1. 四月の雪
《ネタバレ》 これは暖かい「四月」なのか、冷たい「雪」なのか。日常なのか、非日常=外出なのか。 劇的であるよりは日常を撮ってきたホ・ジノが、より感情がぶつかり合う、出来事も非日常的である、原題「外出」にはそんな意味も込められているという。「妻が事故に巻き込まれたと聞いてかけつけてみれば、妻は不倫相手と事故にあったのだと、その相手の妻と不倫に」という枠組みだけで言えば、劇的で、ドロメロにでも何にでもなる。これをホ・ジノがやるとどうなるか。 配偶者が事故で重傷で目も覚まさない状態の中で、不倫相手の配偶者と会話を交わさなければならなくなったとき、さて自分ならどうんな行動を取るのか。主演の二人も答えを捜しながら演じたというが、当然わかるわけがない。次の台詞がまったく読めないにもかかわらず、画面に現れる台詞の一つ一つは、「わかる」。いや、わかるなんてきっと嘘なのだろうけれど、映画という嘘なのだろうけれど。非日常映画のはずなのに、台詞の一つ一つが、類型的過ぎず、劇的に裏切ることを目指したものでもない、意外であり、等身大である。まったくもって見事。 この映画のプロットの二番目の核となるのが、 ペ・ヨンジュン とソン・イェジンという同じ境遇で出会った二人の、その境遇の違いである。彼女は専業主婦で、見合い結婚。新婚の時期は幸せだったが、夫が離れて行っていたという。この構図があるからこそ、夫の不倫には憤りを感じるが、ペ・ヨンジュンには惹かれてしまう、というのに結びつく。その後、ソン・イェジン夫は命を失い、ペ・ヨンジュン妻は回復する。すでに日常には戻れないソン・イェジンと選択を迫られるペ・ヨンジュンでドラマになる。男女を入れ替えてしまうとこの物語はたぶん成り立たない。男の側から見た実に都合のよい設定なわけであるが、最終的に、監督の言うところの、他人なら不倫、自分ならロマンス、という愛の形へ迫っていけたのだから、それでよいというべきだろう。二人が最後どうなるかは描かれないが、死を選択するだけの説得力がある。 ライブ感のある演技もさることながら、前作では主人公の職業という形で作品の前面に出た「音響」も健在。この小さな音も軽視しない音作りは是非劇場など、音にこだわった環境で見てもらいたい。4年間のブランクの間にホ・ジノが撮った二作の短編も見事なものだったけれども、私はまだまだ彼に付いていく。無条件に。 [映画館(字幕)] 10点(2007-01-22 21:05:31)(良:1票) |
2. 人生の逆転
イム・チャンジョンとハ・ジウォンの対比が見事。コメディのつぼを押さえている。 [映画館(字幕)] 8点(2007-01-22 20:44:50) |
3. 親切なクムジャさん
濃密な映像。独特のリズム。笑いとスリルのバランスは上々。これだけ緻密な映画もそうはない。 [映画館(字幕)] 9点(2007-01-22 20:36:05) |
4. 純愛中毒
醒。 7点(2004-11-10 15:48:32) |
5. 春夏秋冬そして春
ちょっと狙いすぎの気もするけど、人生の春夏秋冬を描ききったあまりに深すぎる一作。 10点(2004-11-10 15:45:52) |
6. シルミド/SILMIDO
ちょっと古くさいけど、描いている物語の、ここまでやるか!という説得力。 8点(2004-07-29 17:25:11) |
7. 情事 an affair(1998)
上品な世界の不倫映画。 8点(2004-05-30 18:20:30) |
8. 少女たちの遺言
いい絵。怖い・・・けれど、怖いより、悲しい、かも。 8点(2004-04-15 16:24:09)(良:1票) |
9. 女校怪談
これを怖いと思えたのは女の子がかわいかったからかなぁ? 8点(2004-04-15 16:13:12) |
10. シュリ
9点(2003-12-22 17:24:12) |
11. 少林サッカー
10点(2003-12-22 17:17:10) |
12. 純愛譜
きわめて不純だけど、橘実里がすばらしい。イ・ジョンジェの役は最低だが、この二人に共通する部分が今時の若者の世界を描いているところが秀逸 8点(2003-12-22 17:10:24) |
13. JSA
8点(2003-12-22 17:08:29) |
14. 春香伝(2000)
8点(2003-12-22 17:00:42) |