1. 悪魔の手毬唄(1977)
伝承の手鞠唄,二つの旧家の対立と婿争い,二十年前の不審な殺人事件,顔に痣のある娘,女を想い続ける刑事。実に盛り沢山のこれらの要素が,悲しいかな,一つの大きなプロットにきちんと収束していない印象を受けた。あれもこれもと欲張りすぎた結果,どっちつかずのぼやけた作品になってしまった感がある。なぜ手鞠唄にのっとって殺人をする必要があったのか。なぜ二十年経った今になって殺人を犯すのか。息子に真実を告げるより三人の娘を殺す方が本当に容易いのか。疑問は尽きない。作品としての力強さや説得力に欠けている。その一番の理由はおそらく,殺人の動機があまりにも弱いことだ。 5点(2003-02-01 08:01:17) |