1. いつかどこかで
小田和正というアーチストは好きです。(オフコース時代も含めて)その音楽性や考え方に日本という枠を越えた新たなポップスの創造主というイメージがしました。その小田氏が作った初めての映画。話は男女の恋愛模様を描くごく平凡なものです。映画館の大きなスクリーンで見るべき要素が少ない映画です。音楽作家が着手する映像世界というのは、ある意味自己満足的な仕上がりになるのでしょうね。魅力あるキャラクターの見せ方には、ほど遠い視点だし、台詞にもあざとさが見え隠れしています。俯瞰撮影を多用した点で、ミュージックビデオのムードが漂いますし。 ただ、物凄く綺麗に撮っている点で(人物、建物、自然等)小田氏の繊細な感覚というのは十分伝わってきます。音楽は良かったです。ファンだからこその評価になりますが。 4点(2004-05-08 13:47:22) |
2. イレイザーヘッド
心のダークサイドに落ち入ってしまうような映画でした。モノクロの陰鬱なトーンが終始、これは映画であること否認するみたいに頭の中に侵入してきます。誰かの悪夢の真只中にいる、そんな真っ暗な浮遊感もあって、観終わった後はぐったり。「エレファント・マン」のヒットで注目され、上映の運びとなった今作品ですが、説明のしようがない摩訶不思議な内容で、ただ、疲れました。五感全部に「負荷」のかかる珍しい映画です。 6点(2004-03-23 17:27:24) |
3. 1941
《ネタバレ》 公開当時に、さんざんボロクソの批評書きまくられていて、「可哀想」と思いました。自分は試写会で観たのですが、そんなに悪くないと、友人たちにも薦めていたのですが。(友人からは「嘘つき!」となじられました)スピルバーグという観点で観なければいいのに。あの監督がとか、あの「ジョーズ」の人がとかの先入観をなくせば、もっと楽しめたのに。確かに、諸手を挙げて「最高!」とまではいきませんが、戦争を馬鹿にするその批判精神は、充分伝わって来ています。大観覧車が転げるシーンが「未知との遭遇」のマザーシップを彷佛とさせるなんて記事もみかけましたが、パロディをさがすような作品ではなかった気がします。単純にバカバカしい人々が、大騒動を繰り広げる、結局おもちゃ箱をひっくり返したような、大人の仕掛ける戦争なんてのはそんなものですよ、で、誰かがそれを片付けなきゃいけないんだけど・・。 7点(2004-03-04 13:17:28) |
4. インデペンデンス・デイ
《ネタバレ》 やたらと大きい円盤が地球にやってきて攻撃をしかける。全世界の主要都市が壊滅的ダメージを受ける。どうする地球人!うわあ、凄いSF超・超・超大作?・・・。特撮バンバン、音楽ガンガン、物量で見せてくれます。壊してくれます。娯楽といえば娯楽なんだけど、凄く達観して観れてしまうのは何故?迫り来る侵略カウントダウンに何のサスペンスも感じないし、W・スミスの空軍機と宇宙船のチェイスも演習にしか見えないし、迫力ある画つくりだけではカバーしきれない何かがあったようで。アメリカ万歳!と声高らかに謳っている様は、オリンピックや野球ゲームを見ている印象を持ってしまいます。スクリーンでの見応えは申し分ないのだけれど。 6点(2004-03-04 11:53:19) |
5. E.T.
《ネタバレ》 S・スピルバーグって天才!と思った映画です。(誤解を承知で言うなら、後にも先にもこれを越える作品をスピルバーグは撮れていないと思います)満月を背景に、自転車で飛んでいるシルエットだけで、これはもう名作!と信じて疑わなかった公開前。ロードショー当日に並んで観た時の興奮は、今も忘れられません。E.T.との出会い、かくまう兄弟達の絆、複雑な家庭事情、E.T.に昔から会いたいと願っていた研究所の偉いさん、これらの材料がうまくミックスされて、クライマックスへ流れる展開は、見事の一言。自転車で逃げ回り、別れの森に着き、おそらく永遠のさよならになるであろうE.T.とエリオット。「僕はここにいるよ」のあのひとさし指が示す友情は、性別とか国とか、宇宙とかそんなもの関係なく「大切なもの」であると教えてくれました。20才の時に観て、おいおい泣いていた自分ですが、40才になってもおいおい泣いています。この映画の涙はもの凄く幸せになれる涙です。 10点(2004-03-03 11:30:56) |