1. 苺とチョコレート
《ネタバレ》 〝革命〟とか〝ゲイ〟とかいう過激なものを扱っているわりに非常に冷めたというか浮ついたところのない、気負いを超えたある意味「達観」の境地に至らないと作れなかった作品と思います。 この作品世界では、誰の肩も持たず出来事を時系列で淡々と語るという難しい演出に成功していると思う。異性愛が正しいとも同性愛が正しいとも、革命が正しいともそうでないとも、言っていない。 反対の立場にある二人が、〝対話〟を始めて最後にはお互いを認めるところまで行く…という話です。 ディエゴにもダヴィドにも突っ込みどころが満載なのに、ここでは彼らはそのことが原因で深く悩んだりしません。 つまり、「見知らぬストレートの青年をベッドに連れ込めるかどうか賭けたりするディエゴの下品さ」とか「己の黒人蔑視に何の矛盾も感じないディエゴの鈍感さ」とか、「初体験を済ませたら(しかも年増の半分娼婦のような相手)、まるで憑き物が落ちたようにほがらかになってしまったダヴィドの単純さ」とか「結局女なら誰でもいいのか」とか…欠点だらけの彼らを批判することなく、そのまま終わるところが持ち味…ラテンの味? 特筆すべきは、ディエゴ役の俳優さんのオカマ演技の素晴らしいことで、これがなければ作品の魅力は八割がた低下していたと思う。ディエゴが魅力的なのに比べて、ダヴィド役の青年はガイコツ系で、ガリガリ過ぎてなんだかなあ。私は「栄養失調」とか「収容所」とかいう言葉が消えなかった。 オカマ演技が素晴らしいということは、ネイティブのオカマではないと私は思うんですよね。ハーヴェイ・ミルクにショーン・ペンが選ばれたのもそういうことだそうですし。 つまるところは「対話」を成立させることについての作品です。一見の価値はあります。 しかしあの「祇園・京都」とかいう変な浴衣はどうやって手に入れたんでしょうか…。 [地上波(字幕)] 7点(2010-08-06 15:39:31) |
2. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
《ネタバレ》 …私の思うバンパイアそれは「ポーの一族」!!! それが、トム・クルーズとかブラピとかバンデラスとか、なんかゴツいんだよなあバンパイアを演じるには~。みんな普段からジムに励んで筋肉維持しているような俳優ばっかでしょう。「ブレイド」のような割り切った作品とは違うわけだから、リアリティを重視してもらいたいものだ。 誰も貴族体型じゃないし、もっというと顔がちが~う。 クルーズもブラピもエラが張りすぎ。顔がファンシーすぎ。バンパイアじゃなーい。 ジェレミー・アイアンズがレスタトで、ジュード・ローをルイとか、そのへんを持ってきて欲しかったです。ジムに励んでいる俳優は吸血鬼はダメです。 そんなわけで、キャストで雰囲気ブチ壊し。全体的に18世紀って感じが全然しないまま照明でごまかしてる気がするし、パリに行ったって全然パリじゃないし。あの地下要塞とかちょっと美術がショボくないでしょうか。 クローディアのハイテンションぶりで話を引っ張るのでそんなに退屈はしないが、とにかくブラピのエラにばかり目が行くし。こういう話はキャストが合ってないと全滅する。ダメだ、私はニール・ジョーダンは好きなのに。 [地上波(字幕)] 6点(2010-06-21 20:55:15) |
3. インパルス
《ネタバレ》 デブ寸前のテレサ・ラッセルが、タイトなセクシー衣装に無理やり体を押し込んで撮った息苦しい(そういう面では)一作。そんな腹回りでボディラインを見せて大丈夫かとハラハラさせられていまいちノレない。 「デブラウィンガーを探して」では本格的なデブと化していたので、太りやすい体質なんだろう。 女性監督らしく、セクハラ問題を盛り込んでいるのだが、公私においてありとあらゆる男性に触られまくるロティーは、すでにちょっと触られたぐらいでは拒否すらしなくなっていて、囮捜査の売春婦役と現実が区別つかなくなってしまったのがペロンにのこのこついていった大きな理由。 検事に「(触られるのは)それは正しくない」と言われても「そういう男なんでしょ」と動じないふりをする。「いちーち抗議するほど大したことじゃないじゃない」と思っている。 小さな間違いを最初のうちに糺しておかないと、つもりつもってセクハラOK女から売春婦の真似までするようになってしまう。カウンセラーとの会話でそのへんの心の問題が解決されるのかと思いきや、フツーに二流サスペンスとして終わらせてしまったあたりがうーん、不発だ。 彼女がセクハラに対して不感症になっていることが事件に絡んでいるわけだから、もっと突っ込んで描いて欲しかったと思う。だいたい初対面の仕事仲間とすぐ寝る事自体が壊れているが、こういう展開はもううんざりだなあ。せっかくの女性監督作品なのにさ。とにかくもう仕事仲間に手を出すのはやめましょう。仕事中にキスするのもやめましょう。承諾なしに触られたら訴えましょう。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2008-07-23 17:20:14) |
4. イベント・ホライゾン
《ネタバレ》 フィッシュバーンをじっくり見ることができてよかった。リーダーシップ全開の彼ははまっていてよいなあ。「My ship」ですよ。「My」っていうところに力を入れて言うのよね。ジェイソンアイザックスとショーンパートウィーなんて悪人顔を2人も揃えて、おまけにフッシュバーンの濃い顔は言わずもがなで、顔面的には迫力ありすぎ。ところで、幻覚に襲われる人とそうでない人、早めに幻覚を見る人と遅い人と最後まで見ない人。これって面白いですね。私の見たところ、これはそれぞれのキャラの「動物的な生命力の含有率」と比例するのではなかろうか。生き残った黒人の彼とスターク(女性)は最後まで幻覚を見てないらしいし。見てない人が生き残ったのね。反対にウェアー博士なんて到着前から夢に見ちゃってるし。ジャスティンを除けば博士の次は女医さんだし。どうもインテリ度が高い人から感染?していくみたい。インテリになるほど生命力は落ちるのか。 [DVD(字幕)] 7点(2006-01-28 00:12:34)(良:1票) |
5. イン・ベッド・ウィズ・マドンナ
《ネタバレ》 点数つけにくいけど。ひとことでいうなら「私はプロよ」かな。そんなことアメリカのファンはとっくに知ってるだろうが、世界的に知ってもらいたい。ってことかな。世代的にマドンナにはすごく思い入れがありましたね、福岡ドームの「スベった」ショウまでは映像で見てました。あのときは悲惨だったな。ところで「エニアグラム(九つの性格)」では興味深い分類をしていましたよ。マドンナは「タイプ2」だそうです。ほんとか。しかし、「タイプ2」なのか、と思いつつこの作品を見ると、大いに納得してしまうんだな。「タイプ2」とは「他人のために何かをすることが喜びであり他人のために生きる」であるそうです。イタリアでのショウの直前が圧巻です。「ホリデイ」を歌いながら警官の前を通りすぎる。「あたしは腹がすわってんの」。んで「あたしはイタリア系アメリカ人なんだから、イタリアの皆さんもきっと分かってくれるわよね。」とかプレスの前で言っちゃう。いやなに、とあるえげつないシーンを削除するかどうかの話だというのに。サンドラバーンハートただものでない。なんか「地獄を見た女」ですな。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-08 14:10:04) |
6. イギリスから来た男
《ネタバレ》 これはヘンリーフォンダにあんなことまでさせて、が勝因でしょう。笑えるよー。もちろんテレンススタンプは不自然さ全開でがんばっている。オープンカーで髪をなびかせながら、くりっくりっと笑顔で振り向き続けるフォンダに大爆笑。俳優さんとして、突き抜けている。「ソラリス」と違って、楽しめる作品。ここでは「たけし」の影響が濃厚ですな。 [DVD(字幕)] 8点(2005-11-17 20:50:09) |