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プロフィール
コメント数 1615
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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1.  ハッピー・デス・デイ 《ネタバレ》 
頭も尻も軽いブロンドちゃんが何度も何度も殺されるタイムリープものな本作は、本筋の犯人捜しサスペンス部分も全体的にまずまずと言える出来なのだが(ラストの二重ドンデン返しは結構出来が良いと思う)、特に面白いのは中盤、殺され過ぎてヤケクソになるバカビッチと、犯人が分かった(と勘違いした)ことからまるで神の啓示でも受けたかの様に真人間と化して人に優しく人生を謳歌するバカビッチを、主演のジェシカ・ローテが素晴らしく好演している部分である。本作には怖がらせるようなホラー描写と言う程のものは無く、ホラーでは無いと思うが、サスペンス・コメディ部分は相当面白い。観て損は無い良作。
[インターネット(字幕)] 7点(2019-11-26 21:40:00)(良:4票)
2.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
シンプルに面白かったです。前半の得体の知れないジェーンの話も、サラ・スヌークの不気味な雰囲気が好いのと、お話自体が中々高度に奇妙奇天烈なもんだから(前半から)かなり引き込まれて観れましたすね。唐突にタイムトラベルの話になって以降は、トリックの切れ味を最大限に生かした勢いのある展開運びが見事でした。いくつものドンデン返しの連続も非常にゴージャスですし、それでいてラストでも「してやられた」感はそこそこ高度で、まずまず以上に痛快に観終われた、というか。普通にだいぶん出来の好いSFかと。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-04-07 23:45:45)(良:3票)
3.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
ホラーと言うよりビックリ箱な驚かし系や、ただただ大袈裟に禍々しいだけのモンスター系な恐怖描写が蔓延る昨今のホラー映画を観飽きてくると、本作のホラーとしての素晴らしさが良く理解できるというものである。幻覚・幻聴と現実が綯交ぜになった映像空間(敢えて双方の質感を全く同じにすることで、その混ぜこぜ感をより増している)を用いて、何が起こっているのか、何が真実なのかが分からないというシンプルで基本的ながら非常に強力な不安・恐怖を巧みに醸し出すとともに、狂気に陥るジャック・ニコルソンをしてこれも何を考えているのか、何を仕出かすのか分からないという「危険と謎」の恐怖が見事に演出されている。  特にニコルソンの「腹に一物有る」感じ(それは狂気から来る憎悪・殺意その他ではあるが)、そして腹に一物が有りつつも最後の一葉でそれを封じ込めている感(この感じが正に導火線に火の付いた爆弾の如き危険人物感を醸している)と、終盤、終に爆発する狂気の演技は一世一代の名演と言える。加えて、実はシェリー・デュヴァルの怖がる方の演技(それは機嫌の悪い夫を恐れるシーンでも、殺人鬼と化した夫に慄くシーンでも、果ては完全にパラノーマルな現象を目の当たりにしたシーンでも)はこれまた出色な出来。更に言えば、バーテンダーとグレイディの抑制しつつもやっぱりどこか超越的な(人外の)演技も非常に味わい深い。この演技の質の高さに加え、映像美・画的な部分のクオリティも一部芸術的とも言えるレベルに達していると言う完成度の高さ。ホラーとしては文句無しにオススメできる作品。
[DVD(字幕)] 9点(2019-11-21 00:41:28)(良:3票)
4.  ゲット・アウト 《ネタバレ》 
うーん…確かに比較的好く出来ている(纏まっている)とは思いますが、ソコまで高評価されるよーな作品でしょうか?根本的にはまずホラーではない様にも思えますし、少なくとも風刺とホラー・スリラーが半々、という作品だと思います。その(最低でも)片割れたるホラー面については、率直にかなり単純な話だと思いました。とどのつまりは、ターゲットとなる「黒人」と、狙う側の「白人(富裕層)」という構図が無ければ、ごく平凡な(よくある)ジャンル作品だ、という意味でです。  もし、今作の評価がこの「対立構図」自体(つまり「正義」の黒人と「悪」の白人、或いは黒人の「優秀さ」を羨望する白人)という部分に依拠するものであるなら、率直に言って私はこの作品を評価する側に与することはできないですね。白人が黒人に対して向ける嫌悪・憎悪は悪で、逆ならそれは善だ、などというコトがあるのでしょうか。そもそもこーいった「対立」を善(或いはカタルシス)として描くコト自体が、もはやダブルスタンダードだとは思われませんでしょーか?  個人的なポリシーとして、ホラーというジャンルの作品に関してそーいった本来「無用」な(社会的)テーマを必要以上に重視する、というコトはしないのが私のスタンスではあります。なので、今作はあくまで「ブラック・コメディ」+ホラー、として捉えるコトにして、そのブラック・コメディ部分が結論的には私にはハマらなかった(が、ホラーとしては前述どおり纏まってる)と判断したコトにして、この位の評価といたします。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-11-29 20:20:18)(良:2票)
5.  クルエラ 《ネタバレ》 
まず、シナリオの出来がまま高いです。クルエラの生い立ち、デザイナーとしての異能と、その狂気の源泉、と(前日譚として)必要とされる要素を無理なく自然に繋ぎ合わせ、同時に見せ場もふんだん+テンポも良好で、やや長めの尺ながら無駄とゆーのが殆ど無い濃密な時間を楽しめました。難癖を付けるなら、クルエラ自身は「復讐」という意味では本作でも罪を犯していきますが(序盤、生きるためにコソ泥をやってんのは置いといて)、結局「根」はそこまで悪人でもないかも?と見えかねない部分は、スーパーヴィランの誕生譚としては少し違和感として残る、というよーな気もしますケド。  ただシナリオがいま一歩90点だったとしても、他方でひとつ美術面は確実にそれを超えてゆく、というクオリティでありました。なんと言っても肝心の衣装が実に素晴らしい。クルエラ或いはバロネスのデザイナーとしての能力というものにリアリティを与えているというか、これのおかげで本作は単なる娯楽映画になっていない(部分的には芸術映画の風をも纏っている)という様にすら感じました。流石、二度のオスカーを誇るジェニー・ビーヴァン女史のこれも卓越した仕事であると同時に、商業作品でこーいう部分のつくり込みにここまでこだわってワンランク以上に優れた結果を出せるとゆーのが如何にもディズニーらしいとも思いますね(毎度トンデモなくゴージャスな製作ですこと)。  もう一点、音楽がこれまた素晴らしかったのですね。劇中の年代が70'sに設定されており、劇伴は基本的に当時のパンクロック楽曲で構成されていますが、まずそれが「権威」に挑戦・反逆してゆくというクルエラのアナーキーな特性にもマッチしていましたし、レトロな聴き心地自体も非常に興味深い、というものでした。サントラを買おうかと思ってますデス。
[映画館(字幕)] 8点(2021-06-16 21:46:06)(良:2票)
6.  回転 《ネタバレ》 
大昔に観たときは、率直によー分からん映画だと思ったのですね。それは、この映画を単純に幽霊映画・ホラーだと思って観ていたからだった、と思うのですが、今回、原作を読む機会があったのでそれを機に観直してみました。  そもそも原作と言うのは、幽霊がメインの要素である以上は間違いなく怪談の類いなのですが、その中でより注力して描写されるのは主人公の心理的葛藤、すなわち、思わせぶりな態度を取り続ける子供たちが実際に「黒なのか白なのか」という部分の疑心暗鬼、或いはグロース夫人との関係性(協調または敵対)の部分に生まれる緊迫感であり、そういった主人公の不安・不穏な感情を描くものとしては確実に(心理的)サスペンスという方が適切なのです。その観点からすると、非常に控えめな幽霊自体の描写、端的なデボラ・カーのヒステリックな感情表現、豪奢ながら寂寥とした屋敷や物悲しいオルゴールの音色が形づくる全体の陰鬱な雰囲気、結局白黒がハッキリしない不可解な結末、といった部分の仕上げ方・出来映えを勘案しても、確かにこれは比較的優れている・的確な方の文芸映画だと言えるのではないかと感じるのですね。  ただ、よく言われることですが「小説(原作)か映画か」という観点で言うと、今作は原作と比較すると実は色々随分と簡略化されている、という部分に若干の残念さを覚えるのも事実です。子供たちに対する主人公の猜疑心というものは、原作では非常に地味な描写の繰り返しによって(最初から最後まで一貫して不穏な空気に包まれつつも)極めて緩慢に形成されてゆくのであり、それが彼女の最終的な狂乱状態に説得力を与えるとともに、その長きにわたる「不穏さ」を味わう、という意味でのサスペンスの醍醐味を同時に生み出しています。が、映画の方は率直にそれが全体的に結構にアッサリしたものに変わっちゃってて、小説を存分に楽しんだ身からすると少しばかり物足りない、という感じなのですよ。  その意味で言うと、映画では特にグロース夫人との関係が非常に軽い描き方になってしまっているのがだいぶ気になります。ジェスルの幽霊がフローラにもグロース夫人にも見えなくて、結果フローラとの関係性が瓦解する場面というのは、同時に唯一の味方であったグロース夫人との協調関係が反転するという点で小説ではココイチ衝撃的な場面だったと言えるのですが、映画ではそれが残念ながらそーいうものにはなっていないのです。そういった部分も含めて(前述どおりかなり上質な映画化だとは言え)やや原作の持つ「ウリ」というものが分かり難くなっている映画、だとも言えるかと思うのですね。  とは言え、全体としてはまま悪くない出来だと思います。私の本当のオススメは小説の方ですが、こちらも決して観て損も無いかと。暇なら是非。
[DVD(字幕)] 7点(2021-04-29 09:49:38)(良:2票)
7.  悪魔のような女(1955) 《ネタバレ》 
本作は、サスペンスではなくホラーとして観るのが一番良い鑑賞法であると思う(私がホラーマニアだからそう言ってる、ということではありません)。まず、世評に「世紀のドンデン返し!」とか言われているのを耳にしてしまうと「ああ、これはサスペンスなんだ」となってしまうので、そこがまず本作を真に楽しむ阻害要因になっているように思う。そして、邦題も実はイケてない。「うん?誰が悪魔なの?」となって、やっぱりサスペンスになってしまうからだ(つーか主人公以外には女なんて1人しか出てこないやんけ→ほぼネタバレやん)。シンプルに『悪魔』というタイトルだったら良かったのにと思う。  映画人生における後悔はいくつも在るが、本作を事前情報を入れた状態で観てしまった、というのは間違い無く最上位に入る。他に上位なのは「サイコをリメイクから先に観たこと」「シックス・センスのオチを先に聞いてしまったこと」とかだろうか。
[DVD(字幕)] 8点(2020-03-07 03:37:51)(笑:1票) (良:1票)
8.  ヘレディタリー 継承 《ネタバレ》 
かなり緩慢で(尺自体も少し長めだし)、加えて極めて居心地の悪い時間の中に鋭く鮮烈に出現するショック描写のクオリティは相当に高く、チープな驚かし系の小技とは一線を画して文字通り背筋が少しゾッとするような素晴らしい出来と言える。加えて終盤はそこそこ派手で見応えも有り、前述の居心地の悪さも含め、ホラーとして観るなら本作は十二分に良作であるのは言うを待たない。  しかしながら、どうも観終わって腑に落ちない感があったのは何故だろう。考えるに、実のところ本作はその前半1時間以上がパラノーマルな現象とは全く関係無く、問題を抱えた一つの家族を襲う悲劇を陰鬱かつ冷酷に描いていく構成になっている。その後、オカルトな展開から最終的には悪魔絡みのラストに落ち着くわけだが、前半の極めて居たたまれない(ある種極上の)ハード系ヒューマンドラマチックな展開が(これには、単なるホラーには少し勿体無いレベルの演技力を誇るトニ・コレットが、これまた妙に気合の入った渾身の芝居を披露しているという嬉しい誤算が大いに寄与している)、前述のとおりいつのまにかどっかに行っちゃって、ラストはごくごく平凡なホラー的結末に終着するという(ホラーとして)逆に話をつくり込み過ぎたための中途半端感が原因なのだと思う。  もし、本作においてホラー面に加えてヒューマンドラマ部分にも納得いく決着を見出すということが出来ていれば、それこそ本作は『エクソシスト』に匹敵する傑作となったかも知れないと個人的には考えている。監督の次回作に大いに期待する。
[映画館(字幕)] 7点(2019-12-15 23:18:37)(良:2票)
9.  映画 聲の形 《ネタバレ》 
主人公の再生と成長を、緻密なプロットと繊細な心理描写で丁寧に描く。リアルで深刻な内容ながら、真剣で前向きなメッセージを描き切っており、一つのヒューマンドラマとして文句無しに上等。映画観た後に原作も読んだが、必要な要素を取捨選択してコンパクトに纏めあげた映画版の仕上りは、決して原作に劣るものではないと思う。漫画でも映画でもよいので、是非。
[映画館(邦画)] 9点(2019-11-21 21:23:35)(良:2票)
10.  ジョジョ・ラビット 《ネタバレ》 
コミカルな側面を前面に出した宣伝がされていた様に思うが、コミカル要素が無くてもヒューマンドラマとして完全に成立する話の内容である。むしろ本作のコミカル描写は全て、戦争の狂気を具現化するものとして描かれている(ホロコーストをはじめ、子供までを体制賛美と殺戮に駆り立てていることそのものが笑えない喜劇だという)。本作が真に描き出さんとするものはもっと静かで、真摯だ。その意味では普通に結構マジメな戦争系ヒューマンドラマだった。  ただ、こういった重い題材をテーマにしながらも、生活感や種々の生々しさを極力排除&状況設定も単純化・抽象化したどこか寓話的な雰囲気に、表面上のコミカル要素を足し込んで、子役の無邪気さ・可愛さをミックスして練り上げた作品全体の空気は、実にポップで何とも楽しいのだ。それはきっと、本当に伝えたいものを(例えば子供にも)苦しむことなくすんなりと飲み込んでもらうためのオブラートのようなものなのではないかと思う。その意味ではとてもポジティブなアプローチだなと率直に感じた。  そして、そうは言ってもこの題材の映画を現代的でコミカルでポップ、かつテーマはマジメに仕上げるなど、常人に可能なワザとは思えない実に卓越した仕事だと言って間違いは無いだろう。そもそも、ホロコーストを描いた映画をビートルズで始めてボウイで終わるって、音楽感覚ヤバいでしょ。やはりこの監督には、底無しのセンスを感じる。
[映画館(字幕)] 8点(2020-01-18 01:34:24)(良:2票)
11.  ドント・ルック・アップ 《ネタバレ》 
中々にタイムリーな…と言いたいトコロですが、今作の企画は2019年より前であり、であるから本質的には今作に描かれる「分断」とゆーのは、それこそコロナ禍以前よりアメリカ社会のひとつの悩みのタネだった…というコトなのだろうと思いました(トランプ大統領あたりからより顕著になった…というモノかとも感じますケド)。  前述どおり、この映画に描かれるモノは「分断」であって、例え大統領や企業家あるいは大手メディアが多分に利己的な「悪」たる存在として描かれていたとしても、決して「正義」と「悪」の二項対立を描いた映画ではないと思います。そもそも大概の場合において正義の反対は「もう一つの正義」なのであって、こーいう深刻な分断というモノの原因はどちらが正しい・正しくないというコトとは全く違って、ふたつの主張の間の合意形成(=落としドコロの見出し方)のプロセス不全に起因するものだ、とは、今般のコロナ状況においても皆がイヤとゆーほど痛感させられているトコロではないでしょーか。例としてマスクひとつにしたって、私含め多くの日本人はマスクくらいはする方が「正しい」と思っている様にも思われます。とは言え、マスク「ぐらい」とあまり気にするコトなく許容できる(私の様な)人も居れば、どーにもマスクしてると気になって不快でしょーがない…という人だって居るワケで、ソコには背負うデメリットの「多寡」が生じているのも確かだと思いますし、ワクチンなんかはその点については間違い無くもっと深刻な問題を生じ得るモノだと言えるでしょう。そういった利益・不利益の「不均衡」だとか、あるいはそーいう細かいコトを薙ぎ払って強引にモノを進めてゆく(中国の様な)合意形成プロセスが「正しい」のか、とか、コロナの様な(万人が凡そ不利益を被る様な)「カタストロフィ」の場面においてさえ何が・どーいう行動が「正しい」のかなんて殆どがスグには決まらない…というのが現実の状況だと思うのですよね。だから問題はやはりコミュニケーション・分かり合うコトの困難さなのであって、作中でディカプリオが「間違い無く地球は滅ぶんだァァアア!!!!」とメディアで絶叫するサマを見たって「そーいうコトじゃねーんだよなぁ…」と(個人的には)実はかなり悩ましい・暗澹たる気持ちにさせられてしまいましたですね。  重ねて、非常にタイムリーな作品であるのは確かであって、それがより今作を含蓄深い・示唆的な優れた社会派フィクションに見せているのもまた確実だと思います。しかし、同時におそらく今作は(ブラック)コメディとして仕立てられた作品…なのでしょーケドも、あまりにタイムリーで切実すぎるが故に結論的には全く私は「笑う」とゆーコトができませんでした。その意味ではある種、観るべきタイミングが実は適切でなかった…とすら思われるのですね(金曜に死ぬ思いでひと仕事片付けた明けの土曜の午前中に観る映画では全くなかったすね)。結論、非常に評価の難しいトコロになっちゃうのですが、ココは観たままの(観た直後の)ネガティブ感情に素直に従うコトにして、いったんこの評価とさせて頂きますです。
[映画館(字幕)] 6点(2021-12-30 16:14:49)(良:2票)
12.  ディック・ロングはなぜ死んだのか? 《ネタバレ》 
とは言え、なんかこの話聞いたことあるな、と思ったら、ウィキにも記事がありますね(ワリと最近だった)。その意味では「事実は小説より奇なり」を地でゆく話でもあるのかと。  質感は『ファーゴ』にやや近いですかね。ただ、内容的にはアレよりも遥かにコメディに寄っています。一方で、そのコミカルさの大部分を形成している主人公の破滅的な愚かしさというものは、ちょっとコレが「突き抜けて」いて、もはやある種の哀愁をも醸し出しています。それは前述どおり根本的な部分が実話だ、とは到底思えないくらいにとでも言いますか(まあ、この事後の顛末というのは別に実話じゃないのでしょうし)。  しかしながら、彼にはそれでも大いに同情も出来るのですよね。とにかく発端の部分が論理的・理知的には「納得いく説明」というものからはかけ離れすぎている、なので、その後の諸々を小賢しく取り繕ったトコロで殆ど意味が見い出せない、ということだとも思うのですよ率直に。落ち着いて対処しよう、という状況からはあまりに遠く遠くに追い遣られてしまっている、のだと。  映画全体としては(その驚愕の)真相が明らかになった中盤以降、少しトーンダウンしてしまった、という様にも感じます。ただ、主人公が嫁さんに真相を打ち明けるそのシーンの嫁さんの顔(変顔)が個人的には忘れられないですね。「こんな時、どんな顔したらいいか分からないの」という意味では、この顔にすることを思いついた人(監督なのか女優さんなのかは知りませんが)というのは中々グッド・ジョブだと思いましたですね。ユニークな作品ですし、観ておく価値は十分かと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2021-03-13 19:33:41)(良:2票)
13.  レイニーデイ・イン・ニューヨーク 《ネタバレ》 
アレン作品としては比較的クセの少ないシンプルめのロマンチック・コメディに仕上がってますが、そのジャンルとしては素直にかなり楽しく観れる作品だと思いますし、それでいて監督の個性とゆーのも大いに発揮されている非常に手堅い良品だと思います。個人的には、特にこの気怠い雨に包まれたまろやかな雰囲気というものが(監督の他作品と比較しても)とても心地好かったですね。そこは流石だなと。  ティモシー・シャラメにせよエル・ファニングにせよ、実際にまだ非常に若い俳優さんですし、若々しい、というよりは少し幼い、というか、しかしそこから生まれる微笑ましさとゆーのが本作の好ましい雰囲気の醸成に一役買っていたと思います。特にエル・ファニングの邪気(と頭の中身)の感じられない「純真」な感じは個人的に絶品でしたね(それでいて随所でかなり気合の入った「練った」演技を見せてくれたとも思いますし)。この作品が彼らのキャリアで無かったことになってしまうのは、やはり少し勿体無い。
[DVD(字幕)] 7点(2021-03-11 22:19:53)(良:2票)
14.  追憶(1973) 《ネタバレ》 
マッカーシズムを背景に、共産主義者で理想主義者な女性の悲恋を描く。序盤、ちょっとイタい娘に見える主人公が後半、困難な状況でも正義と信念を貫く姿を見ると、とても人間的に魅力の有る女性に見えてくるのは構成として優れている。この愛は言わば「時代に引き裂かれた」側面を持つが、ここの状況の理解が21世紀の日本人にはちと難しいかもと思ったり。  主演女優は美人でないのも含めて役にドンピシャだが、彼女の相手としてはレッドフォードはややイケメン過ぎる気がする。ただ、ラストの哀愁漂うレッドフォードの演技は素晴らしい。良作。
[インターネット(字幕)] 7点(2019-11-20 21:32:52)(良:2票)
15.  ちょき 《ネタバレ》 
ひなびた和歌山の静かで美しくてやさしい情景に包まれた、淡くてささやかな物語。この雰囲気は個人的にはとても好み。こういう愛のかたち、素晴らしいことだと率直に思う。このふたりなら、慈しみ合い、支え合っていけるだろうと。  主演女優はエライ透明感のある美人さんで、素朴な演技も含めて少し唐田えりかちゃんを思い出した。その意味ではひとつ枠が空いたので、今後も頑張ってくれると嬉しい。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-03-28 22:41:09)(笑:1票) (良:1票)
16.  男と女(1966) 《ネタバレ》 
映画というよりも、むしろ詩と歌と絵、いささかミュージックビデオの方に近いとも思われる作品で、実はストーリーはあって無い様なもの、かも知れない。しかし、詩的で抒情的な愛の語らいは洒脱なフランス語で音的にも心地良く(フランス語って、愛を囁くためにある言語ですよね)、そして音楽は何と言ってもフランシス・レイの超傑作ウルトラ・スタンダード・ナンバー。なんと予算不足が原因とのことだけど、モノクロの綯交ぜになった映像面の美しさも実に味わい深く、ここに加えて、フランス的美意識のひとつの到達点とも言うべきアヌーク・エーメの芸術的な美人ぶりが正に至高、という。  愛とは甘さ、であるかの様にただ甘くて、最後に少しだけほろ苦甘く融けてゆく後味の良さも含め、あくまで雰囲気映画だが、その部類では随一、という作品。傑作かと。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-25 01:26:25)(良:2票)
17.  死霊館 《ネタバレ》 
内容は極めてオーソドックスな悪魔祓いものなのだが、幾つかの映画として優れたポイントがあり、そこの積み重ねが平凡なホラーになりがちな題材をワンランク上の作品に引き上げている。  ①基礎的な部分として、展開運びも巧くてテンポ良く楽しめるし、ホラー演出・怖がらせ方もかなり巧い方(流石のホラー監督としての手腕) ②悪霊の暴れぶりは思ったより強烈でややマイルド系のホラーにしては新鮮味がある ③見るからに非常に善人で、かつ人間的な弱さも有るオシドリ心霊夫婦のキャラ設定がとてもグッド ④最後に家族の愛が勝つというホッとできる良いラスト  コンセプトが平凡でも、細かい部分を色々とコツコツ丁寧につくり込むことで、十分に良い作品はつくれるのだと改めて実感する。まあ、誰しもがそういう精密な仕事が出来るかと言うと言うよりよっぽど難しいんだけど(特にホラー監督は志の低い人が多いから…)
[インターネット(字幕)] 7点(2019-11-29 00:55:27)(良:2票)
18.  チャップリンの独裁者 《ネタバレ》 
本作の笑いは、スラップスティックな面を多分に含みながらも、大多数は本質的に「風刺」であり、抱腹絶倒と言えるとまではいかないのが正直な所である(ヒトラーのモノマネなどはかなり笑えるが、何回も登場するたびに爆笑できるとまではいくまい)。むしろ本筋は結構シリアスな物語であり、その意味でもコメディとして観ると少し違和感を感じるといって過言ではないと思う。  本作の真の価値は、映画でヒトラーに立ち向かったチャップリンの映画人としての「心意気」にある。同じことを成し遂げた人間は、現代に至るまで皆無なのだから。
[DVD(字幕)] 9点(2020-01-19 15:43:02)(良:2票)
19.  若草物語(1949) 《ネタバレ》 
つまりは「貧しい乍らも楽しい我が家」なおはなし(別にそこまで困窮してるという風にも見えないけど)。仲の良い姉妹が4人も居ればそれだけでも絶対に楽しいだろうし、そんな姉妹の恋と青春、成長と自立を描いてゆくシンプルな作品。非常に普遍的なテーマであるが故に古典ながらも感情移入は容易だと思うが、後半はだいぶん駆け足になっており、要点は伝わらなくもないが深みはハッキリ欠いている。若い女優さん達はいずれも魅力的で、特にジャネット・リーが非常にキュートだが(後の旦那との初対面のシーンは少しドキッとしました)、女性としての確かな成長を豊かに表現する主人公ジューン・アリソンも中々良い演技だったと思う。  ふと思うのは、本作が普遍的な価値を持つ作品だと言いつつも、これがどこまで「変わらぬ価値」であるのか、という点である。本作のように、自分の家族、あるいは親戚や隣人といった周囲の人々と心を通わせ合い、互いの成長を喜びとして暮らしていく、ということが、現代においてどこまで普遍的であるのか。『寅さん』を観ても思うことだが、私はこのような映画をただ過去の郷愁にしてしまうことがあってはならないと思っている。本当の意味で、広い世代に観られると良い、と感じられる作品だと思う。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-13 13:25:36)(良:2票)
20.  フライト 《ネタバレ》 
航空アクションな序盤、ジャンキーな中盤、法廷劇な終盤、人間性を発露するオーラスと、中々に変わった展開をする点は先が読めなくてまあまあ面白いが、中盤がだいぶん長いことダルいのが映画としては玉に瑕。ただ、デンゼル・ワシントンの演技はまずまずだし(アクション俳優の面目躍如な序盤の緊迫シーンや、ラストシーンとかは言うまでも無く)、中盤までの内容からすれば意外と言える様な爽やかな鑑賞後感が残るのも悪くはない。一風変わった作品として、観ておく価値は有る。
[DVD(字幕)] 6点(2020-04-19 01:08:06)(良:2票)

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