21. がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン
《ネタバレ》 面白かったんですけど、それはもうオリジナル版の面白さをトレースしただけ、という状態で、この映画独自の面白さとしてはちょっとした小ネタだけ(ユニフォームのスポンサーがオリジナル版と同じになると思わせつつ、もっと酷くなるとか)。しかも全てにおいて劣化してしまっているので、これを見るのだったらほぼ同じ物語、細かいエピソードまで殆ど同じなオリジナル版を見れば十分という状態になっています。チームの民族が更に多様になったとか、子供達の言葉が激しく下品になったとか、時代に合わせた表面的な違いがあるだけですからねぇ。変更箇所も下手にキャラクターの役割を分散させた事で盛り上がるべきところが盛り上がらなくなってしまったり(本来ルパスの役割だったところを車椅子のフーパーに分担させてしまってボヤけてしまいました)。でも、なんと言っても役者の個性が薄くなってしまっていて、愛すべきキャラクターに昇華されてゆかないのがツラいです。なんでアマンダがあんなムチムチなんだ?とか、なんでケリーがただの軽い兄ちゃんなんだ?みたいな見た目の違いもありますが、何より表情をちゃんと捉えてないのがガッカリです。バターメーカー、アマンダ、ケリーそれぞれの悲しみが、オリジナル版ではきちんと捉えられてたのに。まあ、古い映画オタクなおじさんがオリジナル版と比較してやいのやいの言うのはウザいだけかもしれませんね。これはこれで別物として楽しめ、みたいな。だけど、ベアーズが帰ってきた!って喜びが、この映画からはちっとも感じられないんだなぁ・・・。 [DVD(字幕)] 5点(2006-09-23 01:01:53) |
22. 亀は意外と速く泳ぐ
《ネタバレ》 「あずきパンダちゃ~ん」が頭の中で延々とリフレインしていて、こりゃヤバいです。私の中の貴重な記憶領域に『人生におけるどうでもいい記憶』として「あずきパンダちゃ~ん」が書き込まれてしまったワケですね。あーあ。さて、映画は小ネタをいっぱい盛り込んだバカ映画でした。フツーじゃない人を描く映画は、対比のためにフツーの人をフツーに描かないと面白くならないって思ってるんですけど、この映画に出てくるフツーの人はちっともフツーじゃないので、この状況じゃあ何が起ころうが、意外性はなーんにもないじゃん、なんて思ったり、だけどそもそもフツーって何よ?という映画だったりするので、これはこれでありなのかな。ただ、スズメとクジャクのコンビが楽しくて、映画としてはむしろそっちをメインにしてくれたらなぁ、なんて。この二人のはっちゃけたシーンに比べると、本筋の方はそこそこな展開で、そこそこなオチに落ち着いちゃって、公安もスパイ話もそこそこで終わってしまうので、せっかくのフツーじゃないフツーの人達の映画がそこそこじゃあ、勿体ないでしょ?と思いました。クジャクの存在が大胆に絡んでくればなぁ。あのキャラがあんなオチってのも勿体ないです。って事で続編を希望。 [DVD(邦画)] 7点(2006-09-07 01:11:42) |
23. カーズ
《ネタバレ》 うーん、複雑な気分です。これまでのピクサー作品よりも、素晴らしさとガッカリの落差が激しい感じ。美術センスは最高ですし、物語もベタだけどいい。キャラクターもいろんなパターンがあって魅力的。でもね、このキャラに普通の映画のようなドラマを維持させようとする事が無謀だと思うんです。CGアニメの限界点を弁えきれてないように思え、だから全体的に間延びした印象を受けちゃう。手描きアニメにしろCGアニメにしろ、役者としては大根なんですよ。表情や仕草で人の機微までも表現できるほどの表現力はないワケで、だからまんま映画みたいな文法を当てはめる行為が適切とは言い難いのですよね。もう少し彼等に相応しい舞台というのがあった筈です。あとは、動きが軽すぎるせいなのか、モデリングに問題があるのか、サイズ感覚にバラつきが感じられました。一応、実車と同じサイズ、って考えていいんですよね? だけど小さなオモチャにしか見えないカット多数。ボディに対して大き過ぎな目がいけないのかな? ベッタベタなアメリカンのノリは、これはこれでいいでしょう。世界の子供達の目にどう映るのかは判りませんが。個人的には双子のミーハーっ子が昔の私の愛車と同じ車種だったのが嬉しかったですね。 [映画館(字幕)] 7点(2006-07-16 23:49:03) |
24. 華氏911
最初に書いておかねばなりますまい。私はブッシュが嫌いです。さて、私にはこの映画、世間での「良くも悪くもブッシュをひたすらコキ下ろしたシロモノ」という評価とはちょっと違うように感じました。ムーアの著書もそうなのですが、看板と中身に実は差がある感じ。メディア戦略によって操作されて伝えられる情報、その情報にコントロールされてしまう民衆、その危うさを、ムーアは自らこの映画で具象化してみせたのでは?と。編集や音楽によって意図的に操作されまくっている映画なのですが、実のところ政治の場もこういう事でしょ?って。タイトル部分で本番前の準備をしている政治家達の姿が映し出されていますが、それは政治もまた国民に伝えられるのは真実とは別の、加工されたモノなのですよ、と認識させようとしているのではないかと思います。メディアは物事を非常に短絡的に、二元論化して判りやすくコントロールしているのではないでしょうか。白でなければ黒、善でなければ悪。真理は決してその極にはない、そんなに単純なモノではないのに。共和党と民主党の二大政党状態が、端的に二元論化でコントロールされている状態を表しているような気がしてなりません。もっとも、その傾向はアメリカだけに言える事ではありません。民衆の中に敵を作り出し、議員が特定の市民を「反日的分子」と言い放ってしまうどっかの国もまた、安易な二元論へ堕している傾向が顕著です。某巨大掲示板に見られる、信者でなければアンチ、右翼でなければ左翼、という極論に走ってしまう原因って、一体どこにあるのでしょうね? そうそう、その国の総理も、平然と犯罪者でもない市民を非難したりしてましたけど、ひとつ言いたいのは、芸術を愛するフリするならば、見てもいない映画をケナすのはイカンのではないの? 最後に、あの無惨な被害者や死体の映像にまで真実がない、なんて言う事はできないですよね。そして、あれは、明日の自分の姿なのかも・・・。 [映画館(字幕)] 8点(2004-09-01 21:14:55)(良:5票) |
25. 風を見た少年 The Boy Who Saw The Wind
原作はC・W・ニコルが平易な日本語で書いた、童話形式の物語ですが、旧態依然としたアニメ化が気になりました。物語を忠実に映像化してはいるのだけれど、毎度お馴染みベタ塗り背景に展開するセルアニメワールドでは、せっかくの安達祐実、前田亜季の好演が勿体ない感じがしてしまいます。アニメの表現枠の限界に捉われてしまい、世界の広がりが平べったい印象になってしまったような。後半の展開は、原作読んでいても「ええ~?」って感じだったので、まあ、仕方ないかな、って。 6点(2003-11-29 21:01:57) |
26. COWBOY BEBOP カウボーイビバップ 天国の扉
映画的テンポ、ってアニメではもたない事があるんですよね。特に、ドラマを語る部分。手書きのキャラクターに「静」の状態でドラマを語らせる事ができるほど、アニメが高い表現力を持っているとは思えません。それを知っている演出家は、その代わりとなる映像表現を模索しているのですが、この映画は、そこに至ってません。中ダルミは、アニメの限界をわきまえずに映画を意識し過ぎたために起こっているような気がします。スパイクがカッコつけまくりの単純明快なアクション映画にしてくれた方が楽しめたんですけどねぇ。 [映画館(字幕)] 5点(2003-11-29 15:31:54)(良:1票) |
27. 回路
《ネタバレ》 この映画を見たのは有楽町で、見終わった後、映画では誰もいなくなっていた有楽町の街、主役の二人が車で走った道を歩いてみました。そして人がいっぱいいた事に安心(あの細っこいマリオン脇の道をなぜわざわざ走ったのかはちょっと疑問でしたが)。淋しい、って感じる気持ちを人類滅亡レベルで描いてみせたこの映画、その原点は、迷子の子供の気持ちかも?って感じました。信頼してる人との繋がりが断ち切られる恐怖、心から依存している存在を失う恐さ。関係を繋ぎとめるために、安心していられるために、一生懸命コミュニケーションを試みているこの時代に、コミュニケーションが断ち切られる恐さ、依存できる人を失う恐さ、そして自分が忘れ去られる恐さを、ドン!と提示してくるこの映画は、見終わった後、考えれば考える程、恐さがじんわりねっとり湧き上がってきます。世界の全体像が描かれず、主人公達が見ている世界だけで展開するというリアリズムも(実のところ予算の関係だとしても)、いっそう恐さを盛り上げていました。オバケが恐い、って映画とはちょっと違う気がします。 [映画館(邦画)] 8点(2003-11-29 15:14:10) |
28. ガンシャイ
《ネタバレ》 私は意外と好き。あんな屈強なボディ持ったリーアム・ニーソンが精神的によわよわ~、お腹ピー、って、なんかバリバリ共感しちゃいます。ポスターやプログラムでは一人で映ってるサンドラが、実はあまり大きな役じゃなくって、インチキ!って感じではありましたが、クライマックスでの、よわよわ仲間大活躍に、「おおっ!ツボにキタ!」って感じでした。 6点(2003-11-23 23:14:51) |