1. ナージャの村
ベラルーシのとある村の日常が、静かに描かれています。まさに、それだけ、です。なんの変哲も無い村なのですが、普通とは異なった点が。それは、住人の数が奇妙に少ないこと、村の入り口の道にはゲートが設置され、監視下におかれていること。そして、これは目に見えないのだけれども、かつてのチェルノブイリ原発事故により、放射能汚染されていること・・・。このドキュメンタリー映画は、原発をことさらに非難しようなどという姿勢は見せていません。ただ、かけがえのない「日常」、おそらくはいずれ近いうちにこの地上から姿を消すであろうある村の「日常」を、淡々と記録しています。視点は冷静、克明ですが、その背景に何か、いとおしむような感じを受ける映画です。文明をより享受している我々日本人の方が、本来なら原発とは密接な日常を送っていそうなものなのに、たまたまチェルノブイリと「距離的に近かった」彼らの方が結果的に、取り返しのつかないまでの影響を受けているとは、皮肉な話です。しかし、この透き通るような映像を見るにつけ、「現在」の大事さというのも強く感じ、「観る」という行為自体を、改めて強く意識させられます。・・・とは言え、一番強く印象に残っているのが「パンチラ」と「豚の丸焼き」とは、我ながら情けない。とほほ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-03-31 22:57:39)(良:2票) |