1. 恋空
ネタバレ 原作未読です。 ケータイ小説の映画化と聞き言い表せない不安はあったものの、「百聞は一見にしかず」ということで観賞。しかし、その不安は見事に的中。むしろ予想を覆す酷さでした。この作品を表す言葉は『陳腐』『安易』『あざとい』『倫理観の欠如』ですかね。 レイプ、イジメ、妊娠、流産、失恋、両親の離婚危機、元彼の病発覚、死別。「思いつく不幸エピソードは、とりあえずぜんぶ詰め込んでみました♪」的な安易で陳腐な内容には呆れて物も言えません。終いには周囲から聞こえる嗚咽の中、一人笑いを堪えるのに必死でした。 主人公は仮にもレイプや陰湿な嫌がらせを受け、精神的にも肉体的にも大きな被害を受けた立場のはず。それなのに、被害者本人や周囲の人間達が被る深い傷や苦悩は大して描写されず、どうしてあんなに簡単に妊娠が出来るのか?彼氏もどうして避妊しない?主人公の両親も、何故あんなに冷静でいられるのか不思議だった。娘が暴行被害に遭った後にこの有様なのだから、もっと親としての怒りや情けなさなどの感情描写があっても良かったように思う。それに、たったあれだけで離婚話がアッサリ解消される程、夫婦って簡単か?取って付けたようなあざとい家族描写のせいで、誰にも感情移入出来なかった。 他にも、いくら流産した赤ちゃんの命日とは言え、今の彼氏と一緒にいる時(しかもクリスマス)にわざわざその場に行くとは、なんて思いやりの欠片も無い子なんだ…と思った。そして元彼が病魔に侵されていると知るや否や、アッサリと今彼を捨てて元サヤ。単に自己中心的なだけなのに、妙に悲劇のヒロインぶっている主人公には激しく嫌悪感を抱いた。癌患者についても、誤解を招くのであんなに綺麗に簡単に描かないで欲しい。 感性や感受性というのは様々なので、感動した人たちを否定するつもりはない。しかし、実際に劇場でも沢山の女性が涙していた光景を目の当たりにしたため、自分と彼女達の間にある小さく深い隙間を実感せざるを得なかった。 もう人が死んで涙を誘う映画(特に邦画)はいらない。それに対して簡単に泣けるほど安直で陳腐な感受性になってもいけないと思った。 ミスチルの歌が良かったのがまだ救いで2点。 [映画館(吹替)] 2点(2007-11-09 11:37:43)(良:5票) |
2. 殺し屋1
ネタバレ 私は好きだけど、他人には薦め難い作品。 鑑賞後、思わず自分のティクビがあることを確認してホッとしてしまった。 私もMだけど(周りにはSと言われるが)、究極のMはレベルが違いすぎて感服でした。 [DVD(字幕)] 6点(2007-04-11 14:39:24) |
3. コンスタンティン
先に申し上げておきますが、ワタシはキアヌ大好きなので必然的に+1点です。 よってストーリーのみの評価で言えば7点。 率直に面白かった。 やはり私の勝手な『キアヌセオリー』は間違っていなかった。 映画館で観た後にDVDを購入して既に3回くらい見てますが (つい最近久々に見直したのがその3回目)、飽きずに何も考えず見れてラクです。 主人公はスパイダーマンのように善人でもなく、バッドマンのように裕福でもない。 自己中で憎まれ口を叩くシニカルな様は、初対面では間違いなく印象最悪男。 しかし仕事は黙々とポリシーを持って遂行する。 女心をくすぐりますね、まさにギャップ萌え。 おそらくヒロインもそんな彼のギャップにやられたに違いないでしょう。 ただ終盤の展開に少々物足りなさも感じたため、その点がマイナスポイント。 しかしグロさもエロさも控えめのため、鑑賞対象の幅は広いでしょう。 「天国と地獄のエージェント」というコピーがより神秘さを増していてナイスです。 ちなみに私のキアヌセオリー。 「肥えキアヌ映画は駄作多し。痩せキアヌ映画は良作多し」です。 [映画館(字幕)] 8点(2007-01-13 17:51:27) |
4. 恋人までの距離(ディスタンス)
ネタバレ 今まで二度見たが、何度観ても二人の関係性は魅力的だ。 男女間でここまで幅広い会話が出来たら、きっと二人の関係に飽くことはないだろう。 幅広い会話を繰り広げるには、知性、ユーモア、思慮深さが必要なことも実感できる。 ウィーンを舞台にした車窓・風景・街並みの美しさは、 まるで自分が二人と共に旅をしているような感覚にさせてくれる。 時間の経過と共に変化が出てくる二人の関係の際立たせ方も面白い。 二人の関係を見透かしたように書かれた詩、セリーヌが好きだと言った絵、占い、 どれもハッキリとはしない「境界線の曖昧さ」が二人の関係にリンクし、 より儚く寓話的に二人の関係を強める要素になっていたと思う。 翌朝には別れてしまう歯痒さ、それでも惹かれ合い、徐々に縮まる二人の距離感は、 観ている者の胸も高鳴らせてくれる。 私が一番好きなのは、友達に電話をするフリをして互いの想いを伝え合うシーン。 あの場面はセリーヌのロマンティストさとウィットに富んだスマートさが 如実に表れている素敵な描写であり、あの手法自体もとても魅力的だ。 あのような素敵なユーモアの持ち主だからこそ、 会話にも知的さと優雅な空気を含ませる事が出来たのだろう。 観る者の想像に委ねたラストも素敵だが、 簡単には結ばれぬ二人ほど強く惹かれ合うのは、いつの時代も変わらないのだろう。 [DVD(字幕)] 10点(2006-10-29 19:41:04)(良:1票) |
5. この胸いっぱいの愛を
ネタバレ この映画は、説教臭くてあざとい、と言う印象しか残らなかった。 生と死をテーマにした内容の割には、その描写が薄すぎるのだ。 心の絆や自己犠牲を伴う相手への想いなどは、確かに人々の心を打つ。 しかし、そこに「泣かせよう」とする第三者の横槍が入ったとき、 それらは全て見透かされてしまい、安っぽさしか残らなくなってしまうと思う。 本作はまさにその類で、2時間あるストーリーの中には無駄なシーンが多く、 妙に説教臭い事をツラツラと述べてる割には説得力が無い、という致命的欠陥があった。 観客を泣かせる為に用意されたとしか思えない描写や台詞回しには冷笑でした。 最近の映画全体を通じて言えることでもあるが、 無意味に豪華なキャスティングと巧みな宣伝手法は、いい加減にして欲しい。 しかし、そういう類に乗せられぬよう、自らの観察力を向上させなければならない。 そう悟らせてくれた作品でもある。 [映画館(字幕)] 3点(2005-10-27 17:50:14) |