2. シティ・オブ・ゴッド
《ネタバレ》 ごめん、ブラジルといったら、仕事もせずにサッカーばかりして、能天気にサンバを踊っている奴らばかりだと思っていたら違うのね・・・・じつはもっとひどかったのね(苦笑) 南米特有の陽気さを持っている連中ですが、とにかく怖い。なにが怖いかって、話し合いが通じないことです。 ロナウジーニョみたいな陽気な顔をした連中が、笑いながら銃の引き金をひいて人を殺す。そういう街なんです。 横で、ぺちゃくちゃと喋りかける男がいたら、「お前、ちょっとうるさいよ」と言って、あっという間に銃で殺してしまう。 普通はうるさかったら、「うるさいから静かにしろ」と忠告を出します。乱暴な男がいても「静かにしないとぶっ殺すぞ」と最初に警告をするはずです。しかしこの街の住人は、そういう面倒な警告を、いっさい出さない。言葉が出るよりも、先に銃が出てくる。まさに問答無用。この街では、「殺すぞ」「助けてくれ」というありきたりなコミニケーションは存在しない。気がついたときは墓場の中。「あれ、オレはいつ殺されたっけ?」と、あの世で言い出す奴が大勢いそうだ。老人の映像が映し出されると、「え?なんであんたはその歳までこの街で生きてこられたの?」と驚くことができる。そういう街なのです。 子供だって平気で殺されるし、子供のほうも平気で大人を殺す。観客は結末は知らなくても、リトル・ゼが100%の確率で殺されるということを自信を持って予測できる。彼が、この街で、1日でも、いや1時間でも、まだ生きていられることが不思議に感じられた。リトルゼを殺した子供たちは、他の友達に、「今、そこでちょっとリトルゼを殺してきたよ」と、何のためらいもなく自慢するだろう。 [DVD(字幕)] 7点(2006-12-02 22:24:31)(良:1票) |