3. アメリカン・ビューティー
Spectacular!現実社会からの様々な影響、制約によって、人生における成功や幸福の意味を履き違えた(或いは又疑問を感じているものの自らを解放する勇気が無い)人達が、やがて自らを解放し自分自身に目覚め本当の幸せとは何であるか、本当の人生の成功とは何であるかに気が付く。気付かなかった妻は常に不安にかられストレスに満ち、発散を求め浮気や射撃などの刺激に向かい続け、最後まで人生の持つ本当の美しさが判らない。ゲイのカップルは清々しく、自分自身を見出しリッキーに出会う事で勇気を得て自らを解放してからの主人公は如何にも人生が楽しそうだ。キーパーソンはリッキー(知らない俳優けど上手だった)。この作品の中で彼だけが(多分ゲイのカップルも)外界と折れ合いつつも自らのアイデンティティーを失わない術を知っている。ジェーンが「彼は自分を知っている。」言ったのはそういう意味に他ならず、だからこそ彼女は彼にひかれたのだ。この作品のテーマは既に使い古されたものだが、極めて美しい映像と秀逸なカメラワーク、リアリティ溢れる脚本、ケビン・スペーシー、アネット・ベニングその他の熱演などによって傑作に仕上がっている。この映画の良さが判らない人は、きっと幸せなんだろう。羨ましい限りだ。多分、外界に接している自分と内面の自分とのギャップなんか感じた事が無いんだろう。そんな人にこの映画を理解しろと言っても無理な話だ。何故なら彼らはアネット・ベニング演じる妻の側にいるからだ。 9点(2003-05-03 18:26:54)(良:3票) |