1. フレディVSジェイソン
《ネタバレ》 エイリアン的な「ジェイソンX」も私には面白かったが、本作はそれとは違う古典的な手法で、ふたりのヒールを堪能させる映画だ。金髪のヒロインは、キャーキャー叫びながら最後には拝一刀と化すし(笑)、おしゃべりフレディの技巧派と、寡黙ジェイソンのパワーを楽しめるし、なかなか面白い脚本であった。その割には、警察と病院の陰謀が底の浅いものであったりしたのはちょっと残念だけどね(その辺の奥行きがあったら8点献上だったのに惜しい)。体格差を考えると、ミル・マスカラスvsアンドレ・ザ・ジャイアントといった感覚だが、後半の水辺の格闘を見ていて、なぜか私は懐かしいプロレスのカード、ジャンボ鶴田vsブルーザー・ブロディの死闘をふと想い出した。今は亡きふたりの冥福を祈る。 余談ながら、湖から出てくる奴の右手がかぎ爪になっているって期待した人いませんか?(私と彼女はそうだった(笑)) 7点(2004-08-07 00:47:46) |
2. 愛の嵐
何なんだろう、この雰囲気は。シャーロット・ランプリングの目の強さって凄いですよね。彼女は目だけで演技できる。「遠すぎた橋」でイヤな上官を演じていたダーク・ボガードは、ここでは格好良かったね。ナチスと退廃ってワンセットが多いけど、この作品ではそれが効果的だったと感じました。終わりしか見えない愛なんて、そんなもんだろうね。 6点(2003-12-16 09:37:21) |
3. ウンベルトD
《ネタバレ》 <ストーリー> ユーロコミュニズムの隆盛はまだ数年後のことであるが、年金値上げを求めるデモ隊の中にウンベルト(カルロ・バティスティ)はいた。永年勤めた公務員を首になり、その年金だけでは生活が苦しく、今もまさに家賃滞納で部屋を追い出されようとしていた。もとが手に職を持っているわけでもなく、70過ぎの老人には退職後の仕事も何もない。唯一の記念品である金時計を売ろうとするが、友人連中を回っても、相手にしてもらえない。飼い犬のフランクや、数少ない顔見知りの女性マリアと無頼を慰め合うのがせめてもの救いだが、彼女も妊娠した挙げ句男に捨てられた身の上である。家賃の取り立てをせまる業突張りの大家は、彼が体調を壊して慈善病院に入院したのをいいことに、勝手に部屋を改造し、愛犬を追い出していた。鬼気迫る表情で大家に迫り、犬を探し回るウンベルト。ようやく探し当てたフランクを抱きしめ、今後のことに思いをはせる彼。職もなく住処も追い出された老人は、物乞いをしてみることを考えるが、妙なプライドがあってそれを許せない。仕方なく愛犬フランクが芸をしてみせるのだが、金にはならない。そして、いよいよ意を決した彼は、鉄道の線路に立ち自殺を図ろうとする。しかし、愛犬が彼の腕から逃げ出し一命を取り留める。そして・・・。 <感想>なんとも暗い雰囲気の映画ですが、半世紀以上経った今、非常に現実的な内容を持った傑作だと思います。主人公のカルロ・バティスティは本物の大学教授だった素人で、演技の経験はないはずなのですが、ウンベルトを熱演しています。また犬のフランクがとっても可愛い。後半、追い出されたウンベルトの足元で芸を魅せる健気な姿には、思わず涙を禁じ得ません。年金問題が日本でも議論され、誰もが将来に漠然とした不安を持っています。女性が強くなったとは言え、マリアのように妊娠して捨てられれば困ってしまうのは事実でしょう。孤独な老人が自殺を考えるというのも、あんな状態になったらわからないでもありません。50年以上前にこんなに鋭い問題提起をした映画があったことは凄いことだと思います。今だからこそ、観るべき作品なのではないでしょうか。 9点(2003-12-13 09:10:08)(良:1票) |
4. ミラノの奇蹟
《ネタバレ》 人間性を風刺したファンタジーです。主人公がキャベツ畑に捨てられていたというのは、コウノトリが運んで来たというのと同じような意味合いのことだと思うのですが、その主人公トト(フランチェスコ・ゴリザーノ)は、お婆さん(エマ・グラマティカ)に育てられ、とっても素直で善良な青年に育つんですね。で、彼らはジプシーのような貧乏暮らしをしているんですが、あるときそのバラックを建てている土地から石油がわくんです。で、その土地の本来の地主が彼らを追い出そうとするんですね。このとき既にロロッタ婆さんは死んでいるんですが、彼女が現れてトトに奇蹟をさずけるんです。そのおかげで、彼らの平和は守られるんですが、それで終わらないのがこの映画の凄いところです。普通は善良で素朴な青年のおかげでハッピーエンドっていうパターンを想像しがちですが、どうなってしまうのかは、ぜひご覧になってください。モノクロで特撮技術も今の目から観れば未熟に感じるでしょうが、完成度の高さといい、ストーリーのひねりといい、なかなかの傑作だと思います。主人公のトトが自転車に乗って空を飛ぶシーンがお気に入りです。「E.T.」はこれをパクッたんじゃないでしょうか? <2004年1月23日修正>ここで「自転車」と書いてますが、とんでもない間違いです(汗)。ミラノ大聖堂前の広場で、掃除をしている人達の「ほうき」にまたがって飛ぶんです。ただ、E.T.と同じように追われている立場で逃げるのですから、こっちが早い分、真似されたと考えても不自然ではないのでは? 8点(2003-12-08 02:48:09)(良:1票) |
5. ダンケルク(1964)
ジャン・ポール・ベルモンドのフランス兵とカトリーヌ・スパーク演じるフランス少女との淡い恋と、戦争の悲惨さを描いた佳作だと思います。ドイツ軍のまいた毒ガスが広がってフランス兵士がやられていくさまは壮絶なモノがあります。ラストの空撮の絵で、延々と映し出される海岸シーンがとても印象的だと思います。 8点(2003-12-07 12:59:30) |
6. バラキ
実話が元になっている重い作品ですね。”コーザ・ノストラ”というマフィアの組織から、裏切ったとして命を狙われる囚人バラキが、自分を助けることと引き替えにアメリカ政府に協力するわけですが、そこでは売名行為にしか興味のない政府高官たちがいて、けっきょくバラキはどちらの組織からも利用されてしまう。彼にとっての命の自由とは、独房の中で生き続けること。これは悲しい男の物語です。 8点(2003-12-03 08:36:35) |
7. ニキータ
アンヌ・パルローが、ホントは気が弱いんだけどつっぱている女殺し屋を好演していますね。ジャンヌ・モローが出てくるだけで場面が引き締まるのは貫禄ですかね。 7点(2003-12-02 10:24:26) |
8. 世界残酷物語
際物でしょうねえ。ヤコペッティの名前はこの作品で知りました。公開当時は話題になりましたよね。未開の部族の儀式とかを映していた印象があります。子供の頃読んだ本にあった、首長族とか唇に板をはめる習慣とか、そういうものを想い出します。 6点(2003-12-02 03:23:29) |
9. 勝利への脱出
《ネタバレ》 「大脱走」と「ロンゲストヤード」を足して2で割ったものでしょう。当時の一流サッカー選手が技を見せるシーンは楽しかったですね。どうせなら勝ってから脱出すれば好かったのにと思うのは私だけ? 7点(2003-12-02 01:25:07) |
10. カサノバ(1976)
イタリア版”好色一代男”といった感じでしょうか。ドナルド・サザーランドが”なんでも入れる”という姿勢で怪演しています(笑)。妙にグロテスクなメークが、わたし的にフェリーニの嫌いなところなんですよね。あの美的感覚は受け入れにくいモノがあります。 6点(2003-12-01 06:21:26) |
11. 夕陽のガンマン
リー・バン・クリーフの髭が格好いいですね。こういうマカロニウェスタンの敵役としては打ってつけの役者だと思います。テレビ放送の日本語吹き替えで観ても楽しめます。故山田康夫さんの「俺、名無し」とかいう台詞が楽しいな。モリコーネの音楽も最高! 8点(2003-11-30 16:32:55) |
12. ル・ジタン
ジプシーというのは日本ではあまり具体的なイメージがわいてきませんが(タローカード、フラメンコなどくらい?)、ヨーロッパでは広く一般的にイメージがあるんでしょうね。日本でいったら部落差別みたいなモノかな? で、本作はそれを背景にした、ドロン演じるジプシーの犯罪者と、それを追う刑事のドラマが描かれています。ドロンのひげが妙に印象に残っていますが、やっぱりひげのない方がいいね。 7点(2003-11-29 14:24:08) |
13. ルシアンの青春
タイトルに騙されてはいけません。たしかに主人公は少年ですが、やっていることは残虐なナチスの手先。フランスにもナチスの協力者がいたということですね。まあ、男の子なら誰でも、子供の頃に残虐なことをした経験はあるでしょうが(私の場合は、ザリガニやカエルやアリなど)、それを17歳の少年がリアルにやっているのが、観ていて腹立たしく感じます(もちろんこれは演出の妙ですな)。で、そういうとんでもない少年が惚れてしまうのが、よりによってユダヤ人の少女。まあ、この恋がどうなるかは推して知るべしというところでしょうか。 7点(2003-11-29 14:15:47) |
14. ライフ・イズ・ビューティフル
《ネタバレ》 ”ユダヤ人モノ”というのはたくさんありますが、本作がとくに頭抜けて素晴らしい感動を与えるとは、私には感じられませんでした。よく比較されますが「聖なる嘘つき/その名はジェイコブ」の方が、わたし的な評価は本作よりは高いです。どちらも主人公が死んでしまい、子供が助かるという映画でしょうが、本作の方は、主人公の妙な明るさにマイナス印象を受け取りました。行き場所のない収容所で明日をも知れぬ人生であるからこそ、前向きに明るく考えていこうという発想はわかりますが。 6点(2003-11-29 01:48:59) |
15. サン★ロレンツォの夜
”イタリアの笠智衆”と私が勝手に呼んでいるオメロ・アントヌッティがいい味を出しています。物語は1943年のイタリア。シチリアに上陸した連合軍がローマを目指しつつ北上しているときです。ナチスドイツ軍の手から逃れた農民達が、アメリカ軍に助けを求めるという話です。村が焼き討ちされたり、パルチザンの処刑があったりと、話はかなり残虐悲惨な面もありますが、少女と”笠智衆”の演技により、なぜかおとぎ話のような印象を与える作品です。「お星様に願いをするとかなう」というエピソードがジーンときます。 8点(2003-11-21 16:39:26) |
16. ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版
エーン、わいてくるよぉー、追っかけてくるよぉー 7点(2003-11-20 12:35:36)(良:1票) |
17. オルカ
シャチが殺された家族の敵討ちをするという映画です。リチャード・ハリスの漁師はさまになっているね。海洋パニック映画として観ると、物足りない感じもするかもしれませんが、動物の家族愛の映画と観ると、けっこう面白いと思うのですが。 7点(2003-11-19 22:03:03)(良:1票) |
18. 狼の挽歌
ブロンソンはこういう寡黙な殺し屋の役が似合いますね。ジルを殺すシーンは演出も最高です。でも殺しちゃうの、やっぱりもったいないね。そういう気持ちを思わせるのは映画の演出の成功かな。 8点(2003-11-19 21:18:54) |
19. ニュー・シネマ・パラダイス
みんなで映画を観て一緒に騒ぐことって、今の日本の映画館じゃありえないですよね。それが日常的に行われていた時代ってうらやましい感じがします。音楽も素晴らしいですね。 8点(2003-11-19 06:26:05) |
20. 薔薇の名前
《ネタバレ》 ショーン・コネリー自身は、撮影の最中、「寒くてこんな映画二度と出るか!」という風に嫌っていたそうですが、そんなことは微塵も感じられない好演をしています。原作が大部の難解な作品ですから、それを短くまとめるためには、何か象徴的な出来事を作らねばならないわけですし、また、複雑な背景を置かずに勧善懲悪的に作るために、異端審問官と院長を悪役に据えることになったのでしょう。これによりストーリーは単純化されましたが、アリストテレスの詩編の解釈については、物足りなさが残る結果になってしまいました。もちろん、それによって映画的な面白さが失われたわけではなく、中世ミステリーとして充分に楽しめる作品になっています。異端に対する扱いや、中世の図書館の位置づけ(見せるためではなく保存するためという)、薬学の知識など興味深いし、セットで作られた塔が焼け落ちるシーンは迫力もあります。ことば遊びも凝っていて、ショーン・コネリーの役はバスカビルのウィリアムという名前は「バスカビルの魔犬」を連想させ、なぞ解きをする立場からシャーロック・ホームズを彷彿とさせます。また、弟子のアトソはワトソンですね。こういう細かい遊びも嬉しいです。 8点(2003-11-19 04:50:25)(良:2票) |