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1.  細雪(1983)
市川崑のスタイリッシュな映像美の魅力がよくわかる作品。美しい日本の美意識・情緒が映像として表現されているだけでなく、会話のシーンの中に突如挿入されるワンカット(例えば石坂浩二の「えっ?」というような表情の変化だったり、きゅっときれあがる着物の帯の着付けの場面だったり)、または普通では思いつかないような構図などが、ぎょっとするような違和感を醸し出しており、それが非常にシャープなリズムを刻みだしている。いわゆる作家性という点では小津や成瀬、溝口といった巨匠のドラマツルギーには遠く及ばない、いわゆる職人監督である市川崑だが、映像の切れ味による物語の構築方法は素晴らしい。というかその点では邦画の最高峰ではないだろうか。市川作品においてはもはやストーリーがどうこうということではなく、この映像の積み重ねが織り成す映画鑑賞以外の何者でもない映像体験をこそ味わえばよいということがよく理解できる。「犬神家の一族」と並び、市川ワールドの入門編ともいえる傑作だと思う。芸達者な役者達によるまさに邦画的な会話がここちよく時間を忘れさせてくれる。何年かたったら是非又観てみよう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-11-19 14:35:03)
2.  さよならみどりちゃん 《ネタバレ》 
星野真里の体あたり演技、西島秀俊のはまりっぷりも良いですが、なんといってもラストのカラオケのシーンで見事なカタルシスを(偶然なのかもしれませんが)演出した古厩監督の才能はお見事だと思います。このシーンがなければ印象は全く違ったものになるでしょう。こういう駄目な人たちの映画って好きなんですが、駄目なりに爽快感がないといけないですよね。駄目だなあー、悲しいなあー、自業自得の面もあるよなー、でも見終わった後に何だかさわやかな気持ちになるよなー、ならば傑作といっていいのでは。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2007-08-07 11:48:34)
3.  佐賀のがばいばあちゃん
単にエピソードを羅列してあるのみ。登場人物も類型的。葛藤も対立も成長もない=ドラマがない。映画にする意味なし。映画として描くなら少年が佐賀についてからの数週間、ばあちゃんや佐賀の人々と出会い、戸惑い、対立し、それを乗り越えるまでをじっくり描くべきでしょう。せっかくクラスメートと喧嘩したもののあっさり握手しちゃうし、線路を歩いて広島へ行こうとするおいしいエピソードもあっさり流しちゃうし。まわりの人もいい人すぎ。原作の知名度に頼って適当に映像化すりゃあそこそこ回収できるだろう、地元からもかなり金を引っ張れたしこんなものでいいのでは、という志の低さが露呈した駄目映画。ただ映像的な美しさはあるので+1点で3点がいいところ。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2007-08-07 11:10:05)
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224.35%
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