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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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1.  サウンド・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
先日、久しぶりに再見しました。やっぱり10点を付けます。 他愛無いストーリーなのです。嫌な奴だった大佐は急に頼れるイイ奴になるし、そんな奴にコロっと惚れる主人公はチョロい乙女の典型だし、問題児っぽく登場した子供たちもいきなりイイ子たちに変身するし…。でも、ミュージカルに深いストーリーは不要。その見本のような見応えなのです。歌唱シーンへの移行に不自然を覚えないと云う意味で、ミュージカルが大の苦手な私がすんなりと観られるだけでやっぱり凄い作品だと思います。 今回、伯爵夫人の潔さに感心しました。人物像として最もしっかり描かれているのは、実はこの人かと。彼女がひねくれた人だったらこのストーリーは成立していないですよね。 それと、映画で見せられた風景でいつか訪れてみたい場所のナンバーワンが未だにここです。森と湖と草原。本作以降にも美しい風景はたくさん見ていますが、やはり若い頃に覚えたインパクトは色褪せないようです。
[ビデオ(字幕)] 10点(2017-05-16 02:17:46)
2.  ザ・フライ 《ネタバレ》 
SFホラーの金字塔だと思います。古典である「蠅男の恐怖」を当時の世情に見事に蘇らせました。「蠅男の恐怖」を観たことのある者にとって、最初の転送でセス・ブランドルがポッドから出てくるシーンには緊張が走る。しかし、何事も起こらず肩透かしを食らう。これはどうしたことだ?という疑問を整理しようとするうちに、興味の尽きない怒涛の展開が始まる。肉体の変調に不安を覚えたブランドルがテレポッドのコンピュータで何が起こったのかを追及します。答えは蠅=フライとの「fusion」。私はここに痺れました。首がすげ替わるだけだったオリジナルと違い、遺伝子レベルでの「融合」が起こる。しかしコンピュータの回答は単語ひとつ。その呆気なさと重篤な事実とのギャップから漂うSFの香りが堪らなかった。ブランドルの肉体の変化と心境の変化がシンクロして進むシナリオも良く出来ている。ハエの生態を人の肉体に転写して行く描写が巧みで、グロさよりもアイデアに感心する。ブランドルは死を予感し、悲嘆し、やがて受け入れ、しかし最後は人間に戻りたいと願う。その心情が違和感なく受け取れるから、結末が複雑に残響する。SFの面白さとは大ウソをひとつ捻り出して、そのウソに基づいた描写で全体を固めること。グロさに目が行きがちだが、本作はテレポッドの機能を遺伝子融合装置へ転化させたところにSF作品としてのワンダーが集約されており、堅実にセオリーを守っていることが見応えに直結していると思う。私の中では「ターミネーター」と並び、B級からスタートしてA級に転じた数少ない傑作です。
[ビデオ(字幕)] 9点(2011-02-13 13:16:14)(良:2票)
3.  座頭市物語 《ネタバレ》 
自分にとっての娯楽映画とは、黒澤の「七人の侍」やジョン・スタージェスの「大脱走」が代表になるんだけど、この「座頭市物語」にも同種の魅力がたくさん詰まっている。子供の頃は、勝新太郎という名前じゃなく、座頭市が固有名詞だった。後に作られたテレビシリーズではもう少し道徳的なキャラクターだった記憶があるが、この映画の第一作では立派なヤクザもの。決して正義の味方ではないところが魅力的だ。というか、勝新太郎らしい。盲目というハンディを抱え、マイノリティとしての反骨から居合いを習得したと語られるあたりに、負のエネルギーの強さを感じる。文字通り、ダークサイドに取り込まれた男。多くは披露しない居合いの切れ味や期待を裏切らない強さ。出しどころを限定するもったいぶりと、盲目という前提が、パフォーマンスを倍化させて見せる。天地茂が演じる剣客と深いところで心を通わせるあたりの丁寧な作りや、ラストシーンでやくざの親分を叱りつける筋の通し方などがとても上手い。この第一作を観ないと、他の座頭市が見られないような法律でも作って、多くの人に観て欲しい。それほど飛びぬけたレベルを感じさせる一級のエンターテイメント。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2009-09-22 13:32:18)(良:1票)
4.  サベージ・キラー 《ネタバレ》 
ビバB級!って感じの快作でした。 輪姦された挙句に殺された女性がゾンビになって男どもを皆殺しにするお話。こう書くと復讐譚としてはありがちで、ゾンビ化にはご都合が意識されますが、要所に配置された設定が精巧なので不満も違和感も覚えずに最後まで引き込まれました。細身の美人が銃やナイフを持った男たちを相手に激しい立ち回りを見せます。ゾンビだから強い訳ではなくて戦闘技能の説得力が不可欠でしたが、上手く解決したと思います。その設定が過激な復讐にも説得力を与えていて、一石数鳥の効果を発揮していました。殺される男どもが最低な奴らってところも重要。残忍描写がカタルシスになります。 感動するとか教訓を得るとか、そんなお題目を抜きにただ面白い。B級はやっぱコレですよね! でも、見応えのあるB級って実は相当に細かい計算の上に成立することを再認識させてもらいました。見事だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-09-17 12:09:06)(良:1票)
5.  猿の惑星:創世記(ジェネシス) 《ネタバレ》 
オリジナルの初作に繋がる前日譚を、展開が読めないSF的な魅力に溢れたストーリーにまとめています。元々のシリーズにも現代の地球に知性が発達した猿が生まれるジェネシス的なストーリーはありましたが、それは未来の地球から時間を遡ってやってきたコーネリアスたちの息子という強引な設定だったので、本作に置き換えることでとてもスッキリしました。オリジナルに繋がるという意味で、このシナリオはかなり良く練られています。私が感心したのは、猿たちの隆盛と人類の衰退の両方をSF的に解決している点です。それぞれは同じウィルスが原因で起こりますが、猿が人間を駆逐した訳ではない構成が納得しやすくて秀逸です。オリジナルのラストシーンで自由の女神の残骸を見たテイラーが「お前たちは本当にやってしまったのか」と核戦争が起こったことを示唆しましたが、それはテイラーが生きた時代背景が言わせた台詞として理解できるし、実際がウィルスの蔓延だったとしてもオリジナルを損なわない。何より、今の時代に核戦争を起こす不自然さを解消したことは功績と言いたいくらいで、個人的に低評価だったオリジナルの3作目以降を無かったものに出来ることが心地良かったりする。表現面で感心したのは、なんと言ってもシーザーの意志表現ですね。ほとんど眼差しだけで知性と感情を表現していて、彼の行動から目が離せずスクリーンに深く入り込めました。内面を表現する部位として眼の重要さを再認識した気分です。ヒロインのフリーダ・ピントは今後が楽しみです。
[映画館(字幕)] 8点(2011-10-16 20:58:00)(良:3票)
6.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 
本作中のラッセル・クロウを形容するいい言葉が思いつかないのだけれど、あえて言うなら人格者だろうか。決して品行方正で道徳心に溢れた人物ということではない。他者の気持ちを汲み、時にはそれに応えることができる度量のある人物という意味です。私の中では、モンキー・D・ルフィなんかもこのタイプに入ります。父親は息子や家族に対して、一家の主としてのスタンスを築きたかった。今回の護送も正義感の申し入れではない。家族に尊敬されたいが8、借金の足しが2、くらいの割合だろう。妻や息子が悪人に対して憧れに似た興味を持っていることは感じており、その悪人と対等に渡り合う仕事が失地回復に繋がると思料した。悪人は取り引きを持ちかける。400ドルも積めばなびくと思われた父親は1000ドルでも首肯しない。父親が欲しかったのは「誇り」。それは札束では買えない価値で、父親は命を賭してもそれが欲しかった。父親の心情は悪人を刺激する。その背景には、恐らく悪人の両親との辛い過去が関係する。悪事を重ねることで自分の「誇り」を築いてきたことも関係する。金銭価値とは無縁の「誇り」だからこそ、悪人を揺り動かしたのだと思う。ラストシーンで悪人が仲間を撃ち殺したのは、父親の敵討ちではなく列車に乗るためだ。父親の仕事を完遂させ、息子に贈りたかったのだ。その為に自分を助けに来た仲間を皆殺しに出来るのも、この悪人の特殊な人格ゆえだろう。本作は父親が「誇り」を獲得する物語。その価値を評価し尊重する役割を、奇しくも護送される悪人が担う。対照的に思えた二人の男の価値観に接点が生まれた時、テーマが浮上しました。他者の奥底の想いを汲み取る行為は尊いです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-11-25 00:57:13)(良:2票)
7.  猿の惑星 《ネタバレ》 
面白さという意味では抜群のできでしょう。あの印象的な音楽はジェリー・ゴールドスミスだったんですね。初めて観た小学生の時には、ラストカットに戦慄しました。色んな映画に出てくるモニュメントだけど、この映画での使われ方が最も雄弁。そのラストシーンだけがよく取り上げられるが、展開が読めないSF的醍醐味と、多くの暗喩が込められたストーリーには、随所に見どころがあると思います。 地球から300光年離れたオリオン座のとある星を目指していたテイラーたちの宇宙船がなぜ地球に戻ってきてしまったのか、という疑問には答えていないが、相対性理論が示す光速と時間の論理をタイムマシン的に見せている映画はいまだにこれだけじゃないかな。 猿の世界で中世の宗教的暗黒時代をなぞりつつ、しっかり現代人にも鉄槌を下す。テイラーの「本当にやってしまったのか」という最後の台詞はあの時代の実感ワードだろう。映画の基盤に人類の愚かさが多面的に表現されていて、さすが名作という印象です。 聞きかじりの知識だけど、原作者が第二次大戦中に日本軍の捕虜になった経験があるらしく、それをダイレクトに映画にしたのが「戦場にかける橋」で、今作でも黄色人種に拘束された屈辱をストーリーに込めているらしい。するとあの猿たちはイエローモンキーってことで、ニッポン人としてはビミョーな心境だけど、面白かったからいいや。。
[地上波(吹替)] 8点(2009-04-12 22:09:56)(良:1票)
8.  サイドカーに犬 《ネタバレ》 
人は環境が変わることで、成長することがある。慣れてしまった日常と違った世界観や価値観に接する機会が人を成長させる。実は堕落する場合もあるんだけど、それは本人次第。それを旅行しながら見せるのがロードムービーってやつですが、10歳の夏にご飯を作りに来たヨーコさんとの出会いは薫ちゃんにとって、さながら家に居ながらのロードムービーの始まりだった。両親との暮らしの中で見て来た家庭の習慣が、唯一の正解ではないことに気付かされる。カレー用の皿に麦チョコを入れても怒る人はいないし、コーラを飲んでも歯は溶けないのである。あの年齢の子供にとって、これは実は大事件だと思う。ヨーコさんは決して道徳的な人じゃないけど、自分に正直に、ある意味自由に、そして誠実に生きている。それを感じることは、100の道徳を諭されるより意味がある。薫ちゃんはヨーコさんとのコンタクトにそんな意義を本能的に感じとっていたのだと思う。目の当たりにした母とヨーコさんの肉弾戦は、良くも悪くも大人の女の世界を垣間見させ、ヨーコさんはいなくなった。自転車に乗れるようになった10歳の夏。それは爽やかな風のように通り過ぎ、ヨーコさんは薫ちゃんにとって特別な存在になった。最小限の表情変化で微妙な心情を表現していた松本花奈と、形容が難しい微妙な大人の女を演じきった竹内結子に拍手。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-12-15 23:23:05)(良:1票)
9.  さびしんぼう 《ネタバレ》 
昔はさほど気にならなかったコメディ的な描写がことごとく寒く映りました。そこに関しては隔世の感しきり、です。 でも、本作を高く評価するのはユニークなテーマ性に対してです。怖いものが無いように見える「おばちゃん」。彼女たちも、かつては可憐な「少女」だった。そんな当たり前の事実が胸を打ちます。本作は、おばちゃんたちの少女時代に捧げるレクイエムだと思いました。 おばちゃんたちと少女の差は「さびしんぼう」の有無です。本作では片想い状態を「さびしんぼう」と呼んでいるようでした。その中身は、自分に自信が無くナーバスでセンシティブな状態。おばちゃんから欠落しているものです(笑)。世間と子育てに揉まれて失ったのか、単に長く生きたからなのか。少女とおばちゃんの落差は、少年と中年オヤジの比では無い(と、個人的には思う)。典型的なおばちゃんの母親も、昔はそんな「さびしんぼう」だったことが主人公の現在と並行して描かれます。そして、おばちゃんの「さびしんぼう」も実は完全に消滅した訳ではなく、彼女たちの奥深くで燻り続けていることが分かります。青春の残滓を大切に守り続けるように。 本作はこの監督ならではの高度な感傷的作品だと思うけど、同時に男性視線の偏重も感じます。モチロン、このレビューも男目線です。
[映画館(邦画)] 7点(2013-06-28 02:19:26)(良:1票)
10.  最後の忠臣蔵 《ネタバレ》 
外国人が見たら首を傾げるシーンが多い映画でしょう。なぜ、娘の愛情を汲んでやらない。なぜ、嫁がせた後に腹を切る。日本的な武士道精神の美しさだけでなく、表裏を成す厳しい側面を描いた作品だったのだと思います。主君から託された娘を育てる「使命」。それにすべてを懸けて来た男。情が移っても自分の娘ではないし、まして一人の女性として見ることなど許されない相手。この微妙な封建的心理を言葉少なく表現しています。役所広司の抑えた演技が冴える見どころです。そして切腹。自らの人生を大きな流れの中に位置づけ、諦観と共に受け入れる。こんな厳しい生き方、とても真似できません。元々の「忠臣蔵」も仇敵暗殺後の報いを覚悟したお話でした。本作も、良くも悪くも「忠臣蔵」、あるいは尊くも厳しい「忠臣蔵」の世界。この割り切れなさがテーマだと思いました。桜庭ななみの演技が想像していた以上に良かったです。年相応の恋心と自分の立場の相克を、こちらも言葉少なく演じていました。いつも同じようなことを言ってしまいますが、安田成美の床への誘い、なかなか蹴れませんよ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-05-29 22:57:37)(良:1票)
11.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
映画鑑賞歴は長い方だと思うが、すごく有名でも観る機会が無かった作品が何本かある。本作もそんな1本。当時、多重人格ものが斬新だったのかどうかは分からないけど、それに色々な要素を上手く組み合わせているという印象です。最初の30分は大金を持ち逃げした女の不安を煽り、彼女が死んでからは不気味な母親と息子に焦点が移る。ストーリーの途中で焦点が切り替わる構成には疑問符が付くが、本作は全体を通した流れやオチに見どころを置く映画ではなく、局面ごとの緊迫感を味わう映画なのだと思いました。簡単に言うと、観る側にどれだけストレスを与えられるか、という点で頑張っている。「サイコ」って単語自体が精神とか心理って意味を持っていますが、サスペンス映画とはいかにして観る側の「サイコ」を刺激するかが肝なんだと改めて思い至りました。ということで、本作はタイトル自体がサスペンスを主張している。古典ですね。テクニック的にはモノクロを上手く使ってます。モーテル横に建つ屋敷のシルエット表現や登場人物たちの顔に落ちる影の付け方もサスペンスでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-08-30 21:34:35)
12.  最前線物語 《ネタバレ》 
好きな映画です。連合軍の侵攻に合わせて戦地を巡る小隊に起こる出来事を横に並べてゆく構成にストーリーのうねりは無い。また、局地戦での勝敗や連合軍の勝利は重要視されていない。それを散漫と感じるかどうかで評価は分かれるでしょう。私は物語の根底に押しつけの無いヒューマニズムが感じられて、劇場で観たときからお気に入りです。原題はこの小隊の名称だけど、邦題も良い視点を持っていると思う。最前線は兵士が死んでゆく場所。そこでは命の価値が暴落します。この小隊は常に最前線に身を置きながらも死を回避し、やがて終戦にたどり着く。決して彼らの命が高値を付けた訳ではなく、暴落しながらも価値を保った風情です。でも、それが生き残るということ。長く大きな戦争を生き延びた生命と兵士たちの人間味がリンクしてほのぼのとした感慨が湧いてくる。戦争映画には珍しく、あたたかな見応えを残してくれる作品です。老兵に指揮された若者たちが生き残る様は、親ガモに見守られた子ガモが巣立つようで、青春映画の趣きもありました。学生時代以来で約30年ぶりの鑑賞でしたが、アメリカもこの戦争までは戦う大義があったからか、空気が爽やかです。ベトナム以降の戦争映画と比べると、とても健康的に映ります。
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-13 21:58:47)
13.  ザ・ファイター 《ネタバレ》 
主人公は世界チャンピオンにまで登りつめたボクサーだけど、家内制手工業でボクシングをやっていることに驚いた。その家族仕立てが原因で一度は挫折し、やり直して成功する。簡単に形容するとそんなお話でした。ジャンキーの兄を始めとして、息子たちを溺愛する気丈な母親、見分けがつかない7人(だったかな?)の姉妹たちがボクシングのマネジメントに口を出す。「外野がうるさい」状態です。家族の繋がりは無条件の信用の証でもあるが、同時に甘えの構造でもある。ストーリーの前半はそれが悪い方向へ転がり、チーム体制は崩壊します。出所した兄を、周囲に反対をおして受け入れる主人公。不満を募らせても家族から離れない彼のスタンスは、実はプロとして甘っちょろく見えました。リングで殴り合うような商売をやりながらも、家族に寄り添う小市民という印象です。本作はその姿勢を肯定も否定もせずに追って行く。主人公の恋人が母親たちと喧嘩するシーンがあるが、言い争っていることの内容が幼稚園レベル。結局、家族まわりの心情的なもつれなんて、とても次元の低い話なんですね。この家族は全員がお互いを大切に思っていました。兄の出所祝いは感動的でした。それは家族にとって最も基本的な、そして最も大切なことです。そこさえ揺るがなければ、多少の問題は乗り越えて行ける。振り返ってみると、ボクシング映画というよりは、ひとつの家族像を描いた作品でした。エピローグに兄が弟を称えて涙ぐむ短いシーンが挿入されます。唯一、これが狙ったシーンだけど、狙い通りに泣かされる。兄役のクリスチャン・ベールのオスカーは頷けます。ボクシング映画は役者に肉体の試練を課す作品が多い。本作もそのひとつ。主演のマーク・ウォールバーグは正統に体を作ってましたが、クリスチャン・ベールは元ボクサーにジャンキーの要素を加えていて、大丈夫かと思えるほど病的に見えました。体を作る膨大な時間を役柄に込めるので、演技も自然と迫真の力を帯びるのだと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2011-03-29 01:02:00)
14.  ザ・ローリング・ストーンズ/シャイン・ア・ライト 《ネタバレ》 
1972年のテレビのインタビュー番組。「60歳になっても続けていると思う?」という問いに「もちろん」と笑顔で答えるミック・ジャガー。会場からは笑い声が聞こえる。そのとき、彼がリアルにそう考えていたとは思わない。会場の笑いは「それは無理だろう」と云うよりも、若さのエネルギーをぶつけるようなパフォーマンスと「60歳」という言葉の響きが乖離していたからだと思う。でも、この人たちはやってるんだよね。実は、ひとつのことを長く続けること自体が称賛される事とは思わない。好きなことは続けるのが普通です。このフィルムから強く感じたのは、何歳になっても「自分らしい見え方、見られ方」を強烈に持っていることのカッコ良さだ。それには素直に憧れます。余談ですが、私は「ダイナマイト・ポップス」という歌謡曲バンドのライブの常連だったりするのだけど、ほとんどサラリーマンばかりのそのバンドのカッコ良さもストーンズに通じるものがあります。R50です。興味のある方は検索してください。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-09 22:32:23)
15.  サード 《ネタバレ》 
昔から気になっていた映画をやっと鑑賞。少年院の中のことは全く知識の無い世界だったので興味深かった。品行方正な人を目指して頑張りましょうというプログラムが、いちいちカルト宗教の洗脳っぽく見えた。少年たちは特に逆らうことなくそのプログラムをこなしていたけど、リアルに更生への道を歩んでいるというより、刑期が終わるのを待っているという印象。多少のいじめはあったけど、概して少年たちはみんな大人しく、永島敏行を含めて犯罪を犯したという印象がない。それはキャストの問題か? ホームベースが無いダイヤモンドを走り続けることは生への執着の暗喩だろう。行き先は見えなけれど、若さのエネルギーは溢れている。若者の無為・無気力が指摘される現代と比べると、時代の変化を感じずにはいられない。デビュー間も無い森下愛子が瑞々しい肢体を披露するエロシーンが盛りだくさん。それだけでも見応えありますよ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-09-27 21:42:25)
16.  39 刑法第三十九条 《ネタバレ》 
オープニングから暫らく、陰鬱な人物たちを、必要以上に被写体に寄ったカメラで描写します。しかもボソボソ何を言ってるのか分からない。とても不快で、全員がどこか異常に見えました。映画全体をサイコ調にしたかったのでしょう。狙いは分かるし、成功していると思います。とても不快だけど…。ラストで堤真一が誤算と表現した「共犯者」とは、精神分析を担当した鈴木京香が堤真一の内面に同調した、と解釈しました。結果として、演技が見破られた訳だけど、そこに至る過程で自らの考え方や痛みをトレースした人物がいたという事実に、堤真一は観念し、同時に安堵したように見えた。鈴木京香を自分の理解者と捉えたということです。堤真一もあの異常者演技を続けることに辟易していて、救われた部分があったのでしょう。肝心の三十九条問題は勉強不足で良く分からないです。裁判制度が裁くものは、罪なのか、人なのか、という概念の問題のように思えます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-08 00:52:00)
17.  ザッツ・エンタテインメント
常々、ミュージカルは苦手と言ってきた。が、今作は楽しめた。何故だろうと考えると、ストーリーが無いからだと気が付いた。反対に、ミュージカルが苦手な理由も判明。盛り上がったり、緊張したりの場面で歌ったり踊ったりされると、ストーリーが途切れる感じがするからだ。冒頭の方でガイド役の誰かが、ミュージカルはストーリーの深みを犠牲にしている、と云う内容のことを言っていたけど、まさにそこ。さらに「サウンド・オブ・ミュージック」がミュージカルなのに大好きな理由も分かった。歌うという行為がストーリーに組み込まれているから展開に違和感が無いんだ。つまりミュージカル全てが苦手というより、歌の挿入のされ方に好みがあるということですね。同類はたくさんいるような気がする…。今作に戻って、紹介されたミュージカルで観たことがあるのは「オズ…」だけでした。いかに自分がミュージカルを観ていないかを痛感。でも、豪華絢爛なシーンの連続で、このタイトルを付けた人には座布団5枚です。クラーク・ゲーブルのミュージカルには驚いたけど、いちばん驚いたのはフレッド・アステア。彼のダンスは群を抜いてました。二人並んで同じ振り付けで踊っているシーンが分かり易い。肩のラインやわずかな首の傾げ方、指先、足先まで完璧に計算されていて、パートナー(も超一流のスター)のステップがとてもいい加減に見えました。これまで「タワーリング・インフェルノ」の老紳士役でしかフレッド・アステアを観ていなかった自分は恥ずかしい奴です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-28 04:01:46)
18.  サウスバウンド
まぁ周囲の多くの人達から疎んじられることは仕方ないですが、私は好きですね、こんな親父。彼の中では、自由と義務と責任が独自のバランスで統制されているのでしょう。個性がハッキリしていて、キライなものをキライとハッキリ言う。子供たちに対しても、厳しいとか甘やかすとかいう基準じゃなく、個を尊重して接しているように感じて、そこに好感を持ちました。たぶん彼自身も、世の中全員が自分と同じがタイプで良いとは思ってはいないはずで、自分はアウトローを自認しているのだと思います。些細な矛盾などは、誰かが言い出さないと流れてしまうことが多いから。基本的に事なかれで自分の子供だけが可愛いタイプの親たちの100倍は立派だと思います。余談ですが、寒がりの私は沖縄に憧れていて、後半はあんなところに住みたいなぁと思いながら観ていました。両親ともあの古びた沖縄家屋を賞賛していたのに子供達はうんざり顔で、その対比が面白かった。もちろん自分は賞賛派です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-12-01 01:30:33)
19.  三大怪獣地球最大の決戦 《ネタバレ》 
人生で悪役をカッコいいと思ったのは、おそらくこの映画のキングキドラが最初だろう。あの引力光線には破壊のカタルシスがある。対称的に、この作品を境にゴジラは人類の味方になって行ってしまう。ザ・ピーナッツの同時通訳「ラドンもそーだ、そーだと言っています」にはずっこけた。そんな怪獣たちの会話など、突っ込みどころがいくつかあるが、キングギドラの存在感が圧倒的で自分の中では最高の怪獣映画のひとつです。
[映画館(邦画)] 7点(2008-11-18 23:24:25)(良:1票)
20.  最後の恋、初めての恋
お姉さん役のシュー・ジンレイが良かったです。 撮影スタッフに知人がいて、その苦労話に感銘をうけたこともあって+1点。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-06 00:36:41)
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