1. キラー・ジーンズ
《ネタバレ》 一応スプラッタ・ホラーのジャンルに入るのかなあこれは。殺人を行うのがジーンズだというB級丸出しテイストのせいもあって、大して怖くないです。いけすかない奴から殺られていく展開は客の期待通りでそれ以上でも以下でもない。 ところで時々見かけるんだけど、本作もしかり、大仰な社会問題を噛ませてくるんですよね。アパレル産業界の児童労働問題がそもそも殺人ジーンズの遠因なんだそうよ。いや、B級なんだから、ジーンズが人を襲うってんだから、そんな身の丈に合わないテーマを用意しなくたっていいのになあ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-04-10 23:14:56) |
2. キング・オブ・コメディ(1982)
《ネタバレ》 やあ、怖いですねえ。こんなに怖い話なのにライトなタッチで描けているのが驚異的。 もうデ・ニーロの顔が怖いもん。なんかぬめっと粘着質な顔つき。このしつこさ。ちょっとリアルにその辺にいそうでざわざわしますね。 ジェリー・ルイスの被る迷惑なこと、心からお察ししますよね。きっと現実でも経験あるんじゃなかろうかこのリアルな演技を見るに。 自分の才能を信じるのは良いとしても、なぜだかこの手の人たちは下積みをすっ飛ばそうとする。ライブで客の前に立って力試しをしようとせずに、ジェリーのようなトップにいきなり押しかけるんですな。 この話ではイカレた奴に珍しくも相方、それも女がいてこれがまた自分の思いばかり通そうとする完全なるストーカー。デ・ニーロとはまた別種の暴力タイプでげんなりします。もっともこの女の頭の悪さがコメディ感に一役買っているのですが。 ラストは呆気にとられたのだけど、どなたかがパプキンの妄想であると指摘していて目から鱗が落ちました。ううむなるほど。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-07-16 19:01:52) |
3. 北の橋
うん、分からん。現実と想像の入り乱れるドン・キホーテ型作品と聞いておいて良かったな。まともに取り組んですべての謎解きをラストに求めたら大怪我するところだった。 ジャック・リヴェットですから、‶分からない”ままでも良いんです。持ち味といいますかね。でも、かの「セリーヌとジュリー」のような「分からないなりの納得感」というのが乏しい。おいてけぼり感が半端ないです。 もっとも、パリの街は中心も郊外も雰囲気があって素敵でした。演じる二人の母娘女優もなんだかクセになるような魅力があります。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-04-21 23:15:24) |
4. THE GUILTY ギルティ(2018)
《ネタバレ》 1シチュエーションものの良作って、今現在見えている外側の画が脳内に容易に浮かんでくるものです。本作も鑑賞中は、赤ん坊が寝ている室内も溜まった郵便物が散らかっている玄関も橋の上にいる女の姿も見えていました。実際に見ていたのは緊急ダイヤルオペレーターの男の顔と司令室の画だけなんですけどね。 「声」だけで鑑賞者の脳内の映像もくるくると変わってゆく。赤ん坊は悲劇へと転換し、女を誘拐した男の姿はマッチョな乱暴者から困惑し取り乱した普通の中年男へ、被害者の女の顔つきもノイローゼがかった顔相へと観る者に自主変換させる脚本がすごい。 オペレーターであるゲルガー個人の抱える問題についても詳しくは語らないながらも、大まかな筋はわかるようになっている。 ゲルガー個人の問題と外で進行中の件とを同時二本立てで、うるさくなく組み合わせるのってかなりの技巧を要するんじゃないかな。お見事です。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2023-04-07 17:02:32) |
5. キング・オブ・シーヴズ
《ネタバレ》 そうそうたる名優勢ぞろい。宣材ポスターからも老いてなおオーラが発散されていて大変かっこ良く、本編にもじいさんスタイリッシュなことを期待したのだけど。 や、これわざとなのかな、年取って身体が不調だっていう描写をことさらに強調してくるんですよ。足が悪い、糖尿だ、体力無くて見張りもおぼつかないetc。 お話も金庫から強奪まではさっさと済ませてしまって、残り半分は仲間内で猜疑心にかられた挙句、警察の網にも気づかないという間抜けっぷりをさらすばかり。 実話に則したとはいっても、もう少しキレイに撮れなかったもんですかね。スーツ姿で拘置所の廊下を行くラストシーンだけビシッと決めてたけど、ほんとそこだけだもんなあ。 若い頃のカットを劇中時々挟んでくるのも、粋な演出というより観辛さが先に立ちました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-02-09 23:07:56) |
6. 恐怖の報酬(1977)
《ネタバレ》 オリジナルの方は長らくわたしの中で‶口腔内が乾く”冷や汗映画ナンバー1だったのですが、リメイク版が更新しそう。汚い、危ない、おっかないの三要素をきっちり踏襲しつつフリードキンぽい念入りな描写も精神圧に拍車をかけます。ロイ・シャイダー班が走行中に、現地民の男がちょろちょろふざけて車の前後を走るシーンは叫びそうになりました。 崖の拡幅箇所を木で組んでいる図、というのがもう見るのも恐いし、車輪は案の定ハマるし。すんごい撮影をしたものです。あの吊り橋の撮影はどんな現場だったのでしょうか。ここに至っては口の中がカラカラです。 そうだ、リメイク版はカラーなのでトラックのボロい感じがリアルに伝わるのです。錆とか汚れとかが痛々しいほどにメカとして頼りなく、色がついてる分オリジナルより怖さが増していると思いました。ラストもまた別の意味できっちり怖く締めています。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2022-03-20 23:53:56) |
7. キャピタリズム~マネーは踊る~
《ネタバレ》 かつて‶ボウリング・フォー・コロンバイン”ではアメリカ人の精神性をも分析してみせる沈着さも見せていたムーア監督ですが、近年は世の全方位に怒りと疑問を放出し続けている感じです。今作噛みついたテーマはアメリカ資本主義。さすがに巨大で複雑すぎました。 ゲストにトップ頭脳を迎えて解説を頼むもやはり経済学者ではないムーア監督の手に余る模様で、結局は「個人」(CEOなどのトップ)の人間性の貧しさ強欲さを糾弾するいつもの手法なのでした。 一人で戦うのはもう限界だ、皆立ち上がってくれと監督は訴えて映画を締めます。もちろん米国民も腹は立てていて(この映画が影響したかどうかは不明ですが)‶大企業から献金を受けずに政治活動できる大金持ち”を選び、トランプ大統領誕生へと歴史は進みます。 そしてまたトランプによってもたらされた分断米国にムーア監督は憂いをもって映画をつくるわけで、なんだかもう果てしなく感じちゃうな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-03-19 00:24:40) |
8. キングスマン: ファースト・エージェント
《ネタバレ》 1,2作目でブリティッシュなスパイ活劇に悪趣味センスを小気味よく盛り込んだマシュー・ヴォーン、今度は歴史の中に自前の諜報活動をぶち込んでくるという離れ業を披露してくれました。 歴史に名高い人物らが次々とヴォーン監督の掌で踊り、戦い、謀略をめぐらして(きっと)ご本人より生き生きと楽しそうです。怪僧ラスプーチンやレーニンなどは見た目もそっくりですし。 そして実在の歴史人物の圧に負けない存在感を発揮しているのがレイフ・ファインズ。アクションものはどこまでイケるのかな、とノーブルな彼の顔立ちからいささか疑問でしたが杞憂に終わりました。吹き替えはあろうけど、剣術さばきも身のこなしも華麗です。この映画はどのアクションシーンも演出やキレに申し分なし、と思います。 キングスマンの1作目はまあ別格で、あのぱかっと人が二つ割になっちゃう悪センスがワタシは大好きなのですが、オジサン2人とオバサンとでスタートした渋めのバージョンもなかなか良かったです。 [映画館(字幕)] 7点(2022-01-23 14:33:31) |
9. キャッシュトラック
《ネタバレ》 4部構成の多視点で事件の真相が明かされてゆく辺りがガイ・リッチーぽい。初期の頃の軽快さを期待したのだけど、ステイサムが犯人捜しをするパートや真犯人結成のくだりなんかはちょっと「飽き」を感じてしまった。枝葉が多くてすっきりしないんだよなー。 それにわたしったら致命的なことに、息子を撃ったのが他ならぬステイサムの組織の人間だとばかり思っていたので、その後の鑑賞中若干の混乱をきたしてしまった。あの辺ややこしくないですか?見誤ったのはもちろん自分が悪いんですがね。 ステイサムがこんな無双になる前のとぼけ味が恋しいな。 [映画館(字幕)] 6点(2021-11-11 23:45:06)(良:1票) |
10. 木と市長と文化会館/または七つの偶然
《ネタバレ》 ロメールが恋バナから離れた珍しい一本。好いた惚れたでなく、政治信条が今作人物らをして熱く語らせるテーマ。 ネタは違えど「人間というのはこういうもの」と遠巻きに眺めるようなロメール視線は相変わらずです。批判もせず絶望もせず。正直で雄弁なのはいつも通り。まあ今作も皆よくしゃべります。それ受け答えになってるの?と思うような自己意識中心なディベートっぷり。フランス人てめんどくさいな。 田舎の街での箱もの建設を廻って賛成派と反対派の主張が繰り広げられるけれど、この手につきもののリベート・汚職とかの生臭さは皆無。長々と論争してもケンカにはならない。そこはフランスの大人の流儀でしょうか。市長、記事に不満だったのに当事者の美人記者と仲良くなってるし笑。 いかんせん政治の話なのでいつものロメール恋愛譚の軽快さが無いのはやっぱりちょっと物足りなく感じます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-09-23 11:48:19) |
11. 禁断の惑星
《ネタバレ》 この頃のSFってすごく真面目に哲学しているんですねえ。高度な文明を誇った生命体が自らの負の思念を肥大化させた結果滅びてしまった、と。宇宙を舞台にした哲学思想は‶2001年宇宙の旅”で頂点に達して、以降は七面倒くさいことは抜きに楽しく戦うスターウォーズ路線に向かったのですね。他は未知の凶暴生命体と闘ったり、火星に芋畑を作ったり。 70年代以降のスペクタクルSFがなじみの世代なので、本作のようにこんこんと他惑星の謎解きを見せられたのは新鮮でした。画もこの時代を思えば凄いです。地下深く構築された動力変換設備などはCGでなしにどうやって造ったのだろう。 大筋まじめではあるんだけど、紅一点の女優がお色気を露骨に担当していたり、ロマンスを織り込んで当然といった脚本にはやっぱり時代を感じますね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-30 23:29:29)(良:1票) |
12. キングダム/見えざる敵
《ネタバレ》 ‶(イスラム)テロと戦う米国”モノジャンルとしてオーソドックスな作りです。イスラム教徒としてひとくくりにすることを避け、テロリストと一般のサウジ国民(この場合はサウジ警察)を線分けして描くことに注力している姿勢はまだ品があると言えるでしょう。 何故アメリカがかくも憎悪の標的になるのかといった「そもそも論」には一切踏み込まず、現場のCIA職員と「敵」との対決及び銃撃戦が見どころであるという問題提起無しの娯楽作品ですね。 カメラがブレて見づらいなあ、というのが難点ですが「青いビー玉」が伏線として効いていたり、背広組の印象が強いC・クーパーが現場で穴を掘る姿もすごくハマるなあという発見があったりと、数多の類似作の中でも印象に残る作品ではありました。 それにしても゛互いが憎悪を抱き続ける”バッドエンドにしたのはどういう意図なのかしら。娯楽作テイストなのに急に社会派なメッセージが入ってきたようで唐突に感じました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-01 22:54:24) |
13. キッズ・オールライト
《ネタバレ》 両親と子どもが二人の家庭。妻が家族ぐるみの付き合いのあった男と浮気してしまった。当然家庭の空気は悪くなり、思春期の子どもらへの影響も計り知れず・・と書くと凡庸なホームドラマだけれど本作は夫婦がレズビアンカップルで、浮気相手が子どもらの精子提供者だというヒネリにヒネったシチュエーションである。 いやあー、考えさせられましたねえ。なまじ設定をノーマルな家庭環境にしなかったため、「家族」というシステムの定義しづらさ、曖昧さを浮き彫りにする効果がありました。 即ち「生物学上の父は家族となり得るか?」 本父ポールはいい線行ってましたよね。独身の気楽さがちょっと鼻につくけど人好きがして、明るく積極的な性格がニックの家庭には無い資質で子どもらもジュールスすらも惹かれてゆく。アネット扮するニックはこの家で父性的な役割でしたから、初めからポールに対して「侵入者」への警戒心が強かったのも無理はないです。だって相手は「正真正銘の」父なんだもの。いくら女医でも彼女には真似できない。ほんと設定の妙が活きますな。 わたしはマーク・ラファロ扮するポールに反感は抱かなかったので、ジュールスと事があったのち、子どもらが一斉に怒りを向けてきたのにはむしろ驚きすら感じました。つまりこのことこそがこの映画のアンサーで、やはり「家族」を作り上げるのにかかった年月はそれなりに重いのです。特に子どもにとっては、人格形成期に愛情を注いでくれた大人がやはり親なのですね。 そして四人が「家族」なんだ、ということをこの上なく表したジョニの巣立ちの場面。ワタシは思わずもらい泣きしたのですが、一人家を離れる長女を別れ際に抱きしめる両母親の姿は娘を手放す寂しさや祝福、心配がないまぜとなりA・ベニングとJ・ムーアの演技力の真骨頂を見せられます。まさしく長年手塩にかけて我が子を育ててきた者でないと出せない感情であり、やはり「単なる良い人」ポールでは無理でありましょう。 そして、息子もまたちゃんと成長を遂げていました。15才という難しい年ごろ、両親がゲイ・カップルということに事あるごとに反抗的な態度を見せていましたが最後に車中で「別れちゃダメだよ。もうトシなんだから」ですって。涙なくして聞けましょうかこの台詞。 初め、正直なところレズビアン両親にどうも気持ちが入りづらかったのですが、観終わってみれば彼らの家庭にとても親近感を抱いていました。脚本も演技もとても良いです。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2020-08-01 23:19:39) |
14. 君の名前で僕を呼んで
《ネタバレ》 陽光に輝く木々の緑や、石造りの街並みの美しいこと。美形の俳優二名によるラブ・ストーリーは美的センスに関しては非の打ちどころのない小品に仕上がっています。 相手への思慕が止めようもなく溢れ出て、文字通り悶え悩むティモシー・シャラメの繊細な演技は印象的でした。彼はさほど表情筋を使わないのだけど、全身を使って表現を行う役者さんですね。ピアノをふざけた時の大袈裟な腕の振りとか、面倒な来客の際に見せるおどけたステップとか。そしてオリバーを想う時の苦しそうな寝返り。 悲恋の範疇に入るのかもですが、ゲイ・カップルの話にしては、障害の極めて少ないケースでした。かつて見てきた同性愛モノにつきものだった「迫害」がほとんど無いです。なんと両親も公認、さらに驚異的なことに気晴らしにぞんざいに付き合った女友達まで許してくれるとは。ばれたら最後、社会からリンチすら受けかねないとか、家族からの絶望的な目つきとか、そういうヒリついた状況下のゲイストーリーばかり聞いてきたのでこの作品の甘いことにはとても驚きました。もっとも、どんな恋愛パターンでもそうですが周囲からの抵抗値が高い方が、お話が強く激しく輝くような気もしますが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-05 17:49:57)(良:1票) |
15. キカ
うーん 変態監督と呼ばれようと気にしないアルモドバルの肝の太さは感じるけど、個人の好みと合うかどうかはまた別の話で。色彩もヌードも性行為もどぎつくて、面白いと思ってるのは作ってる側だけなんじゃないかな。警官二人で強姦犯を引っ剥がそうとする画なんか最たるもので、上から精液がぽとり、とかこういうのを笑う感性は私には無いや。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-11-28 23:57:28) |
16. 木靴の樹
ほんの100年ほど前の、イタリアの寒村での名も無き人々の暮らし。土地を耕し家畜を世話し、子供を育て、祈りながら肩寄せ合って日々を送る。車も電気の恩恵も無縁の時代に生きた人たちを見ていると、歴史というのは大きな事件だけで作られているのではないのだなあとつくづく思う。無数の、彼らのような庶民・農民たちによって育まれた生活を受け継いで今の我々は生きている。 働くだけで一杯の日常だけど、人は恋をするし年に一度は華やかなカーニバルもやってくる。より貧しい恵まれぬ人には祈りと共に施しをし、物売りの行商人との丁々発止の掛け合いは生活者のたくましさも感じる。 先人の生きた足跡をあふれる情操で再現したパルムドール受賞作。全体通してシビアなタッチなので、心楽しくはならないのですが、苦く辛いラストを含め”人間が生きること”に圧倒された180分でありました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2018-11-15 20:18:10)(良:1票) |
17. 96時間 レクイエム
《ネタバレ》 おや、3作目にしてついに誰も"TAKEN"されてないぞ?まあここまでついてきた客はブライアンの暴れっぷりを見たいだけだから細かいことはいいんだけど。 さすがに三本目ともなると脚本もネタ切れ気味。大学生の娘にでかいパンダを贈ろうという親父のズレっぷりは相変わらずのお約束。うん、ミルズの娘溺愛描写はきちんと入れないと。あと元妻の再婚相手が役者が変わってるので戸惑った。こいつを真の悪玉にしましたか。うーん、やや安易な脚本かなあやっぱ。冒頭のロシア人が暴れてるのもありがちな「釣り」だとわかっちゃうしなあ。 ああそれに警察の無能炸裂ぶりには恐れ入りました。ラストシーンのF・ウィテカーの台詞には笑った。「私は真実を知っていたのだ」ってアンタたち後手後手に回ってばっかだったじゃんかよー。 [DVD(字幕)] 6点(2018-07-01 23:28:22) |
18. 96時間 リベンジ
《ネタバレ》 1作目より世間の評価は低いみたいですけど、私はこちらも同じくらい楽しめました。攫われるのが娘じゃなくてオカンだと皆さん血のたぎり具合が違ってくるということ? 相変わらず娘大好きのブライアン、黙ってりゃ渋い佇まいなのに彼氏の家にまで押しかけるとはいよいよクレイジー。やっぱり身辺調査ソッコーでやってるし笑。娘のサプライズ登場には相好を崩す様子もまあ微笑ましく、こういう親バカぶりをきちんと前作から踏襲しているのも好感度が高いです。 元CIA親父の指示によって動くキム、意外と足手まといにならず、親父と二人三脚でイスタンブールの街を(破壊しつつ)駆け巡る前半のヤマ場は見ごたえありです。 目隠し状態で”音”のみ手がかりに現在地を絞り込んだり、電話で娘に出す指示が驚異的に的確だったり、ブライアン・ミルズの今回も「やる時はやる」頼れるオヤジっぷりには惚れ惚れします。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-26 00:14:56)(良:2票) |
19. 96時間
《ネタバレ》 決して筋肉アクション派ではないリーアム・ニーソンがオヤジ・アクションものでスマッシュヒットを放つとはねえ。 まずブライアン・ミルズのキャラクターを度を越えた親バカに設定したのが効きました。世の親は多かれ少なかれ我が子に対して親バカですから、彼が娘を救うために何をしようと客の承認は得たも同然。なのでブライアンがもう虐殺レベルな暴れっぷりを披露しても眉根を寄せる客はいない。敵に電気ショックをかまそうが、元同僚のヨメを撃とうが、「まあ仕方あるまい」と思わせちゃうのがミルズ親父の人徳か。人身売買組織に情けをかける必要も全然ないし、と思わせる脚本も念が入っている。 電話越しに聞かされる娘の大ピンチ、足元だけ映す暴漢らの気配。この場面のスリリングな怖さはベッソンの十八番。導入からラストのカタルシスへと一気に見せます。ノッてるベッソンはこれくらいできるのですな。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-24 23:29:37)(良:1票) |
20. 恐怖(1961)
《ネタバレ》 全然知らなかった作品なんですが、サスペンスとしての出来の良さにびっくりしました。これがヒッチコックの手によるものだったら、名監督の代表作として不朽の名声を得ていたでありましょう。一体なぜに(ほぼ)無名なのかしら。 S・ストラスバーグの線の細い情緒不安定な演技は、こちらの疑念をかきたてるのにぴったりハマりました。冒頭の伏線も、実に鮮やかにどんでん返しの一助を担ってますし、プロットがとても良くできています。ああそれに窓の外に見える崖っぷちの車椅子。ラストのあの画は怖かった。直後に何が起きるか想像つくからだろうか。こんな風に直接グロい画を見せるのでなく、間接的に観る者の想像を煽るのです。良作です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-06-11 23:53:11) |