Menu
 > レビュワー
 > onomichi さんの口コミ一覧
onomichiさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 431
性別 男性
ホームページ http://onomichi.exblog.jp/
年齢 56歳
自己紹介 作品を観ることは個人的な体験ですが、それをレビューし、文章にすることには普遍さを求めようと思っています。但し、作品を悪し様にすることはしません。作品に対しては、その恣意性の中から多様性を汲み取るようにし、常に中立であり、素直でありたいと思っています。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : ソ連 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1
投稿日付順1
変更日付順1
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  惑星ソラリス 《ネタバレ》 
ソラリスの海が生み出す人間の物理的コピー。彼女は人間と同じ感情を持ち、人間同様に主人公を愛する。人間は感情を持つ。その物理的コピーが持つ感情とは疑似的なものか?そもそも感情とは何か?  分子生物学によれば、意識及びそれを生み出す脳内の働きは、全てシナプスを起点とした電気信号(イオン化)により説明される。しかし、単純な電気信号の連なりがどのように瞬時で膨大な広がりを持つ意識を生み出すのか、或いは先行する意識がどのように電気信号と結びつくのか、その辺りは全く分かっていない。  ノーベル賞学者のペンローズ博士は、意識の発現を量子重力理論(量子論と相対論の融合)により解明できると言う。ペンローズ博士によれば、意識は神経細胞内のチューブ状の器官の中における量子力学的作用によって発現するという。その領域の物理学的作用は、シュレディンガーの波動方程式による量子の振る舞い(量子作用)によって説明される。最近の研究によれば、量子作用は、神経細胞内だけでなく、消化器官における酵素反応や動物の帰巣本能というべき地磁気の検知、植物の光合成にも関わっていると言われる。よって、人間特有の機能というわけではなく、宇宙全体、そのミクロの領域は量子作用によって構成されているという事実において、意識や感情はいつ何処にでも現れると言える。人間のように死んで終わりではなく、ソラリスのコピー人間のように不老不死の上で永遠に感情を生み出すこともできる。人為的に消滅させることもできる。  死んだ人間は帰ってこない。しかし、人間には愛する人間が必要なのだという事実。それがソラリスの真実であり、人間の真実なのだと理解した。しかし、我々の「世界」は真実と違う。人間の感情は世界に優先されない。人間は常に世界に勝てない。「君と世界の戦いでは、世界に支援せよ」なのである。  昔、SF小説を読み漁っていた頃、レムの『ソラリスの陽のもとに』を読んだが、その内容をすっかり忘れていた。タルコフスキーの映画がレムの原作に沿った内容であること、それがタルコフスキーの思想(人生に苦しみを求めることこそ知性)に合致したという点において、この映画が世紀の傑作であると共に、タルコフスキーにとっても貴重な作品であったことが分かる。  「我々はなぜ苦しむのだろう」 「宇宙的感性を失ったからだろう」 「古代人はもっと純粋でそれゆえに悩みがなかった」
[DVD(字幕)] 10点(2025-01-18 19:35:04)
2.  ストーカー(1979) 《ネタバレ》 
誰もが等しく理解できる共有化された視覚イメージでは描かれていない。その冒険譚は、暗喩と象徴でのみ表現された大文字の作者の心象風景として具現化される。ゾーンの部屋。そこにあるのは世界の目的であり、黙示録であり、人類の救済である。それは究極の秘密として分散的に共有されることで人々の希望となる。それを導く者。ストーカーの存在意義である。  もちろん、今、私たちの世界でそのような秘密や希望がリアルに存在していると信じる者は少ない。この物語は原始宗教を模した寓話であり、神話である。しかし、それは大きな物語ではなく、私の中の可能性としての物語。ゾーンの部屋に辿り着いた作家はそれを「無意識の望みだ」と言った。自らの腐った本性と対峙し「絶望して死ぬなら、自分の家で飲んだくれる方がマシだ」と。なんと小さな物語。  奇跡は起こらない。象徴的表現は単なる象徴で終わる。ゾーンとストーカーの存在意義も失われ、徒労感だけが残る。ストーカーは「もう誰も連れていけない」と嘯く。信じること、その可能性の残渣が娘に引き継がれるところで物語は終わる。というか、引き継ぐものとしてこの小さな物語はある。  最後のストーカーの妻のモノローグが全てとも思える。「苦しみのない人生はむなしい。苦しみのない所に幸せもない。希望でさえも、、、」
[DVD(字幕)] 9点(2025-01-14 22:04:26)
3.  ノスタルジア
私が選ぶのではなく、私が選ばれること。それが『ノスタルジア』のテーマである。主体性が揺らぎ、否応なく突き動かされる。私の意志とは何か。その他者性とは。意識が朦朧とした眠気の中で、ギリギリの想像を働かせる『ノスタルジア』。その鑑賞方法は正しい。  精神と芸術は人間の意志から生まれるが、それは他者との邂逅でもある。意志による制御は失われ、私は他者に強制され、翻弄される。観る人にとって、それはある意味で「学び」と同じ。選ばれしことを受け入れ想像し理解し耐え学ぶ。言葉・世界を受け入れてこそ、その地平において、非言語的な感受、ある種の元型、ノスタルジアという領域がシンクロするのではないか。
[DVD(字幕)] 9点(2024-06-19 00:52:26)
4.  黒い瞳
恋愛というのは基本的に一方的な感情です。また、恋愛は、その成就に障壁があればあるほど、それを乗り越えることが恋愛そのものと錯覚され、時にそれは破滅を導きます。その昔、『ひまわり』でソフィアローレンを振りまわした男、マストロヤンニが『黒い瞳』では、いい年をして恋愛に振りまわされ、破滅の手前まで行きながら、結局、踏み止まります。それは、恋愛に伴う悲哀そのものを体現しているでしょう。そこに恋愛の限界を見た、というのは間違いで、恋愛も含めて、様々なエロスの綱の引き合いこそが人生そのものなんだなぁって。その誠実さに只々共感するのみです。チェーホフの原作の持ち味を嫌厭味なく忠実に表現した恋愛映画の佳作だと思います。
10点(2003-05-03 01:30:17)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS