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Cinecdockeさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 936
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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1.  消えた声が、その名を呼ぶ 《ネタバレ》 
「娘に会いたい」。 処刑から生き延びるも声帯を切られ声を失った父親が地球半周を渡り歩き、生き別れの娘たちを追う8年間。  シリアスドラマからコメディまでジャンルを分け隔てず活動する、 ファティ・アキンのフィルモグラフィーの中では最もスケールが大きい。 1910年代のオスマントルコによるアルメニア人虐殺を題材にしたあたり、 加害者のトルコをルーツに持つ監督の思いはあるだろう。  アルメニアはキリスト教を国教と認めた初めての国であり、 オスマントルコでも富裕層として成功して政治にも関わる影響力があったものの西ヨーロッパとの関係を強固にしたことで、 オスマントルコ側のムスリムとしてのアイデンティティーが脅かされる恐怖が虐殺の背景にあったようだ。 これがアルメニア人のディアスポラになった。  信仰で救われることなく強制労働で次々に倒れていく同胞、生き残るためなら簡単に棄教する現状を目の当たりにし、 死にかけの義姉を手に掛けなければならない苦しさに、宗教がどれだけ愚かで虚しいものであるかを突き付けられる。 避難先のアレッポで初めて見たチャップリンの無声映画に自分の境遇と重ね合わせ、 娘たちが生きていることを知って、生きることの根源を取り戻していく。 たとえ盗みも暴力も働き、獣に墜ちてしまおうとも、死ぬわけにはいかないという執念。  いくらでも傑作になりえた題材なのに、国家の罪と罰をストレートに描かなければならないわけではないが、 最終的に単なる親子の感動ドラマにスケールダウンしてしまったのが惜しい。 娘と再会するまでの過程が終盤につれて偶然で片付けられていく脚本の杜撰さが鼻につくし、 心震わせることなく次第に冷静に見てしまいました。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-09-08 23:20:15)
2.  8 1/2
レジェンドの映画監督たちがマイベストに挙げているように、自分事として刺さるのだろう。 傲慢で繊細な映画監督の逃げたくても逃げられない立場の重さによる現実逃避。 本人の意思とは関係なく映画製作が進み、まずます混沌に拍車がかかるあたりとか、 「映画とは何か?」を問うた草分け的存在として今後の映画史に多大な影響を与えたのは事実。  普通はこんな奇をてらう映画は観客に受けるわけがないと思いつつも、 コントみたいな結末に名作たる理由はなんとなく分かる気がした。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-08-15 00:25:09)
3.  ヒトラー 最期の12日間 《ネタバレ》 
ヒトラーとナチス・ドイツを絶対悪として描かず、崩壊までを事実に沿って淡々と描き出した姿勢を評価。 冒頭の温厚な紳士のヒトラー、敗戦濃厚でひたすら憔悴し滑稽にも見えるヒトラー、 そこにはモンスターではなく、どこにでもいる人間だからこその恐ろしさ、狡猾さ、弱さを秘めている。 如何に残虐非道な戦争犯罪を起こしても、負けてしまえば悲惨な運命を辿り、禍根を残すことはどの国でも同じ。 アイデンティティ・クライシスから逃れるための自己保身から生まれる、 信じたくない、認めたくないと引き下がることもできず、深い傷を負うさまは、 今日のネット社会における政治クラスタやウクライナ侵攻のロシアと重なる部分があった。 そういう意味ではラストのユンゲの言葉は必要だったと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2022-10-12 22:06:11)
4.  麦の穂をゆらす風 《ネタバレ》 
アイルランドの歴史を知らないとかなり厳しい。ドラマティックな展開もないまま淡々とシビアに、自由を勝ち取ることにどれだけの代償と犠牲を払うかをリアルに突き付ける。妥協するか、完全な独立のために戦うかで自ずと引き裂かれていく兄弟の悲劇すらも。イギリスのEU離脱によってアイルランド統一の可能性はあるが、その"続編"は見てみたい。
[DVD(字幕)] 4点(2021-12-09 21:32:44)
5.  女は女である
もう60年前の映画なのか。古臭さは否めないものの、遊び心あふれる演出とアンナ・カリーナの魅力で全編瑞々しい。ゴダールらしい難解さはほぼ皆無、コメディテイストの敷居の低い映画に仕上がっていた。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-02-06 09:58:03)
6.  5時から7時までのクレオ 《ネタバレ》 
シャンソン歌手の心の機微を90分のコンパクトさでリアルタイムに描いた作品。あれよあれよとイベントが押し寄せてくる違和感があるが、映像と演出はたいへん瑞々しく、アルジェリア戦争のニュースがラジオから流れ、当時の空気が感じられる。死への不安を募らせ、親しい人すら理解してくれない苛立ち。逆に会ったばかりなのに死と隣り合わせの軍人に出会ったことで前向きに変われたのは皮肉に感じた。癌だと分かったとしても運命を受け入れたかのような安堵が余韻を生む。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-01-01 20:57:39)
7.  最後の晩餐(1973) 《ネタバレ》 
一部の映画通から噂になっており、それから10数年・・・。レンタルや配信では待ちきれず、ついに見てしまった。かの問題作『ソドムの市』(未見)と比較されるが、鬼畜で猟奇的な要素がない分、幾分マシではないか。現代の視点からでは、過激な性描写は大したことなく、乱交、嘔吐、排泄など直接的には描いてない。確かに幾分"マシ"ではあるものの、後半、甘く見くびっていた。トイレの配水管が壊れて、糞尿塗れになる画(ブルーレイでより鮮明に)、ミシェルとウーゴの壮絶な死に様に、締めのおっぱいババロア・・・もう呆れて笑うしかない。しかし、それより精神的にクるのは食べ物に対する向き合い方だ。人生に絶望しているというより、"人生を持て余している"。だからこそ、自分本位で食べ物を粗末に扱うことも厭わない。「インドで飢えている人を思えば食べられる」なんてその極地だろう。奇才と名優4人による"豪華な悪趣味"。現代の分断を見るに、むしろ吸引力を感じさせる問題作なのではないか。身の振り方を弁えよう。上級国民もできればの話であるが。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-12-17 21:23:28)
8.  ある過去の行方 《ネタバレ》 
二番目の夫が始末をつけるために元妻のいるフランスに到着する冒頭からの演出、 お互いに何を喋っているのか、その空白が不穏な空気と意識のズレを作り出す。  根幹となるのは三番目の夫となる男の前妻が何故自殺未遂を図ったのか。 その過去を調べれば調べるほど、全員が不幸になっていくスパイラルに陥るのは、他のファルハディ映画と同じ。 過去と未練に縛られて誰もが面倒臭くて被害者意識が強い。 酔っているとさえ思えてくる、演出上の作為が透けて見えてしまうのは欠点か。 フランスが舞台なのだから、もっと自由に撮れば良いのに。監督は本当に生真面目なのだろう。
[DVD(字幕)] 6点(2020-05-19 01:04:09)
9.  太陽がいっぱい
先にリメイク視聴済。緊迫感あふれるサスペンスより、犯罪青春映画という側面が強い。台詞が少ない分、アラン・ドロンの抱えている灼けるような野心と月夜のような深い闇が際立つ。陽を浴びる側になった青年に訪れる、まさかの呆気ない幕切れが鮮烈。
[DVD(字幕)] 6点(2020-04-28 18:27:14)
10.  ある天文学者の恋文 《ネタバレ》 
トルナトーレは『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』くらいしか見ていなかった。父娘ほどの年の差遠距離恋愛ものかと思いきや、まさかの教授死亡。その後、彼女の行動を見透かすかのようにビデオレターが次々と封筒で送られてくる・・・。どういうどんでん返しがあるのか引っ張られるわけだが、良く言えば恋人を失った若い女性の自立物語、悪く言えば回りくどいオッサンの妄想垂れ流しである。しかも不倫で秘密裏に彼女の過去を探っていたのだから尚更。彼女を立ち直らせたいのであれば、聖域に立ち入らず、弁護士に遺品等を預けて潔く身を引くべきなのに、これでは映画にはならないから、結局気持ち悪い展開をダラダラ続けていくことになる。女はそこに疑問すら感じない都合の良い人形のよう。監督の"素敵な恋愛"、昔ならともかくいくらなんでも時代遅れとしか言いようがない。温故知新というものを失い、自分自身に酔っているようだった。
[地上波(字幕)] 4点(2020-04-16 00:06:12)
11.  ベニスに死す 《ネタバレ》 
テレビ放送のため、かなり削っていると思うが何てこともない。枯れたオッサンが有望な美少年に恋心を抱くだけの話。互いを意識しているのか、一方的なだけなのかニアミスしたまま映画は終わる。正に憧れで終わるあたりに、凡庸な芸術家のまま人生を終わっていく醜い中年と、手の届かない世界に漂う少年の美の対比が際立つ。上流社会の退廃的美学を被せて、これぞ芸術と名作らしく見せているようで底が浅く見えるのは、学の足りない自分がその境地に至っていないからか。ここまで徹底して、何も手に入れられなかった老いぼれが醜く描かれると長生きしたくない。
[地上波(字幕)] 4点(2020-03-21 00:30:15)
12.  2人のローマ教皇 《ネタバレ》 
バチカンを舞台にした、新旧ローマ教皇の小品な会話劇。これだけ見ると堅苦しい題材であるが、ジョナサン・プライスとアンソニー・ホプキンスのベテラン二人による自然体あふれる好演と、ユーモラスな台詞の応酬が心地良い。保守派と改革派の対立する二人に及ぼした背景と、犯した重い罪による苦悩、そして再生までを丁寧に描く。お互いに影響を受けながらも氷解した関係になり、ファンタ片手にピザを食べたり、W杯中継に興じるシーンが微笑ましく、彼らもまた完璧ではないどこにでもいる人間なのだと親近感が湧く。軍事政権下のアルゼンチンの混沌とスラムの貧困描写は監督らしい。来日した現教皇のスピーチに違和感を持った人は少なくないと思うが、会社もトップも変化の意思がなければ社会も人も変えられないし、誰もが自分の世界に引き籠っている"無関心のグローバル化"への警鐘は、本作を見て説得力はあったと言える。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-01-05 10:09:28)
13.  ゴモラ 《ネタバレ》 
現実のマフィアには美学も仁義もない。あるのは、よれよれのシャツを着た汚らしい中年男が御山の大将気取りで犯罪行為で生計を立てているに過ぎない。ハリウッドのセレブ愛用のイタリア製ドレスが実は中国からの不法移民によるものだとか。メイド・イン・ジャパンの100円グッズをありがたる日本からすれば笑えない。外国人労働者を安くこき使えばそれも日本産だからだ。『スカーフェイス』に憧れる少年二人も愚かそのもので、死体を天に掲げるブルドーザーが、旧約聖書に記されたゴモラに対する皮肉に思えた。暴露した作者は現在も警察に保護されているという。先進国ですら一歩道を踏み外せばこんな世界があり、声をあげてもかき消される現実。今日もテレビには、上っ面のナポリが映し出されている。
[DVD(字幕)] 6点(2017-11-27 20:02:54)
14.  息子の部屋 《ネタバレ》 
変に感動を盛り上げることなく淡々と綴っていく作風のため、拍子抜けするならともかく、息子を失った家族という普遍的なテーマから新しい発見や衝撃が見つからない。息子の友人をフランスの国境まで送って、家族は喪失を受け入れることができた。それは分かるけど、もっと踏み込める部分はあったのではないか。全て想定内で終わってしまっている。と言いながらも、棺桶の蓋をバーナーで封じ込めるシーン、もう戻れないと分かっていながら息子を海に行かせず一緒に走る妄想シーン、英語歌詞のスローテンポな主題歌"By This River"が心の片隅に残って、どうも凡作扱いにはできない何かがある。
[DVD(字幕)] 6点(2017-08-02 22:55:55)
15.  輝ける青春 《ネタバレ》 
もう一つの『1900年』と呼んでいいかもしれない。中流家庭の40年史の割に歴史に翻弄されるというわけではないが、それでも左翼活動にのめり込む妻に、複雑な弟の自殺と波乱万丈で、一度バラバラになるも再生していく過程を丁寧に掬い取る。流石に後半40分くらいは睡魔でウトウトしてしまったが、弟の幻影が主人公と弟の妻を祝福するシーンが美しく心に沁みてくる。序盤のシーンに立ち返る結末にしみじみ。大河小説を読み終えたような充実感は相当なものだ。
[DVD(字幕)] 6点(2017-07-03 19:38:35)
16.  1900年 《ネタバレ》 
ベルトリッチの代表作は『ラストエンペラー』よりこちらじゃないか。ファシズムの盛衰を5時間以上かけて、一気に描いた演出力には舌を巻く。政治色が強く見難いように見えて、メロドラマをふんだんに盛り込んで見易い。かと思えば、農村の営みと紙一重なエログロもふんだんに盛り込んで見難くて、どっちなんだか。DVD化に時間がかかったのは児童ポルノ要素が少なくないからで、土を掘って腰を振ったり、裸マントで"皮"を剥いたり、男児犯してジャイアントスイングで殺害とか今だったら撮影不可能だ。最初見たときは社会主義礼賛かと思ったが、極端な政治思想に支配されると、賢さを放棄した労働者層の不満が爆発して対極の思想に傾くのはどの国もどの時代も同じか。ドパルデュー、デ・ニーロ、ドミニク・サンダが物語の中心にも関わらず、ドナルド・サザーランドの怪演が衝撃的すぎて彼しか印象に残っていない。いずれにしても今日の大作より、真に大作していた。もう色んな意味で似た映画が撮られることはないだろう(モラル的な意味で)。
[ビデオ(字幕)] 7点(2017-07-03 19:35:49)
17.  ニュー・シネマ・パラダイス
"映画の魔法"というものがあるなら、正にこのことだろう。数少ない村の娯楽であり、情報源であり、外界への扉でもあった映画館と、映画と共に育った村人たちの悲喜こもごもが一体となった共有感が郷愁としてスクリーンに宿っているようだ。娯楽の多様化で時代に取り残され映画館が廃れていくさまは、テレビ、ビデオ、DVD、ネット配信といった飽和した映像の歴史そのものである。しかしながら、如何に形態が変わろうとも、良い作品は何十年も残る。たとえミーハーが群がるだけの娯楽大作だとしても、一部の批評家しか絶賛しない高尚な芸術映画だとしてもだ。全ての映画に捧げた例の結末は反則としか言いようがない。
[DVD(字幕)] 8点(2017-07-03 19:33:31)
18.  ホテル・ルワンダ 《ネタバレ》 
ルワンダの大虐殺は、事件から10年後の『シンドラーのリスト』のドキュメンタリーで初めて知った。それほど日本にとって遠い対岸の火事に過ぎなかったのだろう。感動系よりはサスペンス寄りで、如何にして多くの人を救ったのか、決して綺麗事ではない強かさと駆け引きで切り抜ける。もし主人公夫婦がどちらか同じ部族だったらホテルマンにしてもこうはいかなかっただろう。植民地時代に白人によって分けられたツチ族とフツ族。外見が同じ黒人でも微妙に違う。そこに世界の無関心が集約されている。リアルタイムで知ったところで何もしてあげられないし、募金が着服されたり、下流のために中流のしわ寄せを恐れる日本人気質からすれば、どうでも良い問題なのではないのか。社会問題をかじっただけでそれ以上は踏み込まない。上映運動しようが、今更知ってももう手遅れだ。
[DVD(字幕)] 5点(2017-04-28 19:25:11)
19.  コーヒー&シガレッツ
ジャームッシュ初体験。ブラックコーヒーと煙草をガバガバ味わう人には堪らない映画だろう。白黒の室内で繰り広げられる他愛の無い会話に、大きな山場もなく終わる、ハリウッドとは真逆のスタイル。オムニバス形式のため、どこが面白いかは人それぞれ。RZA絡みがちょっと面白かったが、退屈で合わないかも。偶然テレビで流れていたから見た程度で丁度良い。
[DVD(字幕)] 4点(2017-04-28 19:21:28)
20.  ノー・マンズ・ランド(2001) 《ネタバレ》 
戦闘シーンがほとんどない、極めて限定的な舞台なのに、却って濃密になり、愚かな戦争への皮肉が効いてくる。 ユーゴスラビア崩壊から民族独立運動が始まり、泥沼の内戦に陥るも膠着状態のままモヤモヤに終わったあの感じ。 ボスニアもセルビアもマスコミも国連も、それぞれの思惑が働き、 巨大組織の特性で身動きが取れないまま、後味悪く去っていく。 除去できない地雷を背に動けない兵士を残して。 そしてカメラも彼を見捨てるブラックさが何とも。 今の世界情勢だからこそ、より強烈に響く。  無力な個人が集合しても組織とはかけ離れた大衆でしかない。 そんな大衆を扇動するモンスター組織が暴走すると性質が悪い。
[DVD(字幕)] 8点(2017-02-28 23:38:37)(良:2票)
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