1. 誓いの休暇(1959)
久しぶりに時間が経つのを忘れる程の凄い映画を観ました。 特に、主人公の青年と少女との恋を描いた部分が素晴らしいです。 旧ソ連の戦争モノには傑作が多いですね。 [ビデオ(字幕)] 9点(2008-01-13 00:51:17) |
2. ざくろの色
色彩と構図だけで勝負したら、この映画の右に出る作品はないだろう。 台詞を排し、時折り入る語りも音声がしぼられており、色彩と構図をひたすら強調した演出も、さりげなく巧みである。 ソフィコ・チアウレリの美しさも鮮烈。 特に、白装束・白塗りの彼女は、神秘的なまでの美しさとオーラを放っている。 目じりが印象的な女優で、もっと沢山の作品で彼女の姿を拝みたかったものだ。 強いて苦言を呈すれば、映像的な美しさと物語としての面白さが両立していないところ。 だがこれは、究極的に色彩と構図に焦点をしぼった結果だとも言える。 それだけ、絵画的美しさに特化した、孤高の作品だった。 [DVD(字幕)] 7点(2011-06-27 00:35:05) |
3. 霧につつまれたハリネズミ
ストーリーをメインに主張するのではなく、あくまでアニメーションとしての特徴を活かし、幻想的な映像を全面に押し出して表現しているのが素晴らしい! ハリネズミの表情や声色が、これまた愛嬌とミステリアスな雰囲気を醸していて、味わい深い。 本作で立ち込めるその幻想的な霧たるや、アニメ版『雨月物語』と評したい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-24 01:51:08) |
4. 女狙撃兵マリュートカ
《ネタバレ》 よくある、捕虜にする側と捕虜となった側との、男女のロマンスを描いた内容だが、性別が逆で、捕虜にする側が女性で捕虜になる側が男性という設定である。 この二人がやがて恋に落ちるであろうことは容易に予想がつくが、その先があった・・・ 組織に忠誠を尽くし、愛する男さえも自らの手で射殺。 “狙撃兵”として、最後まで己のポリシーを貫き通した。 だがそこには虚しさしか残らない。 愛が、この世で一番重いものだと、痛烈に訴えかけるラスト。 男女がお互いを愛し合っていたとしても、文化や思想を異にする場合、男女の仲というものは、一筋縄ではいかない。 お互いを愛し合っていることを、お互いは確かに感じているはずなのに、どうにもならない悲劇的な結末を迎えてしまう。 そういった、愛というもののもどかしさ、難しさを痛切に感じた。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-23 00:08:59) |
5. 黒い瞳
監督のニキータ・ミハルコフは相変わらず巧い。 最後の余韻の残し方なんて半端なし。 観た後も、あのオチのことを考えてしまった。 マルチェロ・マストロヤンニが演じたいい加減な男が、ロシア人女性を裏切ったことによって、幸せになれた誠実な男。 これは何とも皮肉。 この事実を、この誠実な男が知ってしまったら、どうなるんだろう・・そう考えてしまった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-16 00:07:45) |
6. デルス・ウザーラ
前半は何てことのない密林探検モノで普通に見てました。 ところが、後半に入って、デルスの様子が変わってくる辺りから、俄然面白くなってきましたね。 特に、皮肉めいたラストシーンを含め、終盤はかなりの出来。 探検シーンはタルコフスキーの様な映像美があり、そして全般的にはジョン・フォードを思わせる明解に楽しめるストーリー展開でした。 長めの作品で、観る前は警戒していたんですが、予想していたより楽しめたので、得をした気分になりました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-11-11 11:54:16) |
7. ミトン
《ネタバレ》 我が子が犬を欲しがるあまり、ついにミトンを犬に見立てて面倒見始めた。 それを心配、いや不憫に思った母親は子どもの為に犬を飼ってあげる、というお話。 子どもやミトン犬の造形が可愛く、そののほほんとした世界に心洗われる。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-09-16 20:44:38) |
8. これがロシアだ
《ネタバレ》 1920年代のロシアとか、もう想像がつかないくらい縁遠い世界で、もはや意味がわからん。 前半は高層建築物の美しさや個性に魅了された。 中盤は街の様子が繰り返し映され、やや中だるみ。 後半はスポーツなどが描かれ、少し集中力が戻った。 当時としては斬新な映画技法がふんだんに使われている。 アメリカのサイレント映画に出てくるお化けのような顔つきの人たちと比べると、本作に出てくる人たちの顔貌は自然な感じだった。 何故だろう、それが一番の驚き。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-09-14 15:11:51) |
9. 青い青い海
《ネタバレ》 同監督のサイレント作品『帽子箱を持った少女』よりは断然見やすく、普通に物語を楽しむことができた。 1930年代のソ連映画ではあるが、今見ても違和感なく感情移入できる。 時代や国が違えど、男女間の色恋なんてほとんど何も変わらない。 それを確認できる貴重な映画だった。 [映画館(字幕)] 6点(2024-09-01 23:07:31) |
10. アオサギとツル
《ネタバレ》 切ないねぇ~。 男女のすれ違いの話。 素直になれない、嫌いになれない。 色恋はタイミングが全ての鍵を握っている。 ラストも、ほろ苦く切ない。 だけど、こんなことを延々とかけ合っている相手が居るだけでマシなのかも! 真の孤独よりはマシなんじゃないかな? [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-02-12 02:16:47) |
11. キツネとウサギ
紙芝居を観るような面白さ! ほんわかとした気持ちになれるラストが良い。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-02-12 02:00:08) |
12. SOS北極.../赤いテント
話としては面白いが、北極探検に参加したからには(時代的背景や諸事情によって参加せざるを得なかったという場合は違うが)、リスクも承知なわけで、遭難事件が発生し、それに伴い悲惨なことが起ったとしても、それは好きでやったんだから仕方ないでしょ的な思いが、どうも頭から離れなかった。 雪山の遭難でもそうだけど、危険を承知でそういった場所に挑んだ人間達が、どんな苦悩に苛まれようと、それは我々の知ったことではない。 [DVD(字幕)] 6点(2010-01-26 01:19:54) |
13. 鏡
映像詩人タルコフスキーの世界を堪能できる。私には合わず。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-09-03 16:29:53) |
14. 惑星ソラリス
《ネタバレ》 怖いなぁ・・・これ。 観てるだけでザワザワと心がかき乱される様だ。 そしてラスト付近の、家の中で雫が次々と垂れ落ちるシーン。 あれには、ただ茫然とした。 何とも幻想的で美しいシーンだろうか。 ゆっくり滴り落ちる雫を観ていると、観ているこちらの世界まで時間がゆっくりになってしまいそうなパワーがある。 静かでいて絶大なパワーを持ったシーンであると思う。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-09-03 16:29:25) |
15. イワン雷帝
《ネタバレ》 セルゲイ・エイゼンシュテイン渾身の傑作ということだが、確かにそうかもしれない。 イワン皇帝の鬼気迫る演技はもちろんのこと、衣装や小道具にいたるまで本格的な佇まいだ。 イワン皇帝がここまでロシア統一に身を焦がしたのは神の思召しによる使命感からなのかもしれないが、そんな疲れることは辞めた方がいいとしか思えなかった。 つまりここまで頑張る皇帝に感情移入はおろか理解すらできなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2024-09-15 17:10:58) |
16. 十月
《ネタバレ》 10月革命について詳しくは知らなかった。 ネットで調べ、少しではあるが、前知識をもって鑑賞。 帝政ロシアを打倒すべく、貧しさにあえぐ人々が一念発起する。 特にラストの冬宮に進撃するシーンは、映画とは思えぬほどの迫力に満ちている。 こうして社会主義国家「ソビエト社会主義共和国連邦」が誕生したかと思うと、非常に興味深いし、感慨深い。 現在は、そのソ連も崩壊してしまった。 こんなに熱い思いで誕生したソ連が、今はもう無い。 そんな、はかなき思いも感じることのできる作品である。 歴史的出来事を映画化したという意味では、エイゼンシュテインの功績は大きいが、映画として楽しめるかは別。 楽しいというよりも、ただただ、目の前に起きている歴史絵巻に圧倒されつつ、茫然と観続けたという感触。 映画の枠を超越した映画。 [ビデオ(字幕)] 5点(2016-04-11 22:15:57) |
17. 機械じかけのピアノのための未完成の戯曲
《ネタバレ》 これはラストが全て。 そこに到るまでの過程は最悪のつまらなさ。 会話が多すぎる上に、会話の内容もつまらない。 貴族の生活も腹立たしい。 ついでに画質も悪い。 だが、それを一気に挽回するだけのラストが待っている。 階級格差、音楽、哲学、思想、様々なものが存在するが、結局は人を愛する気持ちなのだと。 “愛情”が至上のものであると感じる、渋めの一本。 [ビデオ(字幕)] 5点(2012-09-14 01:32:24) |
18. 25日・最初の日
《ネタバレ》 「十月革命」とやらを調べてから観ないと、何ら意味の分からない作品。 なので、世界史を全く知らない私は、「十月革命」を調べた。 そしてそれから鑑賞した。 ううむ、なかなかの国威啓発映画だ! 赤い旗がまぶしく光り、資本主義を凌駕する初の社会主義国の誕生を華々しく描いている。 ソ連が崩壊した今、それは幻となった・・・ 今となっては、なんと皮肉で物悲しさに満ちたアニメだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-03-23 01:48:39) |
19. 話の話
終始セリフは少なめで、より詩的な色合いが強く出ている中篇。 オオカミがこれまた愛嬌のある顔をしていて、それでいてどことなく哀愁が漂っている。 このオオカミが人間の赤ちゃんをあやすシーンなんか、ぐっとくるものがあった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-03-22 10:00:51) |
20. 愛しの青いワニ
監督デビュー前のユーリ・ノルシュテインが、アニメーターとして参加した作品らしい。 作品全体の雰囲気は、ユーリ・ノルシュテインの監督作品と似ている。 だけど、何だか切ない気持ちというか、侘しささえもおぼえる後味。 コーヒーの苦味の様な、まさに大人の香り漂うアニメだ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-02-25 01:53:29) |