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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2250
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
正直「そこまでやるか!?」と思いましたが、これが山崎監督の出した『最適解』なのでしょう。傑作『シン・ゴジラ』の次という『貧乏くじ』を引き受けた監督の並々ならぬ覚悟というか自棄糞というか、兎に角凄い「心意気」をしかと受け取りました。ドラマチックはリアリティを凌駕する。大・大・大拍手です。ただ、オチの付け方に注文を。首筋のアレは個人的には必要なく、エンドクレジット前の数秒のシーンは絶対に要らないです。
[映画館(邦画)] 9点(2023-11-04 13:46:24)
2.  コンビニエンス・ストーリー 《ネタバレ》 
三木聡監督待望のファンタジーコメディ。いや「ホラー」ですよね。さらに「ミステリー」でもある。複雑怪奇な味わいですが、これが三木聡節です。万人に勧められる映画ではありませんが「好きな人にはたまらない」のも間違いありません。それでは私なりの解釈を。誤読、思い込み、頓珍漢、ご容赦ください。 大筋は以下のとおり。主人公は自動車事故がキッカケで、あの世の手前にあるコンビニ(リソーマート)に辿り着きました。刺青がある店主の南雲(六角精児)は物の怪の類。閻魔大王の配下でしょうか。その妻である恵子(前田敦子)は、大量殺人事件・通称「江場土事件」の生き残りとのこと。しかしこれは南雲の作り話。あの世へ行くはずだった恵子を南雲が見初め引き止めたのです。立場的には「捕獲されたムカデ」と同じ。ちなみに彼女はガソリンを使って殺されたのかもしれません。囚われの恵子は、迷い込んできた脚本家・加藤(成田凌)を利用して南雲の元から逃れようと画策しました。一方そのころ加藤の恋人ジグザグ(片山友希)は、彼があの世の手前で彷徨っていると看破します。彼女には霊感あり。メガネ男(おそらく裏社会の霊能力者)に冥界への出張捜索を依頼しますが、南雲の手にかかり殺されます。恵子の手助けもあり再び現世に戻ってきた加藤ですが、そこは自動車事故に遭う直前の世界。運命は変えられませんでしたとさ。ちなみに自動車事故以降の出来事は、全て加藤が執筆していた幻の「コンビニ物語」との見立ても可能と考えますが、やや解釈としてはつまらない。コンビニを題材とした物語を執筆中にコンビニで事故死したからコンビニへの執着が強く、その結果♪あの世のコンビニ・リソーマート(ファミマっぽく歌おう)に迷い込んだとの見立てが適切ではないでしょうか。以上です。 最大の謎(関心事)は、結局加藤はどうなったのかということ。自動車事故の直前、レジで恵子は何やら囁きます。唇の動きをみるに『ふりかえらないで』。あの世から加藤を送り出す際にも口にしていた台詞。“起きてしまった事は悔いても仕方がない”という意味ならば、今度はすんなりあの世へ行って欲しいということでしょう。それは恵子自身に向けられた言葉でもあった気がします。 三木聡監督のファンである私でさえ、ほぼ毎回「なんだこりゃ」と戸惑うのがお約束。今回も観終えた直後の満足度は高くありませんでした。コメディとして分かりやすく笑える箇所もありませんし。しかし、1時間、半日、3日と時間が経つごとに自分の中で熟成されました。これは本サイトに「感想を書く」ための脳内反芻の効果でもあります。考えれば考えるほど「良く出来ている」事に気づかされました。例えば劇中最大の嘘「自動車に撥ねられても無傷」を何の違和感もなく差し込む手際の良さ。加藤の不思議体験を「太陽光の喩え」を用いて補足説明する抜かりなさ。只事ではないでしょう。「面白い」とも少し違う「よくわからないけど好き」という感情で溢れています。ちなみに「好き」には、キャスティングが大きく影響していました。これは毎度の話ですけども。常連の芸達者さんたちが「旨い」のは言うまでもありませんが、主要キャストの皆さんが素晴らしい。成田さんの力みない佇まいは霊体にピッタリでしたし、六角さんは説明不要で物の怪でした。片山さんの「エロス」は「生」の象徴であり死者の世界を際立たせます。そして何より前田敦子さん。醸し出される「憂い」が絶品!演技の良し悪しはわかりませんが純粋に凄いと思いました。「旅のおわり世界のはじまり」も良かったですが、また一皮剥けたのではないでしょうか。残念だったのは、松重豊さんが不在であったこと。やはり三木映画では、岩松了さん、ふせえりさん、松重豊さんの3人が揃わないと寂しいです。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-09-18 21:44:44)(良:1票)
3.  哭悲/THE SADNESS 《ネタバレ》 
ぱっと見、ゾンビ映画。でもゾンビ映画ファンが観ると「こんなん観たかったのと違う」と言うと思います。何が「違っている」のでしょう。 ①ゾンビに感情や思考力を残したこと。 人間から命と知性を奪い、生ける屍にすることで「人ではない何か」を創出したのがゾンビ最大の発明でした。喩えるなら軍隊アリ、ピラニアの大群が如し。それなのに見た目は愛するあの人の姿。ゆえに葛藤が生まれました。本作ではあくまで「狂暴化した人間」だったため、ずっと殺人鬼か狂人と相対している感覚でした。 ②感染経路を飛沫感染としたこと ゾンビ映画の原則は血液感染です。主に噛み付きによるもの。しかし本作では飛沫感染(空気感染)が採用されています。しかも潜伏期間が相当時間見込まれるため、マスク着用等の感染予防は意味を為しませんでした。ポイントとなる感染が運任せでは脱力してしまいます。 ③立て籠りがなかったこと ゾンビ映画の魅力の一つはサバイバルです。隠れ家、水や食糧、移動手段、武器の確保。生き延びるための準備は、遠足の準備に似ています。息つく暇なく逃げるサスペンスにスピード感はありますが、逆に言うなら「猶予」や「間合い」はありません。長期戦こそサバイバルの醍醐味。短期決戦では浪漫を欠きます。 小煩い事を書きましたが、結局は「ゾンビ映画なんて腸デロデロのグロ描写があればいいんでしょ」という安易な姿勢が透けて見えるようで気に入らなかったのです。本作の設定なら、攻撃としての噛み付きはあっても、人肉を食う必然性などありません。しかし明らかに人肉食シーンがありました。合理性や理念の無いグロテスク描写は悪趣味というもの。ゾンビ映画ファンは、グロは愛でても心はロマンチストです。見くびってもらっては困ります。そういう意味では、ゾンビ映画ではなく殺人鬼ホラーとして観ればよい訳ですが、ここまでグロテスク且つ胸糞なものを延々と見せられて喜ぶ度量が私にはありませんでした。唯一褒める点があるとすれば、ウイルス研究者の描写です。変異ウイルスによって強制的に理性を奪われた感染者と違い、彼は未感染でした。しかるに一線を越える蛮行を働きます。環境が彼にさせたこと。大災害での暴動や火事場泥棒と同じです。非日常の中で、人は倫理のタガを簡単に外す。感染者と思しき者の中に、研究者と同じ者が居ないとは言い切れません。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-08-30 08:53:04)
4.  ゴーストマスター 《ネタバレ》 
映画愛を詠った映画には違いありませんが、その愛情表現は歪です。恨み辛み不満込々。映画をこんなに愛しているのに、映画は自分を愛してくれないのか。主人公の昇華されぬ映画への愛憎が、彼の分身ともいえる脚本に命を吹き込み、異世界の扉を開けたのでしょうか。その不満の源は映画業界を覆う富や機会分配の不均衡に由来するものかと。万年助監督の主人公だけでなく、30年生のベテランカメラマンが家賃7万6千円のアパート住まいという現実が痛いです。遣り甲斐搾取?でもそうしないと廻らない業界事情も理解できてしまうのが恐ろしい。もし隅々にまで適正なギャラが払われたら、制作される映画の本数は激減するでしょう。チャレンジングな企画は通るはずもなく、実績ある監督にしか仕事はまわって来ないのでは。そんな閉じた業界が繁栄するはずもなく。でも、だから、現状を容認するしかないの?いや、それは違うだろう。愛しているが、恨んでもいる。そんな光あたらぬ制作現場の人々の遣る瀬無さが、物語を通じて伝わってきます。きっとこの心情を表現するために「特撮」(SFX)が必須だったと思われます。かつて隆盛を極めた特撮も今は昔。CGに取って替わられ、映画業界において失われていく技術なのは間違いありません。アナログからデジタルへ、いやコストパフォーマンス至上主義の潮流に逆らう事など何人もできません。でも、不遇な人、切り捨てられる者にだって矜持があります。「特殊メイクも結構やるじゃん」「CGには無い味がある」そう思わせたら報われる。本作は映画を愛する全ての「勝てなかった者」に捧げられた鎮魂歌だと思います。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-08-28 21:30:55)
5.  こちらあみ子 《ネタバレ》 
『風変わりな女の子・あみ子が純真過ぎる言動で周囲を翻弄してしまう様を優しく見つめた』これは某サブスクのイントロダクション。このスタイルに則すなら『オーメン』は次のように訳せるでしょう。『外交官夫婦は孤児を譲り受け大切に育てる。夫が駐英大使に任命され息子が5才になったころ、その子の廻りで不思議な出来事が起こりはじめる。周囲を巻き込むてんやわんやに皆んな大興奮!さて息子ダミアンに隠された意外な秘密とは?』この説明を鵜呑みにしたら痛い目を見ますよね。本作もまさにそんな感じ。ハートウォーミングなホームドラマを想像していた為、シリアス過ぎる展開に面食らいました。いや、だから駄目って訳ではありません。ただ覚悟なく観始めると大変ですよと。心身共に万全の体制でご覧くださいという意味で警鐘を鳴らしてみました。  (以下ネタバレしています。ご注意ください。)  実はちょっとしたミステリー仕立て。言い回し、仕草や態度にみる親子の些細な距離や違和感は見事な伏線となっており、後半家族の秘密が明かされて膝を打つ仕組み。そして想像以上に状況は深刻であることに気付かされます。「自分の気持ち悪いところをイチから教えて欲しい」と級友に尋ねるあみ子。生気のない少女の顔に胸が潰れます。ネグレクトは大罪に違いありません。しかし両親を責めてもどうにもなりません。壊れた家族の行き着く先はもれなく絶望です。ただ僅かでも希望があるとすれば、あみ子は最後に「だいじょうぶじゃ」と言ったこと。もちろん大丈夫なはずありません。でも諦めなければ道は続きます。そこが諦めてしまった両親と違うところ。応答先のないトランシーバーだとしても、粘り強く語りかければいつか何処かに繋がるかもしれない。 凛々しい眉、大きな鼻。芯の強さを感じさせる瞳。あみ子はまるでライオンのようでした。どうかライオンのように強く生きてください。そしてライオンのように仲間を、家族をつくってください。自分の居場所を確保することは人生をかけて挑む価値がある最重要課題です。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-04-05 00:56:43)
6.  この子は邪悪 《ネタバレ》 
例えば密室殺人ミステリーで、トリックのタネが壁抜け超能力だったら観客は怒りますよね。だから、もし犯人に壁抜け能力を付すのであれば、予め言い訳(説明)を用意するわけです。宇宙人とか、異世界設定とか、未来テクノロジーとか。現代ドラマで予告なしにいきなり超常現象を持ち出すのはNGです。というより、普通は「嘘」と認識されます。本作も同じ。魂云々かんぬんは犯人の戯言でしょう。それならそれで構わないのですが、どうやら本作の場合言い訳無しで「超能力」(というより魔術かな)を実在させたい模様。じゃなきゃタイトルまでホラになってしまいますから。はてさて困りました。せめてあの人に『家族愛。私の好きな言葉です』くらい言わせてくれたら、配給会社の垣根を超えた面白コラボとして甘んじて嘘を受け入れたのに。本作と比べると、2017年製作JP監督の某サスペンスの出来の良さが際立ちます。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-12-13 19:20:23)(良:1票)
7.  子供はわかってあげない 《ネタバレ》 
台詞のニュアンスや言い回しがもう絶妙。「もじくんだけど」「はい、拍手。なあ」「そんな言葉はないんだよ」「何でもじって書くの」とか。何気ない台詞がいちいち可笑しくて。水泳部員さんのしつこい顔芸や、突然のエセ東京ラブストーリーもたまりません。親子の間に流れるぎこちない空気が次第に緩んで行く様子がとても心地よく。この数日は実父にとってかけがえのない宝物になったでしょうし(でも本当は親父顔する権利なんて無いんですけど)、娘にしても予想外に楽しい時間を過ごせたよう。だからこそ今父に対して申し訳ないし、嘘をついたことを悔いて泣けるんですよね。素直で素敵な良い娘さんです。私の中の「こんな娘が欲しい」ランキングでは小林歌穂さんと並んで萌歌さんが堂々一位にランクインしました(注)もちろん現実の愛娘(三姉妹)は殿堂入りなので除きます。そして恋物語としても最高でした。キスなし、手さえ握らぬプラトニックラブ。砂浜とプールサイドに書くあの人の名前。正座して告白って昭和かよ。でもこんなお似合いな、心から祝福できるカップルってコナンとラナ以来では。美波ちゃんに負けず、もじ君もいい男なんです。「娘が連れてきて腹が立たない彼氏」ランキングがあれば、ダントツですよ。書道家って肩書もいい。論破王とか迷惑系ユーチューバーだったら一昨日来やがれってとこですが。彼は親父さんと酒を酌み交わす意味をちゃんと理解していました。「お酒は20歳になってから」は正論ですが、20歳まで待てないこともあるのです。将来の嫁父に自分の覚悟をみせる時。そんなタイミングが訪れたなら、法律を破っていい、いや破らなくてどうするって人生の教科書にも書いてあるはずです。でも本番は今父相手なのでお間違いなく。もう本当に全部全部愛おしい物語でした。多分に冗長で、無駄なシーンが多い気がしますが、それが私たちの人生。あらすじだけでは絶対に本作の魅力は伝わらない、ファスト映画殺し作品でもあります。 『子供は分かってあげない』。そう美波ちゃんは、まだ子どもだから、本当は大人の事情なんて分かってあげなくていいんだと思います。もっと我侭に、自分の感情を素直にぶつければいいのです。でも、それが出来ないのはやはり何処か無理をしているのでしょう。緊張すると笑ってしまうのも同じ理由。でももう美波ちゃんは大丈夫じゃないかな。あんな素敵なコテメイト(そんな言葉はない)が出来たのだから。 採点は10点以外考えられません。それ程までに本作の上白石萌歌さんの魅力は神がかり的でした。さすが教祖パパの継承者であります。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2022-08-31 00:34:46)(良:1票)
8.  コンフィデンスマンJP 英雄編 《ネタバレ》 
どんでん返しがあると分かっているサスペンス。様式的に無理がある気がしますが、コロンボや古畑だって犯人が分かっているミステリー。変則なれど案外シリーズ向きの素材なのかもしれません。毎回高品質の脚本を用意するのは本当に凄いと思いますし、今回も手堅く楽しめました。なお、本シリーズは過去作のゲストが継続して登場するのが素晴らしい。キャラクターは作品の宝です。大切に扱うからファンも作品に愛着を感じるのだと思います。その最たる例がスタアとジェシー。2人はコンフィデンスマンJPの世界で生き続けてくれることでしょう。
[DVD(邦画)] 8点(2022-08-08 14:45:45)
9.  孤狼の血 《ネタバレ》 
本作の時代設定は昭和63年。北野武監督の『その男、狂暴につき』が公開されたのが平成元年。配給会社の違いこそあれ、題材と劇中の時代設定は同じ。私は東映任侠映画シリーズについて無知なので、同類と思しき『狂暴につき』を引き合いに感想を述べたいと思います。 注目は、刑事のキャラクター造形。そして『時代背景』であります。まず前者について。役所も北野も、ヤクザとズブズブの所謂『悪徳警官』でした。役所の方は『信念』に基づき確信犯的に違法捜査を行う男。一方、北野の方は身勝手に暴れまくっているだけのように見えます。ただしこれは北野監督の美学が多分に影響していると思われ、両者に大きな差異は無い気がします。共通しているのは結果至上主義者であり、自身を『必要悪』と認識している部分でしょうか。次に時代背景。今から約30年前は、『コンプライアンス』なる言葉がまだ流通していなかった時代。当時学生だった私は、社会の空気を的確に把握していませんが、今よりも『おおらか』だったのは間違いないと思われます。これはおそらく日本に限った話ではなく、社会が成熟してゆくに連れ『曖昧さ』が排除され、厳格なルール運用が求められていくのではないかと。情から理への移行とも言えます。それに抗うカウンターとして“型破りなヒーロー”例えば『ダーティ・ハリー』が人気を博した気がします。しかし時代は変わりました。『コンプライアンス』の前には、どんな言い訳も通用しません。『必要悪』といった概念などありません。『アンチヒーロー』が生きられるのは、それが許された時代(価値観)の中だけ。だから本作は『昭和』=『時代劇』の体裁にせざるを得なかったと考えます。ちなみに余談ですが、テレ朝の開局記念ドラマ『24JAPAN』が違和感アリアリなのは、獅堂現馬(ジャック・バウアー)が今の時代にそぐわぬ存在だからです。それも含めて私は面白と思いますけど。 最後に役者さんについて。人気俳優の皆さんが従来のイメージをかなぐり捨てて悪役に徹する様は見応えありで、多くの皆さんが俳優としての評価を上げたと思います。中でも松坂桃李さん。圧巻の役作りで、一皮どころか二皮も三皮も剥けたと思います。ずる剥けですな。完全に観方が変わりました。そんな中、一人大敗を喫したのが竹野内豊さん。明らかに場違いでしたが、高度な自己プロデュースで清廉なイメージを守ったとも言えます。何でも器用にこなせる事が役者の価値ではありませんし。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-03-20 22:31:47)(良:3票)
10.  孤狼の血 LEVEL2
過激なバイオレンスアクションの中にも多彩なキャラクターの魅力や、それぞれの理や正義がきちんと描かれていた前作は、時代劇的な楽しみ方もでき、総合的にみて娯楽作品に昇華していたと思います。しかし本作は刺激こそパワーアップしているものの、事象の裏に隠された人々の思いやドラマが伝わり難いつくり。これは役者の力量というより脚本の問題と考えます。申し訳ないですが、ただ辛いだけの激辛料理に思えました。苦くても辛くても構いませんが、旨味があってこその料理、失礼、映画だと思います。平均点は前作と遜色ないことからも一定レベルの満足度は担保しているのでしょうが、レビュワーの皆さんの感想は総じて短かめなことから、語りたい欲求を満たす映画ではなかった事が窺えます。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-03-17 19:23:25)
11.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
ネタバレしています。ご注意ください。  幼少期から成人に至る今日まで“アメージングエイミー”としてキャラクター化され続けてきた女性。おそらくビジネスとプライベートの区別はなく、彼女はずっと何かを演じ欲しいものを手にしてきたのだと思います。歪な成長過程で、大人になっても心は幼い子供のまま。社会性や倫理観が備わっていない彼女は、今なお少女でした。だからタイトルは『ウーマン』ではなく『ガール』。子どもは非力だから我儘が許される訳で、力を持った大きな子どもの利己主義は恐怖でしかありません。これが本作で描かれる一つ目の恐怖、個人に由来する『ミクロな恐怖』です。 二つ目の恐怖、それは『マクロな恐怖』、世論であります。恣意的に世論を形成するのが容易となった現代。その世論に司法が左右されるのが常識となった国。何なら司法の手を借りずとも、気に食わぬ者への制裁が可能なシステムが構築されています。力のある人、頭の良い人が得をするのは世の道理ですが、その勝ち幅がえげつない。マスメディア、SNS。私たちは、社会は、確かに恩恵を受けていますが、その一方些細な過ちも許されない厳しい社会にもなりました。下手なオカルトよりも遥かにホラーな社会派サスペンスでありました。出来の良い映画だと思いますが、観終えてどっと疲れるタイプの映画ですので、元気ハツラツなタイミングでの鑑賞をお勧めします。
[インターネット(吹替)] 8点(2022-01-22 12:35:13)(良:3票)
12.  拷問男 《ネタバレ》 
(ネタバレしています。ご注意ください) 幼子を殺された父親が犯人に復讐するお話。邦題は復讐方法に言及したもので、拷問マニアが主人公ではありません。子を殺された親にしてみれば、命を返してもらう以外の贖罪に意味などなく、せめて我が子が味わったのと同じ苦しみを犯人に与えたいと願うのは当然の心情と考えます。いわば原始の刑罰感。反省とか更生とか、他所でやってくれという話。建前はどうあれ“心情的には”遺族による復讐は肯定されると考えます。 ただし、本作では一筋縄ではいかない事情がありました。それは犯人の素性。奴は主人公の実弟でした。被害者からみれば叔父。さらに本件以外にも複数人を手にかけている殺人鬼と判明しました。この特殊な犯人の属性により、一般的な“復讐”に別の意味が付加されたと考えます。それは“躾”と“後始末”。加害者に被害者の痛みを追体験させる拷問は、遺族からみれば“復讐”ですが、構造的には“躾”に同じ。また弟の犯した大罪に対するオトシマエをつけるため、あえて兄が汚れ役を買って出たとも受け取れます。『殺してくれ』と懇願する弟を無視して刑事に身柄を引き渡した判断は、『温情』ではなく『最も厳しい罰』を選択したものでしょう。弟を殺して自らも命を絶つのが一番簡単だったのに。被害家族であると同時に、加害者の身内でもある主人公は、彼なりの覚悟と責任で、己が役目を全うしたのだと思います。 舞台となるオーストラリアは死刑廃止と復活を繰り返してきた歴史があり、現在は死刑廃止国とお聞きしました。つまり現行、合法的に殺人犯に“被害者と同じ苦しみ”を与える術はありません。誰かが法を犯す以外に道なし。本件でそれを望むなら、最適任者は主人公であり、彼が選択した『拷問の末、生かしておく』は『国が定めたルールは無視しつつ、最後の一線は越えなかった』というもの。感情的でありながら理性は失わず、制度に対して幾許かの皮肉を込めた、大いに考えさせられる結末であったと考えます。ただ犯人が特殊過ぎたが故に、メインテーマと思しき『司法制度の問題点』『死刑廃止の是非』について“芯を食わなかった”印象を受けます。システムの是非を論じるなら、想定される一般的な事例でなくてはいけません。 最後に拷問について。殺すつもりと、開放前提では、自ずと手法が変わると思われます。当初主人公は「最後は殺す」と明言しており、拷問の手立ても容赦無いように見えましたが、犯人が負った傷をみると最終的に生かしておく選択が念頭にあったのは間違い無さそうです(注:一番気になるのは内臓の損傷具合ですが、手加減していたと思います。死んだら拷問が続けられないですから)。完治後は重介護が不要なギリギリのラインかと。私は先に『温情は無い』と書きましたが、『情』はあったのかもしれません。それが亡き娘の幻に由来するものなのか、血を分けた兄弟故の感情なのか、私には量りかねますが。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-08-05 19:21:59)(良:4票)
13.  コンフィデンスマンJP プリンセス編 《ネタバレ》 
99%はダー子の描いた筋書きだとしても、この結末を手繰り寄せたのはダー子のコントロールが及ばぬ残りの1パーセントの部分。『コックリの人間性』でした。これは泣けます。もっとも、これさえもダー子の『人間の本質を見抜く力』の賜物とも言えますが。最大のサプライズ(どんでん返し)は、ダー子一味が一文も得をしなかったところ。本作はコンフィデンスマンJPシリーズにおける『カリオストロの城』であります。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2021-05-25 00:00:17)
14.  コンジアム 《ネタバレ》 
POVホラーのパイオニア『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の様式をエンタメ重視でアレンジした結果、POVの長所『臨場感』を活かしながら、短所『視認性の悪さ』を払拭した正統派のオカルトホラーが出来上がりました。代償として『ブレア~』もうひとつの特徴『モキュメンタリ―』は失われましたが、大した問題ではないでしょう。『POV』と『モキュメンタリ―』はセットである必要もありませんし。視聴環境が改善されるアレンジなら大歓迎です。恐怖演出も冴えており、基本的に『よく出来た』あるいは『まとまった』映画と考えます。ただ、ホラーとしては満足しません。というのも終始他人事ゆえ、恐さを感じなかったからです。恐怖は身につまされてこそ。『臨場感』はあるのに『他人事』って、すごく勿体ないのでは。お話は『お化け屋敷に行ったらお化けが出ました』という、何の捻りも無い代物。言い方は悪いですが『バカの自業自得』に共感や同情はできません。例えば『ファイナル・ディスティネーション』シリーズのように、第三者の立ち位置でも楽しめる仕掛けがあれば別ですが、なまじ正統派のオカルトホラーであるが故に、物語に惹き付ける要素が無いと辛いです。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-03-05 22:47:06)
15.  ゴーストランドの惨劇 《ネタバレ》 
細部に至るまで綿密に計算されたテクニカルな構成に感心しますが、とくに言及したいポイントは2つあります。一つ目は俳優交代について。主人公姉妹は、ローティーンと成人、都合2つの年代が描かれます。N〇Kの朝ドラでもない限り成長期を跨いで一人の役者に任すのは無理筋ですから、俳優交代は絶対条件。とはいえ経年違和感のない交代俳優を探すのも大変です。観客の脳内補完必須でしょう。ところが本作では、役者交代に何の違和感もありませんでした。ほとんど完璧なバトンタッチでは。よく似た子役をキャスティングした点もさることながら、顔がボコボコだったり厚化粧だったり人相判別を困難にした事が功を奏したと考えます。なるほど、単純ですが上手いやり口です。これは称賛ポイントでしょう。二つ目は、終盤の展開について。殺人鬼系ホラーで見慣れた典型的な流れで、ご都合主義も目につきました。趣向を凝らしたこれまでの展開と比して無策に思えます。しかしこれも観客を惑わす計略のひとつ。なぜなら本作の肝は『主人公はホラー小説家志望』という基本設定にあるからです。物語の裏地にぴたりと張り付き、観客の判断を惑わせます。目を凝らして観るほどに『ここが不自然な気がする』と疑問符がつく仕立て。題材(展開)はプレーンなほど好都合というワケ。虚実の境目の見極めは、観客に委ねられました。極端な話、主人公はまだ捕らわれているかもしれませんし、イチから全部小説との見立ても可能でしょう。解釈に幅があり、物語に奥行が感じられるのは、優れたミステリーホラーの証と考えます。なお、壮絶・胸糞なストーリーにも関わらず『観易い』のも本作の特徴です。前述した丁寧なお仕事をベースに、各種配慮が行き届いていました。『鬼畜監禁もの』とは思えぬマイルドな暴力表現で、後味も悪くありません。デートムービーにさえ使えるレベル。この大衆性・汎用性の高さはセールスポイントでしょうが、多方面に気を配った結果、ホラー映画としてのパンチ力(狂気)を欠いた気がしないでもありません。(以下余談)と書き終えて、他の方のレビューを拝見したところ、私の感覚に大きなズレがある事が判明しました。やっぱりデートムービーは無理みたいです。ご注意を。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-02-15 22:47:02)(良:1票)
16.  今夜、ロマンス劇場で 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  絵本やアニメのように人の手で生み出されるキャラクターと違い、実写映画の登場人物には、演じる役者本来の人生があります。しかし姫には、俳優の人格が存在しませんでした。あくまでフィルムの中の世界限定、物語の住人として彼女は生を受けた訳です。しかも、姫は自分が物語のために創作された人物と気づいていました。作品が上映されている間のみ、限られた空間と時間の中で繰り返される人生。それが当たり前なら、自身の境遇を嘆くこともないでしょう。しかし、姫はフィルムの外の世界を知ってしまいました。色鮮やかな美しい世界。決められた台詞や動きに縛られない自由。愛する人との記憶が積み重ねられていく充実感。彼女にとってこちらの世界は楽園に思えたはずです。しかし、異なる世界の交流は、世の理(ことわり)に反しました。モノクロの肌に化粧で色付けできるのも、ずぶ濡れの衣服が一瞬にして乾くのも、2人が理を外れている証。理に背き恩恵を得た代償は、人に触れてはいけない、愛する者の温もりを感じられない罰でした。愛しあう2人は甘んじてその罰を受けいれたのです。2人は数十年に渡り罰を受け続けた末、男は天寿を全うしました。今度は彼が、姫がいるべき世界へ身を委ねる番です。 さて、同様の構造を有する物語として『人魚姫』が挙げられます。住む世界が違うという意味では『ロミオとジュリエット』も同じ。ご承知のとおり、これら作品の結末は悲劇です。しかし『人並な幸せが一番』という価値観の中では避けられぬ結末でした。そういう意味で、本作で2人が選択した『幸せのかたち』は異例中の異例だったと思います。劇中の昭和30年代日本では勿論のこと、同性愛をカミングアウトし、障がいを個性と捉える『多様性を認め始めた現代日本』においてさえ、画期的な決断であったと考えます。2人の選択を『幸』と捉えるか『不幸』と捉えるか、観客の価値観によってその判断は大きく分かれるはずです。 姫は人であって人でなく、その内面に複雑な思いを封じ込めている極めて難しいキャラクターでした。この難役を綾瀬はるかさんが見事に演じきったと思います。同じ美女なら30代より20代(失礼)、触れられる方が絶対良い訳はずなのに、主人公が姫を選んだ決断に違和感がないのは、単にラブストーリーというフィルターだけでなく、数々の映画で『主演女優』の大役を引き受けてきた綾瀬はるかさんの『女優の格』が成し得た奇跡と考えます。見くびっていたつもりはありませんが、綾瀬はるかさん、凄い女優さんです。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-09-30 18:24:58)(良:1票)
17.  こはく 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  『父は借金をこしらえて、女と逃げた』が兄弟の認識でしたが、『女性従業員の借金を肩代わりして立ち行かなくなり、経営する会社(ガラス工房)と家族を守るため協議離婚した』が真相でした。女性従業員の口ぶりや、父親友の態度から察するに、2人に男女の関係は無かったようですが、望まぬ離婚を強いられた母はさぞ無念だったでしょう。母は子どもたちに離別の詳細を語らず、当時幼かった兄弟の中で父は不鮮明な存在となり、『捨てられた』という思いのみが蟠ったようです。傍からみれば、「もう過ぎたこと」と思いますが、当人はそう簡単には割り切れません。昇華されない不確かな父の姿は棘となり、兄の虚言癖など2人の人格に少なからず影響を及ぼしています。2人が父を探したのは、恨みごとを言いたかったからでも、家族を捨てた真相を知りたかったからでもありません。ただ会いたかったから。顔を見て、触れて、確かな父親像を自身の中に持ちたかったのだと思います。自分という人間をつくる『核』のひとつとして。タイトル『こはく』とは、幼い頃に見た水面に映る夕陽の色(=思い出の象徴)であり、『時間』を閉じ込め保管する『琥珀』をさしています。 『母を訪ねて3千里』ならぬ『父を求めて30年』。探し当てた父親は悪人ではなく涙涙の結末でしたが、これは結果オーライでした。『借金を踏み倒して逃げた』負い目や贖罪から、父は家族と没交渉だったのでしょうが、リアルにクズだったり、落ちぶれていたり、野垂れ死んでいた可能性も十分ありました。この場合どうでしょう。棘を抜くつもりで傷口を広げる羽目になっていたかも。ここで思い出されるのがヤクザ(嶋田久作)の言葉です。「お前の半分は親父で出来ている。それでいいじゃないか」。変えられぬ過去に捕らわれるより、今を大切に生きろという意味。現状を正確に把握し『肯定』することは、生き抜く上で有益な処世術と考えます。さて次なる問題は無職の兄。父と再会を果たし言い訳のタネが消えました。しかし長年己が人生と向き合って来なかった代償は大きく、悪癖は簡単には治らないもの。希望の兆しは感じられますが、果たして仕事は見つかるでしょうか。人を魅了する力と虚言癖を活かして芸人にでもなったらいいのに。 大橋彰(アキラ100%)が良かったです。演技が上手いとは思いませんが、雰囲気がありました。ヨゴレ芸人が持つある種の悲哀が、人間味という味わいに転化していた気がします。酒井敏也さんのように「ちょっと頼りない」キャラで活きるのでは。役者での活躍が十分期待できると思います。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-09-30 18:22:41)(良:1票)
18.  ゴースト・イン・ザ・シェル 《ネタバレ》 
そこはかとない敷居の高さを察知し、原作漫画もアニメ映画も未見です。最近本サイトで作品登録が必要なマイナー映画ばかり観ていたため、たまにはメジャーな映画も観ようと本作を選んだ次第。ド迫力ボディスーツの少佐がデザインされた劇場ポスターは承知しておりましたので、スカヨハの恵体(こんな熟語を書いたらダメだな)を拝めれば御の字くらいのつもりでしたが、なかなかどうして、面白いじゃないですか!未来の世界観の構築は見事ですし、『甲殻機動隊』の代名詞ともいえる『迷彩』表現も素晴らしいです。視覚効果で、ある程度の満足感を得られるのは大作SF映画の強みであります。タイトルでありテーマでもある『ゴースト(魂)とシェル(魂の器)』については、難解な哲学思想(きっとこれが敷居の正体なり)に踏み込まず、主人公のルーツ探で帰結しているため、私のような物知らずでも安心して楽しめる仕様でした。とはいえ、逆に言うなら浅瀬で遊んでいるようなもの。原作世界が持つ奥深さを味わうためには、原作漫画なりアニメ映画の鑑賞が必須なのでしょうが、本作が甲殻ワールドの入り口として機能している作品かどうかは分かりかねます。それにしても北野武は、自身が監督出演する映画以外では全く輝きませんね。魔訶不思議。
[インターネット(吹替)] 7点(2020-08-25 19:48:36)
19.  恋するトマト 《ネタバレ》 
ネタバレあります。未見の方はご注意ください。  『恋するトマト』『クマインカナバー(ごはん食べましたか?)』。1つの物語にタイトルが2つ。これは『ラブロマンス』と『家族の在り方』、2つのテーマを内包しているためと考えます。まず『ラブロマンス』について。異国の地で結婚詐欺に合いどん底に落ちた主人公は、何とか立ち直り、運命の人と出会えました。彼女の家業を献身的にサポートし、信頼を獲得。弟くんを手懐け、ついには相思相愛の関係を築きます。今までの婚活のようにガツガツせず、しっかり手順を踏んだ事が功を奏したワケです。いわば怪我の功名。人間、挫折を経験するのも悪くありません(死なない程度に)。さて、このままフィリピンで2人が結ばれれば『ラブロマンス』として『妥当なハッピーエンド』でしたが、主人公は帰国を望みました。これには『農家長男の性』が大きく影響しています。本作で語られる『家族』の定義は、『夫婦』あるいは『夫婦とその子』ではなく『夫婦とその親』であります。かつての日本や農家、フィリピンでは当たり前の価値観です。ここから先が『家族の在り方』についての話。彼女の父親は日本へ嫁ぐことを許しません。傷みやすいトマトを輸入する難しさと同じ。美味しいトマトも、一緒に食卓を囲む家族も、生活圏内で確保するのが常道です。それでもなお、障害を乗り越えるのが『愛』でしょう。さて、一見ハッピーエンドにみえる結末ですが、果たして本当にそうでしょうか。2人が抱き合う前に終幕となったことが、どうにも引っ掛かります。ラストシーンは、主人公の願望が見せた幻の可能性も大いにあると推測しました。愛する彼女と同じ年頃の娘さんを日本へ売り飛ばしていた主人公が、報いも受けずに幸せになれますか?(結婚詐欺被害とは相手が違うので相殺不可)それに主人公が望む『家族の幸せ』と、彼女が求める『家族の幸せ』は等価値のはず。どちらかの犠牲で成り立つ『幸せ』をハッピーエンドと呼べるのかという話です。シビアな現実をラブロマンスで包み、口当たりは甘め。しかし噛みしめるほどに苦みを感じてしまいます。(以下余談)結末の解釈については、正直言い掛かりです。私もクリスティナちゃんは日本に来てくれたと思います。ただし実家への『金銭援助』は必須。カワイイ彼女も10年もすれば倍の太さになるでしょう。田植えと稲刈りで年に2回は里帰りするでしょうし、将来的には母国に帰るかも。子育て、借金苦、親の介護に悩まされる人生を、本当に主人公は望んだのでしょうか。いやー震えますな。もっとも、人生の悩みの大半は『お金』で解決します。主人公の場合、農業より別の道で才能を発揮できそうですが、自分自身で気づいているかどうか。やりたいこと、やれること、やらなければならないこと、向いていること。一致しないのが人生の難しいところです。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-07-10 18:58:12)(良:1票)
20.  コンフィデンスマンJP
“定番のどんでん返し”という自己矛盾をものともせず、作品を成立させている質の高い脚本は映画版でも健在でした。ただし本作は前半のテンポが遅く、退屈な時間帯もちらほら。これは本作のテーマ『ロマンス』特有のまったり感でもありますので、注文をつけるのはお門違いではあるのですけども。恋心という人の純粋無垢な部分を騙す下劣な詐欺でなかった点は良かったと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2020-02-11 12:46:59)
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