1. 君の名は。(2016)
《ネタバレ》 前半は文句なしに100点なんですよ。中半の衝撃的展開もいい感じ。ただ後半が微妙。私は最初「切ない青春ラブストーリー」と「SF」というものを分けて「前者を見たい人にはは100点」「後者を見たい人は50点」ってコメントをしようとも思った。でもそれは間違いだと思った■ちなみにSF50点なのは、SF設定で状況に臨場感を与える上で大切な「法則」が欠けていて、「主人公が与えられた条件の中でいかに困難を乗り切るのか」で部分の「与えられた条件(記憶がどうすればもどるのか)」がかなり曖昧である事。簡単に言えば「物語(脚本)の矛盾点を消すために記憶が消えているな(あと町長の判断基準がクレーターの外輪の感動場面を作るためだけに矛盾しまくってる)」ってのがダダ分かり。「いかに困難を乗り切るか」は頑張ってたんだけど、その頑張りの方向性を決める法則がこれじゃあ、空回りしちゃう。そしてラスト(あれは正直尺が長い)の奇跡が奇跡足りえない気がする。奇跡を起こすにはアイテムがあってこそでしょう。それで高校生のうちにカタをつけておくべきだった。監督は社会人にも夢や奇跡を感じて欲しかったのかもしれないが、社会人になった2人がそこに着地点を見つけるにはあまりにも曖昧な奇跡だ。■この映画の最大の失敗は「SFの矛盾点」をある程度妥協して、徹底して真面目に「夢の中のような切ないラブストーリー」を作ろうとした点。でも、その妥協のせいで「切ないラブストーリー」が「夢」になってしまった。5年後「夢」がある日現実になる奇跡というラストにモヤモヤが残ってしまった。監督はこの物語が夢なのか現実なのかはっきりするべきだった。映画って本当に怖いよね。素晴らしいSF青春ラブストーリー映画なのに。 [映画館(邦画)] 7点(2016-08-28 00:36:53)(良:3票) |
2. 恐竜・怪鳥の伝説
《ネタバレ》 妻投稿■これをタダで公式ユーチューブで見せてくれた東映さんに感謝! プレシオサウルスは怖かったな。ブラジャーの女の人が室内にいる状態で窓に顔が映り、そして屋根を突き破るシーンは「ギャオスに襲われたらああいう死に方するんだな」と思ったし、ボートの女の子が食い殺されるシークエンスは、シャチが大型のクジラやサメを仕留めるのと同じ、体当たりにして、振り回して獲物を弱らせて動けなくしてから食いちぎるというやり方と同じ! でも肝心の翼竜との戦いは国立科学博物館で15年前くらいまでやっていたロボットティラノサウルスとトリケラトプスの戦いの方がまだ迫力があるレベル。死後硬直した生き物をロープで吊るして遊んでいるような代物。モンスターは一匹でいいよお。■あと最後主人公は助かったの? [インターネット(字幕)] 6点(2012-10-07 01:05:20)(良:1票) |
3. 嫌われ松子の一生
《ネタバレ》 妻投稿■嫌われ松子の一生、不幸な女の一生。これをどう楽しく肯定するかが作品の味噌なんだろうけど…。よーく見たら、この松子という人、不幸な女という以前に他人を不幸にしまくっている(挙句に殺しちゃったりしている)。それも「自分が愛されたい」が為にだ。これって単なる「依存」だよね。私は依存自体は悪いことではないと思うけど、愛というものは「依存」だけでは続かないわけでありまして(-_-;)。■私の中にも当然松子的なあるわけで、多分女なら誰だってもっていて、それとうまく付き合い制御し、悩むのが人生だというのはわかるんだけど、そのダメな部分を肯定すること=人生を肯定することっていうのはちと監督違うんじゃないかと私は思う。■この映画、松子を主人公にしていると思うけど、こういう誰でも持っている、どう制御するか悩む部分をグロテスク(だと私は思う)な色彩で面白おかしく描くのなら、別に私も松子(デラックスの方)も麻原彰晃も、とにかく誰でも主人公に出来るわけで、でもそれって世間から前衛的と評価される事なのかという疑問は生じます。「ダメなところを肯定する」だけで一人の人間を描く最近の傾向には、その人をモルモットみたいに見ているような、冷たい感じがして嫌です。 [DVD(邦画)] 5点(2011-09-17 01:20:44) |
4. キリング・フィールド
《ネタバレ》 妻投稿■あたりまえだけど私は殺人被害にあったことはない。せいぜい何年も前のセクハラ程度。でも暴力のある世界って、悲鳴もドカバキボコボコズドーンという音も一切しないんですよ。本当に静かなんです。この映画の後半20分みたいに。一見すると世界は普通に回っているんです。でもちょっと何かに躓くと、気づいてしまうんです。世界がすごく残虐である事に。沼地の人骨のシーンは息が上がるくらい怖かった。■映画の時間配分は欧米人の戦場紀行が大半で、ポルポト派の大虐殺シーンは実は後半30分くらいしかない。さらに欧米人の人情ばっかに焦点を当てて、カンボジア人を尊重していないという意見も日本公開時は聞かれたみたいだが、私はこの映画が間違っているとは思わない。■いざとなったらアメリカ軍が助けてくれる状態で、戦地で泣き叫ぶ子供を撮影する欧米人。吹っ飛んだコカコーラトラックと泣き叫ぶ子供というコントラストはピューリッツアー賞を取る良いコントラストなんだろう。でも実際大人を奴隷のように働かせ、拷問し、撃ち殺しているのは子供たちなのだ。映画で描かれた彼らの無表情で刺し殺すような表情こそ、欧米の戦争認識に対する最大限の皮肉じゃないのだろうか。■私はチャップリンの独裁者を見て、「ヒトラーをバカにしてホロコーストを否定できるのか」と疑問に思っていた。じゃあ、自分をカンボジア虐殺の少女兵士、強制労働させられる人々に置いてみて、どうやったら殺戮を否定できるだろうか。たぶん生きたいというあたりまえの願望や、社会性、常識といった生きる上で不可欠なものすら一度否定しないと無理なんじゃないかと思う。自分が生きている世界が少し変化した「ズレ」の中に大量の人骨が埋まっている構図は、そういう事を語りかけている気がする。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2011-07-02 05:54:08) |
5. キャピタリズム~マネーは踊る~
《ネタバレ》 妻投稿■私は10代後半の2年間を奴隷労働と性暴力やりたい放題な職場に捧げた口であり、それは行政も司法も容認していた。理由は簡単。私みたいな池沼の人権を保護するより経営者のやりたい放題を容認した方が世の中の利益になるからである。これは健常者の世の中が悪いのではなく、障害者が健常者にとって価値のある人間になればいいだけの話である。私はそこまでの甲斐性はないので(あとダチが妊娠した事もあって共同保育が必要だった)、仲間と徒党を組んで友人の農家でルームシェアを始めた。資本主義も社会主義も民主主義も全体主義も宗教も関係ない。「金も人権も与えられないならそんなものなくても生きていける方法を考えよう」的なノリだった。最初の2年くらいはみんなでホタルの墓に入りそうな状況だったが、ダチの努力とダチが家を相続出来た幸運がかなり貢献して何とかチビの学資保険をサボらず払い続けている。■このDVDを入れたパソコンを前でブドウジュースが入ったグラスを片手に「私の味わった恐怖と絶望を健常者どもも味わうが良い」などとムスカ目線で右往左往するアメリカを見ている自分が浅ましい。でもその横で旦那は「こういう社会で農家はどうあるべきか」を真剣に考えている。ダチも「障害者は守らなくても社会秩序は維持できていた。でも健常者が守られないと、何もかもが紙くずになる。意味が違う」と真面目に言った。確かに、少数派が秩序を信じられなくなることと多数派が秩序を信じられなくなる事は全く違い、前者は個人が崩壊するだけだが、後者は社会が崩壊する。民主主義は社会の崩壊を防ぐ多数派を歯車とする装置なのだ。この映画の価値は、貧困の悲惨さを描いた事でも、資本主義の悪党ぶりを描いた事でもない。これらが民主主義によって作られた社会を崩壊させていく危機を描いているところにある。今他者への想像力と行動は、人助けという絵でも柄でもなくなっている。後に待っているものは全体主義でも共産主義でもない。多分ソマリアだ。 [DVD(字幕)] 8点(2011-02-10 20:15:01) |
6. 危険な遊び(1993)
《ネタバレ》 妻投稿■仕事が終わるときに待ち合わせ、4歳の友達の娘(以下チビ)さんとそのお母さんと私の3人という凄まじい面子で鑑賞。しかも観賞場所は夜の図書館。夜勤前の旦那は横のブースで眠気覚ましに「宇宙怪獣ガメラ」のタイツ姉さんのダンスを見ている。なんかチビさんが劇中のヘンリーと違う意味で壊れそうな気がしてきた((^_^;)あとどうも私イヤホンをしたまま「廃墟マニアとしてガラスを割るなんて暴挙は許せん!!」とか喚いていたらしく、図書館のスタッフ&利用者さんごめんなさい<(_ _)>■内容は大人が無邪気に信じている「道義的責任」という概念を見事あざ笑ってくれたなあというもの。ワンちゃんをナット発射装置で虐待する下りは犯罪少年の最初のステイタスとして日本ではすっかり定着した猫いじめそのものだが、その前に何で「ヘンリー君の心にそこまでの闇が広がったのか(と、ここまで書いて「心に闇のない人間なんているのか」という疑問がわいてきた)」の結論を映画では描いていない。描いたところでこれは「親の愛に飢えていた」「虐待した」「放置された」「甘やかされた」といった類い、つまり世間の「大人」が望む結論にしかならない事を、監督は知っているからだと思う。ラストシーンの結果はその究極。私が思うに母親(=大人)が下した結論は、息子がああなったという事実を受け入れられないという人間として当然の選択だったのだと思う。■それにしても隣のブースでマッハ文朱を見て喜んでいるクソ旦那。私が母親の立場で両手に旦那と赤西仁君がぶら下がっていたと仮定して、間違いなく旦那の方を落っことす(*^^)v [ビデオ(字幕)] 8点(2010-11-25 03:00:04) |
7. 紀元前1万年
《ネタバレ》 妻投稿■【やましんの巻】さんの意見を全面支持します(*^_^*)そんで私なりに明後日の方向に解釈させていただければ、この映画の時の流れはアウストラロピテクス→クロマニヨン人→紀元1万年→アレキサンダー→グラディエーターではなく、中つ国(その他ファンタジー世界)→紀元1万年→アレキサンダーなのだと思います。つまりファンタジーの世界が滅び去り、原始人になった人類が「現実文明」というものを手に入れるきっかけとなった物語ではないでしょうか。つまりこの物語の舞台は「魔法とファンタジーの時代」と「現実的歴史時代」の中間の「空白原始時代」なんです。■■スターウォーズにしろロード・オブ・ザ・リングにしろ「遥か昔の断絶した時代」として描かれた映画世界は数ありますが、「断絶」そのものを見せてくれる映画は多分これだけ。だからこの世界は考古学と魔法が絶妙に絡み合い、監督はただ圧倒的な力で翻弄されるだけの毛むくじゃら原始人に、「過去から引き継いだファンタジー世界の勇者の一面」と、「生まれつつある現実歴史時代の叡智」を少しずつ与える試みを全般にわたって追求していると思います。■■似たような試みは「ナルニア物語」や「ブレイブストーリー」みたいなのにもあるけど、それらのように「ファンタジー」と「現実」が平行世界として存在する映画の場合は、観客は主人公の内面に同行する形で冒険するのがいいと思います。でもこの映画みたいに両世界が1つの歴史として存在する場合は、観客は「歴史家」として神の目線で映画を鑑賞するのも正攻法ではと思うのであります。 ■■私は何訳わかんないこと長々と解説しているんでしょうかねえ(^_^;) [DVD(吹替)] 8点(2009-10-26 19:04:58)(良:2票) |
8. 北の零年
《ネタバレ》 妻投稿。この映画は40度の熱があるとき、大量の酒を飲まされて死にそうな時、下痢や生理で頭が真っ白になったときに見るのがお勧め。意識が混濁した某財務大臣みたいな状況下だと、吉永小百合さんが雪の中で「あなた・・・あなた・・・」というシーンや変な商人に迫られるシーン、お馬さんがたくさんやってくるシーンに物凄いカオスを感じる。この自分の体が得体のしれない猫じゃらしに蹂躙されるような感覚。このまま魂が抜けていくような快感、げえええええええ。一度試してみてください(責任は持ちません)。 [DVD(邦画)] 5点(2009-02-22 23:35:14) |
9. キャットウーマン
《ネタバレ》 とりあえず悪党になって鞭で叩かれるなら研ナオコではなくチョン・ジヒョンあたりがいいです。 [地上波(吹替)] 6点(2008-10-20 00:54:16) |
10. 奇跡の海
《ネタバレ》 妻投稿。とりあえず自己中、排他的で独善的な宗教、狂信的な愛、他人の無茶に付け込んで欲求を満たそうとする外道、間違った方向にしか進まない人間の「良心」・・・いろいろ描かれていたが、私みたいな素人が感じることと言えば唯一、文字通り全てがイカレポンチという事だけだ。ヤンはイカレポンチ、ベスもイカレポンチ、レイプ野郎漁師もイカレポンチ、私もイカレポンチ、私の旦那もイカレポンチ、ランス・フォン・トリアーもイカレポンチ。教会の人間はまともな人間だが、イカレポンチから見ればやっぱりイカレポンチ・・・。最後の空の鐘は、何の幻覚なんだろう? 他のレビュワーの皆さんもその幻覚を見ていらっしゃるという事はひょっとして皆様も・・・? こうなったらここにイカレポンチパワーを集結させ、「死霊の盆踊り」の夜の帝王と北京原人を3体ほど召喚しましょう。あのイカレポンチ村を平定できるのは彼らしかいない・・・。 [ビデオ(字幕)] 10点(2008-02-10 02:01:18) |