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1.  キャリー(1976) 《ネタバレ》 
俯瞰で捉えたバレーボールコートから、ピノ・ドナジオの美しい旋律にのせて流麗に描かれるロッカールームまでの冒頭のその数分間で、ブライアン・デ・パルマ監督は主人公である少女キャリーの学校生活における孤独、性の芽生えへの罪悪感、さらにはのちにあきらかになっていく彼女をとりまくさまざまな異常な状況までもを、くっきりとそこに浮き上がらせる。初潮の恐怖に半狂乱となるキャリーを笑い者にするクラスメイトたち、それを阻止するひたすら高圧的な教師、キャリーの悲鳴に呼応して割れる電球、17才にして初潮をむかえてもその意味さえ知らされていないキャリーとその家庭環境。この最初のシークエンスにおいて端的に描かれるそれらは、すべてが彼女をとりまく複数の「異常」、その一つ一つなのである。そしてそのそれぞれの「異常」が、どこにも居場所のないこの孤独な少女をやがて袋小路へと複合的に追いつめていくこととなる。しかしこの物語の最たる悲劇は、そんなキャリーの力になろうと奔走する女教師やクラスメイトのその善意までもが、結果として後の惨劇を招く一端となってしまうことだろう。キャリーを守るため横暴な制裁を行ったがため反感を買った女教師は生徒たちに残酷な企てを計画させ、良心からキャリーをプロムに誘ったクラスメイトはあずかり知らぬところでその企みの渦中にキャリーを立たせてしまう。さらには、仕掛けられた罠からキャリーを救うべく駆け寄るそのクラスメイトを誤解した女教師は、皮肉にも同じキャリーを守らんとする善意により、間一髪の救いのその手を蚊帳の外へと閉め出してしまうのである。善意が善意を阻害し、バケツいっぱいの悪意だけが真っ逆さまにキャリーにふりそそぐそのシーンの徹底的な絶望は、まさにデ・パルマ映画、真骨頂だ。あまりに皮肉で痛ましく、そして途轍もなく悲しい。デ・パルマはいつも勝者になり損ねるアウトサイダーとその背中を描くが、この映画では悲愴な背中で家路を辿るキャリーがそれだ。彼女は口をあけて待ち受ける第二の悲劇をおそらく知っている。知っていてなお最後まで痛切に光を求めて母の胸に抱かれる。それが生きるということだからだ。キャリーはデ・パルマでありデ・パルマこそがキャリーだ。だからこそ彼はありったけの愛をもってキャリーを描き、そしてその屈折した愛ゆえに彼女を泣きながら殺すのだ。
[DVD(字幕)] 10点(2009-07-30 00:37:19)(良:4票)
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