1. アポカリプト
生贄の儀式というと「地獄の黙示録」の御牛様を思い出しますが、本作にははあのようなある種の神聖・荘厳な雰囲気が無い。一般的に生贄の儀式とは、大切なもの(例えば手塩かけて育ててきた家畜)をあえて無駄にしてしまう事に「神への捧げもの」としての意義があるんだと思います。そういう点、あんなに軽々とゴミを捨てるように次々殺してしまっては、有難味もへったくれもないような。どこまで歴史考証をやったのか知りませんが、「異教徒は野蛮人」という欧米式の偏見が抜けきっていないようで少々閉口しました。ファンタジー・アドベンチャーとしてみれば中々面白かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2011-11-06 17:03:02)(良:1票) |
2. “アイデンティティー”
《ネタバレ》 推理小説で言う所の「嵐の山荘もの」は好き。ただ今では「意外な犯人とくれば刑事のどちらかか、ひょっとして子供かなぁ・・・。」とか思って見てしまう。普通のミステリーだったなら「やっぱりそんなオチか」程度の印象しか残らなかったでしょう。その点、こういうアイデアで一旦収束して更にコレ、っていうのは斬新で良かったです。でも実際の所、その性格で現実に生活してないと多重人格とは言えないのでは。本当に女装してオレンジ畑を耕しているとか。現実に体験をして、それがフィードバックされ、考えて、行動して、また体験をして・・・その無数の繰り返しによって初めて人格が形作られてくるものでしょ。売春婦として幾多の男性遍歴を重ねた体験なんて、あの容貌でどうやって人格として取り込めるんだ。アレは単なる脳内妄想であって、それで連続殺人犯が無罪になってしまう事が一番ショックだったかも。 [DVD(字幕)] 7点(2011-05-29 23:49:02)(良:1票) |
3. アレキサンダー
空撮も多用しての戦闘シーンの迫力は今まで見た中でも屈指のもの。ギリシャ~アジア~インドの文化的な描写もそこそこ良かったです。ただし肝心の主人公アレキサンダーに大王としてのオーラというか魅力がないのが残念。ホモで気弱な普通のアメリカ人みたいです。ペルシャ大王はカッコよかったのに。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-12 19:54:30) |
4. アバウト・シュミット
日本と違ってアメリカでは老後の親と同居する習慣があまり無いそうだけど、そうなるとこういう人も居るんだろうなぁ・・・って感じ? ラストは救いなのか、或いは必死にやってきた挙句にこんな事しか残っていない悲哀を感じるべきなのか・・・製作者の意図が解らずリアクションに困った映画でした。 6点(2004-09-05 01:07:19) |
5. アザー・ファイナル
「世界最下位決定戦」なんて悪趣味か偽善の極みかと思ってましたが、全然違いました。製作者、選手達、関係者等の姿勢も素晴しく真摯。普段ほとんど見ることのないヒマラヤの仏教国とカリブの小国の文化・風習も大変興味深く見れました。こういう平和的な文化交流もサッカーの醍醐味の一つですね。(…そう思うとあの世界の祭典をエゴと贈賄で汚してしまった某国は改めて許せない。) 何気ない街角をサッカーボールが転がっていく等のスタイリッシュな映像も良。 滅多に見ることの無い映像・内容のため1点プラスです。 9点(2004-05-29 21:24:04)(良:1票) |
6. アザーズ
あらゆる面でよく出来たホラー映画だと思いました。豪壮なゴシック洋館のムードをここまで活かしきったのは見事。 光を浴びれない子供達の描写は、どこか子供時代のノスタルジー…台風前夜とか、夏休みの夜更かしとか…を刺激するものがあって良かったです。 同じオチで有名なシャラマン監督の映画がありますが、あっちはこのオチが無くても物語が成立するのに比べ、こちらはあらゆる要素がオチに収束される。密度の高いシンプルな構造美。映像的美しさも相まって個人的にはこちらに軍配です。 [DVD(字幕)] 10点(2003-11-29 01:52:09) |