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わいえすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 107
性別 男性
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1.  ザ・バンク -堕ちた巨像- 《ネタバレ》 
銀行を悪役にしたサスペンスなわけだが、捜査対象は武器売買で、殺し屋がわんさかと群がり、グッゲンハイム美術館を半壊させるという派手さ。銀行がここまで過激な悪役を演じるというのも、時代の流れというヤツか。いやいや、その点に異存はないのだが、ここまで悪辣だと、昨今の金融危機と関係があるんだかないんだか。武器売買に要人暗殺とか、もうモラルの欠如とかいうレベルではないからね。パンフによると、企画は6年前から存在しており、実際の事件をモデルにしているという。まあ我が国でも銀行と地上げヤクザの関係とかあるし、別に目新しいことではないのだろう。そもそも原題が「The International」で、銀行を中心とした金融というシステムを介した、国際的な陰謀といったニュアンスだと思うのだが、すっかり金融危機に便乗している。その割に日本での興収はイマイチだな、きっと。一転して敵の冴えない殺し屋と一緒になって戦うという展開に超萌えます。ここだけのために観る価値があると思う。善と悪、表と裏が荒々しく交錯する、作品と時代を象徴するようなシーンだ。主人公の名前も「ライ麦畑」の作者みたいでいい。
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-22 22:47:51)
2.  ザ・シューター/極大射程 《ネタバレ》 
タイトルとポスターは満点。しかし極大射程と言いつつも、主人公が実際にそのようなスナイプに挑むわけでもない。スナイプの細かい描写があるのは最初だけで、後半はセガール並みにサクサクと、実にあっさりと敵をスナイプしていく。そういう点でのカタルシスはあるが、キメの一発をビシッと決めるような緊迫感はあまりない。でもこの方がリアルなのかな?本来地味で陰気なスナイパーと派手なアクションヒーローというのは、相反するものだと思うのだが、マークはもうやりたい放題に両立させている。良くも悪くも70年代ノワール・アクションと、80年代ヒーロー・アクションの雰囲気が半々といったところだろうか。でもやっぱりセガールに一番近いと思う。このテのアクションは好きなので、結構楽しめた。裁判とか真実をどうのこうと言わずに、あっさりと殺っちゃうところも嫌いではない。FBI長官のセリフがいいですね。しかし悪役が、「お代官様」「お主もワルよのう」レベルなのが興ざめである。テンポとスピード感はあるが、この設定ならもう少し重厚なポリティカル・サスペンスにもできたはずである。監督は元々こういう軽いというか、微妙に抜けてるセンスなので仕方ないか。
[映画館(字幕)] 6点(2007-08-07 12:06:33)(良:1票)
3.  ザ・コンテンダー
クリントン後の民主党政権という設定が哀愁を誘う。硬派でリベラルな政治ドラマとしてはなかなか面白い。政界でのセックス・スキャンダルというエグいテーマを、実にスマートかつクールに見せる抑制の利いた演出と演技は好感が持てる。しかしこの脚本であれば、もっと観る者の胸にぐりぐりと迫ってくるような演出にすることもできたはずである。政治の世界のよりダーティでどろどろな面を見たかった気もするし、これくらいの方が実はリアルな気もする。この辺りで好みが別れそうである。あるいはこの抑制にこそメッセージを見出すべきなのかもしれない。いずれにしても永田町にはないこの華麗さとカッコよさはさすがと言うべきか。映画も政治も見た目は重要である。アップの多用は臨場感がありなかなかの迫力であったが、その割にゲイリー・オールドマンに気付くのに1時間くらいかかってしまった。あの髪の毛は抜いているのだろうか?テレビ出演でだまし討ちに会うシーンの演出がスリリングでよかった。
[地上波(字幕)] 8点(2005-08-09 00:32:39)
4.  殺人の追憶
アーミーブーツに袋を被せる。土手の上から同僚にとび蹴り。風呂屋で捜査。自白強要。スナックで喧嘩。笑うに笑えないエピソードに笑っているうちに話は進む。そして再び事件が起き、だんだんと笑えない状況へ。草原を渡る風。薄暗い空。劇中の刑事たちと一緒に、我々のテンションも徐々に、真綿で首を絞められるようにヒートアップしていく。容疑者。雨が降りラジオで曲が流れる。しかし頼みの機動隊は学生デモ鎮圧のため来ない。次の日再び遺体が発見される。ボルテージは最高潮。そしてクライマックスで限界寸前に。かろうじて正気を保つ状態で映画は終わる。観賞後の何ともいえない複雑な感慨。刑事たちの怒り、悲しみ、無念、事件の不気味さ、恐ろしさ、混乱した時代背景に思いを馳せる。と同時にいい映画を観たなという一抹の爽快感。恐らく技術的に難しいことは何ひとつしていない。しかし完璧に決まったカメラワークと俳優たちの力強い演技が、どちらかといえば淡々としたストーリーに緊迫感を加える。あれだけのアップの連続に耐えられる俳優はそうはいまい。異様な迫力で我々の胸に迫る。残るものは実に重たい。名作を通り越した怪作。
10点(2004-08-19 22:51:03)(良:3票)
5.  櫻の園(1990)
初めてこの作品を観たのは、某タブロイド紙?の映画賞の授賞式においてでした。友人が何故か招待券を持っていたので、何の予備知識もなく一緒に観に行きました。授賞式が始まる前から、一番前の席に、制服をきた女子高生がずらっと並んでいて、一体何だろうと思っていたらなんと、この作品で演劇部員を演じた皆さんだったんですね。授賞式では皆さんがステージ上に一列に並んで、それはそれは壮観な光景でした。今は亡き田山力哉氏が、「天と○」や「稲○ジェーン」をコキ下ろしたり、今となってはいい思い出です。ついでに個人的なエピソードをもう一つ。屋上でボイトレをするシーンで、どこか見覚えのある景色だと思って見ていたのですが、エンドロールで気がつきました。撮影に使われたのはなんと、私の地元にある私立S学園だったのです。赤いタワーと山並みが特徴です。当時高校生ながら、いや、だからこそかもしれませんが、音、特に学校独特の静けさとか騒々しさがリアルで感心した記憶があります。脚本家の方は、電車で女子高生の会話を盗聴して、研究したそうです。作家は女性を描ければ一流といいますが、映画にも当てはまるかもしれませんね。  
9点(2004-06-26 01:21:25)
6.  13デイズ
多少細部の脚色はあるらしいが、おおむね事実に則して描かれているようだ。やはり一番驚いたのは、当初はジョンが感情的に、あるいは大統領として中立の立場から、表立って軍部の主張するキューバ空爆には反対していなかったということだ。事実、最後のロバートとドブルイニンの会談が失敗すれば、数十時間後には空爆開始というところまで追い詰められていたのだ。キューバ空爆は、即全面核戦争を意味する。おまけにクレムリンの状況をホワイトハウスはほとんど把握していなかった。ぎりぎりのところで危機を回避した、当時の指導者たちの冷静な判断力は賞賛に値する。ケネディ兄弟の死後、一族のスキャンダルがいろいろと暴露されているが、この作品を観ると、ただスキャンダラスなだけではない、彼らのその若さにそぐわぬ卓越した政治手腕には改めて感心する。エクスコム会議の席上では本音を言わず、兄弟2人きり、あるいはケニーを加えた3人の時だけ、感情も顕に本心をぶちまける。重要事項は自分たちだけでほとんど決定し、その決定に会議を誘導する。この狡猾さは、神話というにはあまりにも冷徹で、恐るべきものだ。この作品では、大統領特別補佐官で、ジョンとロバートの大学時代以来の親友でもある、ケネス・オドネル、通称ケニーの視点から、彼ら3人の結束を軸に、いかに彼らがキューバ危機を乗り越えたかが描かれている。ケニーはジョンやロバートと、時にぶつかり合い、時に彼らを叱咤激励しながら、危機を回避しようと奮闘する。ケビン・コスナーについては、意見が分かれているようだが、現実にケネディ兄弟の親友だったことを考えると、あの程度の発言は充分あり得るのではないだろうか。作品の随所に登場し、実に魅力的に描かれている、彼ら3人の固い絆と友情を示すシーンは、ケネディ兄弟の悲劇的な最期と重ね合わせて観ると、改めてより一層胸に沁みる。派手なアクションがあるわけでもなく、ほとんどはホワイトハウス内のシーン。にも拘らず、冒頭から最後まで途切れることなく続く異様な緊張感。出演者たちの気迫の漲った演技が素晴らしい。特にロバートとマクナマラ国防長官、アドレイ国連大使の3人の存在感が光る。キューバ危機を知っている人も、知らない人にとっても、格好のテキストになることは間違いない。ポリティカル・サスペンスの傑作。
10点(2003-01-02 02:48:10)(良:3票)
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