1. パッション(2004)
《ネタバレ》 意外とよかったです。見る前はキリストの伝記モノなんかおもしろくないだろーなと思っていましたが、古代ローマっぽいイメージの風景とか生活感もあって最後まで退屈せずに見れました。 話題になっていた拷問のシーン、アメリカではショック死した人もいるということで身構えてみたけど、それほどむごくなかった。拷問って言ってもそれらしいのはムチで打たれてるシーンで、その後は血だらけでフラフラしてて痛みに耐えてるだけ。今では他の映画でもっと酷いのたくさん出てきたのでショックも受けず見れました。嫌な気分にならずに、普通のシーンとして見れたのはよかったです。 最初からノンフィクションだと分かっているとつっこみどころがあっても「実際こうだったんだから」と落ち着いて見ていられるのは伝記モノの強みですね。反面、物語が分かってるので盛り上がりがないのが欠点ですが。でもさすがに最後の天変地異でイスがきれいにバカー!って割れるのはわざとらしすぎでした。 自分はキリスト教ではなく聖書も読んだことがないので、ちょっと有名な場面とか詳しく知れておもしろかったですが、これって全部聖書に書いてあって場面もアメリカ人なら馴染みのあるところばかりですよね。よく知ってる絵をそのまま映画にしたようなだけの感じにならないんでしょうか。 あと、知っていないと意味不明の場面が多かった。おれはパンフレットというか解説書を見つつ映画も見たから分かったけど、なければ理解できない場面、たとえば手を水で清めると「この件からは手を引く」という意味とか、絶対わからない。映画中には何の説明もないし。 それにしても、メル・ギブソンはすごいと思います。細部までこだわりまくってるし、自分がまったく出演していないのがスゴイ。俳優が監督やると、主演やら脇役でも自分も出てるもんですが、映画に対する熱心さが、「キリストの話を見てほしい」という意気込みが伝わって、監督をより好きになりました。 言語も当時のものに変えているみたいだし。しかも役者や映像のセンスもすごいイイです。冒頭のクールな森の場面から悪い映画ではないと思わされました。 でも、映画自体はもちろん史実どおり、どんでん返しもなく想像通り、雰囲気とセンスのおかげで退屈はしなかったけど、終わったらキリストの事がよく分かっただけっていう感想でした。隣人愛とか、キリスト教に惹かれもしましたが。 [DVD(字幕)] 6点(2009-12-16 14:24:13) |