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1.  マザー・テレサ(2003) 《ネタバレ》 
冒頭の、混み合っている駅のホームで、誰にも看取られずに命尽きようとしている男性のそばに、マザーテレサがうずくまるシーン。そのとき、すっとカメラが引いて、周囲の人々が姿を消す。貧しい人に愛を注ぐのに、周囲の雑踏が全く目に入らなくなる、これが彼女の類まれな集中力。1人1人の頬を両手ではさみ、声をかけるマザーの慈愛のこもったしぐさは鳥肌ものだった。彼女が亡くなった当時、世界各国に散っていた元孤児たちが「マザー、マザー」と実母のように嘆き悲しんでいた報道を思い出す。 イギリスやスペイン等のキリスト教がらみの時代劇を観ると、宗教と国家権力がどろどろと癒着した残酷極まりないエピソードがいくらでも出てきて、そのたびぞっとさせられてきた。本来キリスト教は、貧しき隣人を愛せよと人類愛に満ちた教義で説くはず。それなのに、神に仕える神父や修道女が虐げられた人々に直接奉仕することが、どうしてこんなにも難しいのだろう。マザーが修道院を出て、自ら神の家を設立する過程を初めてこの映画で見て、そこからしてガツンと大きな衝撃を受けた。つまり、冒頭から私は驚かされっぱなしだった。真の意味で、神に自らを捧げている聖職者が、どれほど存在するのだろうか。 3ドルの水の価値に言及する彼女は、『シンドラーのリスト』で「これだけあれば○人救える」と人の命を金に換算して苦しむシンドラーの姿と重なる。神の鉛筆になる者の苦悩は凡人にははかりしれないが、彼らは何と尊い存在だろうと深く考えさせられた。
[インターネット(字幕)] 9点(2017-05-18 01:21:40)
2.  鑑定士と顔のない依頼人 《ネタバレ》 
鑑賞し終わった後、DVDを再度再生してあちこちを「飛び見」してみた。鑑定士をとりまく登場人物たちのセリフが再び耳に入ってくる。・・・・・・はっきり言って聞くに堪えない。裏切り者たちの言葉は何一つ真実がこもっていない。そう考えると、この手のサスペンスは「一度見たらたくさんだ」という思いにどうしてもかられる。しかも、壁の中の女性のぺらぺらしゃべるセリフが軽すぎてミステリアスに聞こえず、最初からかなりの違和感があった。姿が見えないという特異な条件を活かしていない脚本だった気がする。壁の向こう側とこちら側を行き来する彼女のオーラが全く同じだから、観ているこちらは次第にその味気なさに退屈してくる。存在感のある女優さんだったら、姿を消したり現わすたびに、その場の空気が一変すると思うのだが。それでも、怒りにまかせて書類を派手に放り投げるジェフリーのかっこいい演技にはほれぼれした。願わくば哀れな鑑定士のために、忠実な秘書の存在に彼があらためて気づくことと、年若い技術者との友情が本物であるようにと祈っていたが、叶わず、視聴後は寂しさと虚しさが残る苦み走った思いが残った。  (後日、再び書き込んでます→)初めて視聴してからかなり経ったが、やはりこのストーリーは許せない。生理的にどうしても受け付けない理由が今頃やっとわかった。高齢者をターゲットにする日本の劇場型オレオレ詐欺が、この犯罪の本質だからだ。
[DVD(吹替)] 6点(2014-12-05 01:13:30)(良:1票)
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