得させてくれるだけの演技を主演女優ができているかというと、それもない。常に硬い無表情(おそらくボトックスとフィラーのせい)で、人間としての温かみみたいなものがまったく感じられない。料理はどれもびっくりするほど美味しそうに撮れているのだが、それすら救いにならないレベルで人物描写に味わいがない。   一応、「宮廷=料理を口にする人を直接見ることができない」「南極基地=職員たちがワイワイ食べる姿を見ることができる」という対比があるが、主人公の最大の欲求がそこにあるようには見えないのだ。宮廷での彼女は、「いくらコストがかかろうと、ハイカロリーで大統領の体に悪かろうと、アタシは最高の食材で作りますよ?」ということにしかこだわっていなかった。   南極基地の食堂のおばちゃんになったことについても、「資金稼ぎだった」「孤独に癒やされた」などとラストで語っており、「ああ、この人には、そのときどきの周囲の人間に対する愛みたいなものがないんだなぁ」という後味。じゃあそういうキャラクターを描きたかった映画なのか? というとそうでもなさそうだし……   作中、「料理は物語。一皿欠けても台無しになる」みたいなセリフがあったが、この映画こそ「てんでバラバラのコース料理を食べさせられて、しかもデザート(仕上げ)抜き」みたいな仕上がりだと思う。本当に謎でしかない。
[インターネット(字幕)] 3点(2022-10-15 09:51:29)
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