3. カノン
《ネタバレ》 この主人公は本当にどうしようもない奴ですね。見ているこっちまで暗くなるくらいのこのどうしようもなさっぷりの描写は、ある意味すごいと思います。また、個人的にはモノローグの多用はあまり好きではないのですが、ここまでくると逆に清々しいですね。実際に喋っているシーンは数える程で、あとはもう本当にほぼモノローグ!!ある意味人間という生き物は、頭の中ではどんな腹黒い事を考えているのか分からないぞ、ということを見事に表現しているともいえます。細かいところでは、悪口にやたらと「ホモ」が使用されているのがちょっと笑えました。フランスでは「ホモ」ってそんなに屈辱的な言葉なんですかね。そしてこの作品で特筆すべきなのが、なんといってもあのラスト。正直、あの場面でカノンは反則でしょう(笑)あれだけどんよりした雰囲気で進んできた中で急にあれですからね。ちょっと都合がいいんじゃないの、とも思いましたが、さすがの主人公も本当に愛する人の前では毒が吐けなかったんですね。この作品は見る人によって本当に評価が分かれると思いますが、個人的には、絶望の中にほんのちょっとだけ希望が見える、そういった不思議なインパクトを持った佳作でした。 しかし、邦題は安直過ぎますね…。 [DVD(字幕)] 6点(2008-07-29 17:15:39) |