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1.  ハリー・ポッターと賢者の石
原作を全く読んでいないので良く分りませんが、この映画って「一見悲惨な境遇の孤児が、実はええとこのお坊ちゃまで、名士の親の隠し遺産ががっぽりあって、優性遺伝で凄い能力を生まれながらにして持っていて、ほとんど裏口入学状態で名門校に入り、親の七光りで校長・用務員はじめとする先生方にえこひいきされまくり、一見厳しい試練に見えて実ははじめから決められた路線にのっとって人生の勝利者となる」というお話なのでしょうか。原作を読んでいないので間違っていたらすいません。そうであればドラコ君の敵対心もあながち間違ってはいないような気がします。両親が人間だと言うことで蔑視されるハーマイオニー嬢の弛まぬ努力こそを愛したいと思ってしまいます。ロンくんも友達は選ぶべきでしょう。それとも勝馬に乗っておくという打算の賜物でしょうか。そして本当にこのままで三部作が進んでいくのでしょうか。原作ではひょっとしてこの後で、密かにダークサイドに帰依した腹黒いハリーが、ダース・ヴェーダ化して世界を恐怖と絶望に落とし入れるというような、血沸き肉踊るどんでん返しの展開が用意されているのではないかと大いに期待しています。無謀にも世界を守るために敢然と戦いを挑んでくる正義の魔法使いたちを、簡単に一蹴した強大な悪の帝王ハリー・ポッターがホグワーツを地獄の業火で焼き払い人懐こい笑顔で高笑いする場面を、この後私は観ることが出来るのでしょうか?「ダーティーハリー」が観たい。頑張れハーマイオニー!負けるなドラコ!
6点(2003-06-01 18:06:21)(笑:5票) (良:3票)
2.  空軍大戦略
ハリケーン、スピットファイヤ、ユンカースJu52輸送機、ストゥーカ急降下爆撃機、Bf109、ハインケルHe111などの実機が画面一杯に飛び回ってくれるのが嬉しい。また史実を割合忠実に再現しているところも実に気持ちが良い。実際ドイツ空軍の主力戦闘機Bf109は最高速度や武装は英国空軍のスピットファイアを上回っていたが、航続距離が600km余りであり、英国本土にとどまれるのは30分以下であったという。思うように英国空軍を撃滅できず、英国本土上陸作戦が行えないことに業を煮やした空軍最高司令官ゲーリング元帥が前線に督戦に来た時、ひとしきり檄をとばした後で「私は唯厳しいだけの司令官ではない。何か希望はあるか?何でも望みを聞いてやろう」と前線部隊指揮官たちに問い掛けると、一人の戦闘機隊司令(アドルフ・ガーランドがモデルたと言われている)が「スピットファイヤを1個中隊ください」といいゲーリングが鼻白むシーンなども創作ではなく史実である。英国空軍内での路線の迎撃方法をめぐる対立なども実際に深刻であったという。チェコやポーランドの義勇兵のエピソードも楽しい。また本作では英独両軍が死力を尽くして戦っている姿を、双方に公平に描いていることが実に気持ちが良い。航空機と人員の余りの損害の多さと対ソ連戦開始のために英国上陸作戦が「無期延期」になり、無数の上陸用舟艇が係留されている海岸沿いの道路で進攻部隊の兵士が救命胴衣を次々と道端に積み上げるラスト近くのシーンなども、この戦いが戦争の転換点であったのだと言うことを強く感じさせていた。きちんと偏見抜きの史実を描く姿勢がエンターテインメントとして成立する良いお手本のように思える。戦争映画というジャンルに関して、反戦思想映画でなれれば「好戦的映画」というレッテルを貼る向きもあるが、映画は見る側に選択権があるのだから「嫌だ」と思えば観なければよいだけのことであり、面白いと感じることができればその人にとってはそれが「良い映画」だというだけだといつも思う。本作ではベテランの英国空軍指揮官を演じているロバート・ショウが、歴戦のドイツ軍機甲部隊指揮官ケスラー大佐を演じている「バルジ大作戦」もお気に入りの映画。
[DVD(字幕)] 10点(2003-06-01 16:58:02)(良:2票)
3.  スパイダー パニック!
動物パニック物として非常に丁寧に作られているという印象でした。蜘蛛が老若男女分け隔てすることなく、実にアクティブに襲いまくるところも嬉しく、ギャグもそれなりに楽しめました。子役もなかなかよろしい。余計なことをしない冷静な子供は好きです。後半頑張るボンクラ主人公も嫌味がなくてOK。そしてもう一人の主人公の女シェリフの判断が的確かつ迅速のことが気持ちがよい。事態を素早く理解して、お馬鹿な部下に「ありったけの銃と弾薬を持って来て!」と電話するシェリフ、あなたこそ警察官の鑑、これぞ責任ある危機対処だと非常に納得のシーンでありました。
8点(2003-06-11 15:20:53)(良:1票)
4.  ドーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
よきものを見せていただきました。全力疾走のゾンビ、いいじゃないですか。四肢欠損障害者の方が扮するゾンビも大活躍。メイキングなどを観ていても演じている役者も実に楽しそうで、いかにも映画や役者が好きという感じでgoodでした。ストーリーもゾンビ魂溢れる展開で嬉しい限り。元ネタ「ゾンビ」ではモールの中に銃砲店があって弾や銃の補充をしていたのに、今回はアンディのガンショップネタを入れるためか銃砲店がモール内になく(又はM・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」のお陰でスーパーでの銃の販売が自粛傾向にあるためか?)弾が不足して来るところもスリルがあって宜しい。何といってもクライマックスで「マッドマックス2」ばりの突撃ハリネズミ改造送迎バスがゾンビの海に突入していくところにクラクラ。車に取り付くゾンビをチェーン・ソーで滅多斬り(やや誇張表現有り、言うほど大活躍しません)、そうです、こんな対ゾンビ戦が観たかったんです。友人T君は鑑賞後に「夢で全力疾走のゾンビに追いかけられた」と実に羨ましい体験をしたそうです。私もそんな夢が観てぇ~。この映画をしっかりと観て常に教訓としていれば明日世界がゾンビに覆われようともきっとサバイバルできるはず。「ショーン・オブ・ザ・デッド」と「28日後・・・」と併せて学習しておくことがお勧めのナイスな作品でした。
[DVD(字幕)] 9点(2005-03-11 17:58:20)(良:1票)
5.  サラマンダー
※ネタバレ警報。食物連鎖の頂点に君臨していた人類が、ロンドンの地下鉄工事現場から蘇った高熱火炎を吐く翼を持つ龍によって単なる「食糧」になってしまう。近代文明も都市も増殖しつづけるドラゴンの群れの前に崩壊し、生き残った人類は郊外の砦に地下深い避難壕を掘って息を潜めるように暮らしている。この世界での子供たちのお祈りは「起きているときは常に両目で空を見張ります。寝ているときは片目で空を見張ります。もし空に龍が見えたら一目散に砦に向かって走ります」である。ドラゴンの造形もなかなか宜しいし、砦を襲う雄ドラゴンの戦い方もなかなかクレバーで好感が持てる。(窓などの隙間に口を突っ込み高熱火炎で内部にいるものを一気に焼き尽くす)ただドラゴンに対する人間サイドのドラマや戦い方に今一つアレッ?な部分が目立った。特にドラゴンスレイヤー(龍殺し)マシュー・マコノヒー君が率いる植民地(アメリカのこと)からドラゴン退治にやってきた義勇軍が、出だしの華々しさ…戦車(英国製チャレンジャー)を先頭に砂塵を舞い上げて行軍してくる装甲車や戦闘車両、バイクやトラックの車列、低空を旋回する軍用ヘリコプター(残念ながら戦闘ヘリではなく輸送ヘリ)…しかしちょっと待って欲しい。ドラゴンの脅威が全世界を席巻しているときには各国の軍隊が束になってかかってもドラゴンに蹴散らされ、米軍に至っては核兵器まで使用しながら敗れたというのに、アメリカ中西部の片田舎の義勇軍がドラゴン退治のオーソリティーというのは少し無理がないだろうか。そしてヘリを利用した精鋭中の精鋭であるドラゴン捕獲部隊「エンジェル」たち、君たちの戦法はどう考えてもおかしいぞ。その作戦とはヘリがドラゴンを発見するとエンジェルの一人が囮となって飛び降り、それを追いかけるドラゴンの背後から残る二人が飛び出し、ワイヤーネット弾を発射し、ドラゴンを地上に落として地上の部隊がとどめをさすというものだ。映画の中では作戦は成功するが、エンジェルの囮役は地上に激突、追尾役の一人はドラゴンに食べられてしまう。二人の犠牲でドラゴン一匹という交換比率がどうなのか分らないが、颯爽と登場したエンジェルがあっさり一人になってしまうのは余りにお間抜けだ。一度きりしか使えないのでは余りに非効率だ。第一、ドラゴンの制空権下にあってヘリコプターがどうして生き延びられるのだろうか。ドラゴンは囮などに構わずヘリを襲うはずだと思う。ヘリを恐れるようでは地上を制圧することなど出来るはずがない。この後もっと間抜けな戦いが展開される。「俺たちは200頭以上の龍を殺した」という精強無比なドラゴンスレイヤー・マシュー君率いる最強義勇軍が、砦で新兵を補充した後、敵の繁殖の要である1匹しかいない雄ドラゴン退治へとロンドンに向かう途中のこと。後少しでロンドン市内というところで道を瓦礫がふさいでいて、頼もしい戦車を戦闘に車列は立ち往生してしまう。と、そこに上空から雄ドラゴンが襲いかかり、狭い道で一列になって車間距離をとらずに固まっていたドラゴンスレイヤー機甲軍団は戦車や装甲車をはじめ全車両とともに高熱火炎に焼き尽くされてしまう!!マシュー君ほか数名を残して「全滅」である。武器や重火器も全て炎の中である。戦車も一発の砲弾を発射することなく炎の中だ。そして「ドラゴンの復讐を避けるためにロンドンに手を出してはならない」と言っていたクリスチャン・ベイル君の言葉通り、砦はドラゴンに襲われ多くの仲間が焼き殺されてしまう。おい、指揮官のマシュー君、軍隊の運用で「偵察・斥候」は基本中の基本じゃないのか。ヘリコプターを何の為に随行させているのだ。オートバイだってあるじゃないか。進撃路の確保確認もしないで前進するなよ! おまけに最後は戦斧と弓矢を(いきなり肉弾戦に持ち込もうとするつもりか)持ったマシュー君とライフル1丁のベイル君、ヘリのパイロットでピストルを持ったイザベラ君の3人でロンドンに地下から侵入。ベイル君は矢じりに爆薬を仕掛けた特殊な対ドラゴン用の矢を逃げ回る途中で落とすは、なんとも勇敢で無謀なマシュー君は割とあっさりドラゴンに食べられてしまうは、イザベラは足手まといだは…おいおい。落とした必殺兵器「矢」をイザベラが見つけて、回収し、ベイル君が目の前で大きな口を開けた雄ドラゴンに射込んで勝利を収めるのだが、ロンドン上空にはまだ数千のドラゴンが舞っているはずでは。ドラゴン亭主を殺された妻ドラゴンたちの逆襲は映画では描かれることはなく、二人は無事脱出、ラストシーンとなる。ドラゴンもキャラクターも状況設定も実にいいテイストを持っているのに、ディテールが今一つ甘いと感じられた。既存の生態系の崩壊という恐怖と閉塞感をモチーフにして、種(ドラゴン)と種(人類ホモ・サピエンスをはじめとするドラゴン以外の生物)の存亡をかけた究極の戦いという、未だ観たこともない斬新な究極のドラゴン映画(カンフー映画ではない)になり得たのではないかという期待が感じられただけに、何とももどかしくて、マイナス2点。しかし文句をいいつつも結構お気に入り。特に砦の子供たちに主人公たちが見せるお芝居のシーンは最高。内容は「スターウォーズ 帝国の逆襲」のクラウドシティで、ルークとヴェーダがライトセーバーで戦うシーンの再現。「スーハースーハーアイアイムユアファーザースーハー」子供たち一斉に「キャー」このシーンだけでも価値がある。
8点(2003-05-31 18:42:23)(笑:1票)
6.  ねらわれた学園(1981)
大林監督作品なのに誰も脱いでない!と思っていると峰岸徹さんが腹に目玉ペインティングをした半裸で大写し。この映画で一番悲しいのは県道部主将役の高柳くんがどうしようもなく剣道が下手ということです。学芸会演技はまだ我慢しますが、武道をなめていることは許せません。けれども薬師丸ひろ子の存在感は素晴らしいので6点。
6点(2003-05-30 11:19:12)(笑:1票)
7.  初恋のきた道
原田知世版「時をかける少女」を見たような気分。チャン・ツィイーの最高の瞬間が封じ込められた映画だと思います。泣き所は葬列のシーンですね。父親の教え子たちが次々と集まってくれて、故郷の村への道をゆっくりと帰ってくるシーンはなかなか胸が詰まりました。転んで茸餃子の丼を落として割ってしまい、両手で目を覆ってびぇ~んと泣く。いまどきこんな泣き方するものかと思いつつもチャン・ツィイーならOK。とにもかくにもチャン・ツィイーだから辛うじて「可愛い」「健気」「可憐」の範囲に留まってはいるが、この主人公を悪質なストーカーと呼ばずして何と呼べば良いのだろうか。ある意味コワイ。馬車を負いかけて走る!走る!走る!息も切らさずに山道を走る!走る!走る!ロードランナーの如くにひたすら走る!これはコワイ。チャン・ツィイー以外だとサイコホラー映画になってしまうという微妙な佳作。
8点(2003-05-04 12:18:37)(笑:1票)
8.  ヤコペッティの大残酷 《ネタバレ》 
ヤコペッティ流のモンド映画と思いきや、実はエロの皮を被った地獄ファンタジー。地方のことで「エアポート'75」か何かの併映で劇場で観ましたが、こちらの方が強く印象に残っています。宗教審判での拷問シーン(裸の尼僧をローラーにかけると紙のように薄っぺらになる)、ヒロインの居城(中世の設定)にバイク集団が襲い掛かり、シャワーを浴びていたイスラエルの女性兵士がアラブ人の兵士と繰り広げる裸の銃撃戦・・・。ストーリー性重視しない中世や現代や未来が入り乱れる展開に戸惑いつつ、画面にあふれるヌードやエロチックな科白にかなり気恥ずかしさを覚えました(当時私は中学生)。そして主人公カンディドが地獄遍歴の果てにたどり着いた流れる時の河の畔でただ「老い」だけが現実として存在するというラストが妙に印象深く心に残っています。
8点(2005-03-28 13:14:07)(良:1票)
9.  ガメラ2 レギオン襲来 《ネタバレ》 
脚本・伊藤和典さんの怪獣と自衛隊に対する溢れんばかりの愛情が散りばめられていて、前作以上に「観たかった怪獣映画」の要素がてんこ盛りな快作です。水野美紀がこんなに男前の女優だったことを発見させてくれた点も大変嬉しい。仙台でレギオンとの戦いで満身創痍になりながらも種子発射を防ぐべく草体へと向かうガメラと退却する自衛隊のジープがすれ違うところでジープの窓から見上げるようなショットなどしびれます。永島敏行が「あとは我々に任せてください」と水野美紀を送り出すシーンで名残惜しそうな水野美紀が「ご武運を」と別れを告げたときに惚れ惚れするような敬礼で応えるところや、「我々の火力は無限ではない」(この台詞もしぶい)とガメラ支援をためらっていた師団長がガメラの行動がレギオン阻止だと確信したとき「全火力を巨大レギオンの頭部に集中、ガメラを援護せよ」命ずるときの高揚感など、たまりませんぜ。吹越満が水野美紀の家(薬局)に訪ねてくるところ。先客(永島敏行)がいて残念そうな吹越、「パワーバランス」と小悪魔的でさえある水野、困惑気味の永島、娘の二階の部屋へ二人の男がいることが気になってしょうがない父親(ベンガル)が階段から二階の様子を窺おうとしているのを服の裾を引っ張って止めている母親(角替和枝)、いやいやなんて素敵な怪獣映画でしょう。
10点(2005-03-27 13:06:20)(良:1票)
10.  忠臣蔵外伝 四谷怪談 《ネタバレ》 
高岡早紀のたわわな胸乳もよい。白塗り石橋蓮司さん、キ印荻野目慶子さんも良い。虚無漂う佐藤浩市さんもよい。んがぁ、何と申しましても津川雅彦さんの大石内蔵助がすん晴らしい。女郎と無理心中をした若い浪士が、死ぬ直前に廓に居続けている内蔵助のところに金を借りに来て断られていたことを知り大石をなじりに来た浪士に向かって、「可哀想なことをした。生活のための金か遊興のための金かと尋ねたら『生活のため』と答えたので、『遊ぶための金ならくれてもやるが生活のための金は貸すことはできない』と申した。遊ぶ金なら貸した方も借りた方も重荷にならず笑って忘れることも出来るが、生活のための金はお互いが惨めになり、重荷になり、やがては(討入の)仲間でいることが苦しくなる。だから貸せぬと申した。」と淡々と述べるところや、佐藤・民谷が刺客として訪れたときの炬燵で応対するところなど渋くて渋くてしびれます。同時期公開の「四十七人の刺客」での高倉内蔵助と比べると、「これぞ昼行灯の凄み」という趣があります。終盤の逃げ回るゴースト民谷と暴れ回るキャリーお岩も取って付け足したような感もありますが、余韻が残るきれいなラストには満足でございます。
8点(2005-03-17 15:35:28)(良:1票)
11.  ファントム・オブ・パラダイス
ポール・ウィリアムズ演ずる悪魔に魂を売った作曲家兼プロデューサー・スワンが最高です。実際本作の全ての楽曲はこの人が作っているし歌っている(ジェシカ・ハーパーのところはハーパー本人が歌っている)。ジョディ・フォスターが地下酒場の歌姫を演じていた子供だけのミュージカル・ギャング映画「ダウンタウン物語(原題:バクジー・マローン)」の全ての楽曲を書いている人でもあります。マイ・フェバリット・ムービーの一本です。全体を漂ういかがわしさが堪りません。
[映画館(字幕)] 10点(2003-05-10 12:27:42)(良:1票)
12.  スウィングガールズ
観終った後、今でも延々と頭の中で「シング・シング・シング」が鳴り響き続けています。会議中でもどこでも頭と心はスウイングモードに突入中、まったくやばい。SG中毒になってしまいました。スウィングつながりで「ベニー・グッドマン物語」「グレン・ミラー物語」も観てしまいました。両作品もよい映画だと思いますが、同じ楽曲でも本作での演奏の方が頭に残りました。演奏の上手い下手ではなく映画の一場面として映像と音楽がストーリーの中でしっかりとマッチングしているのだと感じました。期待以上に心地よく爽快感のある映画でした。また邪道かもしれませんがDVDスペシャルエディションの特典ディスクのメイキングやサイドストーリーを合わせて観ると、主要メンバーは勿論ですが本篇では余り目立たないその他大勢のガールズたちの裏設定の広がりや演奏練習での奮闘ぶり、スタッフの熱意などを見ることが出来て一層楽しく本篇を見ることが出来ました。DVD収録の二種類のオーディオコメンタリーもなかなか楽しく、お陰で立て続けに三回繰り返して観ました。今でも中毒状態が続いていて「メキシカン・フライヤー」から「シング・シング・シング」演奏のラストシーンを毎日のように見ています。ちなみに「スウィングマン」(木下ほうか・宮崎あおい主演)は野球のバットでどつきどづかれるお話なので決して真似をしてはいけません。
[DVD(字幕)] 8点(2005-04-16 11:59:53)(良:1票)
13.  毎日が夏休み
何か解放感があって好きですね。佐野史郎の継父と風吹じゅんの母親と佐伯日菜子の娘、いい味出してます。以前から会社を辞めていることを家族に言えずに公園のベンチで昼飯を食べている継父の佐野史郎に、学校でいじめにあっていて登校拒否をしてサボっている佐伯日菜子の娘が「あの~おとうさん?」と遠慮がちに声を掛けるところなど気に入っています。その後、授業に出ている娘に「無理することはないから帰ってきなさい。勉強くらいはわたしが教えてあげられると思う」と継父から電話が入り、佐伯日菜子が学校の廊下を踊りながら歩くシーンも秀逸だと思いましたね。べとべとしていなくて気分が良い映画です。夢見る父娘を尻目に、生活を支えようとひたむきに頑張る風吹母さんが最高に愉快です。
8点(2003-06-01 17:23:53)(良:1票)
14.  機動警察パトレイバー2 the Movie
日本は本当に平和で安全な国だろうか。「平和」「戦争反対」を呪文のように唱えているだけ、TVで嬉々として最新兵器の威力を語り、勝手な戦略を予想し、同じ口で戦禍の悲惨を訴える…全ての時代に人間社会が普遍的に行い続けている「戦争」をブラウン菅の向こうに閉じ込め、目を背けているだけだということにすら気が付いていないのではないか。本作で提示された「戦争」という特殊な状況だけでなく、社会のあらゆる場面において「見えているけど見ていない」「知っているけど分ろうとしない」ことが当たり前になっているのではないか。柘植や荒川や後藤たち登場人物によるドラマ、押井監督と伊藤和典氏が観客の前に抉り出したものの重さは実に悪辣である。しかしこのことから目を背けてはならないのだと思う。エンターテインメントとして成立しながら観客の感性にドス黒いしこりを残す本作はやはり傑作と言うべきであろう。
10点(2003-05-04 12:45:49)(良:1票)

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