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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1.  激突!<TVM> 《ネタバレ》 
中学の頃にテレビで見て以来(約四半世紀ぶり)にDVDで再見。今見ると少し単調に感じるかもと思っていたのだが、最初から最後まで目が離せず、すごく面白かった。サスペンスとしての完成度が非常に高く、とてもテレビドラマとして作られたものとは思えないほどで、若きスピルバーグの才能の片鱗を感じさせる。昔見た時は追ってくるタンクローリーの運転手の顔が画面に一切映らないことに若干の違和感を感じたりもしたが、今回久しぶりに見てみるとそのことによってタンクローリー自体が怪物のように描写されていて、運転手の顔が映らないことでよけいに恐怖感が出ていて、効果的だ。(特典映像の監督インタビューを見るとタンクローリーを怪獣のように見せたかったとのこと。)また、追われるセールスマン(デニス・ウィーバー)の心理描写も巧みで、とくにドライブインのシーンは主人公の置かれた緊迫した心理状態をうまく表していて見事だった。(昔見た時はそれほど印象に残らないシーンだったのに。)遮断機の閉まった踏切に押し込まれそうになるシーンや、主人公のいる電話ボックスにタンクローリーが突っ込んでくるシーン、それに主人公の車がオーバーヒートするシーンはやはり今見ても手に汗握ってドキドキしながら見ることができた。メインの登場人物をほぼ主人公ひとりに限定していて、内容も単純でシンプルなのだが、逆にそれがよく、題材も身近で実際に起こりうる話なだけにリアリティーもあり、それに日本であおり運転が昨今問題となっているのを考えると一種の社会派映画のようでもあり、昔見た時とは別の面白さもある。間違いなくスピルバーグ一番の傑作だと思う。少し悩んだが思い切って10点を。(2019年12月8日更新)
[DVD(吹替)] 10点(2005-05-21 18:16:30)
2.  原爆の子 《ネタバレ》 
人類史上初めて原爆が落とされた街 広島。その広島出身の新藤兼人監督がGHQの日本占領終了直後に放った広島原爆をテーマとした反戦映画。原爆で家族を失い、今は瀬戸内海の小島で教師をしている主人公 石川孝子(乙羽信子)が、あの日原爆に遭って生き残った教え子たちを訪ね歩くというストーリーなのだが、まだあれから七年しか経っていない広島で実際にロケをしていることもあり、いくらか復興しているとはいえ、原爆の傷跡がまだまだ残る広島の街はここにあの日原爆が落ちたということをリアルに物語っていて生々しく、この街の風景を見るだけで考えさせられるし、つらい。孝子が訪問したその日に原爆症で死んでしまう教え子の父や、少女が教会でもはやいつ死んでもおかしくない状態で横たわっているシーンは原爆が投下直後だけでなく、その後何年にも渡って身体を蝕んでいくという恐ろしさが伝わってきて切なく、胸が締めつけられる思いがした。新藤監督は広島出身の作家としてどうしても原爆投下間もない広島の現状をこの映画で描きたかったんだと思うし、新藤監督の原爆や、戦争、そして故郷への思いが伝わってくる。真夏の太陽の下で元気に遊ぶ子供たちも印象に残るのだが、この子たちに未来を託すという新藤監督の強い願い、戦争のない平和な世の中への願いが込められている気がしてならない。それはこれからの未来を生きるすべての人たちへの普遍的なメッセージなのだと思う。そしてそれは戦後69年経ち、新藤監督自身が亡くなった現在でも決して変わることはないだろう。被爆して間もない広島が舞台ということでも歴史的価値のある映画だが、そんな監督の普遍的なメッセージを発信し続ける映画として、これから先もずっと残っていくべき映画なのだと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2014-08-01 02:13:03)(良:2票)
3.  競輪上人行状記 《ネタバレ》 
兄の死によって実家の寺を継ぐことになった中学教師の男(小沢昭一)が競輪にハマり、堕ちていく様を描いた作品だが、坊主になった聖職者がギャンブルにはまり込むというこの設定自体がまず面白く、原作を書いた作家が住職というのにも驚かされる。今村昌平監督が参加した脚本は下世話だが、深みがあり、味わい深く人間ドラマとしても見ごたえのある映画になっていて、ただ下世話なだけというふうにはなっていないのが見事だった。主演の小沢昭一も見事にハマっていて、こういうダメな男を演じていてもどこか愛嬌があり憎めないところがあり、こういう演技はこの人ならではだろう。それよりすごいのはやっぱり南田洋子演じる主人公の兄の妻。夫の棺の前で夫の幻影に鞭打たれて悶えたり、死んだ犬の肉を焼き鳥屋に入れてしまうという行動が強烈なインパクトを残しているし、絶対に秘密にしなければいけないような過去をサラリと主人公に告白したりするのもものすごい。葬儀の最中に主人公に葬儀屋(加藤武)が耳打ちするシーンなど、寺や葬式に対しての皮肉めいた批判がストレートに描かれるのも良いし、これと併せて父親(加藤嘉)の死で真面目に坊主になろうと決意し、本当に真面目になった主人公が兄の妻から前述の衝撃的な告白をされたことから再び競輪にのめり込むという展開もどんな聖職者や上人でも結局は一人の人間なのだということがひしひしと伝わってきて素晴らしく、本作で作り手がいちばん言いたかったのはこういうことだと思わずにはいられない。主人公が競輪の予想屋になる(ここでの小沢昭一の口上も素晴らしい。)ラストはどこか主人公に哀愁が漂い、印象に残るものとなっており、この物語を締めくくるには最高のラストシーンだったと思う。また本作は主演の小沢昭一にとって間違いなく代表作の一本といえるだろう。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-27 14:07:03)(良:1票)
4.  けものみち 《ネタバレ》 
数年前に放送された米倉涼子主演の連続ドラマ(未見)が有名な松本清張サスペンスの映画化作品。いわゆる悪女を描いた映画で、主演は池内淳子。庶民的で地味な印象がある女優なだけにどんなものかと思っていたが、この頃の東宝の喜劇映画や後年のテレビドラマの脇役、そして「男はつらいよ 寅次郎恋歌」のマドンナ役で見せる姿とは全く違う演技でこの民子という悪女を熱演していて、表情もきつくて怖い。増村保造監督作品の若尾文子・・・とまではいかないものの、(ちなみに本作の脚本家は増村作品常連の白坂依志夫だったりする。)見ていて違和感はないし、印象にも残り、この民子という役は池内淳子の数少ない映画で代表作と言ってしまってもいいのではないだろうか。この民子をあくまでクールに傍観的に描く須川栄三監督の演出がよく、独特のカメラワークも印象的だ。「寒流」でもそうだったが、本作でも金と色と欲に執着する人間が描かれているのが松本清張原作作品らしいところで、何か裏の考えを持った登場人物たちが次々と出て来て、人間の本質を見せていくが、それを演じるのが池部良や小林桂樹など普段は実直な役柄の多い俳優という見る人の裏をかいたキャスティングなのも見事。中でも池部良がこういう卑劣な役柄を演じているのが本当に珍しく、ラストの燃え盛る風呂場を見ながらの高笑いは本当に怖かった。そんな中、病気で寝たきりでありながら色欲エロ爺なフィクサーを演じる小沢栄太郎はイメージ通りのキャスティング。見ていてものすごくいやらしい爺で、この人がこういう役を演じると本当に怖いくらいにハマる。それに大塚道子。「上意討ち 拝領妻始末」の三船の妻役も怖かったが、この女中頭の役も存在感がありやっぱり怖い。そうそう、先週まで「黒い画集」シリーズを見ていたのだが、三部作それぞれに主要人物として出演していた小林桂樹、池部良、土屋嘉男の三人が共演しているのも見どころの一つだ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-05-08 18:40:43)(良:2票)
5.  警察日記 《ネタバレ》 
田舎の警察署を舞台にした人情もの。とにかく登場する警官みんなが情に厚く、演じる森繁久弥や三國連太郎といった面々の演技も実に温かみがあって素晴らしい。彼らを狂言回しに事件を起こした人々の人間模様を描いているのだが、その事件というのが殺人事件や誘拐事件といった凶悪事件ではなく、捨て子や万引きといったこの時代ならどれもが貧しさから来るようなものばかりで、戦後10年で日本がまだまだ貧しい時代だったのだなと痛感させられる。また、東野英治郎が演じた戦争で子供を亡くし、おかしくなってしまった老人などにもリアリティーが感じられる。森繁久弥演じる吉井巡査が面倒を見る捨て子の姉弟のエピソードが特に泣ける。二人に対しての吉井巡査の温かい眼差しも感動的なのだが、姉を演じた子役時代の二木てるみがなんといっても素晴らしく、弟に会いたいばかりに一人で会いに出かけていくシーンや、名乗り出た母親の乗ったジープを見つめる表情などなんとも切なく悲しげで、本当にうまく、思わず泣かされた。久松静児監督の映画を見るのはまだこれが2本目だと思うが、人間の持っている心の温かさというものを見事に描き出した正に名作だと思う。あと、書き忘れていたが、署長を演じる三島雅夫のユーモラスな演技は、普段腹黒い悪役や嫌味たらしい役のイメージが強いだけにすごく新鮮に感じられた。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-04-11 14:47:47)(良:1票)
6.  刑事物語 《ネタバレ》 
シリーズ第1作。このシリーズは中学の頃によくテレビで見ていてかなり好きだった(今でも武田鉄矢といえば片山刑事のイメージが個人的には強い。)が、なぜかこの1作目だけは全く放送されず見る機会がなかった。それを今回、DVDにてようやく見ることが出来た。約13年ぶりの片山刑事との「再会」だったが、武田鉄矢演じる片山のキャラクターやハンガーアクションはとても懐かしかったし、基本的にシリアスなストーリーながら高倉健ファンの女刑事を演じる樹木希林や、西田敏行とのやりとりなどこの1作目から笑える部分もあり、それでいて、片山とヒロインである聾唖の女性との恋愛エピソードは切なく感動的で、この部分の武田鉄矢の熱演もそうだが、ヒロインを演じる有賀久代の演技が素晴らしく、彼女の演技がこの映画に深みを与えているのだと思う。片山が彼女から田中邦衛扮する恋人を紹介されるラストシーンが特に感動的で片山の涙いっぱいの笑顔が最高に切なく、本当にいいシーンで、以前このシリーズは「男はつらいよ」シリーズを参考にしていると聞いたことがあったが、このラストシーンはまさしく「男はつらいよ」を思わせているし、榊原るみ扮するマドンナが知的障害者という設定だった「男はつらいよ 奮闘篇」で養護教諭を演じていた田中邦衛を起用しているあたりにも「男はつらいよ」シリーズの影響が見られ、やっぱり相当意識して作っているのがよく分かる。全体的に見て映画の完成度自体はそれほど高くないと思うものの、じゅうぶんな佳作といえる映画になっていてとても面白かった。(主題歌の「唇をかみしめて」もやはり名曲。)続編も見直したいが、どうやら本作しかDVDが出ていないのが残念。ぜひ、続編4本もDVD化を願うところだ。
[DVD(邦画)] 8点(2009-10-22 15:18:39)(良:3票)
7.  決算!忠臣蔵 《ネタバレ》 
東映の任侠映画をいろいろ見ていると実は忠臣蔵に近いものがあるのではと思えてくるのだが、本作に出て来る大石内蔵助(堤真一)をはじめとする赤穂浪士たちは関西弁で喋り、ガラも良くないというのが、いよいよ任侠映画を思わせていて、それが変にリアリティーを感じさせているし、時々抱いていた、美談としての忠臣蔵に対する違和感も赤穂浪士をこういうふうに描いていれば、それに対する答えも出ているように思う。中村義洋監督の映画としては「殿、利息でござる」と同様に歴史学者(今回も磯田道史原作かと思ってしまうところだが、違うのね。)が原作で、経済的な面から見た忠臣蔵が描かれているが「殿、利息でござる」同様に軍資金を現代のお金に換算して表現しているので分かりやすいし、面白く、だんだん減っていく残金をちゃんと計算機のような形で表示して見せてくれるのも良い。吉本興業メインの映画ということもあって、吉本芸人が大量に出演していて、笑いの部分がちょっと濃いかなあとは思うものの、それほど気になるということもなかった。勘定方 矢頭長介を演じる岡村がなかなか良い味を出していて、浪士たちを「無駄遣いするなよ」と咎めるところなどちゃんと見ている観客側の立場に立ったキャラになっているのも良かった。この長介が死ぬところが中盤の山場となっているが、公開時の宣伝では堤真一とW主演のように言われていたので、けっこう早くに出番が終わってしまったように感じたのが意外で、それが残念と言えば残念。忠臣蔵といえばクライマックスは討ち入りと決まっているのだが、本作はあくまで赤穂浪士の予算のやり繰りを描くということを徹底していて、討ち入りが予算内に収まるか否かの会議をクライマックスに据えていて、討ち入り場面はシミュレーションだけという形をとっており、それも本作らしいところだが、本作は忠臣蔵でありながら吉良上野介(およびその周辺)が一切登場しないという異色さになっていて、これがかなり新鮮に感じた。大石の妻であるりくを中村監督作品では常連の竹内結子が演じているのだが、山科の別れのシーンでりくが大石に言う最後のセリフが今となっては何だかさびしく感じてしまう。
[DVD(邦画)] 7点(2024-03-18 00:21:46)(良:1票)
8.  ゲゲゲの鬼太郎 激突!!異次元妖怪の大反乱 《ネタバレ》 
第3シリーズ劇場版第4作で、第3シリーズの劇場版ではこれが最終作となる。そんな本作は原作者である水木しげるがアニメキャラクターとして妻とともにゲスト登場(声は本人ではなく、あずさ欣平と川浪葉子。)するなどしていて盛り上げているが、ストーリーは国会議事堂が敵の妖怪に占拠されたり、発生した怪気象に対し、総理大臣の命のもと自衛隊がミサイルで迎え撃とうとするなどけっこうシリアス。でも今回はなんといっても地下鉄で知り合ったカロリーヌちゃんを必死で守ろうとするねずみ男のカッコよさが際立って描かれ、普段のイメージとは違う熱い男としての魅力が出ていて、今回の主役は間違いなく彼だろうと思わずにはいられない。中でもやはり、カロリーヌちゃんが朧車に突き飛ばされて来世でのねずみ男との結婚を約束して消滅するシーンは来るものがあるし、その後のカロリーヌちゃんの父親であるぐわごぜをなんとか改心させようとするねずみ男には思わず泣かされた。そして、カロリーヌちゃんとぐわごぜの墓に餅を供えるラストシーンにねずみ男の気持ちが表れているような気がした。今月ずっと鬼太郎映画を見ているわけだが、間違いなく最高傑作は本作だと確信できる。ただ、惜しむらくは中編でなく、ちゃんとした長編映画として見たかった。
[DVD(邦画)] 7点(2021-09-26 00:11:26)
9.  ゲッタウェイ(1972) 《ネタバレ》 
昔、リメイク版はテレビで一度だけ見たことがあったのだが、オリジナルである本作は今更ながらに初めて見た。そのリメイク版の内容をすっかり忘れていたせいもあるのかもしれないが、とくになんの先入観もなく最後まで見ることができたし、面白かった。銀行強盗の夫婦の逃避行を描いているが、ただのサスペンスアクションというだけに留まらず、この夫婦がその逃避行の中で関係を修復していくというラブストーリー的な側面があり、そのドラマがしっかりと描かれていて、サム・ペキンパー監督の人間描写の緻密さもあって、かなり見ごたえのあるものになっていて、もちろんアクションもみどころなのだが、このドラマ性の高さだけでじゅうぶんに堪能できる映画だった。主演のスティーブ・マックイーンが演じるカーターも絶対的なヒーローという感じではなく、自分を刑務所から出所させるためとはいえ、妻がほかの男と寝たのをいつまでも引きずっていたりするところ(なんかわかるなあ。)など、人間的な弱さもちゃんと描いているところがいいし、もちろん、演じるマックイーンはカッコよくもあるのだが、決してカッコいいだけではない彼の魅力を感じることができる。一方の妻のキャロル(アリ・マッグロー)は、そんな夫のためならなんでもするという芯の強さを持った女性に描かれているのが面白く、そんな二人が追手から逃げる逃避行はもちろんだが、自然とこの二人の関係修復のドラマのほうに目が行ってしまう。ゴミ収集車に閉じ込められるというまさかの展開だが、これがきっかけでこの夫婦の関係が修復に向かうという意表をついたドラマのクライマックスがなんとも秀逸で、ゴミ捨て場が舞台なのにこのシーンが非常に美しく撮られているのはやはりペキンパー監督の演出の巧さだろう。また本作ではカーターとキャロルに対比するように追手側も細かく描かれているのも特徴的で、車を運転させるために人質にされた獣医の夫婦が追手の男に同道することになるのだが、真面目そうな夫に対して妻はいかにもバカそうに描かれているのが印象的であるが、耐えかねた夫が自殺したあと、その妻があっさりと(ストックホルム症候群でも起こしたかのように)寝返る展開は意外性があり、死んだ夫に対して気にも留めないあたり、実はしたたかな女なのではと勘繰ってしまう。その後のこの妻のホテルのフロントでの言動はすごく悪趣味極まりない。このホテルのフロント係など脇の登場人物たちも良い味を出しているが、やはり最後に出てくるトラックの運転手とのやりとりがこれまた秀逸で、バッドエンドでもおかしくない物語なのに、このやりとりがあるおかげでその後のカーターとキャロルに明るい未来を感じることができる後味のいい終わり方になっているのも良かった。
[DVD(字幕)] 7点(2020-11-30 00:28:42)
10.  刑事コロンボ/意識の下の映像<TVM> 《ネタバレ》 
ロバート・カルプが「指輪の爪あと」、「アリバイのダイヤル」に続いて三度目の犯人役を演じるエピソード。犯行に気づいた映写技師までも射殺してしまうという非情さもあり、彼が演じた犯人の中ではいちばん残虐性を感じさせる。最初の殺人はサブリミナル効果を用いて被害者を外に出させ、射殺するという手の込んだものだが、ラストにコロンボがそれと同じ方法で犯人を外に出させるという解決シーンは、鮮やかかつ皮肉が利いていて見事なこのシリーズでも印象に残る結末で、辛いキャビアやフィルムに挟んだコインなど細かいところに目をつけるコロンボや、犯人とコロンボの対決も見ごたえじゅうぶんでこのシリーズらしさがよく出た作品になっていて面白かった。今回、コロンボは犯行に使われた口径の銃を探すのだが、口径変換機というのはやや現実離れしている反則技と思うものの、同じく銃の隠し場所がポイントとなる「ホリスター将軍のコレクション」と比べると説得力があり、強引さも感じつつも納得させられる。ただ、ほかの人も書かれているが、細かいことを言えば犯人はあんなところで殺人をやってもし誰かに見られたらどうする気だったのだろうとか、証拠をいつまでも同じ場所に隠しっぱなしというのはちょっと違和感を覚えた。頭がキレるインテリ犯人だっただけにそこはどうしても気になってしまい残念。でも、出来としてはじゅうぶんに満足できる作品だった。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2014-10-13 16:56:10)
11.  刑事コロンボ/殺人処方箋<TVM> 《ネタバレ》 
「刑事コロンボ」の第一話で、ほかの作品と違ってサブタイトルと同名の舞台劇をドラマ化したもの。いちばん最初とあってまだコロンボのキャラクターはそこまで確立されておらず、風貌も演じるピーター・フォークが若いせいもあってか、少しイケメンなおじさんという感じで、髪形もきっちりとしていて、なによりいつも着ているコートのほかに普通に背広姿でいるシーンがけっこう多かったのには驚いた。(初登場シーンも背広姿だし。)でも、初作である本作からコロンボのしつこさはよく出ていて、細かいところに気がついて犯人を追及し、翻弄していくキャラクターは本作で既に確立されており、対する今回の犯人である精神分析医や事実上の共犯者であるその愛人のキャラクターもしっかりと描かれている。とくに犯人の愛人で、患者でもある女優は冒頭からいかにも気弱で不安そうに描かれていて、見ている自分にも気弱な部分があるからか、コロンボのような刑事にこれだけ追及されたら自分だったら自殺してしまうだろうと思いながら見ていたものだから、ラストのコロンボの仕掛けには見事にこちらもハマってしまった。シリーズこの後の作品と違ってやや真面目になりすぎていて、このままシリーズ化していたらそこまで長くもたなかったかもしれない(この次の「死者の身代金」ではこのあたりがだいぶ改善されている。)が、こんなコロンボもいいなあと思える作品だった。オープニング映像がカッコいいのも印象に残る。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2014-04-15 18:03:06)
12.  刑事コロンボ/溶ける糸<TVM> 《ネタバレ》 
今回の犯人はレナード・ニモイ扮する野心家で冷静沈着な心臓外科医で、犯行は意見が対立した心臓治療の新技術を共同研究している自らの患者でもある博士の手術中に細工を施し、それだけでなくそれに気づいた看護婦までも殺してしまうという残忍なもの。それで涼しい顔をしているのだから相当にいけ好かない犯人である。もちろん頭も切れ、コロンボになかなか証拠を掴まさせない。この犯人とコロンボの対決も見どころなのだが、今回は犯人と被害者である博士や看護婦のドラマがしっかりと描かれ、物語的にも面白いエピソードになっていたのが良かったし、この犯人が最後の最後までコロンボの追及をうまくかわしていく(コロンボが犯人に対して怒るのも珍しいが、敗北宣言をするのはもっと珍しい。)ので本当にこの事件は解決するのかというドキドキ感がエンド直前まであるのも○。しかし、このシリーズには邦題でネタバレしているものがいくつかあり、この「溶ける糸」もそれに当てはまっているのがちょっと残念。それにしても今回の犯人は劇中で合計三人も手にかけており、このシリーズの犯人の中ではやはり残忍さが際立っている。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2014-03-25 14:08:39)
13.  刑事コロンボ/パイルD-3の壁<TVM> 《ネタバレ》 
主演のピーター・フォーク自身が監督を手掛けた作品で、コロンボが死体なき殺人事件に挑むエピソード。いつものように倒叙形式で最初から犯人は分かっているが、殺しのシーンが直接描かれないのは新鮮だったし、演じる本人自ら演出していることもあってか、コロンボのキャラクターがいつもよりも魅力的に描かれている。また、それだけではなくちゃんと作品としても面白いものに仕上がっているのに驚かされ、ピーター・フォークの監督としての本作への意気込みのようなものも感じられた。事件の焦点は死体はどこにあるのかという一点のみで、ものすごくシンプルなのだが、コロンボと犯人の攻防の見せ方がうまく、パイルをコロンボに掘り起こさせる犯人のしたたかさと実は出し抜かれたように見せかけて犯人を出し抜いているコロンボの犯人の上をいくしたたかさがよく描かれていて、いつも以上に犯人との対決は見ごたえがあるものになっていたし、ミスリードも利いていて、ラストの一発逆転劇が見ていて気持ち良かった。いちばん最後のシーンで口にくわえた葉巻を捨てて去っていくコロンボが妙にカッコよく、印象に残る。でもよく考えたらこのシリーズでこういう終わり方は珍しい。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2014-01-19 13:41:09)
14.  刑事コロンボ/祝砲の挽歌<TVM> 《ネタバレ》 
今回は完璧に事故にしか見えない殺人をどうやって暴くかというところが面白く、また犯人である幼年士官学校の校長の殺人の動機がいかにもアメリカの厳格な軍人らしい考えに基づいたうえでの犯行で、個人的な理由ではない動機はじゅうぶん理解できるものであるし、この校長のキャラクターもよく描けている。ただ、生徒の一人に濡れ衣を着せようとした行動は校長としてやってはいけないと思うし、ラストで言ったセリフもこれがあるためにふてぶてしく聞こえてしまう。でも理論的に犯人を追いつめていく展開がこの作品の最大のみどころで、結末は犯人の性格を利用してボロを出させるというのが見事で、かなり見ごたえのある作品だったと思う。ランニングシャツ姿のコロンボは「自縛の紐」の青ジャージ姿以上に普通のおっさんに見え、やっぱり思わず笑ってしまった。犯人役のパトリック・マクグハーンはいかにも厳格な軍人の雰囲気をうまく出していてハマリ役だと思う。(この後も何回かこのシリーズに犯人役で出てるみたい。)吹き替えは「水戸黄門」のご隠居役を演じた俳優の中でも善人役の印象が強い佐野浅夫が担当していて、彼の声は物腰柔らかな感じがするのでどうかなと見る前は思っていたが、とくに違和感は感じることなく見ることができた。吹き替えといえばこのシリーズの吹き替え版は過去の吹き替え音源の欠落部分をほかの声優で補ったものが使われていて、今まではさほど気にしていなかったが、今回はその部分がけっこう多く感じられ、さすがにちょっと気になってしまったことも書き加えておこう。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2013-03-10 15:00:17)(良:1票)
15.  月曜日のユカ 《ネタバレ》 
のっけからこの時代の邦画っぽくないお洒落な感じで、映像も長回しの多用やストップモーション、それに突然サイレント喜劇のような映像になるなど凝りに凝っていて飽きさせず、古さも全く感じさせないスタイリッシュな演出に思わず引き込まれた。中平康監督は、今まで見た映画では正直そんなに評価されてる理由が分からなかったのだけどコレを見ればその理由が分かる気がする。とにかく今見てもじゅうぶんに新鮮に感じられる映画で、ひょっとしたら今の方がもっと評価されるのではないかと思った。主演の加賀まりこが今となっては信じられないほどとても可愛く、この頃の出演作は松竹の「雪国」くらいしか見ていないと思うのだが、本作の方が魅力的に思える。共演の中尾彬も若い。(ついこの間見た「新極道の妻たち 覚悟しいや」でもこの二人は出ていたが、それと比べると二人ともまるで別人のよう。)ストーリー自体は正直それほど印象に残るものではないかも知れないが、ラストはちょっと衝撃的だった。今見ても全体的にお洒落で日本映画というよりはヨーロッパ映画のような雰囲気を漂わせる中平監督のモダンな演出と加賀まりこの魅力。これだけでじゅうぶんに見て良かったと感じさせてくれる映画だった。黛敏郎の音楽もいかにもモダンな感じでこの映画にとてもよく合っていて素敵。
[DVD(邦画)] 7点(2011-01-19 02:51:06)
16.  刑事コロンボ/策謀の結末<TVM>
「刑事コロンボ」シリーズは昔「金曜ロードショー」で放送していた石田太郎吹き替えによるシリーズを何本か見た記憶があるのだが、どの回を見たか全く記憶になく、NHKBSの放送も見ていないのだが、今回放送されたこの回は幻の吹き替え音源ということで見てみた。「金曜ロードショー」でどの回を見たか覚えていないこともあって初めてこのシリーズに触れるような気持ちで見た。(実際、小池朝雄吹き替えのシリーズを見るのは初めてだったが、それが最終回で、しかも幻の音源とは。)最終回だからかも知れないが、コロンボと犯人の対決だけでなく、銃の密輸船をいかに止めるかというスリリングな展開や、話にアイルランド革命が絡んでくるなどかなりスケールの大きな作品になっていてなかなか楽しめた。犯人との対決も見ごたえ充分なのだが、ただラストの決め手は少々強引かな。小池朝雄の声はコロンボ=石田太郎という認識が強くあっても違和感が全く無く、音源が途中で石田太郎版に切り替わるシーンが何度かある(以前の放送でカットされた箇所なのだろう。)のだがすごく自然な感じだった。「南極物語」を見た時に小池朝雄のナレーションを聞いて当時小池コロンボを知らないにもかかわらずコロンボを思い浮かべてしまったのだが、石田太郎はそうとう小池朝雄を意識してコロンボの吹き替えを演じているのだろう。犯人の吹き替えをやっている納谷悟朗の声もハリがあって若いなあ。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-07-01 15:31:01)
17.  激動の昭和史 沖縄決戦 《ネタバレ》 
新藤兼人監督の脚本を岡本喜八監督が映画化した沖縄戦が題材の戦争映画。このコンビはミスマッチなのではと見る前は心配だったが、思っていたよりずっと良かった。題材が題材なだけに展開はとても悲惨で目をそむけたくなるような死の描写の連続だが、反戦を高らかにうたうのではなく、逆にこうすることで観客に訴えかけるのは喜八監督らしい。しかし、良かったと思う反面少しダラダラしている印象もあり、途中でちょっとだけ中だるみを感じてしまったのが残念だった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-25 17:56:06)
18.  刑務所の中
崔洋一作品を初めて見た。刑務所の受刑者たちの生活を描いた起承転結のない物語だったが、飽きることなく最後まで面白く見られた。出される食事がものすごくうまそうだったのが印象的。
[ビデオ(邦画)] 7点(2005-04-12 23:49:25)(良:1票)
19.  激走戦隊カーレンジャーVSオーレンジャー〈OV〉 《ネタバレ》 
最終回を迎えたばかりのシリーズとその1つ前のシリーズ、2つの戦隊の共演を描くスーパー戦隊のVシネマの一つ。この作品ではカーレンジャーとオーレンジャーの共演が描かれているが、カーレンジャー本編をYouTubeの公式配信で見ているので本作もとりあえず見てみた。脚本はカーレンジャーのメインである浦沢義雄(噂には聞いていたがカーレンジャーはこの人らしいシュールなギャグ全開のコメディ作品で見ていてつい笑ってしまう。)だが、やはりこの作品もテレビシリーズまでとはいかないがカーレンジャーらしさは思ったより出ていたと思う。この手のクロスオーバーものにおける「VS」というのは「共演」という意味で使われるもので、本作でもそうなのだが、序盤で初対面した2戦隊が誤解から本当に戦ってしまうのは面白かった。(このシリーズ、いつもこうなのか?)オーレンジャーの司令官である三浦参謀長(宮内洋)がただの一般人に過ぎないカーレンジャーに特訓を課すシーンもコミカルに描かれ、オーレンジャーを見ていない自分でも参謀長がカーレンジャーの作風に染まってしまっているのがなんとなく分かる。(なんせ、宮内洋だからね。)でも、カーレンジャーにオーレンジャーがゲストで登場してる体の作品だが、カーレンジャーの一篇として違和感なく見られる一方、オーレンジャーがレッド以外はなにか脇役然としているのはテレビ本編を見ていない自分でもちょっと気になったかな。こういう部分を考えると脚本は浦沢義雄ではなく、2シリーズともに関わったことのある人のほうが良かったような気もする。
[DVD(邦画)] 6点(2020-07-14 19:15:51)
20.  刑事コロンボ/5時30分の目撃者<TVM> 《ネタバレ》 
今回の犯人は精神科医。患者の女性と愛人関係にあり、その夫を殺してしまうわけだが、自分が危うくなるとその愛人をも手にかけてしまうあたりにこの犯人の冷徹さ(愛人との関係は結局遊びにすぎなかった。)が出ていて実にいけ好かない男だが、こういう犯人とコロンボの対決はやはり盛り上がる。コロンボが医師のパーティーで談笑している間にそのそばにいる犯人が愛人に催眠術をかけるために電話をかけるシーンはやはり緊迫感があり見ごたえもじゅうぶん。この催眠術でマインドコントロールして自殺させるという展開に「ケイゾク」の朝倉を思い出してしまったが、この時代からこういう殺害方法が刑事ドラマで使われていたんだなあ。ラストはやや強引さもあるものの、ラストカットでコロンボが犯人に投げかけるセリフもキレイに決まっており、「5時30分の目撃者」という邦題の意味もおお、そうだったのかと思わずうなってしまった。新シリーズとかだと突っ込みどころ満載の邦題が多い分、今回の邦題はすごく納得できる。今回犯人を演じているジョージ・ハミルトンは新シリーズにも犯人役で登場しているが、よく見たら吹き替えの声優も同じ人(小林勝彦)だ。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2020-04-18 22:58:31)
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531921.42%
634122.90%
734723.30%
828118.87%
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