1. サウルの息子
《ネタバレ》 ホロコーストの映画は沢山ありますが、この映画はその中でもかなり異色であります。映像はほとんど主役の背中越しからの映像になっております。主役は強制収容所に入れられたユダヤ人ですが、ゾンダーコマンドとゆう役職を与えられています。この役職を与えられた者は、恐ろしいことに、同胞を処刑場に案内したり、死体処理をさせられる、狂気の仕事をさせられ、そして、やがて彼らも口封じのために処刑される運命となっています。つまり、主役の周りは常に地獄絵図のような光景となっているのです。それは、主役の背中越しから、画面の端に一瞬チラッとしか見えません。しかし、そこには確実に、おぞましい風景があることは、この映画全体からちゃんと伝わってくるのです。見せてはいけないものをちゃんと見せずに、主役がどんな場所にいるかが手に取るようにわかるこの表現方法が、この映画が、他のホロコースト系の映画と違う所です。まともな神経じゃ生きていけない事がすごくよくわかります。わかりすぎて、僕は、映画が始まってまもなくして、感情移入が逆にできなくなっていました。これは、恐らく、僕の中の防衛本能がそうさせたかもしれません。普通に映画の世界に入り込んじゃうと、まともな神経じゃいられなくなりそうなくらい、やばい臨場感。人によってはずっと画面の真ん中に主役の背中がある映像なので、周りで何が起こってるかはっきりわからずイライラしたり、退屈になったりするかもしれまん。でも、この周りの状況がほとんどわからないのが、恐らく主役の精神状態を表しているのかもしれません。主役は、この状況で、ただただ、ある目的のために行動します。半分は狂ってるんだと思います。でも、完全に狂ってしまうギリギリのラインを守るために、その行動をしてるように思えるのです。とにかく、僕はある程度の距離感をもって映画を観てしまいました。 [インターネット(字幕)] 7点(2016-10-08 05:57:37)(良:1票) |