Menu
 > レビュワー
 > アンドレ・タカシ さんの口コミ一覧
アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : イタリア 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  キューブリックに愛された男 《ネタバレ》 
映画作りに忙しいキューブリックが専属運転手を雇いました。自分の都合に沿って、自分が望む場所へ自分を運ぶための手段として、です。 で、雇われた男性は運転のプロでした。運送屋やタクシー運転手ではなく、レーシングドライバー。その選別眼に、キューブリックらしい偏執的なこだわりが見えて嬉しくなります。 本作はほぼ100%、このドライバーの独白で構成されています。それを通して語られらるキューブリック像は、映画制作の現場から少し距離を置いた生活の様子が多くて興味深い。キューブリックが飼う犬猫の世話とか、キューブリックが食べたいものを買ってくるとか。映画制作に直接関わるのは「バリーリンドン」撮影時にロウソクを大量に買い占めてくることくらいだったと思います。 この方が「アイズ…」の制作前に一身上の都合でキューブリックから暇を貰います。その時に時間が取れて、初めてキューブリックの映画を観たらしい。つまり、それまでは身近で働きながらもキューブリックの映画を観たことが無かった訳ですよ。鑑賞後の感想は「この人はやっぱり天才だったんだ」です。笑えるエピソードをもうひとつ。キューブリック本人から「どの映画が良かった?」と聞かれた時の回答が「スパルタカス」。キューブリック曰く「あれはそんなに良い映画じゃない」。(「スパルタカス」の現場はカーク・ダグラスに支配されていて屈辱的だった、とキューブリックが語っている書籍を読んだことがあります) あくまで天才映画監督の一面が見られると云う意味合いですが、キューブリックのファンなら観て損は無いと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-01-16 23:28:13)
2.  奇跡の丘 《ネタバレ》 
福音書の内容がそのまま映画化されていて、ストーリー的な脚色や映像的な演出が映画の体裁を整えるうえでの底辺に抑えられている印象を持ちました。製作者はイエスに対するイメージを出来る限り鑑賞者に委ねようとしているようで、ドキュメンタリー的な趣きを持ったイエス像だったと思います。 で、私が感じたことですけど、後年のイエスには体制や富裕層を糾弾するシーンがやたらと目立ちました。まるで「活動家」です。体制側から目を付けられて当たり前ですよね。イエスが起こした幾つかの「奇跡」と活動家的な側面が一人の人物像の中に上手く収まらない印象を持ちました。 以下、ほとんど余談です。イエスは超能力者だったのだと思います。主に治癒能力。現代ではアニメやラノベで当たり前のように見かける能力ですが、そのキャラが宗教の創始者になるようなお話はありません。超能力と生き方を説くことは全く別次元のお話だからだと思います。現代でも科学的に説明が出来ないことを宗教にしたがる輩は後を絶ちません。でも、それは科学が未だにそれらの事象を説明できるほどには進んでいないだけだと思っています。あー、やっぱり私はキリスト教が嫌いなようです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-02-13 00:30:01)
3.  世にも怪奇な物語 《ネタバレ》 
ポーの原作をヨーロッパの3人の監督が豪華なキャストで映像化したオムニバス作品。それぞれのお話の主人公が揃って酷い奴。残酷・自分勝手・いい加減の三拍子。でも、面白かったかというと、そうでも無い。際どい個性が因果応報的に不幸を招く描写だけど、メッセージ性は希薄です。1話目・ジェーン・フォンダの必然の無い露出具合、3話目・街角に置かれた蝋人形の不気味さが映像的には良かったです。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-08-14 02:17:23)
4.  ライフ・イズ・ビューティフル 《ネタバレ》 
物陰に連れ込まれて銃声が響いた時、まさかこの男に限って殺されるなんてことがあるとは思えなかった。それほど奇跡的なお話だった訳です。でも、ステキなお話だったと思います。 収容所の現実を踏まえると、フィクション色が強いストーリーです。以前に「縞模様のパジャマの少年」で、収容所で起こったことの脚色に否定的なレビューを書いたこともあります。でも、コチラはすんなりと観られました。本作のテーマが収容所の悲劇の描出では無いからです。収容所は、あくまで主人公の姿勢を描くための背景だったと思います。 映画的なご都合と偶然が連なり続けますが、そこに対してさほど嫌な気分にならない。むしろ、これくらいポジティブであれば、ホントに運が廻って来そうな気さえする。そう思わせるところが本作のパワーだと思います。性格的に、私には決して真似が出来ない態度だけど、ちょっと多めに喋ってみる気になります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-30 03:40:41)(良:1票)
5.  自転車泥棒 《ネタバレ》 
中学生だったかな、体育館に集められ体育座りで観た映画。まぁ授業よりはいいかって具合に観始めて、どんどんと引き込まれて行ったことを記憶しています。当時は漠然と貧困を生む「社会」が悪いんだということ以上に整理できなかったけど、言葉にならない問題意識は残りました。文部省(当時)の思惑通りですな。 その後、大学時代にも一度観ているのでストーリーは分かっているのだけど、それでもやっぱり辛くなりました。なりふり構わずミサを妨害し、怪しい予言おばさんにも縋る。息子の前で盗みを働き、捕まって息子の前で小突かれる。これこそ「ああ、無情」ではなかろうか。彼はどうすれば良かったのか。いや、自転車にカギを掛ければ良かったってことじゃなくて。たかが自転車のために、というのは21世紀のニッポンに暮らす者の溜息です。あの親子に、アドバイスできる言葉はひとつもありません。まさに八方塞がりで、相変わらず「問題意識」だけが残りました。安易な希望を見せない放り出し方を高く評価します。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-03-14 23:53:05)
6.  ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版 《ネタバレ》 
「ディレクターズカット完全版」と、この「ダリオ・アルジェント監修版」の違いの意義が良く分からない。カットできるところをカットして音楽を変えています。観易くしたかったのでしょうか? あまり必然を感じません。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-02-14 01:44:03)
7.  NINE(2009) 《ネタバレ》 
各女優のミュージカルシーンを個別に楽しむような作風でした。過去と現実と妄想が錯綜する構成は映画ならではの演出のしどころだと思うのだけど、ストーリーに興味が行かないとウザったく感じます。結局は女に甘えて映画を作って来た男の後悔と懺悔のお話で、共感するところがないものね。それにしてもペネロペさんは素晴らしい。一見の価値あるエロさでした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-08-14 23:27:09)
8.  夕陽のガンマン
あのメロディを口笛で吹こうとしたら、鳴らない。えぇ~っ! 考えてみれば、口笛なんて何年も吹いていなかった。口の形が変わったのか、唇の型を忘れたのか、原因ははっきりしないが口笛が吹けなくなっている自分にショックを受ける。現在、口笛特訓中。そんなことに躍起になるくらい、このテーマ曲は名曲ですね。いちど聴いたら忘れない。久々の鑑賞だったけど、冒頭であのメロディーが流れるだけで気分が乗ってくる。マカロニ・ウエスタンのすべてを表現しているような気がします。「荒野の用心棒」でも同じようなことを書いたけど、楽曲としての味わいがさらに増した感じです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-04-11 02:03:03)
9.  マレーナ 《ネタバレ》 
勝手に「青い体験」的な映画と思っていた自分は大馬鹿野郎でした。いや、途中まではそんな流れだった。主人公のマレーナに対する憧れの根底にあったのは純情ではなく劣情で、マレーナの周囲で彼女を揶揄する男どもと本質は変わらなかった。しかし、戦争が始まると様相が一変する。ストーキングするほどマレーナに執着していた主人公は、奇しくも未亡人となった彼女の苦悩をストーキングすることになった。肉体への憧れが、心情の共感へと変化する。性欲の対象でしかなかったマレーナの心の内側を覗くことで、周囲の大人たちの醜い部分を客観視する視点が生まれる。それも大人への階段だった。彼があと数歳年長であれば、ストーリーは違った展開を見せたかもしれない。でもマレーナの味方だったかどうかも怪しくなる。彼は見ていることしか出来なかったが、だからこそあの年代の少年の成長を切り取った作品だと感じられました。コメディチックに進んでいた序盤が違う映画と感じられるくらいに、集団リンチの描写は容赦なく凄まじい。社会を律していたコードが変わる瞬間、普段は隠れている人のネガティブな感情が露わになる。監督は意図して人の醜い部分ばかりを抽出しているように思えます。でも不思議と後味の悪さが無かった。主人公の成長が救いになっていることもありますが、醜い部分も含めて人を描いているスタンスに潔さを感じたからでしょう。ちなみに、二次大戦中のイタリアを描いた作品って観た記憶がなかったけど、敗戦後にアメリカ軍を迎え入れる街の様子は、まるでドイツから解放されたパリのような歓迎ぶりでした。日独と同盟国でありながらも、戦争に対する国民感情は随分と違っていたようです。それを知ったことも収穫でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-24 22:16:47)(良:3票)
10.  荒野の用心棒 《ネタバレ》 
黒澤版オリジナルをよく知る者としてはレビューしにくい作品です。「用心棒」と続けて観るとよく分かるが、映像の精緻さやキャラ描写の掘下げでは相当の開きがあります。でも、それだけが映画の面白さではないことも分かります。これでブレイクしたイーストウッドの魅力は言うまでもないけど、私は刀を銃に置き換えた本作のオリジナルパートに魅力を感じました。それはひと言で言うと、馬鹿っぽいいい加減さの魅力。心臓に数発撃ち込んでダメなら、違うところを狙うという発想が無いとか。一対多の決闘で、多数側が撃たれ易いように密集しているとか。それは言い換えればマカロニ・ウエスタンのいい加減さで、もっと言うと伊太利亜という国の個性なのかもしれない。せっかくのダイナマイトを登場の為のスモークに使ってしまうあたりが典型的です。でも、そんな馬鹿っぽい世界観に浸れれば幸せな時間が過ごせる。それでカッコ良ければいいじゃんという発想で創っているのでしょう。実際、面白いもんね。それと、やはりモリコーネの音楽は特筆です。この旋律の妙味はマカロニ・ウエスタンそのものです。
[地上波(吹替)] 5点(2011-02-25 13:04:48)
11.  グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版 《ネタバレ》 
ジャック・マイヨールは実在の人物なので、本作は海とイルカを愛した彼の人生へのオマージュですね。そのエッセンスを叙情的に切り取った秀作という印象です。言葉少ない彼の海への憧憬が綴られてゆく内に、彼の本当の願いが見えてくる。それは海と同化すること。彼は海に魅入られたというより、海に還って行く人でした。ベッドルームの天井から海水が溢れ海中を漂う幻想を見るシーンが象徴的。そんな浮世離れした願望を、あたかも自然なことのように捉えているジャック。その危い存在感に畏れを覚える。でも、実名を使った映画ということは、ジャック・マイヨール本人も同様に海を捉えていたのでしょう。本作におけるダイビングの深度とは海とジャックの同化を演出する記号でしかなく、ノーマル人間のエンゾに勝機は無かった。でも、映画としてはエンゾの存在は欠かせなかったです。幼なじみの友人であり、気丈にジャックをライバル視しつつも、海とジャックの関わりを最も理解していたのはエンゾだったと思います。無名に近かったジャン・レノの存在感は主人公より記憶に残りました。余談ですが、福岡の空港でマイヨール本人を見たことがある。彼が亡くなる直前のことでした。年齢的にはヨボヨボに近い老人なんだけど、背筋がピンと伸びてがっしりした体格も目を引いたが、なにより纏っている雰囲気が只者じゃなかった。あのオーラは形容できません。一緒にいた友人がジャック・マイヨールだと教えてくれて、この映画を観た後だったこともあり納得しました。その姿は今も記憶に焼きついています。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-02-03 22:44:35)
12.  天使と悪魔 《ネタバレ》 
現場に残された痕跡の記号解釈を手がかりにするのは捜査の王道だろうが、このシリーズはそれが実在する芸術品や宗教建造物などで構成されていて、よくこんな話を組み立てるものだと感心する。原作は文庫で読んだが、扉にある彫刻や礼拝堂の写真を何度も見返しながら読み進めた。で、本作は複雑な話をなんとか2時間強にまとめているが駆け足感は否めず、じっくり見たいところ(主に暗号が隠された彫刻など)の描写もおざなりで、5点くらいの評価です。やや偏差値が高めのサスペンスってところ。余談ですが、原作との比較の話をすると、とんでもなくレベルを落としたアレンジが為されていることに驚きます。本来のテーマは科学と宗教の対立で、反物質の生成過程自体がその二者を融和させる理論になるという、SF好きには堪らない設定を捨てている。中世のローマ・カトリックによる科学の弾圧の歴史にも触れないので、ヴァチカンを破壊するための仕掛けが反物質である必然も無いに等しい。自分は原作をかなり忠実に再現していた「ダ・ヴィンチ・コード」の方が出来が良いと思うのだが、世間の評判が芳しくなかった教訓を活かし、これくらい削る方が映画には相応しいと判断したようです。原作の面白さ自体を削るアレンジに疑問を覚えるが、結果的には正解だったようで複雑な気分。教皇が決まるまで礼拝堂から出られないコンクラーベはルールがまさに「根くらべ」なので、その言葉を聞く度に笑ってしまう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-06-14 23:25:49)(良:1票)
13.  愛の嵐 《ネタバレ》 
禁断って匂いがプンプンするエロチックなジャケット写真は相当な力を持っていて、ずーっと気になっていた映画だけどこれまでは縁が無かった。念願かなった訳ですが、長年抱いていた妄想が霧散しました。ちょっとした喪失感。それほど中身がよろしくなかったです。最初は、恥ずかしながらストーリーが良く分からなかった。元親衛隊同士で「査問」する意味などが分からなかった。2回観て話の流れを理解したら、今度は登場人物たちの動機や行動が理解できなくなった。まず、親衛隊の生き残りたち。戦後十数年を、素性を隠して生き延びてきた。でも隠遁生活を送っていた訳ではなく、積極的に自分たちの素性隠滅を行い、その中には人を殺すことも入っていたようだ。殺人を完全犯罪にするのは至難だと思うのだが、果たしてそんな危険な行為に及ぶものだろうか。また、シャーロット・ランプリングがダーク・ボガードと親密な間は、彼らの素性をどこかにばらすとは思えないのだけど、追い回して殺す必要があったのか。そのシャーロット・ランプリングは指揮者の夫との生活に対する未練などを全く感じさせない様子でダーク・ボガードのところに居付いた。彼女の心情描写が極端に薄く、何を考えているのか全く分からない。SとMの関係もハッキリしない。ダーク・ボガードが籠城した意図もよく分からない。脱出の手段はいくらでもあったはず。自分の素性を隠したまま警察に電話するだけで、元親衛隊たちは手出しできなかったと思える。三者三様にちぐはぐな行動をしているので、ストーリーが見えづらく、違和感ばかりが先行する。部屋に籠もって腹が減ったらセックスで紛らわすって描写だけは素晴らしくエロいけど、そこに至る状況の必然が整っていないので、のめり込めません。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2010-03-10 20:40:56)(良:1票)
14.  レッド・サン 《ネタバレ》 
これ、子供の頃に初めてテレビで観て以来、番組表などで目にする度に必ず観ているタイトルです。何だかニッポン人として嬉しい映画なのね。「ラストサムライ」の何十年も前に、しっかり武士道の精神を表現しようとしたアチラの映画があったことは、今にして思うと奇跡的。技を極めた武士としての三船敏郎の描写に不満はないし、何よりブロンソンやアラン・ドロンに対して存在感で負けていないところが嬉しいのだと思う。先日久しぶりに観て、ブロンソンの奔放さや柔軟な対応力みたいなものを武士道と対照させる狙いがあったことを感じました。どちらが優れているということではない。思想や文化の違いを、それぞれをリスペクトしつつ描こうとしたのだと思います。それは、三船とブロンソンが、道中でお互いを徐々に認め合うストーリーとして心地よく映される。生き残ったブロンソンが、三船の生き様に敬意を払っていたことを感じさせるエンディングには爽やかな風を感じました。
[地上波(吹替)] 6点(2010-02-10 22:37:39)(良:2票)
15.  薔薇の名前 《ネタバレ》 
原作は未読ですが、前半は記号学者でもあるウンベルト・エーコらしい組み立ての推理劇で、名探偵さながらに理知的なショーン・コネリーの好演が光ります。でも後半は少しトーンダウンしました。事件の謎は解かれるが、その原因となった禁書が焼失するドタバタの中で濁流に流されるように終幕する。キリスト教の教義に関わる内容なので、証拠を残さないフィクションに収める必要があったのでしょう。願わくばショーン・コネリーの謎解きで、これぞ快刀乱麻って具合にまとめて欲しかった。まぁ、ジャン・ジャック・アノー監督はそんなタイプじゃないんですが。この監督の映像の多くは、その土地の土が匂っているような錯覚を覚えます。本作はそれが顕著でした。男しかいない修道院の不健全な空気や、薄汚れた衣類など、たぶん中世ってあの通りの見え方だったと思う。それが冷たく湿った土の匂いと一緒に世界観としてまとまっている。いかにもペストが流行して人が死にそうな印象です。その不潔感だけでも観る価値はありますね。「薔薇は神の名付けたる名。我々の薔薇は名も無き薔薇」という意味深なテロップで映画は終わります。この言葉は、原作的には中世の論争にまで遡る思索的意味合いが込められているらしいのですが、映画を観る限りは宗教教義の建前と現実世界との乖離を表現していると解釈しました。劇中の魔女裁判的な異端審問が良い例です。
[ビデオ(字幕)] 6点(2010-01-24 02:47:20)
16.  ヒトラー 最期の12日間
物心ついた頃から滅多やたらに耳にする名前だけど、ストーリーの中で台詞付きで描かれたものを見るのは(パロディっぽい端役は除いて)たぶん初めて。初めてだけど、そういう意味での感慨は無かった。それは恐らく日常的にこの映画の中のようなシーンを目にしているからだ。この映画を見た率直な印象だけど、ヒトラーはある程度の規模の企業に時々見かけるオーナー社長でした。仕事に直接関係の無い人には優しいし、徳のある人物にも見える。ひとたび怒り出すと、論旨が変でも指摘できる人がいない。それはヒトラーだけじゃなく、周囲を取り巻く連中にも言える。本心から心酔しているタイプ。無条件に追従するタイプ。覚悟を決めて自分の意見を具申するタイプ。見切りを付けて逃げ出すタイプ。いや、企業のトップと取り巻きの関係にソックリですよ。しかも、概してヒトラーのようなタイプの社長がいる企業の方が経営的には成功していますね。求めるものが違っても、多人数を相手に組織を統べて行く方法論は似通ったものになるということか…。そういえば、傾いたら一気に崩壊という点でもソックリだ。今作はヒトラーの映画というよりは、総統府全体のお話で、ヒトラーの内面を克明に描いているという感じでもなかった。元秘書の女性の視点から見ているという構成らしいが、積極的に彼女の意見が聞こえる訳でもなく、淡々としていました。ユダヤ人虐殺に関しては何も触れられていないので、観る人によってはそのスルーぶりに怒りを覚えるでしょう。自分は、今さらヒトラーを非難することに意義を感じない人です。同じことを繰り返さなければそれで良い。だから、この映画も特に感じ入ることもなく、普通に歴史のビューポイントがひとつ増えたという感想です。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2009-12-23 23:37:12)
17.  イル・ポスティーノ 《ネタバレ》 
褒めている人がたくさんいるので少し言いにくいのだが、あのイタリア南部の島の自然に何も感じなかった。最近の映画で目にする沖縄の自然の方がよほど美しく見える。あの詩人はそこに感銘を受け、その中で長年暮らしてる郵便配達のおっさんに興味を持ったように見えたので、この行き違いは致命的。さらに、自分は詩に感動したことが無い。広告のコピーなどには何度も感動しているけど、詩は苦手。これも痛い。つまり、まったく自分向きの映画では無かった。でも、ただの穀つぶしに見えるおっさんが、エキゾチックな美人を、詩を贈ってゲットしたのには驚いた。気の利いた詩をいくつか暗記しておけば、いつかきっと使える。自分が覚えているのは、奥の細道や平家物語の冒頭くらい、って詩じゃないし…。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2009-08-11 00:55:26)
18.  トスカーナの休日 《ネタバレ》 
トスカーナで知り合った人たちに囲まれて、離婚の傷心が癒えて、人生の意味も再発見して、めでたしめでたし。トスカーナ地方の必然は、陽気なイタリア人と、風光明媚な風土といったところか。ダイアン・レインが好きなので悪く言いたくないんだけど、浅いなぁ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2009-05-30 14:50:07)
19.  永遠<とわ>の語らい 《ネタバレ》 
文明遍歴パートと会話パートは、淡々としているものの妙な味わいがあって楽しく観ていたんだけど…。あれは普通では考えられないラストシーンだ。演技や台詞や音楽の枠をはみ出したところでメッセージが発せられていて、普通の鑑賞態度で臨むと違和感が残るというのがノーマルな意見だと思う。過去に栄えた文明、その残骸、現代の日常などを辿った上で、突然に襲来するテロ行為を見せることで、過去の文明破壊行為と比較しようという意図なのかな…。ローマやギリシャ、トルコ、エジプトといった土地の歴史的意義に精通していればもっと深入りできるのかも知れないが、自分はメッセージを受け取る前に対応に困って前に進めませんでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2009-04-22 07:53:03)
20.  それでも生きる子供たちへ 《ネタバレ》 
子供をテーマにしたオムニバス。記憶のあるうちに簡単に記しておく。ゲリラをやっている子供。虐待を受けていた少年院の子供。両親がエイズを発症している子供。廃品回収で自活している子供(兄妹?)。戦場で生きている子供たち。盗みを働く子供。両親が離婚しそうな富豪の子供と親に捨てられた子供。それぞれに点数を付けると、6・3・7・6・4・2・5。平均を四捨五入すると5点ですが、子供たちを苛む色々な環境をみせてくれた全体構成にプラス1点。問題提起くらいしかできない20分前後の尺で、かなりの密度の作品もあれば、平均点を下げている作品もある。よく分からないのもありましたが、それぞれのお国柄が出ていてバラエティに富んでいます。日本の監督が参加していたらどんなテーマを選んだことやら…。この邦題はかなり考えたと思うけど、自分はもう少しストレートに訳した方が良かったと思います。ほとんどの作品が言わんとしていることは、過酷な環境の裏側にいる「見えにくい子供たち」です。日常的に報道などで他国の様子は目にするけど、その向こう側にあんな子供たちがいることは自覚できない。頑張ってる子供たちを見せるための映画とは思わなかったです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-02-24 03:22:45)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS