1. 好人好日
《ネタバレ》 血の繋がらない美しい娘が適齢期を迎え、無事お嫁に行くまでの古都奈良を舞台にした人情喜劇。題材だけなら小津でもこしらえることが出来そうな内容。しかし一体なんなんだろう・・・。キャストも新旧豪華でカラーなのに、この古色蒼然とした映画全体の雰囲気は。ホームドラマがお家芸だった松竹という映画会社の体質が、悪い方向の袋小路に入りつつあった時期の典型的な映画というか。1961年といえば、日活じゃ裕次郎「あいつと私」、アキラ、宍戸なんかが出ずっぱりで都会的で洗練された最先端の映画を量産していた頃。僕が当時の観客だったら、きっと松竹ではなく日活の映画館に入り浸ってたと思う。様式化された小津作品が今でも古びた匂いが殆どしないのに、割とキャメラを自由自在に動かしているこの映画がどこか古めかしく感じてしまうのは、監督の腕の差だけではないはず。 [DVD(邦画)] 5点(2024-05-13 20:59:20) |
2. コットンクラブ
僕が映画ファンになった1982年頃は、コッポラ監督作品といえばスピルバーグ監督とともに、公開される作品自体がひとつのブランド商品的な扱いをされていました。製作者として名前を連ねてるだけなのに「スピルバーグ作品」って冠を与えられたり。『アウトサイダー』(7点)、公開初日に映画館に行きました。悪くなかった。原作通りのイメージで、それを凌駕するような作品でもなかったけれど。当時でもコッポラ監督にしては「小品」という評価。僕はコッポラ監督のリキが入った大作を映画館の大画面でどうしても観たかった。地方都市じゃ『ワン・フロム・ザ・ハート』『ランブルフィッシュ』は公開されず。そして待ちに待った久々のコッポラ監督の超大作一本立て(地方の映画館は二本立てが基本)大公開という触れ込み、大人気のギア&ダイアン・レインの初共演作。これも公開初日に勇んで映画館へ行った記憶が。・・・でも不思議な事に、内容は華やかで派手なドンパチも、弾けるようなタップダンスシーンも、ロマンスも含まれた盛り沢山の贅沢なオハナシだった筈なのに、それにしては描写に深みがなく総花的でちっとも後に残らない映画でした。今考えると、80年代前半って、この監督のスランプ時期にあたってたのかなあ、と。映画って観る前に期待しすぎると、その反動が大きくなるって事を僕はこの映画で学びました。そして映画に限らず、何事も期待しすぎない方が、物事上手く回っていくのかなあ、と。 [映画館(字幕)] 5点(2021-02-23 08:57:48) |
3. 黒蘭の女
《ネタバレ》 あの「風と共に去りぬ」の前年、ウイリアム・ワイラー監督が先んじてこしらえた、スカーレット・オハラと同じく、極めて気性の激しいわがままな南部の美女がヒロインのメロドラマ。ワイラー監督はこの時代の作品でも、階段の使い方が巧かったんですねー。ラストを始めとして印象に残る階段を使ったシーンが数々。どうして舞踏会に未婚の女性は赤の衣装を着て行ってはいけないのか、TPOをわきまえないと世間から痛烈に糾弾されてしまう、当時のアメリカ南部貴族社会の時代背景が少々わかりずらい部分もあったけれど、興味深かったです。ニューオーリンズの街が黄熱病に侵されていく後半の展開も意外でした。全編、この映画で二度目のオスカーを獲ったベテイ・デイヴィスの独壇場といったところ。流石のヘンリー・フォンダも、生真面目一方の損な役回りのせいか、彼女の熱演に影が薄くなってしまった。 [DVD(字幕)] 7点(2015-02-13 22:25:04) |
4. 婚約三羽烏(1937)
《ネタバレ》 戦前の松竹イケメン三羽烏上原・佐野・佐分利三人三様の魅力を楽しむ、ごくごく平均的な出来の、罪のないプログラムピクチャー。私はワイルドな佐分利信氏が一番魅力的で且つカッコいいと思いましたが。島津監督の「隣りの八重ちゃん」を観た時も、戦前のモダンニッポンの意外に洗練されていた風俗に目を瞠ったものですが、この映画では、更にその上の当時の最先端をいく上流階級の方々の生活点景を観ることができます。高峰三枝子ってホントに「令嬢役」が十八番だったんですね。セリフ回しといい着こなしといい、正に「素」のままっていう感じに見えます。三人を振り回す彼女の心理がてんで描かれていないし、作品的にはたいしたことはないのでこの点数で。 [インターネット(字幕)] 5点(2012-12-11 23:49:22) |
5. 恋のロンドン狂騒曲
《ネタバレ》 今年の春公開された「ミッドナイト・イン・パリ」(9点)が、アレン映画としては異例の大ヒット、久々のオスカー脚本賞受賞のおまけもつき高評価を受けたおかげで、オクラ入りだったこの前作が、めでたく日本公開の運びとなったと聞いております。アレン先生の心の声とも言うべきナレーションいわく、「無意味な恋のから騒ぎ」が、ロンドンの街で繰り広げられる上品な大人のコメディ。特にどうという事もないオハナシなのに、軽快な音楽と例によって例のごとくの練られたセリフのおかげで、ニヤニヤしながらサラリと最後まで見せてしまう。もはや恋を語らせれば枯淡の域に達したとおぼしき、アレン節がこの映画でも十分堪能にできます。・・・ただ、なんだろ・・・熟練シェフによる美味しいコースディナーには違いないんだけど、ちょっとメインディッシュが物足りないなあって印象を受けたんですよね、鑑賞後。イイ歳して親の財産に寄生しまくる「堅実」という言葉とは終生無縁そうな、見栄えだけは良い若夫婦よか、イイ歳して若いオネエちゃんにうつつを抜かす色ボケバイアグラ老人、アンソニー・ホプキンス氏に実は一番共感してしまった自分って一体・・・(汗)やけに魅力的な女の子が一人出てるなあって思ったら「スラムドック&ミリオネア」のヒロインやってた子だったんですね。アレン氏の女性審美眼もいまだ衰えず。うん、これならまだまだ楽しい映画を作ってくれるでしょ!同じような複数の恋愛模様を描いた「それでも恋するバルセロナ」(5点)より、僕はこっちの方が楽しめました。 [映画館(字幕)] 7点(2012-12-04 00:09:03)(良:2票) |
6. この空の花 長岡花火物語
《ネタバレ》 鑑賞後三か月を経て、ようやく気持ちの整理がついたんでレビューします。実はこの映画、東海地方で公開された初日に勇んで観に行きました。映画誌等で、ここ近年にないくらい大林監督作品としては巷の評判も非常に高い事も知ってました。監督の名前で映画館に観に行くだけの価値があると信じている、僕の人生においてもいろんな意味で深い刻印を残してくれた尊敬すべき大林監督の新作です。・・・・鑑賞後、ショックと夏バテで体調を崩し、数日寝込んでしまいました・・・。映画に全くと言っていいほどノレず、たった一人だけスクリーンの前から取り残されたような気持ちに。まさか大林監督の作品を観て、こんな気持ちになる日が来ようとは思いもしませんでしたが。何だったんだろう?あの虚脱感は。少々インターバルを空けてから、そもそも大林監督と「花火」って、相性が悪かった事にハタと気が付いた次第。思えば駄作の最右翼と言われている「ねらわれた学園」(←私はそれでも9点付けてます)のクライマックスは、西新宿で大量に打ち上げられた人工花火でした。駄作駄作と言われながらも、あの映画にはどこか「愛敬」が感じられたものですが、この作品にはそれすらない。私は常々「ヒロインが輝かない大林映画は絶対つまらない!」とレビューしていますが、この作品もその悪弊から逃れる事は出来ませんでした。狂言回し的な役どころの松雪泰子はまだしも、問題は少女版「えなりかずき」みたいな、「何か」を悟りきった表情で台詞を操る、過去からやってきたヒロイン役の少女。残念ながら私は彼女に一片の魅力を感じることが出来ず・・・。良質のセンチメンタリズムと、微量のメッセージ性の絶妙なバランスが大林映画の特性だと信じてきましたが、この作品は余りにメッセージ性に偏り過ぎていると思います。この作品を高く評価されてる方っていうのは、従来からの大林監督作品のファンの方々なんでしょうかねえ・・・?気になるなあ・・・。ご贔屓監督作だからといって、贔屓の引き倒しはしたくないので、正直に点数を付けます。それでも私は大林監督の新作が公開されたら、これからも喜び勇んで映画館に駆け付ける事でしょう。 [映画館(邦画)] 2点(2012-10-15 22:48:06)(良:1票) |
7. 午後の遺言状
《ネタバレ》 私にとって新藤兼人氏は、映画監督としてよりどちらかと言うと「優れた脚本家」としての印象のほうがより強い方でした。現に監督作品は未見のものが多いのに、手がけられた脚本作品は傑作「しとやかな獣」(10点)はじめ、お気に入りの作品がフィルモグラフィーを見るとゾロゾロと・・・。この作品が高い評価得た頃、まだ自分は20代の若造で映画=エンターテイメント指向の青臭い時期でもあったため、淡々としたあまりに静かな展開に面白みを殆ど感じられず、これがキネマ旬報ベストワン作品?って、思ってしまったのがその時の正直な感想。いつも和服姿しかお目にかかれなかった、杉村春子と乙羽信子の洋服姿を観るのは珍しいなあ・・・くらいな印象しか残らず。身体能力の衰えを日々実感できる今観たら、おそらくまた違う感想になるんでしょうね、こういう老いをテーマにした作品っていうのは。お札が何枚入ってるのか確認するシーンでの、名女優お二人の芝居がやたら微笑ましかったです。本日100歳というの長寿をもって天に召された「永遠の映画青年」新藤兼人監督のご冥福を心からお祈りいたします。乙羽さん、きっとあの穏やかな笑顔で手を広げて出迎えてらっしゃるんだろうなあ・・・。 [映画館(邦画)] 5点(2012-05-31 00:01:46)(良:1票) |
8. ゴースト/もういちど抱きしめたい
《ネタバレ》 もとのオリジナル(8点←単純に好きな映画だった)をカルピスの原液だとしたら、それを十倍か百倍くらいに希釈したような薄っぺらい味つけのリメイク。こういう映画に絶対的に必要な、ロマンチックな雰囲気醸成がまずもって不足しているのがダメでしょ。中野か吉祥寺かどっかのアーケード街での大立ち回りシーンなんか特に興醒め。別に変なトコで新味なんて出さなくてもいいから、男女の生死を逆転させずオリジナル通りでも、な~んの不都合もなかったような気がするんですがねぇ・・・。一体、コレどんな観客層を狙って製作されたんでしょう?韓流イケメン氏目当ての女性層?だったらやっぱ彼を死なせる側にしたほうが、その手の女性層に受けなかったか?もう20年も前の映画だからって事で、昨今のリメイクブームに単に乗っかっちゃっただけ?だったらオリジナルを凌駕するようなエピソードなり、こっちが思わずおおっとくるような泣ける名シーンでも作らないと。ミタ菜々子は正面からはともかく、横顔のショットの映りがイマイチ。もう少しカメラワーク工夫してキレイに撮ってあげてもよかったのに。 [地上波(邦画)] 4点(2011-12-24 11:27:47) |
9. 恋文(1953)
なにしろサイレント時代からの名大女優、田中絹代の初監督作品です。キャスト・スタッフともにいささかも遺漏なきよう、映画界を挙げて祝福しているかのような贅沢な布陣で臨んでいます。チョイ役にも、豪華キャストが次々と登場。終戦後まだ8年しか経ってない、今とは隔世の感もある当時の渋谷道玄坂、駅周辺、日比谷公園等の風景が非常に興味深く鑑賞できました。久我美子と森雅之って何回も共演作があるだけあって、とにかく画になるカップルなんですよね。このおふたりが、しずしずと明治神宮参道をそぞろ歩くだけで、まるで一幅の絵のように美しい。それだけに話がもうちょっと面白ければなあ・・・っていうのが悔やまれる。英語の恋文代筆屋っていう題材は良いんですけどね。田中絹代の初演出ぶりは及第点というかかなりのもの。何シーンかのみの出演だけど、古本屋の看板娘役の香川京子が出てくるだけで画面が弾みます。(←池袋文芸座「久我美子、有馬稲子、岸恵子にんじんくらぶ三大女優特集」にて鑑賞) [映画館(邦画)] 6点(2010-03-22 10:35:26) |
10. 幸福(1981)
「1981年当時の現代」を普遍的に描くため、「シルバーカラー」という手法を使ったと市川監督は発言されてましたが、その地道な効果は30年経過した今、初見で鑑賞しても抜群だと思います。同じ姓の市川準監督「BU・SU」(9点)が、僕が大学進学の為上京した頃の「東京」だとしたら、この映画はまぎれもなくガキの頃、半ズボン姿で家族旅行で初めて上京した頃の、記憶にある「東京」。西新宿あたりの、まだ都庁建設前の遠景が数回インサートされますが、そのたんびに何故か胸が締め付けられるような気持ちに。メインの主役三人、水谷豊(熱中時代教師編での「みねっこ~♪」を思い出す)中原理恵、永島敏行も、決して巧い芝居などしていないけれど、市川監督の巧みな演出で、その拙さはカバーされていました。その分市原悦子がやたら目立つ。水谷が兄弟喧嘩の仲裁も含め、時折子供ふたりを抱き寄せ、抱擁するシーンが何度か出てきましたが、親子って何も言わなくてもいいから、この「ぎゅっと抱きしめてあげる」行為っていうのがやっぱ必要なんですよね。「鬼畜」とともに、親の自覚がないまま子供が出来て困ってしまった人に見せたい映画。単なる犯人探し推理小説の映画化として観たら肩透かしを食うかも。加藤武の出演は「金田一シリーズ」ファンへのサービスかな?(笑)80年代の市川映画で、権利の関係か唯一観られない「鹿鳴館」が観たい!! [DVD(邦画)] 8点(2010-03-13 10:30:08)(良:2票) |
11. 恋するベーカリー
《ネタバレ》 この顔ぶれならばさぞかし「上質な大人のおとぎ話的ロマンチックコメディ」に仕上がっているだろうなと期待し劇場に向かったんですが・・・ちと期待が大きすぎたようです(汗)「恋愛適齢期」「ホリデイ」と比較しても、ナンシー・マイヤーズ女史の脚本には冴え、演出のキレもイマイチ感じられない。メリル・ストリープ演じるヒロインにどこか現実感が薄いのは、ベーカリーショップを成功させ、郊外に豪邸を持ち増築出来るまでに至った「女性実業家」としての「公」の部分が殆ど描かれていないせいかと思われる。お笑い部分は専ら元二枚目アレック・ボールドウィン氏が担当。メタボ体型特有の小走り姿、画面一杯の胸毛やらデカケツやら・・・むむむむむむむむむむ、何だか書いるだけで背中あたりがムズ痒くなってきた(笑)いや、でも笑わせてもらいました。彼にはコメディアンの才能が有るのでは?予期せぬ彼の奮闘ぶりに一点加算。焼けぼっくいに火が付いてしまったシルバー世代のセックスが絡んでくる以上、上品にという訳にはどうしてもいかないかもしれないけれど、もうちょっとサラッとした描写にならなかったモンかなあと・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2010-02-22 11:16:30) |
12. 50歳の恋愛白書
《ネタバレ》 何だか脳内に「?????????」マークがずっと点滅してる状態のまんま映画が終了してしまったなあ・・・。格落ちしたウィノナはともかく、この程度の内容で何故にこんな豪華キャストが集結せねばならなかったんだろう・・・?っていう疑問がふつふつと沸いてきて。モニカ・ベルッチにせよ、ジュリアン・ムーアにせよ、特に芝居のしどころがある役柄でもないのに。それとも実は出演シーンをかなりカットされてしまったとか?内容は「自制心に欠けいささか幼稚な50歳の恋愛白書」。数奇で変わったというより、若干タガが外れたジャンキーな半生を送ってきた女性の身の上話を90分間ずっと聞かされていたような感じ。「恋愛適齢期」(5点)でもそうだったけど、キアヌってなんでこの手のジャンルだと脚本選びが下手なんだろう?この映画でも一見感じが良い「二枚目」でさえあれば、特に彼じゃなくてもいいような役だし。実年齢は日本語タイトル50歳に近いはずなのにいまだに35歳のフリーターを演じられるっていうのも彼ならではで凄い事だとは思いますが。 [映画館(字幕)] 4点(2010-02-06 10:20:41) |
13. 心のともしび
《ネタバレ》 昨年一気にDVD化された、50年代ハリウッドメロドラマの巨匠ダグラス・サーク監督作品諸作のうちの一本。「風と共に散る」(8点)→「悲しみは空の彼方に」(7点)→本作の順に鑑賞したんですが、これが一番印象が薄かったですね。ロック・ハドソン扮する金持ちのドラ息子が、ジェーン・ワイマン扮する美しいヒロインを事故で盲目にさせ、心根を入れ替えて贖罪するうちに互いに惹かれ合う・・・っていうハナシだったかな?それほど感銘を受けるような展開でもなかったせいか、細部までよく思い出せませんが、甘物古典メロドラマ好物の自分でも、現実離れした設定に少々辟易してしまいました。 [DVD(字幕)] 5点(2010-01-31 15:41:29) |
14. コンドル(1939)
ケイリー・グラントが、自分からは何の行動も起こさないのにやたらめったら女性にモテまくる・・・、ヒッチコック作品を初めとする、後々の主演映画にも繫がるキャラクターをここでも遺憾なく発揮しています。イヤ~、全くもって嫌味が見当たらない程、若き日の彼も二枚目でカッコイイっす!男に嫉妬心を起こさせず、理由もなく女性にモテる役っていうのは、やはり唯一無二の彼ならではの軽妙洒脱な味わいが有ってこそ。↓ああ・・・R&Aさんと同じく、自分もこんな粋な大人の男になりたかったのになあ・・・(笑)余談ですが、このタイトルと南米が舞台という事で、自分は長い間この映画の主題歌は「コンドルは飛んでいく」だとばかり思ってました。女優陣もお二人もそれぞれにお美しい。特にあの天下の美女、リタ・ヘイワースにバケツの水を(←それも続けざま二杯!!)頭っからぶっ掛けるなんざ、流石豪快派ハワード・ホークスの面目躍如たるゆえん。しかしこの航空会社って・・・事故率高すぎですよね(笑)管制塔がない時代に航空機を飛ばすっていうこと自体、本当に命懸けの仕事だったんですね。大画面で観たかったかなあ・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2009-09-26 10:26:44)(良:1票) |
15. 恋におちて
ロードショー公開時初見から久しぶりのDVDでの再見。やっぱいいですね~アラフォー世代の切ないプラトニックラブ!!ありきたりな恋物語だからこそ、卓越した演技力を持ったお二人の魅力が光り輝くんですよね。平凡な役者だったら、もう目も当てられない映画になったはず。デ・ニーロが一番信頼している共演者は?という問いに、メリルと答える気持ちも良く解る。お互いがお互いの魅力をさらに引き立てて1+1を10にしてるっていう感じ(←ちと大袈裟)この頃はまだ神妙?だった友人役ダイアン・ウィースト、ハーベイ・カイテルのサポートもグッド。↓の果月さんも述べられてますが、有りそうでなかなかない「非常に品の良いラブストーリー」、この映画の賞賛はこの言葉に尽きると思います。余談ですが、今発売されている文藝春秋の別冊映画特集で「あなたが魅了されたスターは?」というアンケート投票の結果が掲載されてます。それによると、デ・ニーロが男優6位、メリルが女優2位という結果。選者の年代層がイマイチ不明なんですが(笑)80年代初頭から現在まで、このお二人の活躍をずっと見続けてきた年代の人間にはやっぱりこのご両人は外せないのかなと、結果に素直に納得出来ますね。 [DVD(字幕)] 8点(2009-05-31 10:50:13)(良:2票) |
16. 恋に唄えば♪
日本映画が一番不得手なファンタジー&ミュージカルジャンルに敢えて手を出した果敢な勇気は認めるけど・・・結果はあまり芳しくない。これって映画上の「嘘」をつくのがすごく下手な映画だと思う。観客が想像出来る範囲内の「いつもの」竹中直人の嫌な部分が出てしまっている。例によって例のごとしのキャラクターも、脇ならともかく出ずっぱりだと流石にゲップが。むしろ古田新太と役を交代した方が良かったかも。優香がテレビバラエティ番組のアシスト(Qさま!やバカ殿)だとカワイク映えるのに、ドラマや映画にあんまり出演しない理由が何となくわかったような。篠原ともえってそういやいたなあ・・・。やっぱ日本で夢の世界にいざなえるミュージカル映画作るってのは困難なのかもね。 [DVD(邦画)] 4点(2009-02-16 12:32:12) |
17. 恋人(1951)
池部良と久慈あさみが一日中東京の街をそぞろ歩くストーリーそのものは至ってシンプル。僕はどちらかと言うと、当時の街並みやデートスポットの情景の方が面白かった。クライマックスの終電間際の新宿小田急線改札付近の情景、寒々とした地下街の様子なんか本当にシュール(笑)どうも僕はいかにも宝塚出身ですわよっ!てお顔にマジックで書いてあるような久慈あさみさんがちょっと苦手なんだよなあ・・・(汗)ファンの方ごめんなさい! [DVD(邦画)] 6点(2008-11-03 17:12:40) |
18. 恋をしましょう
大傑作「お熱いのがお好き」と遺作「荒馬と女」に挟まれ、ジョージ・キューカー監督作品にもかかわらずマリリン主演作の中では認知度が極めて低い作品。正直あまり期待してなかった分楽しめました。古き良き時代の雰囲気を持ったロマンチック・コメディ水準作。身分違い、人違いから始まる恋愛という脚本も、なかなか手がこんでいて最後まで飽きさせません。原題「レッツ・メイク・ラヴ」(←マリリンのハスキーな歌声がたまらん)という事からしても、邦題は「恋をしましょう」より「愛しあいましょう♪」の方が相応しいような気がしますね。イヴ・モンタンとマリリンが実際にも恋におちてしまったという噂もかくやと思わせるくらい、二人の息がぴったりで観てるこっちは当てられっぱなし。ノンクレジットながら有名スター達の登場シーンにはニヤニヤしっぱなし。好きだなあ、こういう遊び心満点の出演は。生き生きしたマリリン最後の艶姿を見たい方は「荒馬と女」より断然こっちのがお勧めっす! [DVD(字幕)] 7点(2008-06-07 11:27:52) |
19. 光州5・18
《ネタバレ》 これはもうひとつの「ブラザーフッド」。近くてまだまだ遠かった時代の韓国の悲痛な出来事を描いた力作。一時期に比べ、世間の韓流熱もすっかり落ち着いてきた感があるけれど、これは久しぶりの気骨のある韓国映画。やっぱりこういう近現代史歴史的事件を描かせれば、アジア映画の中でも韓国は強みを発揮すると思います。1980年5月に韓国南部光州で実際に起こった市民と軍部との衝突を克明に描いています。1980年・・・、私はまだ小学生でしたが、当時のニッポンはといえば、毎日表面上は非常に安穏とした時間が流れていたような気がします。例えば蒼井優主演「1980」という映画を観れば、おおよそのこの時代の空気は分かってもらえるはず。今ではすっかり感覚的に近くなったお隣の国で、こんな悲劇が起こっていたとは・・・。しかも多くの事実をマスコミと軍部によって隠蔽されていたなんて・・・。私は自分の無知を恥じました。秀作「殺人の追憶」で若手刑事役を演じていたキム・サンギョンの男泣きっぷりがとにかく堂に入ってます。骨太な上川隆也って感じ。韓国の男優さんって、人目もはばからずオイオイ泣く演技がホント巧いですよね。後半は悲惨な出来事の連続。でも自分は画面から目を背ける事が出来ませんでした。ただ幾つか残念な点もあります。韓国映画のこれは常として、特に後半、もうくどいくらい「死」を強調しすぎるんです。それによって逆に「人間の生命」が軽んじられているような気がしてならないんだよなあ・・・。あとコメディリリーフのつもりらしい、タクシー運転手とその相方?コンビ(←くりいむなんとか上田似)の一連の行動が何となく軽薄そうに見え、自分は嫌な印象を持ちました。映画の出来としては「ブラザーフッド」より数等劣るような気がします。でもこれは観て良かったと思える作品。ラストのストップモーションが・・・哀切極まりない。 [映画館(字幕)] 7点(2008-04-13 10:39:13)(良:1票) |
20. 古都(1963)
最初に市川=山口百恵リメイク版を観てしまっていた分、どうしても比較論になってしまいます。原作の雰囲気、古都京都の情緒、画面の厚み、どれを取ってもこの中村登=岩下志麻版の方が勝っていると思います。京都フェチ人間にはこれはホントにたまらない映画。時折NHK教育みたいなナレーションが入ってくるのだけは不粋だが、これは外国人向けに解り易い解説を施すためか?でも自分は沈んだ画調の山口百恵リメイク版も好きなんですよね・・・。別に百恵のファンって訳でもなかったけれど、この芯の強いヒロインには合ってました。リメイクのダメなトコは、三浦友和の出番を増やしたいがためにいらん人物を創作してしまった事。オリジナルの長門裕之の役をちょっとふくらませれば良かっただけなのに・・・。採点が同点なのは「鬼畜」レビューでも書いたけど、私は昔から志麻が怖いから。もう一番最初に観た時から怖い役だったので、これはもうどうしようもないトラウマ。今さらこの清純可憐なヒロインを見せられても、志麻が演じるからには何か絶対裏があるんじゃないか?双生児を入れ替えて(←「悪霊島」かいっ!)ドロドロのお家乗っ取りを企んで、志麻が暴れ回る展開になるんじゃないか?とつい変な邪推をしながら観てしまったせい。 [DVD(邦画)] 7点(2008-04-04 11:17:19)(笑:1票) |