1. ナイト ミュージアム2
《ネタバレ》 これはダメです。前作で見どころだった展示物とベン・スティーラーのコミカルなやり取りと、父親として夜警という仕事を全うしたいという思いは影を潜め、新しい展示物たちの俗物ぶりが度を越していて興ざめです。スミソニアン博物館と聞いて原爆がネタにされるのかと思いきや、意識して避けたのか、それも一案だったのか、落ち着かない気持になりました。 [DVD(字幕)] 3点(2012-02-04 14:42:51) |
2. エンジェル ウォーズ
『Sucker Punch』のタイトルまでの運びだけでもザック・スナイダー作品であることがわかる幕開けです。精神病棟からの脱出する過程で遭遇する障害を架空の4つの戦闘シーンで置き換えられ、『ガンスリンガー・ガール』という戦闘美少女の花形マンガを実写化したような映像のオンパレードが本作の見どころ。これを評して妻は、ストーリーのないドンパチもののテレビゲームを見ているようで何のカタルシスも感じない。アクションだけで演技力を必要としない作品は映画ではないと切り捨てて寝室へ引っ込んでしまいました。これもまた事実であり、萌えゲーの主人公と同じくご都合主義全開の展開に超受け身になってしまう自分を感じます。が、ドンパチやってりゃそれでいい作品を欲していた私としては楽しめました。また、Pixiesの「Where is my mind」、Bjorkの「Army of me」などの挿入歌が戦闘シーンの高揚感に花を添えています。 [DVD(字幕)] 8点(2011-11-19 15:12:33) |
3. 300 <スリーハンドレッド>
噂に違わぬ殺陣シーンの華麗さです。原作コミックは未読ですが、あらゆるマンガ的カットを映像化する強い意欲を感じました。日光をも覆い隠す大量の矢、敵の進路を変えさせるために築いた死体の壁、妖術を用い怪物を従えて迫るペルシア軍。常人の目ではついてゆけない超人的な槍さばき、剣さばきはスローモーションによってよりカッコ良く、かつ誰の目にもわかるように映され、血しぶきも「べっとり」ではなく墨汁のように「あっさり」と映され、映画史上稀にみる殺人数であるものの胃もたれしません。マンガ『ベルセルク』を映像化したらこんな感じなのかもしれません。300人が100万人に挑むというキャッチコピーこそマンガ的な表現そのものですが、これを徹頭徹尾、説得力を持たせて映像化しているのだから凄いものです。あらゆるマンガ的シーンを映像化した点で評価される作品です。私のザック・スナイダーへの信頼はより強固なものになりました。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2011-11-19 15:10:42) |
4. ノーウェア・ボーイ/ひとりぼっちのあいつ
焦燥感を煽るタイトルとジョン・レノンの少年期を扱った作品との触れ込みから、孤独な少年が行き場のない感情を音楽で表現してゆくうちに才能に目覚めるまでを描いた青春モノと想像していましたが、かなり趣が異なりました。史実かどうかはわかりませんが、作中で描かれるジョンは厳格な育ての親の元で成長した彼はひとりぼっちでもなんでもなく、偶然出会った育ての親の影響でエルヴィス・プレスリーなどロックンロールを知り、バンドを組んでライブをするうちに女子にもモテ出し虚勢を張ることを覚えたそこらへんの軽そうなバンドマン、という姿でした。本作の核は音楽ではなく、ジョン育ての母と産みの母を受け入れるまでが物語となっています。しかしながら家出したかと思いきや自室のベッドで朝を迎えて気まずそうな顔で母と顔を合わせたり、ねだってギターを買ってもらったりと、劇中のジョンは私が持っている孤高の天才というイメージとはかけ離れており、ある意味彼も普通の人間だったのだなと思わせられました。ビートルズ周辺を愛する方にはこれ以上ない作品かと思いますが、出自をめぐるドラマに感情移入できず、この時代にさしたる関心もない自分には退屈な作品でした。唯一、2人の母と共に日光浴するシーンは素敵でした。やはりタイトルは改め『マザーズ/ジョン・レノンと二人の母』としてはどうでしょうか。 [映画館(字幕)] 4点(2011-04-23 12:13:55)(良:1票) |
5. JUNO/ジュノ
《ネタバレ》 16歳で望まない妊娠し出産するまでを描いた現代風の映画として観ると強烈に不満な出来の映画ですが、少女が愛を見出すまでを描いたコミカルな青春映画として観れば、そこそこの出来だと思います。終了15分前までは前者の映画とみなして耐え忍ぶ鑑賞を続けていましたが、里親となるはずだった夫婦が離婚する場面を目撃し、ジュノの父親に向かって「愛し合う2人が永遠に一緒にいることはできないのか」と問い、「外見や性格ではなく、自分にとっての太陽だと言ってくれる人と一緒になりなさい」と諭す場面でやっとこの作品がのみこめました。軽いノリでセックスをしたため、事の以前に意識するはずだった恋に本気になるのはクールではないと決め込んでいたジュノが、自分に宿った新しい命と9ヶ月間過ごすことで、恋と「誰かと一緒にいること」が一気に結びつく場面です。ジュノは出産し、里親となるはずだった夫婦の離婚した妻に子を渡し、お腹の子の父親とよりを戻しめでたくハッピーエンド。恋をしている自分を認め、その思いを伝えることでひとつ強くなれた姿をサブカル感溢れる音楽に載せて贈る青春映画です。でもなんだかなぁ。それを語るための装置として望まない妊娠と養子縁組をフィーチャーするからには相当の覚悟ありやと思いきや、全編に渡るあっけらかんとした軽さは何なのでしょう。シリアスなシーンになるかと思うとすぐに軽妙な音楽が掛かって場面転換。ここまで徹してライトに描く必要が全く理解できません。昨夜見た韓国のドキュメンタリーで、抗がん剤の痛みに耐えながら末期がんのシングルマザーが2人の幼い子供を必死に育てる姿を観たせいか、ジュノというタランティーノばりにしゃべり続ける皮肉屋女子高生のその場をやり過ごすための空疎な言葉の連なりは当事者感が欠落していて、とても比べられるものではありませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-03-26 22:58:22)(良:1票) |
6. ジャンパー
おもしろくありません。主人公に喜怒哀楽がなさすぎでついてゆけません。高校時代に好きだった女の子との再会にせよ、見捨てられた母親と再会にせよ、自分以外にジャンプできる人間と会った時にせよ、非常に淡白な反応しかなく、また、彼が「ヤバい!」と感じるレベルが極めて低いために「それぐらい考えとかんかいアホたれ」と苛立つ場面が多いのです。喜怒哀楽のない人間の不気味さを描く作品ならまだしも、本作はキャスティングと演出に根本的な欠陥があると言わざるを得ません。 [DVD(字幕)] 3点(2011-02-27 13:06:26) |
7. ブラインドネス
《ネタバレ》 原作既読です。人類ほぼすべてが失明するという状況を文字で巧みに表現した優れた原作をいかに映像で語るのかを期待しましたが、ちょこっと画面が白む程度。冒頭、一番初めに失明する日本人の演技からして目も当てられず、フェルナンド・メイレス監督が目隠しして撮った映画としか思えません。物語の筋書きを知っているものとしては、観るべきものはありませんでした。 [DVD(字幕)] 2点(2010-12-11 13:12:05) |