1. インスタント沼
《ネタバレ》 見通すのに2年もかかったエスねこ的超大作でした。 で、のっけからネタバレ行きますけど、 (詳細はブログにて)[DVD(邦画)] 10点(2013-07-08 02:59:13)(良:1票) |
2. インサイド・マン
《ネタバレ》 アメリカ映画ってよりアメリカ文学(スリック誌系)を思わせる知的な作品。とにかく観ていて楽しかった。スパイク・リーはお堅い政治的な告発から距離を置いて、「こりゃもうダメだわ」的な、開いた口が塞がらないってなスタンスでカメラを回していく。だから本当に楽しめる。 まず冒頭7分目にして銀行強盗開始、っていうスピード感が楽しい。 画面にシンクロしまくっているトボケた音楽が楽しい(『サブウェイ・パニック』を意識してるね)。 そして最近食傷ぎみな感じもする「日常で勃発するイラク的状況・グアンタナモ的シチュエーション」の描き出し方。この映画では他作と一線を画して、この映像表現の他人事っぷりが可笑しくてならない。犯人の出したクイズで、バカみたいに熱くなって激論するあたりなんか、まさにアルカイダを巡るマスコミの右往左往を見事に戯画化してますな。金庫室でのゲームや、終わり近くのジュリアーニ市長ネタもキレがいいです。 イラクを巡る状況に酷似する場面がいくつもいくつも意外なアレンジで登場する本作だが、白眉はやはり「それから60年後」の状況まで詰め込んである点だろう。今は看過してしまうような悪事の横行も、半世紀後には実を結んで花が咲き、その悪臭が当事者たちを苦しめる。今起こっている問題より、複雑で根深くて、社会の根幹に食い入る話だと思う。ここのパートの探偵役にジョディ・フォスターを当てた監督の慧眼には頭が下がる。当人も嬉々として演じてたみたいだしね。 映画発表当時から時代は下り、今はこの映画を「サブプライム的状況が画になった」と観る事もできる。怪しくても裁けない…損切り不可能な社会状況のやるせなさも、この映画の独特の苦味だろう。 やはりこれは、屈指のシナリオの良さが魅力の大きな部分を占めているんだな。久々に(スリック誌の)ニューヨーカー的インテリジェンスを画面から感じましたです。 [DVD(吹替)] 8点(2008-04-05 16:54:27)(良:2票) |
3. インビジブル(2000)
えーこの春、『ブラックブック』の宣伝でバーホーベン大将が来日した時、本人の口から「失敗作」のラベルを貼られてしまった可哀想な本作。フルチンで、しかも一肌脱いで(笑)まで演技したケビン・ベーコンが猛烈に (詳細はブログにて)[映画館(字幕)] 4点(2007-06-13 18:24:34) |
4. 硫黄島からの手紙
こりゃわかんねーなあ。本当に。 米国の観客に、イラクと重ねて観る事を強要してるとしか思えなかった。とりあえずは『星条旗』と同じ点数。でも、DVDで見直してもっと下がるかもしれない。 ナチ側だけから見た『パリは燃えているか?』みたいな感じもするし、何度も広瀬正の『マイナス・ゼロ』を思い浮かべた。戦前文化の最後のともし火というか、そんなものは感じる。 でもこれ、イラクと重ねる以外にどういう観方があるの? …と問いたくなる。 [映画館(字幕)] 3点(2007-05-10 21:51:40)(良:1票) |
5. イーオン・フラックス(2005)
みんな悪りぃな。かつてないほどに満点のSFだったぜ。 各シーンの行間に覗く奥行きの深さを「ずさん」の一言で看過するなんて、そりゃ俺には無理だわ。これはマジモンのSFだ。70年代風でちとクタビレてはいるが、この数十年間語られて来た頭でっかちのテーマ主導型特撮作品よりは間違いなく面白い。もちろんクライマックス以後のストーリーはクズなんだが、この映画の価値はそこにはない。 以下にキーワードを挙げておくので、どれかにピピッときた御仁は見てみるのをお勧めしておく(ただ本作は別に大画面で見る必要はないので、DVDでも宜しいかと)。「チャールズ・L・ハーネス/ワイドスクリーン・バロック」「クリス・ボイス/キャッチワールド」「ブルース・スターリング/巣」「T・J・バス/神鯨」「アルフレッド・ベスター/分解された男」「ロバート・ホールドストック/リードワールド」「士郎正宗/ブラックマジック」「ジーン・ウルフ/新しい太陽の書」(追記:おっと大事な作品を忘れてた! 極北の未来SF、K・W・ジーター/「ドクター・アダー」「グラス・ハンマー」)…。 SFというのは論理の間隙を自らの手で埋める事で味わえるジャンルなのだ。『イーオン・フラックス』の様々な小ネタは、無味乾燥な思いつきのガジェット群ではない。すれっからしのSFマニアが味わうべき間隙が、ここには確実に存在する。 …見に行く前は、5点くらいにしてシャリーズ・セロンとメソッド演技の未来について語る予定だったんだがなあ…それは『モンスター』のレビューに譲ります(笑)。 [映画館(字幕)] 10点(2006-03-18 22:32:26)(良:1票) |
6. いかレスラー
買ってきました。これから、見ます。覚悟は決めてます。点数は期待度。 ……実況鑑賞16分目。つかみはオッケー! 演技の大根なんて気にならないこの独特のノリが決め手ッ。 ……実況鑑賞33分目。初泣き。 ……実況鑑賞46分目。熱いぜ ……実況鑑賞52分目。これネタ? ……実況鑑賞70分目。再び熱くなってきたぜ! ……実況鑑賞80分目。燃え燃えだーッ! ……実況鑑賞85分目。はァ? ……実況中継87分目。おいおい『終』って何よ? ……結論。クライマックスやり逃げバカ映画でした(ある意味貴重かも)。点数は維持しときます。 ●追記:心に残る名台詞のサイズ制限に引っかかったんで、こっちにルー大柴の長台詞を引用しときます。「なあいかレスラー君。キミほど現在日本が抱えている混沌とした状況を体現しているレスラーは他にいない。隣国からの核の驚異、テロの驚異。増え続ける悪質犯罪。未知のウィルス。高齢化社会の不安、経済の不安、政治の不安。この時代の雰囲気にピッタリなんだよキミは。10本足のイカの怪物が、キミが日本人レスラーに倒される事でみんな元気になる。得体の知れない怪物が倒される事で、不安は希望に変わる。間違ってもキミは勝ってはならない。キミが日本人レスラーを苦しめ、でも最後は逆転されて負けるところを客は見たいんだ。しかし、影の主役はキミなんだ。イカになってくれてウチとしては返って好都合だ、キミが岩田貫一だとしたらね…イカがかな?」。これ、かなり怪獣特撮の本質を突いてます(いやまあルー大柴の演技には貫禄がないけど)。 [DVD(字幕)] 6点(2005-03-24 01:20:22) |