1. サイド・エフェクト
《ネタバレ》 冒頭から「サイコ」だな、と分かる。実はそれだけでこのストーリーの大半を予測できてしまうくらいこの映画はサイコ、そしてヒッチコックで出来ている。ナイフで刺す効果音までそっくりである。ミニマムな語りとハッとする構図、きっちり基本を押さえている撮り方はさすがである。 [映画館(字幕)] 7点(2013-09-08 23:49:31) |
2. ザ・マスター
《ネタバレ》 初めに述べておくと、これは傑作である。しかしどうにもつかみどころがなく、この映画を映画に即して観て考えることは非常に困難だ。様々な観点からのこの映画の批評を期待するところである。私は二つの表面的な点だけを指摘しておきたい。まずオープニングから、海。元はふかい青、緑のような色であった海に、船の立てた泡が白く混ざり、何ともいえぬ淡い青になっているオープニングから心をつかまれる。これはオープニングだけでなく、劇中で三度ほど出てきているので、恐らく重要なシーンであろう。船も何度か出てくる。そして被写界深度の浅さである。非常に浅い。特にフレディが最初にコーズの船に乗り込むシーンは、まず手前のフレディ、そしてフレディがぼやけて船、そしてまたフレディ、というように被写界深度の浅さが効果的に使われており、意図を感じる。後半はそれほど浅さを感じることはなかったのも一つのポイントだろうか。全体として、この映画はなんだかよくわからない。宗教団体コーズを描いているが、この映画から宗教的な香りはしない。では世俗的な人間ドラマなのだろうか。恐らくそれも違う。事態はもっと複雑で、恐らくこれは宗教的ならざる神秘性のようなものを描いているのではないだろうか。これは振り返ると「マグノリア」のテーマであったようにも思う。そしてこの映画におけるその神秘は、フィリップシーモアホフマンでも空から降ってくる大量のカエルでもなく、フレディ自身なのである。 [映画館(字幕)] 9点(2013-03-28 19:06:54)(良:1票) |
3. ザ・タウン
単純に面白い。イーストウッド風の撮り方は相変わらずだが、仲間の死を見ながらも自らの生きかたを見つめなおす主人公。クレアの感じはデジャブだが、あっさりと描くことで退屈から免れている。銀行強盗のシーンのスタイリッシュさで7点あげてもいい。 [映画館(字幕)] 7点(2013-02-06 01:35:58) |
4. SOMEWHERE
ソフィア・コッポラのベスト。「ヴァージン・スーサイズ」の頃の甘ったるい冗長さが洗練され、上品な甘みへと進化を遂げている。間の取り方や動きそのものを見せる画にこだわったシーンや、美しさには魅了される。この起伏のなさに、我々は劇的なドラマ(これは皮肉な同語反復だが)を普段望みすぎているのかもしれない、と気付かされる。本当にストーリーに起伏はなかったのだろうか? そんなはずはない。我々は劇的な劇を、二重のドラマを欲するあまり、何気ない感情の動きや機微に鈍感になっているだけではないか。映画は何を映し、我々は何を観るのか、を再考させられるような一本だった。 [DVD(字幕)] 8点(2013-01-10 21:27:50) |
5. サニー 永遠の仲間たち
この新しさと陳腐さを兼ね備えた映画はハリウッドはおろか、邦画でも決して撮ることはできないと確信できる。古臭さすらオリジナリティになっていて面白い。痛快な映画であった。 [映画館(字幕)] 9点(2012-11-10 14:51:59) |
6. サラの鍵
スコット・トーマスが抜群に上手い。ストーリーもご都合主義ではなく、非常にリアルで、サラを追いかけるうちに自分のアイデンティティまでも考えることになる。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-19 23:08:53) |