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221.  日本沈没(1973) 《ネタバレ》 
表層的で煽情的なパニック映画とは一線を画くするSF小説の原作の良さを十分引き出している。特撮ドラマでは最高のレベル。 日本列島沈没という大災害を未曽有の規模で描く原作に対して、小手先ではなく、真正面から立ち向かって、武骨ながらも誠実に描こうという映画製作者の心意気が画面から伝わってくるのが嬉しい。役者の演技も熱がこもっている。 前半は田所博士と小野寺操縦士の活躍を中心に、科学的アプローチで日本列島が沈没するという恐怖を徐々に煽ってゆく。そして東京大震災発生、この特撮はとりわけ見事だ。多くのカットが丁寧に作りこまれていて好感が持てる。後半は山本総理を中心に、1億1千万人もの国民をどうやって国外脱出させるかという大難問を扱い、同時に特撮で、沈みゆく日本列島の様子を畳みかけるように見せる。観る者に国土喪失という民族の悲劇が重くのしかかり、日本民族のアイデンティティを問う重厚な内容になっている。概ね満足であるが、脚本に雑な部分があるのが難点。挿話と挿話が有機的に結びついていないのだ。最大の功労者である田所博士は途中からばったりといなくなり、最後に渡老人宅で偶然に総理と再会する。小野寺と玲子の恋愛は最初は濃厚に描かれていたが、小野寺がD1計画に加わってからは玲子が出なくなる。小野寺は会社にも家族にも婚約者にも一切連絡しないという不思議な行動をとる。小野寺と玲子は再会するが、これも偶然に大阪の町でというご都合主義。その後二人は愛を確認し、結婚と国外脱出を決意するが、玲子が火山噴火に遭遇して会えなくなってしまう。すれ違いの愛だが、その後登場場面が少なく、お互いを思う気持ちが伝わらない。これは非常に残念なことだ。愛が描けていれば名作になりえた。小野寺の同僚が、失踪した小野寺に対する心配と友情とで小野寺を殴る印象的な場面があるが、そのあと出演しないというちぐはぐなこともある。後半、端折りすぎるきらいがある。避難する人達の群像劇や心理、難民を乗せた船や飛行機の場面をもっと多く出したら大作感がでただろう。政府・科学者側の上から目線ばかりで、民衆の声や心が届かないうらみがある。加えて、何度も映る日本列島のミニチュアが本物に見えないのは残念だ。前半は10点、後半は6点。
[DVD(邦画)] 8点(2013-09-22 01:06:58)(良:1票)
222.  Re:プレイ 《ネタバレ》 
病院で目覚めたサイモン(S)は過去2年間の記憶を失っていた。クレアという美貌の女性が現れ去っていくが、彼女は兄の婚約者だと後でわかる。妻のアナが現れ、Sの兄を殺したのはあなただと告げる。ショックを受けるSだったが、気がつくとそこは2年前の世界だった。謎が謎を呼ぶ展開は好意が持てた。特殊効果を加えた映像による心理描写は秀逸。欠点はサスペンスにこだわりすぎて人間ドラマが希薄であること。恋愛に絞ればよかったのに。残念。 ◆それにしても大変わかりづらい映画。2度観ないと理解不能でしょう。ラストで種明かしがあるが説明が必要。改変された未来である2002年のSの自宅。兄は生きていて、Sを寛容に受け入れる。S持参のワインボトルを置くが、そこには何本ものワインボトルがある。これはSが持参してきたもの。つまり同じことを繰り返しているのだ。父の写真があるが、その顔は2002年の事故時の担当医ニューマンだ。つまりすべてはSの妄想で、父の面影を医師に投影したものだった。Sも兄も兄の婚約者のクレアも2000年の交通事故ですでに死んでいる。Sの妻アナは看護師を投影させた架空の人物に過ぎない。それでも時間のループは終らない。兄のうんざりした顔。「俺たちはみな死んだんだ」Sは今度はうまくやると言う。Sはまた2002年の事故直後から架空の人生をやり直すのだった。 ◆2000年での行動が2002年に反映されるのがポイント。何とか兄の命を救おうと過去を改変するが結局はうまくいなかい。運命は変えられないのだ。不幸なうちに人生を閉じた三人の残留思念が病院に残って妄想を観させているのだろう。 【疑問点】 ①Sに危害を及ぼそうとする医者の恰好をしたマスクの男は誰か?強迫観念の賜物か。何の説明も無いのは不親切というもの。 ②クレアは2000年事故で一緒に死んだのか?そうだと推測されるがはっきりとは示されていない。 ③Sは天窓から落ちた兄を車ごと崖から落とそうとするが、その理由が不明。警察には兄があやまって転落したと説明すればよいだろう。完全に息の根を止めようとしたのだとしても放置しておけば済む話だ。 ④2度目にSは天窓から落ちた兄を病院に運ぼうとする。何故救急車を呼ばないのか?死んで判断能力が減っているためか。 ⑤2002年の事故の経緯はどのようなものか。Sが自宅をリフォームしようとして塗料の毒を吸ったのが原因か?全てが妄想であるなら、何でもアリだが。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-29 16:50:13)(良:1票)
223.  小さいおうち 《ネタバレ》 
女中タキが、奉公先の平井家の時子夫人と、平井の会社の若手社員である板倉の不倫を目撃する話。徴兵検査丙種合格だった板倉にも召集令状が届き、時子が会いに行くのをタキが世間に関係が知れるからと止める。その代わり自分が手紙を届けるからと手紙を書かせるが、届けなかった。その後、タキは田舎に帰り、平井夫婦は空襲で鬼籍に入る。満州事変、支那事変、大東亜戦争と戦争が拡大しても、戦争なんてどこか他人事だった時子とタキの明るい暮らしぶりに新鮮味がある。この暮らしが戦争の拡大により崩壊していく様子を描き、反戦の意を伝えている。但し、低予算の為、当時の東京の様子は写真以外、一切出て来ない。空襲もおもちゃによる特撮で、セットも最小限。こじんまりとした映画だ。タキは時子への贖罪のためか、生涯結婚しなかった。そして、自分は長生きし過ぎたと号泣する。悲しい物語だが、感涙を催すほどの感動はなかった。理由の第一は、タキの不倫の理由が不明なことだ。子供に恵まれ、何不自由ない暮らしをして、夫に不満があるわけでもなく、板倉が美青年でもなく、人妻の理性を狂わすほどの漁色家でもない。不倫に走る必然性がないのだ。時子が板倉にどうしようもなく魅かれる理由を描かない限り、観客は時子に同情できないだろう。次に、タキの手紙の秘密だが、これには重要な意味が無いと思う。タキが板倉に手紙を渡そうが、渡さなかろうが、板倉は出征したし、時子は爆死した。板倉は翌日平井家を訪れているので、最後の別れも果たしている。手紙の内容もただ来てくださいという至極単純なのもの。手紙は秘密を解く重要な品目のように扱われているが、実は大勢に影響を及ぼさない程度のものでしかない。完全な肩透かしである。従って、タキが生涯結婚しなかった理由に成りえないのである。このような秘密を演出する場合、渡さなかった所為で誰かの人生が大きく変わるとか、誰かが非常な不幸に陥るというような展開にしないと均衡が取れない。板倉が「僕が死ぬとしたら、タキちゃんと奥さんを守るためだからね」とタキを抱きしめるが、これは頂けない。当時の人は決してこのような直接的な物言いはしないと思うし、タキと板倉の間に恋愛感情があったと誤解される恐れがあるからだ。タキが、板倉が描いた赤い屋根の家の絵を所有していた由来が描かれていないのも不親切だ。戦争批判を含んだ“毛色の変わった不倫劇”で終っている。
[DVD(字幕)] 6点(2014-12-05 23:39:59)(良:1票)
224.  モスラ対ゴジラ 《ネタバレ》 
気楽に楽しめる怪獣映画の見本。嵐のシーン、町を襲うゴジラなど特撮で見るべきものがある。美的感覚が優れているのだ。モスラは成体、卵、幼虫(しかも双子)と三度楽しめる。小美人という神秘もありますし、何より歌が素晴らしい。モスラが愛される理由がわかります。ただしインファント島民はいただけません。意味不明の言葉しゃべっていたのに、酋長が急に日本語しゃべりだします。成体は寿命がつきる寸前という設定がいいですね。幼虫が親の仇を討つ展開と見れば、感情移入できるます。どう考えてもゴジラの方が強そうだが、それをどう補うか、闘い方にいろいろと工夫されていますね。幼虫が尻尾に噛み付くのがツボでした。放射熱線が幼虫に当らないのがじれったいです。幼虫にジャンプ能力がり、すばやく移動できるようにすればよかったですね。糸にも毒の成分があるとかすれば完璧でした。卵は地中で育つうちに大きくなるそうですが、水に浮くのはどうしてでしょう?また漁民は、沖にあった卵をどうやって浜まで運んだのか?政府が卵を保護しないのも不自然ですね。モスラの卵を返せといいますが、モスラが勝手にもってかえればいいのでは?こういった疑問を解消するには卵は政府が管理し、小美人は政府と交渉したことにすればよかったですね。ゴジラ登場シーンがよかったです。海からではなく地中から。ところで記者が拾った放射能を浴びた物体は何だったのでしょうか?ゴジラの皮膚でしょうか。ゴジラは名古屋城を壊したのは意図したのではなくコケた結果です。城にぶつかって怒って壊している。子供みたいで面白いですね。自衛隊が何をやってもうまくいかないのはお約束。戦車など効果ないのが分かっているのに、何度も進行します。203高地?搭乗員達は上官を恨みながらも、渋々命令に従っているんでしょうね。どの社会でも下っ端はかわいそうです。飛行機によるミサイルの連続攻撃で海に追い払えばいいと思います。人間ドラマの部分ですが、悪徳商人二人がちまちまやっているだけという印象。どうしてあそこに大金をしまっておくのか?背中から撃たれたのに、額から血が出しているし。その悪人を倒すのはやっぱりゴジラ。最高です。あ、悪人の秘書はもっと美女じゃないとダメですよ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-05-06 23:06:09)(良:1票)
225.  シュガー・ラッシュ 《ネタバレ》 
登場人物がゲーム・キャラクターと、完全に子供向けの設定で、期待はできないと思いつつ鑑賞した。が、予想に反して、後半から張られた伏線が次々と回収され、ぐんぐんと惹き込まれた。鑑賞後感も爽快で、秀作である。 悪役ラルフは物を破壊する役目に対する嫌悪感と、善役フェリックス達から仲間外れにされている疎外感にと悩み、自分を失う。そして心機一転、ヒーローのメダルの獲得を目指す。メダルは何とか獲得できたが、紛失してしまう。それを拾った少女ヴァネロペは、カーレースに出て優勝するという夢があり、メダルをコインの代替えにして出場権を得る。優勝すればメダルが貰えるので、二人は一致団結して優勝を勝ち取ろうとする。この二人の友情を描くのが物語の本流だ。これを阻む者としてキャンディ大王がいる。大王によればヴァネロペは欠陥品で、彼女がレースに出ればゲーム機が壊れていると見なされ、廃棄処分になってしまい、そうなればヴァネロペは生き残れない。だがそれは表向きの説明で、裏には驚異の姦計が隠されていた。本当の理由は、実は大王の正体はゲームを乗っ取ったよそ者で、全員の過去を変えていたのだ。ゲームの本来の主人公はヴァネロぺだった。ここから物語は俄然沸騰してくる。もう一つ物語の面白さに貢献しているのは、真の脅威、サイ・バグの存在だ。これが増殖すると本当にゲーム機が壊れてしまう。この設定によって真剣味が増し、感情移入する。。たかがゲームじゃないかと高を括っていられなくなるのだ。 フェリックス達もラルフが居なくなったことで、ゲームが成立しなくなり、ラルフの存在意義の大きさに始めて気づく。ラルフを探しに行ったフェリックスの活躍とラルフとの友情も見逃せない。その上、サイ・バグを生涯の仇として狙う、悲劇のカルホーン女軍曹を登場させ、観客を釘づけにする。加えてフェリックスとカルホーンの恋愛要素も加わるのだから鉄壁だ。全く無駄がない。主要人物四人が縦糸と横糸のように濃密に絡み合い、多彩な物語を紡ぎ出し、脇キャラも存在意義を失わない。アニメのお手本のような脚本で、感心しきりである。難を言えば、キャンディ大王に最後まで改悛の情が見られないこと。
[DVD(字幕)] 9点(2014-02-02 20:53:28)(良:1票)
226.  武士道残酷物語 《ネタバレ》 
現代のサラリーマンと封建時代の藩士の雇用での最大の違いは、藩主と藩士の雇用関係が永代就職であること。つまり、ある役目(仕事)をその家の家督者が代々引き継いでゆくというもの。土地も家も藩主から拝領しているものなので、武士の身分である限り、独立は叶わない。更に職分が硬直していて出世することはほとんどない。これは、藩士は子子孫孫に至るまで藩主には頭が上がらないことを意味する。不祥事と起こせば一家のみならず、連座制により親類中にも累が及んだ。がんじがらめである。これが藩主に対して「絶対服従」であらなければならない理由である。ここに悲劇の生まれる土壌がある。藩主は時に放恣、専横になるだろうし、藩士は忍従、卑屈に傾いてゆくだろう。だから「武士道残酷物語」はあったに違いないと思う。だが問題は見せ方である。 不運の宿縁の連鎖が七代も続くことにいささか無理がある上に、各話の主人公を同じ役者が演じているのでは現実味に欠ける。ギャグとしか思えない。同一人物が近習小姓から老人役までを演じる必要性はないだろう。どう考えても不自然だ。純粋に武士の被虐性を表現したいのなら、そのような不合理な設定をするわけがない。「大人の事情」が働いているのだ。だから白けてしまう。 江戸時代の各話はそれなりに興味をかりたてられた。個人の力ではどうすることもできない重圧、運命、特殊事情がくみ取られ、主人公の悲しみ、苦しみに共鳴できた。しかし明治以降の各話は底が薄い。元廃嫡藩主を世話をする話はいくらなんでも作り過ぎ。先祖の不幸を考えれば、藩主に対してあのような憐憫を持つ筈がない。特攻の話は、取り立てて特殊性が感じられない。国家により国民がマインドコントロールされていた時代で、飯倉家だけが不幸を背負ったわけではない。現代サラリーマンの話は、完全に自業自得だ。産業スパイを誰に強要されたわけではない。自分達の利得に目がくらんだだけの話だ。それに会社組織を藩に見立てることはナンセンスだろう。会社がいやなら辞めればいいだけの話だ。武士よりも土地持ちの百姓の方が自由があった。サラリーマンはそれ以上の自由を持っている。自分達の不幸を会社や社会の所為にするのは慎みたいものだ。
[DVD(邦画)] 6点(2013-09-11 04:55:19)(良:1票)
227.  刑事コロンボ/秒読みの殺人<TVM> 《ネタバレ》 
殺人に関して。時間がなかったとはいえ、ミスが目立つ。関係者しか入れない、テレビ局の重役室で拳銃をぶっ放せば、まず内部犯行が疑われる。かつ手袋を映写室に置きっぱなし、拳銃をエレベーターの天井に置きっぱなしはいただけません。けどテープの時間を聞きながらの部分はサスペンス感がありました。肝になるアリバイトリック「フィルムの パンチ」は目新しく感心しました。警部が遠近両方メガネから殺人犯は知り合いだとする推理は見事と思いました。ここで内部犯行説が決定。アリバイトリックを見抜いたのは、映写技師が戻ってきた直後の場面を覚えていたから。近頃のテレビは暴力シーンが多いと嘆く伏線がちゃんとあり、脚本みごと。犯人を騙すニセ拳銃トリックはずるいです。ニセ拳銃を回収したからといって犯人とは限りませんしね。裁判では証拠にならないでしょう。もっとも感心したのは、犯人ケイの人生を鮮やかに浮かびあがらせていること。小さな家に生まれ、強い上昇志向を持ち、男性社会の象徴ともいうべきテレビ局で男と対等に渡りあい、成り上がろうとした。恋人である上司が昇進して、成功も恋も両方手に入れたと思った瞬間、別れ話となり、昇進の見込みもなくなる。それに逆上しての犯行。だが感情は抑えて、キャリアウーマンらしい冷静な殺人。一見動機としては不十分に思えるのですが、あの上司がいる限り昇進はありえないことを考慮すれば十分だったと考えていいでしょう。この女性ケイの過去を知っているので、ついつい感情移入してしまう。観る側は警部ではなく、ケイの立場になり、警部の行動にいらついたり、はらはらしたりする。丹精込めて作成した作品「プロフェッショナル」が、不本意な形で放映され、それの責任をとらされてクビに。さらにその放映がきっかけでアリバイトリックがばれる。切ない展開ですね。その一方でこんな自己中心的な女ははやく捕まってしまえとも思う。アンビバレントな感情を起こさせる強力な個性の持ち主です。犯行がばれても「私は負けないわ」と強気で言い放つケイにどんな人生が待ち受けているのか。そのとき出される「パンチ」。ケイのこれからの人生の暗示ですね。
[DVD(吹替)] 7点(2009-09-22 13:27:51)(良:1票)
228.  ゴジラの逆襲 《ネタバレ》 
◆ゴジラ上陸警戒警報中、灯火管制の敷かれた夜の町で、何故か囚人護送の車が無灯火で移動している。いかにいい加減な脚本かということが分かる場面だ。月明かりだけでの運転は危険。囚人護送を夜にする理由がない。案の定囚人達は脱走し、ある組は車で暴走し、石油コンビナートに突っ込み、爆発炎上する。これが沖のゴジラを呼び寄せた。別の組は怪獣対決の犠牲となる。アイデアは買うが詰めが甘い。◆小林機がゴジラの熱線にやられ、氷山に激突。これが雪崩を起こし、ゴジラを封じ込める方法の発見のきっかけに。が、小林機がゴジラにやられる必然性がないのだ。彼がゴジラに突っ込んでいった結果でしかない。何のために突っ込んだのか不明。無理に犠牲者を出して、映画を盛り上げようとする魂胆がみえみえだ。小林はのほほんとした風貌で、悲劇が合わない。◆怪獣対決シーンはコマ落としの技法で早送りになっている。一方で建物が壊れる場面などは従来の高速度撮影でスローとなっている。これをつなげるので不自然さが目立つ。島での対決があっさりしすぎているのは残念。怪獣に出会うまでのドラマがほしい。 ◆飛行機で魚群を発見し、それを無線で船に知らせる仕事があったことを知ったのは収穫。ただ飛行機どうしや飛行機から直接船に通信ができないのはどういう理由か知りたい。 ◆アンギラスに脳が2つあるというのは当時信じられていた学説。恐竜は巨大なため動きが鈍かったと信じられていた。しかし腰骨に神経の塊が入る空洞が見つかったため、第二の脳と考えられた。その後、糖類の貯蔵庫と訂正された。尚本来のアンキロサウルスは草食で大人しい。7千万年前から1億5千万年前生存と言うが、実際は7千4百年前から6千7百万年前。 ◆破壊シーンが少ない。怪獣対決した島に人家は無い。大阪では町に向かって熱線を吐かない。氷の島では歩くだけ。時折熱線で飛行機を落とすが地味。大阪でゴジラが海に帰ってゆくシーン、北海道で船を襲ったシーン、小林機が遭難して不時着する場面は音声説明のみ。完全に手抜きである。撮影期間が短かったせいだが、残念。飛行機が氷山を破壊するシーンを何度繰り返しても盛り上がるはずがない。危険な作戦だと強調していたが、危険には見えなかった。ゴジラの手に叩き落とされるほど近く飛ぶ必要はないだろう。 ◆乱杭歯のゴジラとセンス無い音楽にげんなり。大阪弁しゃべる人は一人だけ。大概にせんかい!
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-21 21:58:59)(笑:1票)
229.  紀元前1万年 《ネタバレ》 
時代考証:①巨大ピラミッド建造はBC2000年頃。大船建造も同様。②トウモロコシの原産は南米でアフリカには16世紀頃伝わる。寒冷地では育たない。③唐辛子の原産は南米で、コロンブスが1493年にスペインへ最初の唐辛子を持ち帰る。④巨鳥モアはニュージーランドに生息。⑤金属ナイフ製造はBC3500年頃。⑥馬の家畜化はBC4000年頃のウクライナ地方。⑦最古の文明はBC3500年頃のシュメール文明(メソポタミア)。その萌芽はBC9000年。⑧象限儀(天体測量の道具)、アストロラーベの発明はBC150年頃。⑨車輪の発明はBC5000年のメソポタミア。 失望:①伝説を解説するナレーションは、冒険が成功することがわかってしまうので不要。②巫女はいらない。③主人公デレーに野性味がなく、顔も身体も弱々しい。どこが伝説の男だ!ヘタレキャラである。④剣歯虎とマンモスが人を襲わない。⑤剣歯虎を助けた「優しさ」が武器となる思っていたが、単なる力業だけの男だった。⑥デレーってラッキーなだけの男。⑦中ボスが女に執着するのが中途半端。⑧父のエピソードが希薄。⑨軽装で氷山越え、砂漠越え。⑩女は目が青いだけで取り柄なし。 ツッコミ:①ラスボス弱すぎ。カリスマ性ゼロ。悪知恵が働くか、最強でなきゃだめしょ。②ラストの敵の軍隊弱すぎ。それまでは強かったのに。③遠くに投げた槍が当たりすぎ。ラスボス少しは避けろよ。④ラスボスは何故オリオンの印をもつ者を恐れるのか?⑤青い目の女が一度死んで再生したのは、巫女の呪術のおかげ?⑥「砂漠を越えて先回りする」と言っていたけど、先回りしてない。敵より後に着いてる。⑦敵城の周囲が砂漠で、樹木がほとんどない。あれではピラミッドの建造できないし、マンモスの餌もない。⑧マンモス倒すのに網はないでしょ。沼地に追い込むか、槍攻撃。⑨戦い終わって敵民族はどうなったの?改心?おとがめなし?⑨牙と対話?ハアー? 感想:マンモス、巨鳥、ピラミッド、騎馬戦闘、恋愛、神話など詰め込みすぎ。男が成長する物語になっていないので感動できず。「恐竜100万年」のように会話のない、骨太の物語ならよかった。あるいはマンモス、剣歯虎を仲間にした冒険活劇ファンタジーとか。とにかくノリが悪い、映画作りの”熱さ”がない。監督は何を伝えたかったのか?多くの謎を残したまま終了。ああ、つまんなかった。
[DVD(字幕)] 5点(2010-05-13 17:27:01)(良:1票)
230.  バンテージ・ポイント 《ネタバレ》 
テンポのよい犯罪娯楽作品として楽しめました。 一つの事件を複数の時間軸で再構成してみせるやり方は秀逸です。 時間が戻りながらも少しづつ物語が進行し、謎が解けてゆくところにカタルシスを覚えました。 退屈はしませんでした。 事件を大統領暗殺(実は誘拐)にしたのは愛嬌でしょう。 ハイライトのカーチェイスシーンは手ぶれカメラの映像を短くつなぎ、臨場感を出していましたね。今後の映画の同シーンのお手本となるでしょう。 大統領を暗殺させて、実は影武者だったというひねりは面白かったです。 難をいえば、犯人側の心理が描かれていないことです。 シークレットサービスとカメラをもった黒人は心に傷をもっており、それがストーリーに上手に取り込まれていました。 しかし、犯人側は何を描かれてもおらず、誘拐の目的さえも不明のままです。 シークレットサービスの一人が仲間なので、計画は最初から成功したようなものだったはずですが。 どうしてリモート銃で暗殺したり、広場を爆発させたのでしょうか? ホテルの中で自爆テロする必要もないでしょう。 それに肝心の誘拐実行犯が、特殊工作員の一人だけというのにも無理があります。 しかもこの人は弟を人質に取られて、脅迫されて仕方なくやっているのですから、本来ならうまくゆくはずがありません。 そして最後の場面で、市長のボディーガードを射殺しますが、これも意味不明です。 そんなことをして弟が無事で済むはずがありません。 逃走が失敗するのが、大統領の反撃と交通事故というのもマイナスポイントです。 もうちょっと知的なところを見せて欲しいです。 それから最初のシーケンスはテレビクルーでしたが、その後彼らは物語にからみません。 そりゃあないでしょ。もったいない。 もう少しシナリオをひねれば名作になりえた作品と思います。 
[映画館(字幕)] 8点(2008-04-04 20:16:59)(良:1票)

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