1. 夜ごとの美女
《ネタバレ》 現実と空想の世界を行ったり来たりするので、ぼんやり観ているとついていけなくなってしまう。ひらひらと飛ぶ蝶のショットを介して別の空間に瞬時に移動するという風に、二つの世界の切り替えがスムーズなのでなおさら。映画の中で登場する数々の音が終盤で一つの音楽を奏でるというのが面白い。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-08-03 11:30:33) |
2. 無防備都市
《ネタバレ》 イタリアンネオレアリスモを代表する作品ということで少し身構えていたが、コミカルな演出もあってそれほど難しさを感じることはなかった。女が射殺されるシーンや最後に神父が銃殺されるシーンは忘れがたいものとなりそうだ。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-31 23:35:08) |
3. 薔薇の名前
数年前にやり込んでいたテレビゲームの世界観そのものだった。そのゲームは、プレイヤーの恐怖心を煽りながら謎を解かせるという内容のものだが、不気味な登場人物や仕掛けだらけの建物など、この映画を手本にして作られたのではないかと思ってしまったほどだ。逆にその手のゲームをもとにして作られた映画といえば、『バイオハザード』や『サイレン』あたりが思い浮かぶ。どちらともゲームの世界観を骨抜きにし、それ以外のもので勝負しようとしていたようだが、それが正解だったとは言いがたい。喚起される恐怖心が場所にまつわるものでなければ、逃げようにも逃げられないという感じが出てこないのだ。それに比べ、この映画は、徹底的に場所というものにこだわっていて、観客の心を完璧に教会の中に閉じ込めてしまうという点で優れている。それだけにショーン・コネリーのお気楽な雰囲気が残念に思えた。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-18 10:19:57) |
4. カサノバ(1976)
《ネタバレ》 アフェアというかイリュージョンがすごい。鳥の置物が意味もなく動きまくり、怪奇な音楽が流れる中で行われるプレイは、何ともエキセントリックで、これだけでも一見の価値がある。カサノバという偉大なるエピキュリアンの半生を、『サテリコン』のような名状しがたい独特の世界観で描けば、これほどまでに強烈な映画ができてしまうのかと、ただただ感心するばかりだった。女と名のつく物なら何とでも寝るカサノバの姿には崇高ささえ感じられる。年老いてから誰にも見向きもされなくなり、夢の中で人形と寄り添うラストは皮肉だが、考えようによってはハッピーエンドなのかも。 [ビデオ(字幕)] 9点(2007-08-05 09:35:58) |
5. そして船は行く
一切のリアル志向を拒絶するかのようなフェリーニの姿勢には感服してしまう。当時のヨーロッパの人々が常に心のどこかで抱いていたであろう戦争の不安が全体に漂っていて、時代とは無関係に生きることのできない人生の哀しさが伝わってくる。月明かりの下で歌を歌ったり踊ったりするシーンは幻想的ですばらしい。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-08-04 11:56:06) |
6. インテルビスタ
フェリーニにしてみれば映画の撮影もお祭り騒ぎ。たまにしんみりしてしまう所もあったりと、ほとんど思い出話に近いようなものをあそこまで面白くしてしまうのはすごいと思う。特に、マストロヤンニとエクバーグが過去に共演したシーンを見つめる所は、二人の表情にフェリーニ自身の心情を重ねているようで印象深い。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-08-02 01:23:11) |