1. 穴(1960)
《ネタバレ》 ひりつく程に緊張感のある映画は数あるけど、この一編はリアリティーを追求したが為の重さが違う作品になっていると思う。 脱出するための穴をひたすら掘る、掘る、掘る。太い鉄柵をヤスリで削り切る、切る、切る。又、一つ一つの作業内容を克明に見せる所等、無駄にさえ思えるシーンも、見終わってみると全てに意味がある事がわかる。そこには一切の音楽を廃し、代わりにコンクリートを打つ音、鉄柵を削る音だけが延々と続き、これ以上の効果音は無いだろう。この映画で唯一の街のシーンは終盤のマンホールから顔を出すシーンだけど、あれは本当にシャバの空気を感じた。 表情も無く淡々と職務を遂行する看守に対し、寡黙ながら人間らしい表情の5人の囚人たちが生き生きと描かれている所も感情移入させられた。 しかし、ガスパールという主人公は一見育ちが良い若者の様だが、それまでやってきた事はかなりの下衆野朗だと言う事が所々で見て取れる。それだけにあのドンデン返しのシーン直前のガスパールの表情にも騙され、そしてなる程と思わされた。いや、あの時点ではまだ仲間に対して複雑な思いがあったのだろう。更に所長との2時間の話は一切省かれているのであれこれ想像するだけなのもフランス映画らしい。 それにしてもラストの覗き鏡に突然映し出された大勢の看守には度肝を抜いた。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2020-08-21 01:27:13)(良:1票) |
2. ノスタルジア
《ネタバレ》 映像は絵画のように美しく会話は総じて詩的だ。死が近いと悟っているアンドレイと永遠の命を欲しいと思っている狂人のドメニコの対比。監督のタルコフスキー自身を投影させた作品ということだが、本人もこの数年後に亡くなっていることを考えると感慨深いものがある。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-02-21 00:25:13) |
3. 荒野の棺桶
黒澤明の「用心棒」に端を発する典型的なマカロニウェスタンですな。 中学生の頃夢中になって見たマカロニウェスタンなので今でもたまに見ますが、正直な所ご馳走様という感じでしょうか。 ただ、このタイトルは誰が考えたのでしょう。「荒野の棺桶」。笑ってしまうようなこのタイトルに敬意を評しての評価とさせていただきます。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-11-07 00:08:29) |
4. 自転車泥棒
《ネタバレ》 重たい映画でした。たんたんとただ事実のみを見つめるカメラがこの親子を捉えます。その中で主人公の父親は執念の自転車捜索をしますが普通なら子供は連れて歩かなくてもいいように思います。しかしこの映画にはこの親子がまたいいのも事実。ところでこの親子を演じた二人は素人だとのことですが、素晴らしい演技でしたよ。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2013-02-17 00:13:06) |
5. ライフ・イズ・ビューティフル
《ネタバレ》 物語は平和な時代から強制収容所という地獄の時代まで、そして再度平和な時代に戻るまで続きますが、主人公グイドのひょうきんなキャラは最後まで変わらず久しぶりに感動する映画を見ました。はじめはナンパ師として、その後は家族を守るため、特に子供に不安な思いをさせないためのひょうきんな行動は、彼なりの戦いの形であったと思います。すべては家族のためだと。私もあらためて男の家族に対する生き様を考えさせられました。 [地上波(字幕)] 9点(2012-02-01 23:46:57) |