41. アラバマ物語
《ネタバレ》 「バニラ・スカイ」で理想の父親像として本作のグレゴリー・ペックが出てきた。その時はこっちを観てなかったから、よく分からなかったけど、観たら納得。グレゴリー・ペックが演じる弁護士のアティカスは優しいお父さんというだけでなく、常に正義を貫こうとする。人のあり方として最高のお手本の背中を見て育った二人はどれだけ幸せだったろうと思う。この映画を観る側としては裁判で勝利するより、負ける方が人種差別の愚かさをより感じるし、心に残る。時代を考えればこの映画が持つ意味は大きい。前半の子供たちのちょっとした冒険は意味があるんだかないんだかよく分からないけど、妙に懐かしく感じるせいもあって、決して嫌いではない。若き日(といっても30くらいだけど)のロバート・デュヴァルも素晴らしい。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-10-30 19:05:10) |
42. 悪名(1961)
《ネタバレ》 モートルの貞(田宮二郎)との喧嘩から強引にヤクザの世界に引き入れられた朝吉(勝新太郎)が琴糸(水谷良重)を守るために命を張る物語。中村玉緒も出演していて、勝に「あなたを一生の妻にします」と書かせる場面などは今となっては面白い。物語は琴糸救出のため因島へ。シルクハットの親分とやらと戦うのかと思いきや、イマイチ貫禄不足…。しかし出た出た浪花千栄子、こっちが真のラスボスだ。このおばさん、朝吉に「指を詰めろ」と言わないあたりは良心的だが、ステッキでバンバン殴るなんてやっぱ凄い世界に生きてる人だ。しかし朝吉はこれに耐え抜いて許される。「勝ったんやで」と叫ぶ朝吉、女を守るかっこよさを堪能できる映画だ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-10-20 18:00:16) |
43. 赤線地帯
《ネタバレ》 誰しも好きで娼婦になった訳じゃない。かといって売春防止法が通れば生きていけない。高度経済成長? もはや戦後ではない? 「子供のミルクひとつ買えないで何が文化国家よ!」 時代が変わりゆく中でもがく女たちの様々なドラマを派手に飾ることなく描く。誰が主人公という訳でもないが、京マチ子、若尾文子、木暮実千代ら有名女優を抑えて、しづ子がすべてを持っていった印象…。あのラストシーンは強烈な一撃だった。 [DVD(邦画)] 7点(2011-10-04 21:24:06)(良:1票) |
44. 悪人
「殺された人」も「殺した人」も寂しい人で、「殺した人を愛する人」も寂しい人。これってやっぱり現代の日本を象徴してるんだろうな~。そんな人たちの心と重なる冬の雨が冷たくて、冷たくて…。だからこそ、二人が灯台にたどり着いた時の太陽の暖かさは際立っている。多分、深津絵里はこの役にしては綺麗すぎるんだろうが、そこを演技力でカバーして、孤独な女になりきっているのはさすが何たら映画祭の最優秀女優賞を獲得しただけのことはある。婆ちゃんがバスの運転手から励まされるみたいな小ネタは要らないと思う。悪徳商法もそんなに必要ないかな。その他、気になるところもいくつかあるが、全体としてはなかなか良かったと思う。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-08-08 18:32:46) |
45. アイアンマン2
《ネタバレ》 1作目の面白さはパワードスーツの完成に喜びを共有できたところにあると思う。試行錯誤しながら完成させたスーツで空を縦横無尽に飛び回る社長を見ていると、こっちまで嬉しくなったもんだ。「速い!」「強い!」 そんなヒーローが誕生するまでを見守り、応援したんだよね。その喜びが「2」には無い…。さらに「1」では脱出の為、友の為、陰謀に立ち向かう為と、戦う理由もヒーローっぽいが、「2」では「敵が攻撃してくるから戦う」ってだけになってる…。受け身というか。しかもその敵がただの逆恨み野郎なのはこの映画の決定的にダメな部分だろうと思う。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-07-16 00:00:19)(良:1票) |
46. アウトレイジ(2010)
《ネタバレ》 バイオレンス映画にこんな事を言うのも何だが、かなり痛いシーンが出てくるのであまり得意じゃないなぁ。それはともかく、些細な事から血で血を洗う抗争に発展していく様は見応えがある。関内会長の先を読む力は確かだったけれど、側近の人心掌握が出来ていなかった時点で、彼も人の上に立つ器では無かったという事か。ヤクザの世界のことは分からないが、この映画のようなことが代々続いてきてるなら、なんとも恐ろしい。少なくともこれを見てヤクザになりたいと思った人はいないはずだ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-07-01 00:04:13) |
47. あばれ獅子
こういうのを感動の押し売りと呼ぶのかな…。ちょっとしたイイ話を役者の涙とBGMで大袈裟に感動的な雰囲気に作り上げる。おかしい。阪東妻三郎の声が安定しないのも気になったが、体調に問題があったようなので責められない。これが遺作でしたか。う~ん。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-07-01 00:00:52) |
48. アフタースクール
思い込みを利用した見事なトリックではあるが、複雑でついて行くのがやっとだった。ごちゃごちゃした手品は素直に驚けない場合があるが、それと似た感覚。「運命じゃない人」の方が好きです。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-06-29 19:39:06)(良:1票) |
49. AKIRA(1988)
な… 何が何だかさっぱり分からない。原作を読んでないからかな? 途中から「早く終わってくれないかな~」とだけ考えてた気がする。グロテスクなのも個人的にはマイナス。しかし、よく動くレベルの高い作画は評価せねばならないので、一応2点とさせていただきます。 [DVD(邦画)] 2点(2011-06-15 18:01:44) |
50. 愛を乞うひと
《ネタバレ》 この映画は10年近く前に見たけど、少女が殴られるわ蹴られるわで、ひどい嫌悪感に襲われ、途中で見るのをやめてしまった。血が出るより、吐くのがもっと怖かった記憶がある。で、今回再チャレンジしてみたら、同じく怖かったものの、決してそれだけではなかった(そりゃそうだ)。美容院での再会、その後のバスの中、自転車に二人乗りする母娘など、印象的な場面が多いのは映画としての完成度の高さの証明だろうと思う。そして言うまでもないが、原田美枝子の凄さ。照恵を演じているときには豊子を感じさせず、豊子を演じているときには照恵を感じさせない。無理なく正反対の両方になれてしまうんだから、女優って恐ろしいな~と思ったくらい…。豊子がなぜ虐待をしていたか理由がはっきりしないのは気になるところではあるが、実際、世の中の虐待事件でも理由が明確じゃないケースは多々あるし、あまり重要なポイントではないのかも。娘を愛し、母を許せた照恵に比べ、生涯孤独だった豊子はかわいそう、という原田美枝子の言葉が印象深い。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-31 00:05:53)(良:1票) |
51. 仇討(1964)
新八の叫び、重兵樹の内に秘めた苦しみ…。実話ではないが、この不条理と言うのか、今や世界を魅了する武士道の影の部分を見せ付けられた。時系列が飛び飛びになるのはちょっと注意が必要でした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-05-16 23:02:58) |
52. アイガー北壁
極限だなぁ。この映画はリアルな映像が素晴らしい。撮影方法は分からないけど、多分苦労して撮られているのだろう… メイキング映像があれば、そちらにも感動するかもしれない。山を登り始めるまでの話に退屈したとしても、我慢して見続けることをおすすめします。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-05-10 19:05:03) |
53. 熱海殺人事件
舞台の方は未見。ふざけた設定のコメディではあるが、思ったほどは笑えなかった。むしろ少々しんみりさせる場面の方が良く出来ていたのではないかと思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-04-03 21:09:47) |
54. 愛を読むひと
《ネタバレ》 ナチス時代のユダヤ人300人殺害事件、その責任者としての罪を被ってまでハンナが隠したかった秘密。法律を学ぶ者でも、あるいはかつて愛し合った仲でも(だからこそとも言える)その重い意思は尊重せざるを得なかった。一方ではハンナが犯した罪を憎む気持ちもあっただろう。複雑な苦しみを抱える若いマイケルはただ涙を流すことしかできなかった…。時が流れ、大人になったマイケルは本を朗読したテープを刑務所のハンナに送るようになる。とても感動的な場面だ。ハンナはそのテープをもとに読み書きを覚え、手紙を書けるようになった。しかしマイケルは手紙を返さない、よく分からないが、反省の言葉を待っていたのだろうか? ハンナは裁判にかけられるまで自分の罪について考えもしなかったという。ハンナに責任を押し付けようとした他の元看守のような卑劣さは無いけど、それよりさらに恐ろしいのがハンナの罪の意識の希薄さなのだろう。マイケルはハンナを愛してはいた、しかしドイツの過去はそれだけでは済まされないほど多くの人に大きな傷を残しているのだと感じた時、この映画の重さがずしりとのしかかってきた。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-02-25 20:41:12) |
55. アンナと過ごした4日間
不器用で不運な男の変わった愛の形を緊張感を持たせながら描いている…。印象的なラストシーンも用意されていて、さすがに評価が高い監督の作品だな~と思うものの、共感するにはいたらず、心に響くものはありませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-02-05 17:17:43) |
56. 或る夜の出来事
ラブコメの原型ここにあり…か… 偉大な作品だ。古臭いと感じることは無く、気がつけば二人の恋のゆくえに一喜一憂してた。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-02-01 19:38:21) |
57. 新しい人生のはじめかた
《ネタバレ》 逃げた方が楽に思えても、勇気を出して一歩踏み出せば人生が変わるかも… そんな理由で邦題は「新しい人生のはじめかた」になっている。実はハーヴェイが電話で「NYには戻らない、今が幸せのラストチャンス」とか何とか言う場面があり、その時は原題の「Last Chance Harvey」の方が明らかに良いと思ったが、全部観終わったら、ケイト視点も含まれたなかなか良い邦題に思えてきた。ハーヴェイのしつこいナンパは現実社会ではストーカー扱いされるのがオチであろうが、問題は手段ではなく、勇気を持つこと。家族との関係、ケイトとの関係、ケイトから見たハーヴェイとの関係、共通していたのはまさにそれだった。べたなストーリーではあるが、ロンドンの美しい街並みや名優二人の力もあってか、大好きな映画の一つになった。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-01-16 17:02:22)(良:1票) |
58. 青い山脈(1949)
当時の価値観を知る上ではなかなか貴重に思えるが、映画として面白いかと言われれば首をかしげてしまう。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-01-05 18:49:37) |
59. ATOM
《ネタバレ》 手塚先生が描いた可愛らしいアトムに比べ、生々しくて若干気持ち悪いとすら感じるのはどうかと思うが、ストーリーはまずまず楽しめるものだった。使えなくなったロボットの廃棄場でロボット同士の友情物語が始まるのかと思いきや、孤児たちと出会い、アトムは仲良くなりたいために自分がロボットである事を秘密にする。これが結果として人間を騙した形になり、アトムとコーラたちの距離は離れていく。(いくらなんでもハム・エッグの豹変ぶりはおかしいし、悲しい) 本家アトムの内容はほぼ知らないが、こちらも自分がロボットであるがゆえに悩んだりしているようなので、時代や作り手が変わっても、テーマは受け継がれていることに嬉しさを感じる。また富士山みたいな山を登場させたり、桜の花びらを散らしたり、日本への敬意が感じられる点も見逃せない。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2011-01-05 18:41:12) |
60. 明日の記憶
まず2010年の姿を見せた後で2004年に戻り話が進められる・・・ この先どうなるか分かっている状態で見せられると結構つらいものがある。それでも大滝秀治が演じたエロ爺さんの言葉に少しだけ救われ、最後のあまりにもショックな現実さえも受け入れた枝実子さんの強さに感服した。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-12-10 22:00:51) |