1. サルバドル/遥かなる日々
海外におけるアメリカの反共政策を糾弾した作品。むき出しの暴力がみせつける問答無用の恐怖がひしひしと伝わってくる。でもあの国家の政府は全然めげていない。アフガニスタン、イラク、さらにはパレスチナ・・・(インドネシアでもスカルノ政権を倒す際、アメリカは無茶苦茶やっている)。ときどき見直して、「ならずもの国家」アメリカの狂気に目を覚ましておきたい。なんか最近こういった作品が少なくなったなあ。。。 8点(2004-03-04 21:50:30)(良:1票) |
2. さらば、わが愛/覇王別姫
おすぎがこの作品を褒めながら、「日本人はもっと歴史というものを大切にしなきゃだめよっ!」って言っていた。たしかに歴史の波に乗ると厚みが出る。日本の歴史大河ものは英雄史観で、歴史に翻弄される被抑圧者が示す「火事場のばか力」を描ききれていない気がする。この点、中国物はうまいなあ、って感心させられるが、これも中華思想の強みだろうか。 8点(2004-03-01 20:48:29)(良:1票) |
3. さよなら子供たち
非常によく練られた映画で、歴史の荒波が子どもにも容赦なく襲い掛かる時代をよく表現していたと思います。僧侶マニアのわたしとしては神父が善玉として描かれていることも嬉しい。でも史実は、ナチに協力したフランス人や神父も多かったのです。このあたりが影として描きこまれていたら、もっと深みが出たと思うのですが、これはルイ・マルに望むべきことではないかもしれませんね。反省。。。 7点(2004-02-12 22:34:19) |
4. サウンド・オブ・ミュージック
二十数年前、中学3年のときはじめて観ました。それから一度も観ていないはずなのですが、ほぼ完璧に近くストーリーと名場面の数々を憶えています。これはおつむパーのわたしとしては奇跡的なことです。顧みればこの作品、はじめて観たとき(つまりたった一度の『サウンド・・・』経験のとき)でさえ、既視感があったくらいです。ボロ「蓄音機」で歌は何度も繰り返し聴いていたからかな。昨日観たような感じなので、懐かしいという感じがしないのですよ。その意味で不思議な作品です。 9点(2004-02-10 21:28:42) |
5. サン★ロレンツォの夜
ひとつの村の中でファシスト派とパルチザン派が死闘をするというトラウマとなるような状況で、少女の視点を中心にどろくさくならないような画面展開となっています。たんに事情に通じていない子供の視点というよりも、控えめに記憶の救いを描きこんでいるような印象を受けました。もっと悲惨な体験をした人もいましょうし、正反対の体験を思い出す人もいるでしょう。この映画は中庸の良さを醸し出していました。 7点(2004-01-30 23:18:56) |
6. サクリファイス
わたしの記憶違いでなければ、この作品でタルコフスキーは故国ロシアとのへその緒を断ち切ったような気がします。魔女と噂される女性にかすかにロシア的な香りを認めることができましょうが。自分の残り少ない余命を自覚してか、終末という大テーマに取り組んだ勇気には感銘を受けました。また、一歩誤れば通俗的なイデオロギーに陥りかねない核戦争や禅味を、なんとか緊張感を失わないで描ききったところなどは、さすがといわざるを得ません。加えて個人的な印象にすぎないのですが、その言葉を知らない人においてさえただ響きだけでもって魅惑するロシア語ではなく、こもったような、正直言ってあまり美しくないスウェーデン語(?)に徹したことも今となっては心惹かれるところです。タルコフスキーが英語の作品を残さなかったことはよかった。 9点(2004-01-17 23:00:15) |
7. ざくろの色
鮮烈な色、色、色、、、、、 ともかく爆裂した色彩です。さまざまなシーンが記憶に残っていますが、どれもストーリーというよりもイメージの記憶として脳裏に焼きついています。イスラムの影響が濃い音楽も凄い。「めくるめく」という表現がこれほど似つかわしい作品は他に思いつきません。これを観た当時ソ連の検閲官はいったいどう反応したのでしょうか。ともかくあのハイな気分が忘れられず、もう一度観たいのですが、どうすればよいものやら。。。 10点(2004-01-16 17:23:24) |