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1.  アダムス・ファミリー2 《ネタバレ》 
“Addams Family Values”『アダムス家の(代々受け継がれてきた)価値観』 モロにアメリカ現地人が好みそうな味だった前作から、同じ材料・同じ風味を活かしつつ、日本人の口にも合う作品に仕上がっています。1にドハマリした人には、万人受けする2は物足りないかも?私の場合オースティンパワーズがそんな感じでした。  前作で感じたイマイチ乗り切れない感は、恐らく、長い歴史を持つ原作の持ち味を活かした結果、その文化に触れていない私たち日本人が感じた、置いてけぼり感に思えます。2ではそこが上手い具合に、原作に引っ張られること無く、映画のキャラの独り歩きが成功したんじゃないかな?って思えます。  マイケル・ジャクソンネタを2回も入れてきたり、お利口さんのお手本・サマーキャンプの気持ち悪さを笑ったり、有色人種や障害者差別をぶった斬りしたり…サウンド・オブ・ミュージックやディズニーを朝から晩まで観せられる拷問なんて、前作の笑いとはガラッと毛色が違います。笑いのセンスが'89年から始まったザ・シンプソンズにとても似ています。アメリカ・ローカルではなく、世界でもウケているアメリカ発のコメディをしっかり研究して、作品の中に落とし込んでいるように感じました。  あの無表情なウェンディーが、キャンプの拷問に恐怖する様子は、お笑いネタとしてウマいなぁと思うし、引きつった笑顔を作る演技は、T2のシュワちゃんの笑顔並みに素晴らしい。クリスティーナ・リッチ13歳でコレ出来るのが凄い。 だけどこのファミリーに明るい笑いは諸刃の剣です。次作があったとしたら、きっとマンネリ感とコレジャナイ感たっぷりになっていった事でしょう。
[DVD(字幕)] 7点(2024-08-27 20:35:39)
2.  アダムス・ファミリー(1991) 《ネタバレ》 
“The Addams Family”『アダムス一家』。ホンダ・オデッセイのCMで何度も観た人たち、何度も聞いた曲(※このCM、モーティシアと執事だけ本物だったって今回知ったわ…軽くショック)。きっと私たち世代には凄い知名度ですが、どれくらい流行っていたんでしょうかね?ロードショーでよくやってたと思いますが、私は今回が初視聴となります。アメリカのコメディって独特のクセがあるので、スーっとハマれば何よりですが、馴染んでくるまで時間がかかるんですよね。  1作目なのに登場人物とかの説明は無し。聖歌隊に熱湯?のようなものを掛けるオープニング。リンゴを咥えたパグズリーにボウガンを撃つウェンズデー…結果は描かれない。悪質なジョークなのか?聖歌隊は死んだのか?バグズリーは不死身なのか?この世界観の予備知識が無いから、私は彼らファミリーが妖怪か何かかと思っていましたよ。だってハンドくんとか出てくるし、門は勝手に閉まるし、シロクマの敷物は足かじるし…  うぅ~~~~ん、全然馴染んでこない。笑いのツボが私とズレている。でも、無表情なウェンズデーと、意味不明な笑いを浮かべているフェスターの表情はイイネ。ウェンズデーのこの色白・無感情キャラって、'90年代の日本のアニメに多大な影響を与えたと思います。綾波レイにホシノ・ルリに土萠ほたるに…クセの強い味付けを、日本人好みにして馴染ませる技術。そういうの日本のクリエイターって上手ですよね。スパイスの効いたインドのカレーを日本の国民食カレーライスに変えてしまう技術と一緒かもしれませんね。  血みどろの学芸会でちょっとクスリとしました。だってジョバババババーーーって、血が出続けてるんだもの。 その後のテンションは低空飛行でしたが、どういう訳か、モーティシアが拷問器具で締め上げられているところで、突然、急に、この一家が愛おしく思えてしまいました。どうしてこのシーンで?って、自分でも意味が判りません。あと15分ほどで終わるというこのタイミングで『もう1回最初から観てもいいな』って思えたんです。 次に観たとき、心から楽しめるか判りませんが、最初観るときの、感性が馴染まなくての苦戦はしないでしょう。ひとまず2も観てみます。
[DVD(字幕)] 6点(2024-08-20 23:11:05)
3.  歩いても 歩いても 《ネタバレ》 
『結婚できない男』観てたなぁ。あのコンビが再婚夫婦役で出ているのがなんか嬉しい。ドラマでは気の強い役だった夏川が、阿部の実家で、借りてきた猫のようにしてるのが面白い。 名の知れた俳優が出てなければ、まるで帰省のドキュメントを観ているようです。お盆って、その地方の独自色(イベント感)が出過ぎるから避けたんでしょうかね?兄の命日をお盆の少しあとにしたことで、どこにでもありそうな夏の帰省が描かれます。昆虫採集とか打ち上げ&手持ち花火、ラムネ、生ビール、浴衣、夏祭りといった、定番の夏の記号は入れてこない。枝豆ご飯にとうもろこしの天ぷら。それだけで夏。美味しそう。  うなぎを食べている最中、お吸い物の肝を取るおじいちゃんが箸チュパチュパ…潔癖っぽいけど、立ち位置を理解しているあつしが黙ってるのが、ぽいなぁ。 「ちょっと休憩…」常に気が張って、ずっとストッキング脱げないゆかり。あつしも靴下履いたまま。両親はもちろん、姉夫婦一家は子供も婿さんまでも裸足。良多も実家なのに靴下履いたまま。数デニールの絶妙な距離感表現。 “二人の思い出の曲は?”と言われてレコードを掛ける母。良多の「これよく歌ってたね」に箸が早くなる父。普段ジャズを聞き、カラオケで『昴』を歌う父が、30年も前に不倫相手に歌ってた『ブルー・ライト・ヨコハマ』。「来年もまた、顔を見せてくださいね」母が15年経っても良雄くんを呼び続ける理由。  歳を重ねて開いてしまった父との距離。おそらく今まで見ようとしてこなかった、母の生々しい人間性。人間だから当然と言えば当然なんだけど、子供にとっては人のまえに母であり父であり。なんだよね。 実家を離れたから、両親が老いたからこそ見えてくるものって、あるよね。母を車に乗せることもなく、父とサッカーを観に行くこともなく過ぎてしまった、一緒に居られる時間。 墓参りのあと、姉夫婦が住む実家に寄らず、まっすぐ帰ったのかなぁ?良多、免許取って車買ったんだな。信夫の勧めていたRV買わされたのかな。顔くらい出したのかな?親が居るのと居ないのとで、実家の存在意義って変わるよね。 父「次は正月か」何だかんだ言うけど、子供の顔見たいんだよね。
[DVD(邦画)] 8点(2024-08-17 13:48:21)
4.  アミスタッド 《ネタバレ》 
“Amistad”邦題まま。劇中登場する奴隷船の名前だけど、意味は『友情』や『親交』だそうです…ブラックユーモアが過ぎる。笑えん。 スピルバーグ監督作品なのに12年もレビューがないんだ、へぇぇ~。 奴隷たちの反乱。及びその後の裁判を取り上げた映画です。黒人を同じ人間として扱わない、奴隷船での非人道行為。映像で観るテコラ号での惨劇はかなりショッキングです。この映像を観て、文明が進んだこの時代に産まれて、本当に良かったと安堵するとともに、奴隷貿易などの被害に遭わなかった日本という国に、日本人として産まれたことも感謝です。  と、この映画の黒人目線で考えてみましたが、皆さんはどんな立場でこの映画を観ていたでしょうか?どうしても白人側で観てしまう気がします。登場人物のプライベートはほぼ語られませんが、舞台がほぼアメリカなため、アメリカ側に立って観てしまうのかな。あとシンケの過去も少ししか出てこず、ほぼ捕まるところから始まります。ライオンのエピソードやら妻との馴れ初めを描いていたら、それこそ3時間半超えの超大作になってしまったでしょうけど、バランス上どうしても白人側に感情移入しやすくなっていると思えました。  テコラ号の積荷目録を突き付けるところや、最初の裁判で勝訴する所。シンケが自由を求めて叫びだす流れは、法廷映画としてとても居見応えがありました。でも最高裁のアダムスの演説は、どうもフワッとしか響きませんでした。アメリカ人の弁護士が、アメリカ人の陪審員の心を動かすのが目的だから、アレで良いんだろうけど、なんかアメリカのウチワのお話みたいに思えます。  史実に基づいているとは言え、どうもアメリカが「昔から“理解ある白人”も居たんだぜ?」って言ってるように観えてしまいます。主要人物が自由になりたい黒人と、自由を与えたい白人ばかりだからでしょうか? 奴隷制度は白人が黒人に対して“のみ”行われた訳じゃないことも語られてましたが、こちらもアメリカが「当時は殆どの組織が奴隷を使ってたんだぜ?」って言っているようにも思えます。悪いのは白人じゃなく、そういう時代だったんだと? シンドラーはナチの党員でした。ミュンヘンのアブナーは報復する側でした。この映画も、時代がまだ奴隷を使っていたなら、奴隷を開放したい側だけでなく、使いたい側の正当性・当時の価値観も観せてもらいたかったです。
[DVD(字幕)] 5点(2024-08-12 23:22:37)
5.  IAM A HERO アイアムアヒーロー 《ネタバレ》 
原作読む前に映画観ました。邦画のSFとして、安っぽさを感じさせない映像で、結構頑張ってるなぁって思いました。 原作の前半部分は“ゾンビパニックが日本で起きた場合、日本人はどんな行動を取るか?”を、結構リアルにシミュレートしていたと思います。目の前でZQNに襲われた人を見ても、写メ撮るくらいで無関心な通行人とかが日本人らしいというか、なかなかパニックにならず、日常生活を続けようとする辺りがリアルに思えました。それと原作の英雄はもっとウジウジしていてコミュ力低め。妄想癖もあって面倒くさい人物。でも映画ではその辺りは控えめにして、ゾンビ物アクション映画として、勢いを優先したように思えました。  ストーリーを詰め込みすぎず、適度に省いたことで、原作未読の人にも取っ付きやすくなっています。反面、比呂美が英雄を信頼する過程が説明不足になってしまいました。英雄の「俺が君を守る!」からの「…うん」って返事と同時に流れる一筋の涙は、結構な見どころだと思います。有村架純頑張ったなぁ。 で、富士山麓の森の中から、再び幹線道路に出てきた時に英雄が髭面になっていたから、相当な時間経過があった模様。そこをもう少ししっかり描いても良かったかと思いますが、“ゾンビ物と言えばショッピングモールの籠城戦”と言わんばかりにアウトレットモールをクライマックスにしたことで、アクションに傾倒した仕上がりになっています。  連載途中の人気漫画の映画化としては良く出来ていますが、当初は続編を創る気があったのか判りませんが、一本の映画としては消化不良な終わり方です。英雄が最後の最後に銃を撃つのは見せ場として上手いと思うけど、あの数のDQNをあの場所で全部倒してしまうのは、ちょっと画的に単調でした。 『モールから脱出したから終わり。…で良いよね?』では、ちょっと『ロメロ・ゾンビ』のお約束に頼りすぎな気がしました。比呂美が半人半ZQNになった理由や、今後彼女はどうなるのか?とかは、映画オリジナルの落とし所を持ってきても良かったかと思います。
[映画館(邦画)] 5点(2024-07-31 23:46:15)
6.  或る夜の出来事 《ネタバレ》 
“It Happened One Night”『それはある夜に起きた』とかでしょうか?ずっと『或る“ヨル”の出来事』だと思ってた。 一括りにすると昔のラブコメ映画ではありますが、昔もむかし1930年代の、それも前半の作品。当時トーキー映画が徐々に出てきて、でもまだチャップリンがサイレント映画やってた時代に、これだけスタイリッシュでスピーディでテンポの良い、それこそ『ローマの休日(本作より20年もあとの作品)』と比較される作品が創られていたなんて、ただただ驚きです。まるで時代のオーパーツのような映画です。  古い映画を観ていると『何でこの若い美女が、こんな初老の男と?』なんて不思議に思うことがあります。まだこの当時、淑女は紳士の添え物と考えられていたんだろうな、と解釈してます。でも本作のピーターは、世間知らずのエリーをリードこそしますが、きちんと対等の関係を示しているように感じます。ドーナツの浸し方も、男が女に教えてやってるという説教臭さは感じられません。…てか女性はコーヒーに浸すなんて下品な食べ方、しなかったと思います。 部屋を借りる際、毛布で『ジェリコの壁』を作るとこなんて紳士的だし、エリーの目の前で生着替え。シャツを脱いで、次はズボンと見せかけて靴に行くユーモアというか気遣い。エリーが壁に放ったストッキングをしまうように言うところも、凄く格好良く思いました。 ピーターが自信満々のヒッチハイクを披露してからの、エリーのあんよチラリでアッサリ勝ってしまうとこなんて、たぶん'80年代くらいの作品までは、余裕でパクられてるネタですよね。2人の関係が対等だから成り立つ勝負が、とても微笑ましく思えます。 クライマックスは結婚式からの大逆転。そしてジェリコの壁とラッパ。シンプルだけど幸せいっぱいなラストが良いですね。  もし、漠然と古い映画に興味を持った人に、何を観たら良いか聞かれたら、私は迷わずこの映画をオススメします。 ちなみにこれまで827本の映画レビューを書かせて頂いていますが、本作より古い映画のレビューは、たった6本だけでした。今から90年前なんだってこの映画。90年前のラブコメが今でも楽しく観られるなんて、凄いよね。
[ビデオ(字幕)] 9点(2024-06-18 12:13:00)(良:1票)
7.  アメリカン・ヒストリーX 《ネタバレ》 
“American History X”『アメリカ史のX』。スウィーニー校長が落第寸前のダニーに課そうとした授業のタイトルです。ミスターXとかのX、つまり謎の人物Xです。この授業を通じて、ダニー個人のアメリカ史のXを解き明かしてみよう。という時事問題の討論授業で、最初の宿題が『兄弟』についてのレポートでした。兄デレクが起こした殺人事件が、ダニーや家族にどんな影響を与えたかをまとめる。というものでした。  ビンヤード兄弟の置かれた環境は、アメリカの下層市民の縮図のようです。彼らに影響を与える大人は3人。黒人スウィーニーは人種差別と真正面から戦う。白人キャメロンは裏でギャングを牛耳り、決して表には出ない。そしてユダヤ人のマーレー先生は母ドリスと付き合っていた時もあり、今はダニーの担任。 今まで最下層だった黒人の人権が確立すると、白人の中でも下層市民の立場が危うくなります。だから白人至上主義にすがるのは簡単な自己防衛手段で、キャメロンにとって好都合です。父親が亡くなり、社会的立場がより弱くなると、汚いユダヤ人が白人の家庭にまで潜り込んできます。マーレー先生にそんな気は無かったでしょうけど、兄弟には納得行くシンプルな答えでした。  刑務所の中の恐ろしい出来事。予想もしなかった救いの手。あんな経験をしないと人は変われないのか。一番近い弟だけに、デレクの考えに理解を示すダニー。やっと芽生えた希望が、あんなにも簡単に消える銃社会アメリカの奥深い闇。 この映画のおよそ9年後にアメリカで黒人の大統領が誕生し、更におよそ8年後、移民を受け入れない白人の大統領が誕生しました。そして昨日のトランプ氏有罪判決。アメリカ史のXは、未だXのままのようです。
[DVD(字幕)] 8点(2024-06-01 23:00:52)
8.  ア・フュー・グッドメン 《ネタバレ》 
“(The Marines Are Looking For )A Few Good Men”『若干名の精鋭(を海兵隊は求めています)』。海兵隊員募集の広告キャッチコピーだそうです。興味深いのは舞台となるグァンタナモ米軍基地。ここはアメリカの仮想敵国のキューバの領地で、アメリカがキューバから何十年も、ず~っと借りてる土地なんですね。ここはアメリカ領じゃないので、この地で起きた事件にはアメリカの法律が適用しにくい、いわゆるグレーゾーンだったようです。  アメリカ4軍の中でも特に高い戦闘能力が要求される海兵隊員。その中で精鋭とは言えないサンディアゴ。除隊ではなく転属を願い出た彼は、転属の条件・取引として、ドーソンによる発砲事件の証言がありました。…その脅迫紛いの提案が、良くなかったのかなぁ?そんなサンディアゴに大佐がコードRを指示し、実行したのは、基地の置かれている状況を考えると、必ずしも間違った解決策とは言い切れないんでしょうね。私はイヤだけど、彼も自分は精鋭ですよ!って応募した訳ですから。 よりによってグァンタナモは、少なくとも平常時のアメリカのルールをそのまま持って来て当てはめられるエリアとは言えません。誰にとっても運が悪かったですね。  そんな特殊な環境の説明が、映画にキチンと反映されていたとは言いきれない気がします。イジメ、体罰、発砲事件はどの基地でも起きるでしょうが、コードRが今でも、水面下ではなく大佐からの命令として続いているという部分が、他の在留基地との大きな違いなんだけど、単なるローカル・ルール程度の印象だったように思えます。 法廷モノとしてとても観ごたえがありました。クローゼットの服から活路を見い出す着眼点。法廷に当時の整備兵を入れるブラフ。大佐を追い詰め自供させる展開は映画らしくスカッとします。一方で発砲事件の隠蔽のためにドーソンがサンディアゴを毒殺した…なんてシナリオを被せられ、証拠隠滅とデッチ上げで軍に生贄にされたのに、元隊復帰を切望していた被告2人の判決が、とても不憫に思えました。でも仲間が死んでるしなぁ… 当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったトムとデミ。2人が共演してるのに、恋愛模様に発展しないのも、意外と言えば意外でしたね。イチャイチャしないぶん、シナリオに集中出来ました。
[ビデオ(字幕)] 7点(2024-05-22 10:32:57)
9.  アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 
“American Hustle”『アメリカの詐欺師』。カンフーハッスルのハッスルですね。さぁ詐欺師の映画とくれば、最後どんでん返しで痛快に騙されるのが定番かと思いますが、私の集中力が足りなかったのか、どうにも波に乗れませんでした。 物語はプラザホテルのシークと市長の取引から始まります。取引を前に3人が揉めてます。でも理由はわかりません。 市長が出ていくとアーヴィンの回想、どうして彼は詐欺師になったかを振り返ります。そして愛人シドニーとの出会い、回想。奥さんロザリン登場。ディマーソ登場…市長の取引に戻るのは、始まってから48分辺り。おいおい、どうしてここから映画を初めたんだい?  最初の方しっかり観ていなかった私が一番悪いんだけど、最初に出ていたアーヴィン、シドニー、ディマーソの間にも騙し、騙されがあるものと思って観ていたから、シドニーが留置所で監禁されて、マジックミラーの後ろでディマーソとアーヴィンが話してるのを観て、2人でシドニーを騙してるのか?なんて思ってしまった。あぁちゃんと観れてないなぁ。 アブスキャム事件本題以降は、序盤で割と多く出ていたアーヴィンの“心の声(ナレーション)”が減ったため、このセリフが本心なのか相手を騙してるのかも解らなくなり、どれが本心だろう?って関心が薄れてしまいました。勝手に自滅してますねぇ。  でもテレジオ登場で映画はピリッと締まります。シークにアラブ語で質問するトコの『やべぇ』空気は最高。手に汗握ります。ここが一番のピンチで山場じゃないでしょうか?そしてアーヴィンは“失敗すると殺される”立場になります。さぁ、どう切り抜けるか?? でもその緊張感は長続きしないで、序盤のムードに逆戻り。いま誰が有利で、いま誰が不利なのか、チェス盤の駒の配置がイマイチ伝わってきません。私の集中力がなかったせいも大いにありますが、メインの3人がアレコレやってる事件より、奥さんの単独暴走のほうが面白くて目を引きます。 最後もどうにもスッキリしない。実話ベースにしても、もう少し解りやすい娯楽作品に振ったほうが良かったのかも?とか、観せ方変えればもっと面白くなったんじゃない?なんて思ったり。1回目の理解度はこの程度。もし集中力が続きそうなときにもう一度観たら、もうちょっと楽しめるかもしれない作品。
[DVD(字幕)] 5点(2024-02-13 22:49:34)
10.  アベンジャーズ(2012) 《ネタバレ》 
“The Avengers”『復讐者たち』だそうで…。なぜ彼らの集まりが復讐者なのか、意味はわかってません。ただ『アヴェンジャーズ』じゃなく『アベンジャーズ』なのは好感度高いです。ケビンをケヴィンって書いたり、いつからかバビブベボを『ウに点々』表現ばかり使うようになってきましたよね。何でだろ?  アメコミ・スーパーヒーローが夢の共演。といっても、私はアイアンマン1作と、お付き合いでエンドゲーム(何故に最後だけ)を観てしまったのみで、他の作品は観てません。アベンジャーズで4作品?枝葉を含めると膨大な数のヒーロー映画を見る必要があるようで、これは私には、楽しみというより辛い修行のように思えたので、なるべくなら手を付けないで済ませたい気持ちでいっぱいです。 今回偶然にも1作めのDVDを手に入れてしまい、ひとまず、これ1作だけでもって気持ちで、観ることにしました。  ソーは神だし、ブラック・ウィドウは拳銃で戦う普通の人みたい。それらを同じ立ち位置で描くには、強弱のバランス取りが難しいんだろうなって思います。そこは案外違和感なく、上手いバランスで描けていたと思います。 ただ、日本のアニメとかだと、敵のボスが強すぎて全員で立ち向かってギリギリ勝てるって展開だと思いますが、ロキが本作の大ボスということで、出てきた時からソー1人で勝てるんじゃないか?と思ってしまいました。チタウリの艦隊ってのも、数ばかりでロキよりは弱いだろうから、結果論ソーとハルクが居れば、他のメンバーがいなくても勝てたんじゃないか?と。  ただニューヨークの被害は酷かったですね。シールドや州軍も応戦してたけど、どれだけ有効打を撃てていたのか?ブラック・ウィドウやホークアイの攻撃は効いてるっぽいのに。 そうなると、私はどの立場で観ればよいのか、困ってしまいます。ヒーローの1人?無駄な抵抗をする軍人?逃げ惑う市民?主要メンバーに、観客の代弁者である普通の人が1人居ると助かったんですが、恐らくその役割だったフィルは途中リタイアしてしまいます。そうなると糸の切れたタコ状態で、超人的能力を持つ者同士の戦いを、自分がどの立場に感情移入すれば良いのか解らない視点で、ずっと観続けることになります。 最後の攻撃手段にちょっとビックリ。こういう、人間の科学兵器が効かないから、スーパーヒーローが戦うんだと思っていたから。 あと、最後のみんなでご飯食べてるところはとても良かったです。
[DVD(字幕)] 5点(2024-01-28 23:01:28)
11.  アウトサイダー(1983) 《ネタバレ》 
“The Outsiders”部外者とかかな?って思いつつ、『非認可の組合』って意味もあるそうで、劇中の不良グループ『グリース』に『ソッシュ』を表してるんじゃないかなぁ?なんて、思いました。 子どもを脅す場面が印象的で、こうして小さな子供の頃から、グリースって組織が町の裏側を牛耳ってるんだって印象が浸透していくんだなって思いました。 現代劇なんだけど、公開当時からどこか懐かしさを感じさせる不思議な映画です。この時代の不良だとトゲトゲのパンク・ファッションとかだったろうに、出てくる不良が『理由なき反抗』や『ウエスト・サイド物語』の正常進化版のように素朴な不良って感じです。 (※訂正。あとから調べたら'60年代が舞台でした。そりゃ'80年代の子は『風と共に去りぬ』なんて読まないよな…)   チェリーとの恋模様、ジョニーの家庭問題と悩みが多いポニーボーイ。相手チームの不良を刺し殺してしまう大事件が起きて、逃亡生活へ。この時のダラスの『頼れるアニキ感』がたまらなく痺れる。日常が一変してしまい、この先どうなるんだろう?と期待が高まります。食料買い込んで髪を切って染めて、少年2人の非日常生活が始まります。 ただ教会の火事から、殺人事件を含む諸々の問題が有耶無耶になってしまったように思えます。 グループの決闘『ランブル』に向けて盛り上がっていくところ。ポニーボーイとランディの車の中での本音トークはとても良かった。「今夜のランブルでも誰か死ぬかも」と、仲間にも言えない不安を共有する2人。 ランブルは思いのほか正々堂々とした乱闘でした。この物語の山場・見せ場として、殺人をキッカケとした闘いとしては、健全すぎるように感じました。仲間を殺された不満や鬱憤を、この一戦でチャラにしていいの?なんて思ってしまった。あとチェリーとのその後とか消化不良にも思えます。  でもステイ・ゴールドと夕焼けの映像の美しさが、若者のストーリーと言うよりポエムのようで、そう考えると起承転結とかどうでもよく感じます。 そして現代の不良としなかったことで、どの時代に観ても古臭さより懐かしさを感じさせる、タイムレスな映画になってますね。 ピンで映画の主役を張る若手俳優の揃い踏みは圧巻。今観るとみんな子供だなぁ。トム・クルーズは奇行が目立つようになった時と同じくらい落ち着きがなくて、この時からクスリを…じゃなくって、コレが彼の素なのかなぁなんて思いました。
[ビデオ(字幕)] 7点(2024-01-27 12:30:38)
12.  アウトロー(1976) 《ネタバレ》 
“The Outlaw Josey Wales”『ならず者ジョーシー・ウェールズ』。この作品を観て『北斗の拳とか武論尊作品ってイーストウッドの主人公の影響を結構受けてるんだな』って思いました。“無口で怖くてちょっと下品、でも根は優しい。”本作のウェールズは所構わず唾を吐きかけます。 家族を、仲間を無惨に殺された男の復讐劇。冒頭の殺された子供役がイーストウッドの実子だそうで、映像で観る以上に男の怒りが感じられます。  さてウェールズは、どこで早撃ちを身に着けたんでしょう?原作小説では描かれてるかもしれないけど、ここ描いたらきっと長くなるから割愛したんでしょう。農夫からゲリラになって、ゲリラ部隊の活躍はダイジェストで出るだけ。ウェールズが目立った活躍をするシーンは描かれません。家の焼け跡から拳銃(猟銃でなく)を出したことから、恐らく農夫になる以前から名うてのガンマンだったのかもしれません。  若者ジェイミーが死に、孤独になったウェールズが、どんどん仲間を増やしていくのが面白い。インディアンの爺さん。別なインディアンの女。犬…犬の額に見事唾を命中させて、犬が怒ってるシーンは結構好き。でも『大所帯になってきたな』って、犬も仲間にカウントしてるのが微笑ましい。 イーストウッド作品で高確率でレイプ被害に遭うソンドラ・ロック。あ~ぁ本作でも言わずもがなでした。でも乾いた大地に彼女の紙のような白い柔肌が、とても良く映えますね。
[DVD(字幕)] 6点(2024-01-22 11:19:43)
13.  アルゴ 《ネタバレ》 
“Argo”実際にあった架空のSF映画のタイトル。モトはギリシャ神話の巨大船だそうです。 ベン・アフレックと言うと、なんかアイドル俳優みたいなイメージがあります。パールハーバーやアルマゲドンの影響かな?そんな彼が実際にあった事件映画の監督をやってることに、正直違和感を感じたものでした。 『架空のSF映画をでっち上げて、イランに閉じ込められてる外交官を脱出させる』なんて、映画以上に映画っぽい事を、CIAが大真面目に実行したことが非常に興味深い。  怖さの演出は控えめです。路上で囲まれて撃たれる人の1シーンと、クレーンで吊るされる死体のシーンがあるくらい。それでも『捕まったら残酷に処刑される』緊張感はきちんと伝わってきました。 911テロ以降、私たちに焼き付いている“中東=命の価値が違う国だから怖い”ってイメージからでしょうかね?印象操作? 恐怖演出は控えめながら、バザールのロケハン。デモ隊との遭遇、写真を撮ったことから始まる揉め事など、バレたら即殺される、生きた心地のしない緊張感はきちんと感じられました。  クライマックスの空港脱出も、アメリカとイランにまたがってのハラハラ具合は、まさに映画の醍醐味。ここに来て予想外な人物の活躍もスカッとさせてくれました。視聴2回目の今回、大統領史上かなり地味なジミー・カーターが、作戦承認を即決したところが良かった。またこの救出作戦を、自分の人気取りに使わなかったことも好感度UP。  最後の飛行機とパトカーのチェイスは、やっぱり映画的演出だそう。でもそこを映画的に脚色するなら、脱出の前の晩に外交官たちが酒宴を開いてるシーンは削っても良かったかな。 せっかくトニーが入国するとき、イラン領空で乗客のアルコールを回収するシーンを入れたんだから、脱出で領空を出てから、やっと久しぶりの酒呑んでみんなでイェアーー!!じゃないでしょうか?映画的には。 でもこの事件において、外交官6人はもちろん、人質となった52人全員が解放、死者もゼロだったことは、当時のイランとは、まだ話の通じる関係だったんだなって、思えました。
[映画館(字幕)] 7点(2024-01-20 18:13:15)
14.  ある愛の詩(1970) 《ネタバレ》 
“Love Story”『恋愛小説』。直球勝負の思い切ったタイトルです。どんな内容かも想像がつくタイトル。そしてこの、美しくもどこか悲しげなテーマソングは聞き覚えがありました。 小説と映画の同時進行(メディアミックス)の先駆けだったんですね。テーマソングをレコードで掛けながら小説の続きを読み進める…なんて立体的な楽しみ方も出来た作品だったことでしょう。  冬の寒空の下、スケートリンクの端に一人の男が座っている。その横にタイトル“Love Story”。テーマソングがサビに入り、この映画の一言目が「彼女は25歳で世を去った」と。驚いたことにこのお話は、男女の恋愛物語の『結末』から始まります。そして彼女との出会いの回想に続き、2人がどのように愛を育み、なぜ彼女は世を去ってしまったのかが描かれていく。  クリスマスの朝方にジェニファーは亡くなるけど、彼女が息を引き取るシーンは描かれない。 オリバーとジェニファーが、最後の晩にベッドで抱きしめ合うシーン。このシーンが2人の最後として描かれる。 死別を描いた映画だと、その後の彼女が息を引き取る瞬間がクライマックスで描かれそうなものだけど、この映画では一切オミットしている。彼女を失った夫(オリバー)と父親(フィル)の別れのシーンへと続く。そしてオープニングのスケートリンクへと繋がる。  神を信じない2人は、夫婦となることを神に誓わない、新しい時代の結婚式を上げた。2人には天国や転生といった概念がない。 オリバーの中で、彼女と出会った図書室から、彼女と別れた病室までが延々とリフレインされる。それが終わることのない2人の“Love Story”…なんて、ちょっと怖い方向になっちゃったね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-20 14:08:50)(良:1票)
15.  あげまん 《ネタバレ》 
お葬式からマルサ2まで、後世に残る名作&日本映画師に残る大ヒット・大ブームを連発していた伊丹十三監督&宮本信子主演の、超期待作『あげまん』。ちょっと照れくさいタイトルもインパクトが大きくて、もうね、公開前から『今回は伊丹十三が監督だし、絶対面白いに違いない』って、日本中が期待していた作品。だった。公開されると、あれれ?イマイチ盛り上がってないぞ?と。観た人の感想も『うぅ~~ん…』って感じ。 期待が高すぎたために期待外れ感が強く、また前年の伊丹印の『スイートホーム』と本作の2連続の不発で、伊丹映画ブームは一気に落ち着いた印象。  当時45歳の宮本信子。彼女が中学生(声は若いけど宮本信子だよな?)から大人までを演じているのが無理がある。もちろん魅力的な女優さんだけど、男をメロメロにする芸者さんにはとうてい観えない。タンポポであれ亮子であれ、普通のおばさんが、ちょっとした仕草や丁寧な描写で、徐々に女性としても魅力的に観えてくるのが伊丹映画の面白さだったけど、本作のナヨコは最初から観る側が『ナヨコは魅力的な女性なんだな』って思いながら観ないといけない。  そして肝心なナヨコ=あげまんの部分。男にどう幸運をもたらすのか、そしてそれがどんな類の幸運なのかが、観てても全っっ然わからない。最初の夫・多聞院が坊さん世界でどう出世したのかがサッパリわからない。結婚して3年(65歳の若さ)で死んでしまうのも、いくら出世したって、良いんだか悪いんだか… 主水は浮気も続けるし、出世のためにアッサリとナヨコを捨てて元サヤに戻るし、主人公としての魅力が… 主水が支店長になって、最初の挨拶でビシッと決めたのは格好良かった。ここから映画も面白くなっていくのかと思ったら、業績アップは文字で説明のみ。具体的にどう成績が上がって、ナヨコがどう影響を与えたのか、相変わらず描かれない。長編映画のデキの悪い編集ダイジェスト版を観てる気分。
[地上波(邦画)] 4点(2024-01-08 13:28:37)
16.  雨に唄えば 《ネタバレ》 
“SINGIN' IN THE RAIN”邦題まま。1929年にはこの楽曲はあったらしい。ライバル映画の『ジャズ・シンガー』が1927年だから、細かく言えば、ややフライング気味?ジーン・ケリーにドナルド・オコナー凄いですね。フレッド・アステアの流れるようなダンスに比べ、パワフルでスピーディ。人間離れした動きに圧倒されました。  コズモのソロ『奴らを笑わせろ』なんてまるでジャッキー・チェンのスタントアクションのよう。計算された動きが笑いに繋がる。 3人共演の『グッド・モーニング』息ピッタリの完璧な動きの影に猛特訓アリ。わずか3ヶ月ほどの練習でこのダンスしてるデビー・レイノルズも凄い。 どれも極力全身が映る(動きを隠すアップに逃げない)撮影で、ワンカットが結構長く、演者には笑顔が要求されるから、これは大変だ。  そしてこの映画のための曲と言える『雨に唄えば』は圧巻。水たまりを踏みつけ、激しく動きつつ、止まるところでピタッと止まる。雨の中上を向くドンの笑顔。たぶんスタジオで大雨を降らせながらも、ケリーの顔には極力水が掛からないよう(雨粒で顔が歪まないよう)工夫してるな。  時代背景がサイレントからトーキー映画に移行する時代。ライバル社は『ジャズ・シンガー』というトーキーのヒット作を作ってきた。 声が独特すぎるリナのように、サイレントでは名女優でも、時代を乗り越えるのが難しい女優もいる。 またキャシーのように舞台女優(たぶんだけど、嘘や見栄でなく売れない舞台女優なんだろう)の傍ら、サプライズダンサーで生活費を稼ぐ女優もいる。 新しい時代は雨のように苦難をもたらすけど、捉えようによっては雨すら楽しく出来る。どんな逆境だってチャンスにすることは出来る。 そんな、観ていて明るくなれる楽しい映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2023-09-05 15:44:57)(良:1票)
17.  アメリ 《ネタバレ》 
“Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain”『アメリ・プーランの素晴らしい運命』。 シアター・キノという小さな映画館があるんだけど、札幌ではそこで公開され、ロングランの大ヒット。ミニシアターといえば映画マニアがマニアックな映画を観るイメージがあるけど、アメリはその殻を破った作品。アメリは「この映画、もっと大きな劇場で上映してもウケるだろうに…」って思う作品ではなく、ミニシアターで観るからこそ、良い作品に出会えた感・私がこの映画を見つけたの!感が倍増する映画だったと思う。 例えるなら普段通らない路地裏で、ひっそりと営業してる個人経営のお菓子屋さんを見つけ、試しに買ってみたらめちゃくちゃ美味しかった!って気分?  のっけから、いわば“あるあるネタ”の詰め合わせで、テンポよく紹介される“子供の頃こういう事したわ~”とか、両親の“(人に言うほどじゃないけど)嫌いなこと・好きなこと”は、共感出来るのもあれば、えぇ~?って思うのもあり。ここで共感できる率が高い人ほど、この映画好きなんじゃないかな? このOPで、観る人を一気に童心に返して、アメリの不思議な世界を楽しませようって、監督の作戦だと思うけど、どうだろう?  お菓子で例えてしまったけど、幕の内弁当が近いかも?この映画にドンッ!とメインのおかずは無く、綺麗に小分けされたおかずが、それぞれ調和が取れていて美味しい感じ。割と大きなエピソードの“世界を旅するドワーフ人形”は、テレビで元ネタを観たことがあった(※検索したらアンビリバボーが出てきたけど、アメリ公開前に『世界まる見え』で観た記憶がある。)。もしかしたら“子供の頃の宝箱”や“証明写真の謎の男(このエピソードには一本取られた気分)”も、どこかに元になるエピソードがあるのかもしれない。  だからってこの映画の価値・アメリの魅力が下がるとは思わない。 アメリという人物の物語として、不思議な住人が住むモンマルトルの世界感として、しっかり調和が取れているからだろう。 忘れた頃に豆袋に手を突っ込み、忘れた頃に水切りの石を拾うアメリが、映画の世界観にしっかり引き戻してくれる。 この映画はコミュ症の女性が、自分の存在を知られずに相手を幸せにしていき、最後は勇気を出して自分を幸せにする物語。
[映画館(字幕)] 8点(2023-09-05 14:50:07)
18.  アマデウス 《ネタバレ》 
“Amadeus”邦題ままモーツアルトのミドルネーム…なんだけど『神に愛される』って意味なんだって。たしかに劇中、彼をアマデウスとは呼んでない。中学生の時、音楽の授業で複数回に分けて観たのが最初。だけど時間の関係で最後までは観られなかったと思う。とにかくあの、独特な笑い声で、いつもヘラヘラしてる、子供みたいなモーツアルトがショッキングだった。音楽の教科書に書いてた肖像画とイメージ違いすぎた。  音楽映画で才能の違いを観せるのって難しいと思う。極端な下手くそと上手い人の対比ならともかく、どちらも名だたる才能の持ち主だとしたら尚さら。 サリエリが作曲した『マーチ』。謙遜して「思い付きで書いた曲で」なんて言ってた自信作を、モーツァルトは1度の耳コピで完璧に弾いてみせて、その場で改良までするシーンは音楽の素人が見ても圧巻。ピアノが上手じゃない陛下と比べるまでもなく、作曲者サリエリの才能すら凌駕して、モーツアルトの曲に人々が凌駕されていく空気すら伝えてみせた、凄いシーン。 金策に困ったコンスタンツェがサリエリに楽譜を見せるシーンも圧巻。見ただけで楽譜から音楽が溢れ出す。全く手直しされていないオリジナルの楽譜。 モーツアルトが改良した『マーチ』が自分の作品じゃなかったら、楽譜がたくさんの手直しで苦労の跡が見えたなら、サリエリも素直にモーツアルトを尊敬できただろうか?終始サリエリ側の視点で観せるから、プライドがズタズタに引き裂かれる気分と、モーツアルトの才能の凄さが同時に味わえる。(創作だって?私はドキュメンタリーじゃなく映画を観てるんだ)  モーツアルトの才能が解るからこその苦悩。嫉妬から来る妨害。音のないバレエを陛下が観た時のモーツアルトの勘違いと、咄嗟に空気読むサリエリ可愛い。 神が自分ではなくモーツアルトに才能を与えたこと。神を恨み、その恨みの矛先をモーツアルトに向けたサリエリ。そんな2人のまさかの共同制作がアツい。何だろう、サリエリにとって、この瞬間こそ至福の時だったに違いない。そんな思いがビシバシ伝わってくる。 神を恨む一方で、モーツアルトに頼られた男サリエリ。師弟愛とも友情とも違う、2人の奇妙な関係に惹きつけられた。
[レーザーディスク(字幕)] 9点(2023-09-03 19:50:55)
19.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
“Butch Cassidy and the Sundance Kid”『ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド』。どうしても『俺たちに明日はない』と比較してしまうし、邦題も意識して付けたと思われる。 観終わった後スカッとするでなく、ズウ~んと重たくなってしまうアメリカン・ニュー・シネマ。ベトナム戦争で世の中が暗くなってるから創られたというより、まだ全体的に明るい世の中に『一部暗い影も落ちてるんだよ。』って気付かせる目的の作品。言い換えればまだ世の中に“打たれ強さ”があるから創れた作品だったんだと思う。打ちのめされてたら、暗い結末の作品は敬遠するものね。  その日暮らしの強盗ブッチとサンダンス。どっちつかずなエッタとの関係。流行り物の自転車。将来に夢を抱けないアメリカの若者のような2人。追いかけるピンカートン探偵社。逃げても逃げても追ってくる彼らは、さしずめ当時の若者の、不安な未来の象徴だろうか。  夢のゴールドラッシュに湧くボリビア…とその前に最先端のニューヨークで遊ぶ3人を写真で見せる演出が見事。そして好き勝手やってきた若者が、現実から逃げて辿り着く先に相応しい極貧のボリビア。 結局はケチな強盗に逆戻りしてしまい、エッタも呆れて変える始末。より悪くなった状況に追い打ちをかけるような包囲網。こんな状況でも夢を語る2人に、当時どれだけの人が共感しただろうか?なんかこの2人から漂う「明日から本気出す」オーラが強い。  地元警察を相手に「レフォーズ保安官じゃないなら勝てる」「今度はオーストラリアに行こう」でも警察は軍隊を呼んでいた。飛び出した2人の静止画に、響き渡る多数の銃声。 容赦ない最後の姿を観せた『俺たちに…』に対し、観せなかった本作。まるで世間を知らない半人前(泳げなかったり、人を撃ったことがなかったり)の若者が、突っ走った挙げ句の最後、「カッコ悪い死に様だけは観ないでくれ」って叫びにも思えた。
[ビデオ(字幕)] 7点(2023-09-02 18:01:25)
20.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 
“American Beauty”邦題まま。真紅の花びらが美しいバラの品種のひとつ。好きな映画で2~3回は観てると思うけど、今回初めて気がついたことがあったので報告!…え?報告? 撃ち殺されるんだけど、キスを拒まれての突発的な殺人だと思ってた。でも血まみれのフィッツ大佐、ゴム手袋してたんだよ。 衝動殺人で、実際撃ってから怖くなって逃げた!とかでなく、最初から警察に捕まる気がないからゴム手してたんだよ。 戸棚のコレクションの銃(※銃の棚と皿の棚は別だけど、同種の鍵がかけられてると思われる。)で撃つんだけど、リッキーはナチスの皿を見るため戸棚を開けられる(※ホントは合鍵だけどリッキーは針金と主張してる)のは大佐は知ってる。 オープニングのジェーンを撮ったビデオ。「僕が殺そうか?」「殺してくれる?」。その後の「今のは冗談よ」は録画されてない。息子のビデオを盗み見る大佐だから、これも観てたかも? 自分の潜在的な同性愛嗜好を隠すために、隣人を殺害し、血の繋がった息子を殺人犯に仕立てたんだとしたら…大佐怖すぎる。  アメリカのごく一般的な中流家庭の白人男性を主人公にした本作。美しい妻。可愛い娘。庭付きのマイホーム。2台のマイカー。高級な家具。家族揃っての夕食。主な登場人物は全員白人。誰もが描く理想的な住宅街の生活と現実。何不自由ない生活の中の不満。 中流家庭。美少女。手に入れてない者には理想的で美しく見えても、手に入れて日常に落とし込んでしまうと、それが美しいものだと気付かなくなる。 いとこのトニーのファイヤーバード。安いトヨタを売ってついに手に入れた車。でもレスターが運転する姿は出てこない。  大量のバラに包まれ、妖艶に誘惑してくる美しいアンジェラ。でもこれはレスターの勝手な妄想。あんなにエロい顔してるんだから、こうであってほしい、彼女とこうなりたい。…って理想のアンジェラでしかない。 さぁ、いよいよという時に処女だと告白するアンジェラ。その時の不安そうな眼差しに、レスターは彼女の本当の美しさに気がついたんだろう。 数年前の家族写真。ジェーン。キャロリン。まだ手に入れてないものだらけで、理想の未来を描いていた写真の中の家族。当時美しいと感じていたもの。42歳の現実は当時の理想とは違っていても、日常では気が付かないだけで、世の中は昔も今も美しいものに溢れている。
[ビデオ(字幕)] 9点(2023-08-30 22:35:20)
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