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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2514
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 宝塚とディズニープリンセスとプリキュアが好きな還暦+2おかま。
宙組は当分観ないわ。

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1.  クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝 《ネタバレ》 
 満席に近い場内、沢山の子供たちにウケまくっていたのでこれで正解でしょうね。特にウケてたのは「・・・リスだな」ってところかな。で、ここから先は今の『クレヨンしんちゃん』を楽しんでる子供たちのためにはな~んの役にも立たない古びたオタクの戯言でしかないのでご了承を。   前年の『天カス学園』がマグレというか奇跡というか、今回は随分とまあ昔に戻ったモンね!って結構ネガティブな意味で感心しちゃったわ。個人的に迷走期だと思ってる頃の『クレしん』映画(ケツだけとかアミーゴとかプリンセスとか金矛とかオタケベとか花嫁とかスパイとか)を思わせてくれちゃう感覚が見事にスクリーンに甦って、今更この古臭い『クレしん』を見せられてる?って随分と醒めた、スクリーンから距離置いたような見方になっちゃったわ。   閉鎖的な村社会で抑圧された母子を解放に導くとか、利己的な欲望のために少しずつ削られてゆく地球資源の保護とか、そこに織り込まれたテーマやメッセージは判らないではないわ。でもそれを描く『クレしん』の要素は本当に毎度のアレって状態。素晴らしき野原一家が地球の危機を救うため、そしてゲストキャラを救うためにファンタジーな世界で頑張ります!って。アタシ、野原一家(や、かすかべ防衛隊)に地球の命運を任せちゃうパターンにウンザリしちゃうのよね。野原一家はアベンジャーズやプリキュアのようなモノだとは思ってないし。春我部(春日部)市の一戸建て住宅に住む普通の一家よね。  物語的にもスッキリできない部分が色々あって。ちよめの、母親の想いが優先されてて病院での取り違えを偽装するという大きな問題部分を軽く扱っている感がするし、動物化してしまった祖父や父はそのままでいいのかいな、っていう感じだし。  クライマックスで正義に目覚めてボスを裏切る事になるくノ一はそこまでドラマが全然描かれていないので唐突な存在だし(途中で命令に躊躇する表現はあったけれど)、ヘソの栓を戻す展開はごちゃごちゃと様々な要素が混乱しちゃってて盛り上がりきれなくて。  第一、具体的なタイムリミットが提示されるにも関わらず、それが物語に全く関わってこないのよね。そこから時限サスペンスを作れそうなのに、逆にリミットがある状況でみんなそれを気にする事なく一体何をモタモタやってるの?ってイラつくだけの状態になっちゃってて。あの幽閉されていた博士は単に状況説明のために存在しただけ?  毎度の野原一家の家族愛描写は本当に毎度の繰り返しだし。もう『寅さん』的な。   『ブリブリ王国』『わくわく温泉』『ヤキニクロード』『カスカベボーイズ』などを思わせるエピソードやビジュアル満載!なのだけれどそれが有難いこととも思わないしねぇ。アクションシーンでの枚数使った作画は良かったわ。ボスの歌唱シーンや昭和ネタが無かったのも良かったわ。   あと、しんのすけは安易に泣かせたらダメ。原作からの伝統的にダメ。   でもそれも今の時代にほんの短い期間『クレしん』に親しむ子供たちにとってはなんの問題もないわよね。大人のクセしてずーっと『クレしん』見続けてきてアレコレとケチ付けてるのは雑音みたいなモノ。オタクの言う事って基本信じる必要ないわ。
[映画館(邦画)] 5点(2022-04-26 13:32:35)
2.  クライ・マッチョ 《ネタバレ》 
 誘拐した子供と旅をするロードムービー『パーフェクト ワールド』、若者との出会い、ふれあいを描く『グラン・トリノ』。今回の映画の設定に、イーストウッドの過去作から予感させるほろ苦い結末。ところが。   イーストウッドもさすがに老いは隠せようもなくて、ヨレヨレした姿をスクリーンに晒してるわ。お世辞にも「矍鑠とした」なんて言えないわね。  で、そのヨレヨレが人妻から誘惑されたり未亡人に惚れられたりする映画なのよね、コレ。無いわー、それ絶対無いわーって。しかも前かがみにヨタヨタと歩くような爺さんが暴れ馬に乗っちゃうのよ。途端にカッコ良く溌剌とした姿に・・・ああ、当然スタントマンよね、って。  これってホラ吹き男爵の物語みたいなモノね。数々の武勇伝を抱えた、女性や子供にモテモテの爺さま。でもそれってイーストウッド自身の事なんじゃないかしら。映画というホラを吹き続けた男の物語。   イーストウッド監督作品には自分が主演のものと自分は出てないものとがあって、自分が出てないものは実話ベースのドラマティックな映画が多い一方、自分が出ている作品はカッコいい自分のハナシよ。ちょっと影があったり妙に屈折したところがあったりもするけれど、基本カッコつけたオトコの物語。冒険野郎で孤高の存在でワイルドでちょっとユーモラスさもあって。  『運び屋』でもすっとぼけた爺さんとして周囲を振り回してみせたけれど、それもこれも映画界の老練ホラ吹き男爵イーストウッドの遊び心なのかもしれないわ。  少年とニワトリを相棒にしたロードムービー、ここ一番で活躍するのはニワトリだったりして、高齢なのにまだ現役で頑張ってるイーストウッドの作品だからって真面目にスクリーンに向き合ってるこちらをケムに巻いてみせるのよ。   あーホラ吹き男爵にひと泡吹かされたわ、ってカンジなのだけど、それをまた体験できたのは幸せなコトなのよね。
[映画館(字幕)] 7点(2022-02-15 22:07:06)
3.  クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園 《ネタバレ》 
 今年の『クレしん』映画は今までの中でもベスト級の作品だったと思うわ。   学園ミステリーっていう「らしくない」設定であるにも関わらず『クレしん』映画として、そして娯楽エンターテインメントとして、とても純度の高い作品になっているの。   『クレしん』映画が陥りやすい難点、結局は毎度の「野原一家ファイヤー!」な家族の物語か「かすかべ防衛隊ファイヤー!」な友情の物語に帰結して終わりになるパターンと、最近の作品に顕著だったしんのすけを始めとするレギュラーメンバーがゲストキャラクターの引き立て役に終始しまうパターン。でも今回の映画は両方の要素を拾いつつもそのマンネリなパターンに陥る事を回避しているのね。  今作ではかすかべ防衛隊の5人がメインで、だけど学園に乗り込む事で大量のゲストキャラクターが登場するわ。バリエーション豊かな個性的な面々。脚本はかすかべ防衛隊の個々のメンバーと学園の生徒たちとの繋がりのドラマを多層的に紡いでゆくのね。カスカベ防衛隊で固まってしまう事なくレギュラーの面々とゲストの面々とが有機的に映画を構成してゆくの。それぞれみんなが魅力を持っていて。   ミステリー展開はおふざけでいい加減な作りではなくて「吸ケツ鬼は一体誰なのか」っていう謎と推理とをちゃんと見せてくれるのね(『クレしん』的飛躍の設定が絡む部分はあるにしても)。  そして事件が解決したかと思われた後に続く、最初は蛇足にも思えたかすかべ防衛隊の5人と生徒達が紡いだドラマが開花する感動的なクライマックスの盛り上がりと感動。ミステリー部分が物語の核ではなくて、あの2人こそが、永遠ではないこの一瞬の時が大切だと語る2人こそが今回の映画の核だと判る、『クレヨンしんちゃん』の大切な物語として昇華されるラストシーン。とても巧く美しく書けた脚本だと思うわ。  みさえとひろし(そしてひまわりとシロ)は出番こそ少ないけれど(いつもからすれば極端に少ない、ってレベルね)見事に「起・承・転・結」の要所を締めてみせてるの。   『オトナ帝国』とか『アッパレ戦国』、近作だと『新婚旅行ハリケーン』みたいな「名作だけどコレ子供楽しめてるのかいな?」っていうものとも違って、今回は子供から大人まで『クレヨンしんちゃん』が好きな全ての世代に対応した名作だったわ。
[映画館(邦画)] 9点(2021-08-31 22:15:50)
4.  クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者 《ネタバレ》 
 なんか『ロストチルドレン』みたいなハナシ。クライマックスのビジュアルは『地球防衛軍』(ミステリアンやモゲラの映画なヤツじゃなくて「EDF!EDF!」なゲームの方)ね。あと、いつもに比べて何故か背景画がキレイ。   で、今回の『クレしん』はちょっと見てるのがシンドかったわ。  登場人物が多過ぎて(レギュラーメンバーの他にこの映画用のオリジナルキャラが大量)、それぞれにドラマを描こうとするものだから、もうあちこち話が飛んで、やたらゴチャゴチャして、混沌としちゃってるわ。  ラクガキによって生まれたキャラ、ブリーフ、ニセななこ、ぶりぶりざえもん。ラクガキングダムのお姫さま(と、城に存在する善悪双方の大量の人々)。旅の途中で出会う少年ゆうま(そして一緒に旅をする動機となる母の存在)。本来ならばそれぞれ大きな役割を持ったゲストキャラポジションなカンジなのよね。それが1本の映画にひとまとめで登場してごちゃーっと描かれるものだから、どれもこれも中途半端なの。一体どこに、誰にキモチを持っていけばいいワケ?って感じで視界に入ってきたと思ったら消えて、を繰り返す状態。  そして、その映画の視点のブレはかすかべ防衛隊、みさえやひろし、ひまわり、そしてしんのすけにまで及ぶわ。それぞれが『1941』みたいにバラバラなベクトルで行動するので、シンプルな到達点に対してやたら混乱した遠回りを繰り広げる事になってシンプルな感動を阻害しまくるのね。  個人的にはもうニセななこ(とブリーフとぶりぶりざえもん)一本で勝負して良かったんじゃない?みたいな感じ。アレだけで勝負する自信がないゆえの保険たっぷり、みたいな印象すら受けてしまうわ。   それから気になったのは異様にザラついた感じの嫌な大人達の姿をこれでもかとしつこく見せること。ああいうのは確かに今の日本の国、リアルにネットにいっぱいいるわ。だけどそれをあえて『クレしん』の世界に登場させる必要があるのかしら? そこからの解放を『クレしん』の子供たちに背負わせるべきモノ?  もっともっと単純に、ラクガキに映した子供たちの創造力、それを描くだけで十分だったんじゃない?って思うのね。
[映画館(邦画)] 5点(2020-09-14 20:47:41)(良:2票)
5.  クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし 《ネタバレ》 
 ひたすらみさえがカッコいいの。カッコいいオンナが出てくる映画が大好きなアタシだけど、この映画はみさえのオンナとしての魅力を再認識させてくれたわ。それは『クレしん』っていうより『百円の恋』の安藤サクラのようなカッコよさ。   予告編見た限りじゃ、パターン化された『クレしん』の毎度の一編のように思えたわ。野原一家ファイヤー!パターンとカスカベ防衛隊ファイヤー!パターンでは今回は前者、海外モノで、誘拐モノで、ジャングルで、列車アクションで、アクティブなゲストヒロインが出てきて、はいはい、みたいな。  でも、そんな毎度の要素を散りばめつつ、今回はみさえの映画として振り切ってみせたことで、これまでになかった魅力に溢れた映画になったと思うのね。   これまでみさえはひたすら母親としての強さを求められてるキャラだったと思うの。そういう描写は過去作にもう沢山あったし、今作にも溢れてるわ。でも、今回は母親である以前に、また妻である以前に、オンナであるコトが描かれてるのね。いつもはネタである嫉妬ネタを、今回はキッチリ真面目に描いてたりして。しんのすけとひまわりの耳を塞がせつつ怒りを爆発させるシーンでの、お尻が破れてパンツ見えてる状態の見た目のカッコ悪さと内面のカッコ良さの対比なんか、味わい深いドラマを感じさせて涙が出たわ。   クライマックスなんか、もう、反則ね。作品情報時点でネタバレしちゃってるので書いちゃうけど、緊迫感を煽るBGMじゃなくてみさえが歌うMISIAの『Everything』が静かに流れる中で、ひろしを救いに爆走するみさえが描かれるのよ。大好きな曲の、その歌詞の内容にぴったり合っているみさえの心情に、もう号泣レベルね(あくまで「レベル」ね。実際にトシ喰ったオカマが映画館で号泣してたら犯罪レベルだわね)。もしかしたら、この映画、『Everything』の歌詞を元に映画作られてない?ってくらいにぴったり。その昇華っぷりったら『雪の華』なんかよりよっぽど見事よ?   しんのすけもひろしもゲストキャラも、今回はみさえを引き立てる存在で(木南晴夏が魅力的に演じていたインディ・ジュンコは安易にいい人にしなかった点が良かったけど)、だけどその割り切りっぷりが『アッパレ!戦国大合戦』以来の号泣名画(※個人の感想です)にしていたと思うわ。  ギャグも散りばめられて子供たちにもウケてたし、これまでのシリーズに存在してた、もはや時代錯誤の昭和ネタ(もうすぐ平成も終わって令和だわよ)とか、謎のミュージカルタイムとか、設定やテーマばかりを重くしちゃったオタク臭いパターンとかが無かった点も良かったわね。   今回は、みさえがいいオンナ、これに尽きるの。
[映画館(邦画)] 9点(2019-04-25 21:00:57)
6.  グリーンブック 《ネタバレ》 
 これがアカデミー作品賞?っていうのが見終わった後の正直な感想ね。  でも、それは別にネガティブなものではなくて、単純に、こんなに判りやすい、ストレートな内容のものが?という意味で。   映画は面白く見られたわ。  黒人差別問題を描いてはいるけど、そこを殊更に強調するのではなくて、雇い主と雇われ運転手のロードムービー、バディムービーとして単純に面白い、という作り。  それぞれが影響を受けて変わってゆく、それは王道って言えるわね。   難しいところは何もなくて、ただ差別の問題はしっかり考えさせるような作りで。唯一、ハッキリとは語らずちょっとボヤかしてあるエピソードがYMCAのところだけど、あのビレッジピープルの歌、西城秀樹がカヴァーしたあの曲の意味も含めて、そのあたりの知識があれば、ああ、って理解できる部分ね。   差別が当たり前、差別は文化として存在している、その異常さを、でもそれを日常生活の中で受け入れてしまっているんじゃないですか?って現実があって。  ただ、そういう感覚は『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』でも描かれていたわけで、この作品がこれまでと違う、特段のものを持っているというカンジはしないのよね。   アカデミー作品賞はその背景に、政治的な意識も働いているのかな?と思ったりもして。  トランプ政権下では、この映画で描かれたことは決して過去のものではなく、今も存在している、むしろまた逆行しているようにも思えるわけで、アンチテーゼ、抑止力としての作品賞?とも思えて。アカデミー賞って多分に時代の影響ってあるわよね。   ファレリー兄弟作品(今回はピーター1人での監督だけど)はバカ映画が多いんだけど、そこにマイノリティ賛歌が織り込まれていたりするわよね。  でも、毎回それが白人、マジョリティ、健常者としての立場からの上から目線的なモノを感じてしまって、必ずしも手放しに受け入れられなかったりして。  そして今回の作品にも少しそういうニオイが無いこともないかな・・・みたいなカンジがしてしまったのも事実で。  ただ、じゃあ差別される側のみで閉塞された状態で創造されたモノならばいいのか?というとそれも違うと思うし、やっぱり色々作られてこそなのよね。   劇中、ヴィゴ・モーテンセンがいっぱい色々食べるので、映画見ていてお腹鳴っちゃって恥ずかしくて仕方ないったらありゃしない。ギュルギュルすっごい音させてんの。
[映画館(字幕)] 7点(2019-03-05 20:02:05)(笑:2票)
7.  グリンチ(2018) 《ネタバレ》 
 思いきりクリスマス気分にひたれる、キラキラが溢れたクリスマス映画。そして、それ以上のモノはあーんまり期待しない方がいいわ。   ジム・キャリー版のグリンチがいるでしょ。アレの知識があったらもうグリンチってのがどんなモンなのかはほぼ把握できちゃってるわけね。その上、そこから更に毒気を抜きまくって漂白した上で、甘く甘~く味付けしたのが今回のグリンチ。完全に小さなお子様向け仕様。今までの『怪盗グルー』とか『ミニオンズ』とか『ペット』とかのイルミネーション作品から想定しちゃう層の、更にその下の年齢層向けね。  だからクリスマスに小さなお子様をお持ちの家族で見に行くのにはオススメ。そして、オトナが一人とかでコレ見るのは実は結構シンドいっていう。もう『アンパンマン』を見に行くくらいな?   シンディ・ルーがとっても可愛くて、とってもいい子で、その純粋さはとっても大切なのだけど、でも、汚れちゃったオトナの口にはどうにもこうにも甘い甘~い映画なの。  そんなんで改心しちゃう?アンタの心の闇はそんなに浅い浅いモンだったの?ってグリンチにツッコミたくなるわ。  って、元々絵本が原作で、それを忠実に映像化しただけな作品なのだから、歪んだモノを求める事こそが筋違いなんだけどね。  だけど、背景とか美術とか映像の見せ方はとってもイイのだけれども、物語とかキャラクターとかは真っ直ぐ過ぎちゃってて面白味に欠けまくりなのよね。  あそこまで善人が善意だけで生きてる世界だと、全体主義的に見えて、まるで善意の名のもとに単一的な思想によってグリンチを洗脳してみせました、みたいにすら思えてしまうわ。アレはアレで息苦しそう。   ね、コレは汚れてるオトナ向きの映画じゃなくて、純粋なお子様、そして純粋な大人のための映画。アタシみたいなリアルグリンチにはむしろダメージを与えてくるわね、コレ。
[映画館(字幕)] 5点(2018-12-20 22:18:47)(良:1票)
8.  くるみ割り人形と秘密の王国 《ネタバレ》 
 ディズニー大好きだからやっぱり期待しちゃうけど、でもディズニーの実写ファンタジーって、そぉーんなには、って印象があって。   これ、予告編を見て、どこら辺が『くるみ割り人形』?とか、『アリス・イン・ワンダーランド』や『オズ はじまりの戦い』と似てね?とかネガティブな印象を受けちゃったんだけど、実際の映画もその印象のままになっちゃった。   ヒロイン役のマッケンジー・フォイの透き通るような美しさがステキ。それだけ。あとは・・・   美術はいい仕事してるのね。でも、じゃあそれが前述した作品、あるいは更に『マレフィセント』とか『シンデレラ』とか『美女と野獣』とかのディズニー実写ファンタジーと明確な差別化ができてるか?この作品ならではの魅力的な個性を放ってるか?っていうと、その既存の作品が創ったイメージの枠の中に収まってしまってる印象なのね。   物語的にもハリウッドってそういう話にしちゃいがち。ハリウッド娯楽作品はこうでなくちゃ!って強迫観念で作られてるんじゃない? アリス、白雪姫と武装させてきたのだから必然的に『くるみ割り人形』のクララも、ってか。男に劣る事なく戦う女性こそがジェンダーフリーの象徴とか思ってるんだったらただのバカよ? そんなのジェームズ・キャメロン的マッチョ思想よ?   『くるみ割り人形』って小さい頃に読んだ絵本のイメージが強烈なのね。極彩色で、ある種の禍々しさがあって、独特の世界が広がっていて。そのせいもあって、ディズニーが『くるみ割り人形』をフツーのファンタジー映画にアレンジしちゃったのねぇ・・・って感じがして。  そもそも“くるみ割り人形”である事のアイデンティティが希薄なのよね。人種に配慮しました、ってのはいいとして、ちっとも冴えない、魅力に欠けるくるみ割り人形のキャスティングは正解だったのかしら?   『アリス~』も『オズ~』もそーんなに、な映画だったけど、でもそれぞれティム・バートン、サム・ライミの個性は発揮されてたわ。でも、この映画のラッセ・ハルストレムの個性ってそもそも何? 落ち着きのないがちゃがちゃしたドラマ映画を撮る人って印象しかないんだけど。その点でもイメージ弱いのよね。   もっと独特なイメージを持った、個性的な作品を期待してたんだけど、ディズニーじゃこんなモンなのかしらねぇ。
[映画館(字幕)] 5点(2018-12-03 20:15:22)(良:1票)
9.  クワイエット・プレイス 《ネタバレ》 
 始まってすぐスティーブン・キングの小説かシャマラン監督作品みたい、ってワクワクしちゃった。でもとんだ肩透かし。   前半の雰囲気はいいのね。音を立ててはいけないって状況でいかに生きてゆくか。見ているこちら側も色々と考えて。自分だったらどうする、みたいな。  ただし、あんな状況で妊娠はないわー。赤ちゃん泣くでしょうに。っていうか後半は極端に泣かない赤ちゃんで幸せだったわね、な展開になるんだけどさ。  それにお姉ちゃんは自分のせいで弟を死なせてしまったっていう自責の念、そういうのを感じさせるにはあまりに身勝手で感情移入を拒んでくるし。  登場人物のほぼ全てな一家5人、総じて軽率な行動が目立ってイライラして感情移入させてくれない、でも安易に感情移入させない事が重要なんですよ、って映画でもない気がするのよね。   後半になっても軽率ファミリーの受難は続くのだけれども、敵さんの姿が明らかになると共に更なるツッコミどころが増えてゆくようなカンジで。  『ヴィレッジ』と『ハプニング』と『アフター・アース』が混ざったようなシャマラン風味映画は『マーズ・アタック!』な逆転を経て『ガメラ3』的ラストへと至るのでした、って、あれれ?って。  見てる間は『ザ・ロード』みたいな、もう少し暗示的、象徴的な、考えさせるハナシだと思ったのだけど、あんなラストカット見せられたら、そう大層なシロモンじゃないのよ、って宣言されちゃってるみたいでさ。これまでに散りばめられてきた様々な要素は全部オチを含む物語を運ぶための道具に過ぎなかったの?とか思っちゃうじゃん。父ちゃんと娘との関係だって、描きこまないのは考察の余地を与えてるため?とか思ったけど、実のところ描き足らないだけなんじゃないの?とか思っちゃうじゃん。   終わってみれば、意外とオリジナリティに欠ける、音で驚かすばかりで怖さもイマイチなホラー映画ってところに落ち着いちゃったわ。
[映画館(字幕)] 5点(2018-10-05 20:16:44)
10.  クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱 《ネタバレ》 
 今回はカンフー映画ベースの世界ですが、単純にカンフー映画のパターンをなぞるのではなくて、物語にヒネリが加えてあって、奥行きのあるテーマを投げかけてきます。でも、それは功罪相半ば、という感じ。正義というものについて、多面的な描き方をしていて、色々考えさせるメッセージが織り込まれている一方、明快さがなくなって、見終って澱のような、わだかまりが残るような作品になって。『クレヨンしんちゃん』ならではの気持ち良さに欠ける感がなきにしもあらずです。  物語途中で悪は駆逐され、正義の名の元に力で支配されてゆく、その恐怖を描くのに『クレヨンしんちゃん』という器が相応しかったのかどうか。唐突な解決は物語をキチンと閉じる、という事が蔑ろにされてしまっていますし。時間を置けば凶暴化は治るという設定は語られていますが、その逆側で自我を奪われた人々が治る道筋はちゃんと語られないまま、みんなで踊れば解決、ですからねぇ。   それから、前作の『シリリ』同様、今回も野原しんのすけが物語上の主役ではないのですよね。ゲストキャラこそが主役で。もう26作重ねて、しんのすけで描けることもなくなってきちゃったのかな? 作品内で成長を見せたとしても毎回毎回リセットされてしまいますし。  今回、ここぞというところは肉弾戦なのでしんのすけは出る幕がなくなっちゃうわけで。それは例えば『ブタのヒヅメ大作戦』のクライマックスでも見られた状況ですが、やっぱりしんのすけが主役として活躍する物語が見たいですね。見る前に抱いた「今回はカスカベ防衛隊がメイン?」って期待もスカされちゃった感じですし。   色々と考えて苦心して続いてるシリーズなのだと思います。でも、子供を笑わせてナンボという基本中の基本は絶対に忘れて欲しくないところです。
[映画館(邦画)] 6点(2018-04-26 22:25:07)
11.  KUBO/クボ 二本の弦の秘密 《ネタバレ》 
 東京国際映画祭にて鑑賞。   日本が舞台なのに、日本での公開が今になってやっとなのが切なく。もう半年くらい前にアメリカのアマゾンでブルーレイを買っていたのですが、ずっと見ないで我慢してました。スクリーンで見られる、その日が来る事を信じて(そして、そういう作品が実は他にもいっぱいあって、大体はビデオスルーになっちゃう・・・日本での海外アニメーションの扱いを物語っております・・・ )。   ライカお得意の「美しくて不気味」な個性が意外なほどに日本の色によく合って。アメリカ産でありながら見事な伝奇として完成されています。そして、ここまで日本で(外国人は全く出てきません)、そして悲しい内容で大丈夫?ってところを成立させちゃうのがライカなのだなぁ、と。その切なさもまたライカ作品ならではの世界。  『コララインとボタンの魔女』では気にならなかったけれど『パラノーマン ブライス・ホローの謎』から『THE BOX TROLLS』と目立ってきたデジタルプロセスの多さは今回も相変わらずなのですが(そこまでやるのならばもうCGでいいんじゃない?って)、でもここまで世界が完成されていると、これがライカの個性、表現法なのだなぁ、と。   キャラクターもライカらしい個性的(クセの強い)なデザインでありつつ、親しみやすく。特に不気味なのにやたら魅力的な叔母さん達にはウットリ。全編、これまでのライカ作品には無かったキレのあるカッコ良さにも溢れています。   ここいちばんの重要なシーンがいちいち閃光のみで省略されてしまって、何がどうなったのかはその後の展開で察してね、っていうのがちょっと残念な感じではあるのですが、日本人的にはちょっと懐かしさすら覚える(コマ撮りアニメの昔話ですからね)世界、その実直な作りにひたすら感動させられるのでした。 【追記】  日本語吹替版を見ましたが、一部キャラに有名人を起用しているものの、特に問題は無く、むしろ日本語となる事でやっと完成されたとすら思えるのでした。また、エンディング曲が吹替版独自の曲に差し替えられていて、そういうのは大抵作品を穢してしまうものですが、吉田兄弟の音は甘い女性ヴォーカルのオリジナル版以上にピッタリと映画に馴染むのでした。サントラ自体が三味線の音を多用しているだけに。
[試写会(字幕)] 9点(2017-11-18 14:25:17)
12.  クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ 《ネタバレ》 
 シリーズ25作目、1作目から24年経過って事で1作目公開当時5歳だった人も今や29歳。でも野原しんのすけは成長しない、あるいは作品内で成長を見せたとしても次作ではリセットされてしまう永遠の5歳児。この作品では主人公はシリリであり、しんのすけは狂言回しとしての役割を担います。  父を慕い、父のために努力し、そして父に反抗する事で成長してゆくシリリ。野原一家も、かすかべ防衛隊もシリリの成長を見守り、促してゆく、クレヨンしんちゃんの世界にやってきたシリリを迎え入れる存在。それは、『クレヨンしんちゃん』の世界に触れてきた人々の姿に重なります。しんのすけの数々のボケ、ネタもある意味、伝統芸であり、老成した感すらあります。   『暗黒タマタマ大追跡』『栄光のヤキニクロード』のようなロードムービーとなった今作は、25周年記念という事で、過去作へのオマージュも散りばめられています。パンフレットによると映画全シリーズのネタが織り込んであるようですが、残念ながら私は指宿&後生掛コンビとマイク水野、それに猿くらいしか気づきませんでした。   シリーズを長く見てきた人、新たに触れる人、どちらにも対応した長期安定シリーズとしての『クレヨンしんちゃん』。心から笑って泣けて楽しめるエンターテイメント。でも、たまにはしんのすけが能動的に物語世界を動かしてゆく作品が見たいと思うのは贅沢でしょうか。映画版はどうしても巻き込まれ型(それでもあくまでマイペースなのが取り柄であり魅力なのですが)な展開が多いですからね。
[映画館(邦画)] 7点(2017-05-03 23:12:56)
13.  グレートウォール(2016) 《ネタバレ》 
 中世の中国を舞台にした荒唐無稽な怪獣ファンタジー。『スターシップ・トゥルーパーズ』と『パシフィック・リム』と『ワールド・ウォーZ』と『300』と『ロード・オブ・ザ・リング』と『エイリアン2』を混ぜてチャイナ風味にしたような映画、ツッコミどころは満載。  黒色火薬を手に入れようとやってきた西洋の面々は、ただ手で運べる程度の量を入手すれば結果オーライなの?とか(製法を知らなきゃ意味ない訳だけれども、ブツさえ手に入れればあの時代でも成分の解析ができたとでも?)、マット・デイモンの人殺しとしての過去の背景がセリフだけで詳細不明なままとか、女王からの通信が途絶えると共に一切無力化する(死んじゃう?)怪物とか、大してドラマも描かれないのにドラマチックにどんどんと散ってゆく人々とか。  もうレジェンダリーが中国資本傘下になったのでこういう映画ができました、っていうサンプルみたいな映画。   戦闘シーンも既視感たっぷり、だけれどもアクロバティックな戦い方の数々とか、チャイナなデザインの鎧や盾が大量に並ぶ様にこの作品ならではの魅力を感じられました。引きの画になると途端にCGでござい、って状態でチャチになってしまうものの、CGではなくライブで撮られた隊列の画などは、その物量っぷりに圧倒されました。   でも、それらを評価したところでせいぜい6点といったところでしょうか。チャン・イーモウ作品としてはあまりに大味スペクタクルな画ですし。   個人的に最大の評価ポイントはもうただ1つ、美しくてカッコ良いジン・ティエン。予告編のビジュアル時点でワクワクさせて貰ったのですが、本編では期待以上に大きな役柄で画面に映ってる時間も長くて、むしろマット・デイモンは彼女の引立て役でしかないんじゃないかっていう。まるで『真・三國無双』のキャラ、星彩や月英がそのまま実写で動いているような感じで、戦うキレイなお姐さんの姿にほれぼれ。『キングコング:髑髏島の巨神』での飾り物にすらなれていない空気状態とは大違い、っていうか殆ど別人に見える状態なのは、スタッフの皆さんのウデの違いってところかしら?  キレイでカッコいいお姐さんがアクションしてればそれだけでいいのか?って言われたら、それだけでいいんです、としか答え様が無いです。もう彼女を眺めてるだけで最高の映画。それだけで十分。はい。
[映画館(字幕)] 9点(2017-04-14 22:01:56)(笑:1票) (良:2票)
14.  クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃 《ネタバレ》 
 少女の心の傷を優しく癒してゆくラストシーンはとても良かったと思います。が、そこまでは必ずしも褒められるものでは・・・。   『パプリカ』と『インセプション』と『ロスト・チルドレン』が混じったようなその題材のオリジナリティの無さはともかく、まず、夢が「睡眠中に見る夢」と「胸に抱く夢」とでごっちゃ。夢をコントロール可能な領域とコントロール不可な悪夢領域とが意図的に与えられていた、として「いい夢=本人の願望」っていうほぼ覚醒状態な思考パターンで構築された世界なわけで、それを大人数で空間として共有していて相互に干渉可能となると、それってもはや「夢」じゃないんじゃね?っていう。異世界ファンタジーですね。少女の悪夢から組み立てていった世界設定であろう事は容易に想像できて、そのための無理があるかなぁ。  それにそのビジュアルはいかにもオトナのアタマで創った子供の夢の世界なんですよね。   カスカベ防衛隊の団結力や活躍、ひろしとみさえのコンビネーションは好調、この辺はいつもの『クレしん』の楽しさを存分に味わえます。   バクを探しに出てからは物語の進行が停滞して、みさえとひろしは延々父親と戦ってるし、カスカベ防衛隊は迷走してるし。大和田獏ネタとか大人が見てもクドくて笑えないんですが、子供はそもそも大和田獏が判るんか?っていう。  クライマックスのボスのビジュアルはヘタなホラーより恐ろしく、よく出来てるんですが、その正体が怖すぎ。トラウマものですね。展開の結果よりも過程のインパクトがデカくてヤバいっていう。アレ、感動よりも恐怖が先行しちゃうんじゃないかと。  みさえの母性が少女を救済する展開自体は感動的なんですけどねぇ。   子供には判らないとは言いませんが、やや大人向きなんじゃない?っていうのが今年の『クレしん』の印象でした。
[映画館(邦画)] 6点(2016-05-05 20:57:57)
15.  グラスホッパー 《ネタバレ》 
 ハチ公前のスクランブル交差点は109前のスクランブル交差点と信号機の灯火パターンが完全に一致しているので、現実にはあの車はハチ公前に到達する以前に109前で人を撥ねるか、信号待ちの車列に突っ込んでますな。   それはともかく、なんかもっとヒネリのある、展開や構成で楽しませてもらえる映画なのかと期待していたのですが、あちこちひっかかってしまうところだらけで。   主人公が能動的に動いているように見えて、実は操られているだけ、狂言回しで結局物語を動かしてゆく立場にはないっていうのは別にいいとして、その作品世界を構成する人々にまるで気持ちが乗ってゆかない状態。二人の殺し屋に妙に入れ込んでいる感じがしますが、二人とも魅力的な個性、人間性の持ち主とは言い難く、ただの悪人ですよねぇ。それは岩西も同様。  一方、槿もまた目的のためなら手段を選んでいない訳で、寺原Jrを轢いた車のドライバーが殺される事まで当然想定していたと考えると、ラストに至ってこの人に何らかの「感動的な何か」を抱けって言われても無理な訳で。  メッシュの女のいかにもウラがありそうな存在の仕方、寺原会長や比与子の単純な存在の仕方も「なんだかなぁ」って感じで(毎度の石橋蓮司のヤクザの親分のステレオタイプっぷりは、ギャグか何かなんでしょうか?)。  一体この物語の何処に楽しむべき要素があるのか教えて貰いたいもので。不快感で構成してみました、みたいな?  「お前が人がどんどん死んでゆく物語を楽しめないだけだ」って事なんですかねぇ?
[映画館(邦画)] 4点(2016-04-18 21:15:22)
16.  グッド・ライ いちばん優しい嘘 《ネタバレ》 
 タイトルから、何かほのぼのとした映画かな、って思ってたのですが、これがもう大変に厳しい映画で。   スーダンの内戦で孤児となった4人の難民がアメリカに移民として受け入れられる話、映画はまず4人になるまでを描きます。  アフリカの雄大な自然の中での平和な生活、侵略、父母の死、国境までの長い長い逃亡生活、倒れ死んでゆく仲間達、信頼していた兄との別れ。幼い少年少女が不条理な暴力に翻弄される姿が胸に突き刺さります。  彼らが大人になり、難民キャンプを離れて渡米してからは明るさが見えてきます。半ば巻き込まれるような形で彼らに付き合うようになるリース・ウィザースプーンの飾らない人物像が魅力的で(自覚のない「片付けられない女」って)、異文化コミュニケーションをユーモラスに彩ります。  だけど、移民の生活にも様々な問題が生じる上に、彼ら自身が抱えた心の傷や罪の意識が重く影を落して。   映画は主人公の贖罪によってハッピーエンドを迎えます。アメリカが9.11で移民の受け入れを止めるまでの短い間に渡米できた4人はスーダンの難民の中ではとても運の良かった4人。そう、彼らは故郷を遠く離れたアメリカの地で苦悩し、苦闘しますが、それでも他の難民に比べてとても運の良い4人。人間性を取り戻した彼らの姿を通して、その背後に存在する難民の厳しい現実が見えてきます。それはエンドロールで更に明確に。これはドラマティックに描かれた劇映画だけれど、最初から最後までその現実はちゃんと映っていたんだよ、と。   子供が平和に暮らせる世界、そんな当たり前のように思える事が何故実現できないのか、深く考えさせられる映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2015-05-21 22:16:59)(良:1票)
17.  クレヨンしんちゃん オラの引っ越し物語 サボテン大襲撃 《ネタバレ》 
 『クレしん』で泣かせに走るのはあまり好きじゃないので、今回はそれが冒頭部分だけに集中していたのがまだ良かったかな、と。   舞台がメキシコに移ってからは完全に野原一家と現地のキャラ達で独立した物語になって、従来にも増してハッキリとした作品の形が見えます。ズバリ、王道モンスターパニック映画。『トレマーズ』とか『ジョーズ』とか『フィースト』とか『ミスト』とかのノリ。『クレしん』でアレやりました、っていう。  なのでそういう映画好きとしては大変面白く、だけど一方で群像劇となった事でしんのすけが大勢の中の一人になってしまった事や、怪物撃退、退治のシチュエーションが(小ネタを除くと)真っ当だったりと、『クレしん』としての面白さは結構スポイルされている気がして、ちょっとジレンマを感じたり。もう少しナンセンスでも良かったかな?とも思うんですが、結構ホンキです。   今作オリジナルのキャラ達は皆個性的。っていうか果たしてこのキャラは要るのかな?みたいなのは大体さっさと怪物に食われます(笑)  でも、そんなにはドラマ作ってないんですよね。スマホちゃんにしろ、レインボー仮面にしろ、村長にしろ、性格はハッキリしていても、そういうキャラとなった背景は見えてきません。全体的には多少冗漫な印象があったので(籠城場所を移動したり何度も外に出たり入ったりで、水増しエピソードが無きにしもあらず)、どうせならばその時間をドラマに費やすか、さもなければもう少し刈り込めたのではないかと。  一方、今回は敵が世界征服を狙う組織とかではなくて怪物ですから、敵側のサムい歌やギャグが無かった分、安心。アレ、毎回、なんで入れるかなぁ?って感じで。   原作者の逝去によって『クレしん』の基本設定にはもう新たに手を加える事はできないでしょうから、あとはどれだけ物語のバリエーションで魅せるかになってきていると思います。今回はそんなにハズしてない感じで面白く見られました。
[映画館(邦画)] 7点(2015-04-27 23:14:21)(良:2票)
18.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 
 脚本はちょっと音痴な気もします。  原作由来なのかもしれませんが、色々とドラマを盛り込み過ぎ。特に先生がピアノを弾けなくなる原因となった過去のエピソードは定番過ぎちゃってて。この監督の過去作品にも同じネタが登場してますし。  女子生徒のモノローグで始まりながら先生のモノローグで終わるという構成もツッコミどころ。   だけど、今の日本の風景の美しさを切り取り、ドラマの中に生かしてみせる三木監督の手腕がここでも存分に発揮されています。青い海、五島列島の美しい島影、人々の暮らす家並み、そこで生きる中学生達の生が、その風景の中に溶け込んで。  海、船、汽笛、風といったキーワードとなる要素が元となった『手紙~拝啓 十五の君へ~』という歌の持つイメージを大切にしていて。  そしてもちろん、十五歳なりの苦悩、切ないドラマがあって。   キャラ的には、ずっとご機嫌ななめ状態のガッキーも良かったのですが、何と言ってもソプラノの少年、彼が全部持っていっちゃったような感じで。彼のあどけなさと彼が抱えたものの重さとのギャップに胸が痛く、ずっと彼を中心に映画を見ていました。   これまで何度か「今の日本の風景を捉えた青春映画」が大切、ってレビューに書いてきましたが、三木監督は今、最もその理想を表現している監督だと思います。  「今」から「明日」へと向かって進む道を示したこの映画、監督の真骨頂が発揮された作品でした。
[試写会(邦画)] 9点(2015-02-19 23:04:44)(良:1票)
19.  海月姫 《ネタバレ》 
 マンガが原作ならばこういう描き方でいいでしょ?っていうのがハッキリ見て取れてツラいです。  リアリズムを廃したギャグ映像が生身の人間によって演じられる事で上滑りし続け、それはドラマを織り成してゆく事を阻害して。最終的にはとっ散らかったエピソードの羅列で終わる映画。   まず、デフォルメされたオタクの生態を笑うばかりで、その才能をあまりプラスとして描いてない、みんなで協力して、なんてところも各人の個性を活かしておらず、単なるオタクからの脱却こそを是としているばかりな点で、それでいいのかな?と。  ファッションショーの成功をクライマックスに据えた事で、結局「キレイに着飾った渋谷系のお嬢さんこそが正義」になってるんですよね。メガネ取ったら美人っていうアレをここでも繰り返していてセンスがとても古いです。   で、オタク状態では地味で、ドレスアップするとキレイって落差を話で見せていても実際のビジュアルで見せきれてない、その差を劇的に感じさせる事がちっともできていないのがまたダサくて。能年ちゃんをキレイに見せてるつもりのビジュアルは、本当にそれでいいのか?というカット多数。どう見てもホラーっぽいライティングまであるし。   説得力なんてモノは皆無で(ファッションショーのせいで政治家のパーティに誰も集まらないという理屈が一体どうしたら成立するのか、論理的に説明して貰いたいもので)、ならばせめてエピソードやキャラクターで楽しませて貰いたいものなのですが、類型的で(相手を酩酊させてベッドの写真を撮るって、つい最近他のマンガ原作映画で見ましたが)空虚な世界が広がるばかり。せめてせめて『三国志』や鉄道や和物やじじいの魅力を少しでも見せようよ・・・   それでもクラゲの魅力だけは幾分醸し出されていた感じで、クラゲがモチーフになった部分はなんとか楽しめたような、そして、キャラの多さでなんとか退屈さだけは免れたような。女装男子の蔵之介に救われてたかな。どう見ても男でしたが。   クレジット見るまで気付かんかったわ!って池脇千鶴や篠原ともえはおろか、能年玲奈の個性までも殺し気味なコスプレ映画ではありました。
[映画館(邦画)] 4点(2014-12-28 23:38:19)(良:1票)
20.  クローバー(2014) 《ネタバレ》 
 平成ゴジラが全作ビスタサイズだったのに対してミレニアムゴジラは全作シネスコサイズだったように、前世紀の終わり頃から邦画はシネスコサイズが増えています。それは大作に限らず、こういうラブストーリーにも。  オープニング、シネスコフレームを有効活用した、武井咲の動きに合わせてホテル内を大々的に移動するステディカムの映像がとても心地良く。  で、この映画で褒められるところはそこと、あと軽井沢のシーンでの青空くらいのもの。青空はこの映画の功績じゃありませんけど。   『愛と誠』で見せた武井咲のコメディ演技を求めた訳ですが、始まって20分くらいでもう映画館出ようかって思いました。貧乏性なんで最後まで見ちゃいましたけど。でも、後になればなるほど酷くなる映画で・・・   登場人物の誰にも共感できませんし、心が動きません。もうバラバラです。みんな勝手に行動し、勝手に自己主張するだけで、まるで調和が取れていません。ひたすらすれ違いが繰り返されるばかり。その延々と続く不協和音こそがこの映画の軸であり、この物語の芯なのかもしれませんが、そんな不協和音を延々と聴かされ続ける事の辛さについて、まるで無頓着な映画という感じ。   柘植はあんなので果たしてデキる男なのか、いい男なのかというと甚だ疑問で。優柔不断、意志薄弱、無神経、そんなマイナスなキーワードばかりが出てくる状態。っていうか、客に聞こえる状態で部下に説教するような上司は無能です。客を不快にさせるでしょ?  で、柘植がそんなだからヒロインを始めとする周囲の反応もヘンに思えてしまう訳で。登場人物全員頭悪い、そんな映画。   でも、その頭の悪さはこの映画を作った人々の姿勢に表れているのかな、と。いちいち仕草に馬鹿みたいに効果音を入れて、音で笑わせようとしてますが、何が面白いのやら。メール文字を画面に表示した上で内容を喋らせる、そこまでしないと観客は判らないと思っているんでしょうか。   この映画を作ってる人達は、マンガとか観客とか馬鹿にしてるのかなぁ?ってどんどんとスクリーン上に展開する惨状を眺めながら思ったのでした。   あ、結局シネスコの意味はもちろん無い映画でした。それからディズニーの有名な曲を2曲使っておりますが、単なる冒涜ですね。あれは他の映画のために作られた曲なのだからさぁ・・・
[映画館(邦画)] 2点(2014-11-21 23:03:07)
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