1. 知りすぎていた男
《ネタバレ》 サスペンスをずんずんと盛り上げていって、だけどラストシーンはサラリと粋にしめる、ヒッチコックは語り口がオシャレでしたね。もっとも、本編のサスペンスの構造は必ずしもサラリというワケにはいかず、有名なクライマックスに至るまでの物語は、映画館で見た時、どうも上手く理解しきれませんでした。要再見映画。 [映画館(字幕)] 7点(2009-06-26 00:23:47) |
2. ショウほど素敵な商売はない
《ネタバレ》 『これがシネマスコープだ!』みたいな、前年に世にお披露目となったシネマスコープのサンプルみたいな映画。見事なまでに全編がシネマスコープのフレームのための画面構成になっていて、「ちょっとポーズとか人物配置とか無理してない?」みたいな微笑ましい状態も散見されます。最近のとりあえずシネスコサイズなだけって映画を作ってる人達は、こういう、きっちりフレームを使った映画を見てもう少し勉強して欲しいところ(最近は上下に映像があってもおかしくないシネスコが多いのよね)。さて、耳馴染みの深い曲達に彩られたミュージカル、モンローが主役かと思ったら違うんですね。一家族の歴史を描いた物語に、むしろジャマな存在? 女優的にはむしろミッチー・ゲイナーの方が魅力的でしたし(中学時代に母と映画館で見た『南太平洋』の彼女だって、見終わってから気付きました)。絆が断ち切られて壊れてゆく家族の姿から一転、ありえないような怒涛のハッピーエンドですが、素直に感動しました。ショウビジネスの世界の華やかさを通して、その中に生き続けた家族を魅力的に描いた一編でした。 [DVD(字幕)] 9点(2009-04-30 00:01:54) |
3. シンデレラ(1950)
シンデレラのキャラクターデザインがいかにもこの時代の美人の基準って感じだったり、王子様のキャラが全く見えないので、本当にそれが幸せな選択なのか疑問だったり、ネズミのガスがアメリカンなお笑い系キャラでひたすらウザかったりしましたが、主題歌とドレスの変身シーンだけでもう十分、ウットリ満足。ディズニーというブランドのアイディンティティみたいな映画なワケで、それを大前提として見れば、見事なバランスの上に立った映画というところ。子供が、そして子供に戻った大人が楽しめてこそのディズニーワールド。ひとときの夢の世界。ただ、デジタルで大々的に修復された映像はペカペカにデジタライズされ過ぎちゃって、本来持っていたであろうハンドメイドな質感を激しくスポイルしちゃっているので、その点は今のディズニーも、もう少し考えて欲しいですね。あれじゃ、今のデジタル撮りテレビアニメと同じフィールドに存在する映像だわ・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2009-04-29 00:40:42) |
4. 白い馬(1952)
《ネタバレ》 う・・・ウサちゃん、捕まり損の焼かれ損! せめて食べてあげてくれぇ。カワイソカワイソ・・・。さて、それはともかくこの白黒短編映画、物語は一応あるものの、馬の躍動感や疾走感、荒々しさ、雄々しさ、そして美しさこそが要になっていて、多少ツッコミどころがなくもない展開を気にする意味もないほどに、後半はただその動きに見入っておりました。スピード感溢れる疾走を捉えるカメラが見事です。その映像の高揚感ゆえに、支配から逃れられる場所はこの世界にはないという最後は切ないものでした。時代や世代を越えて広くそれぞれの視点で見られる映画です。 [DVD(字幕)] 8点(2009-04-17 23:44:39)(良:1票) |
5. 紳士は金髪がお好き(1953)
《ネタバレ》 ここに登場する男達が揃ってバカで魅力に欠けるので、逆にそれでいいんかい?とも思うのですが(もちろん、お金のあるなし関係なく総じて)、あくまで二人のイイ女の映画ですからね。マドンナの「マテリアルガール」みたいな(いや、こっちがオリジナルだ)超有名なミュージカルシーンでマリリンが歌います。“女が年をとれば 男は冷たくなるわ 年をとれば 女の魅力はなくなるわ でもダイヤモンドは決して形が変わらない”マリリンは既にかなり前にこの世の人ではなくなってしまいましたが、こうして当時のままの彼女の魅力が焼き付いてずっと変わらずに今も触れることができて、だから映画もまたダイヤモンドみたいな輝きと価値を持ったものなのですね。こういうステキなモノがずっと残ってゆくのって、いいな。 [DVD(字幕)] 8点(2009-04-07 23:11:15) |